自立支援ケア事例紹介

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自分らしさを取り戻すまで

自分らしさを取り戻すまで

2022.01.06

活動的な日常から車いす生活へ

長年左官職人として働き、退職後も警備の仕事をされるほど体を動かすのが好きな方だった。
76歳のときに自宅で転倒し、腰の圧迫骨折で入院。退院するころには自力で歩くことができず、
車いす生活を余儀なくされた。

奥さまも高齢で、息子さんも仕事をされていることから自宅での介護は難しく、2か月の入院生活ののちに
愛の家グループホーム福富に入居された。

元気な姿をとりもどすために

入居したばかりの頃は慣れない環境で不安が強く、眠りが浅かった。活気がなく表情も乏しい印象。
食事を残すことも多かった。ご利用者同士で行う活動には興味がなく、1人で過ごすことを好まれる。
かつての活動的な森さまを取り戻すため、自立支援ケアが始まった。

自立支援ケア

① 水分摂取方法を工夫し摂取量を増やす

脱水や便秘は認知症の症状が出現する原因といわれている。予防には適切な水分摂取が必要。
水分摂取を習慣にするため、こまめに飲み物を提供し、食後は寒天ゼリーにして
無理なく水分をとれるように工夫した。

② おやつにもタンパク質を提供

十分に栄養がとれていないと認知機能や体力、免疫も低下するといわれている。
病気にかかるリスクや骨折のリスクも高まるため、栄養価の高いものや貧血を改善するような食事に配慮を。
おやつにもゆで卵やチーズ、ケーキなどタンパク質の使用を意識した。
また、麦ごはんで食物繊維やカルシウムや鉄分を取り入れる。
具だくさんの味噌汁でビタミン強化をはかるなど工夫した。

本人の希望を取り入れたリハビ

もも上げやひざ伸ばしなど8種類の運動を10回ずつ行い、運動をスタートして
2か月目には「歩く練習をしたい」という森さまの希望もあり、歩行訓練も開始した。

自分でできることが増えていく毎日

ケアを始めて1か月ほどして、1人で歩いてトイレへ行く姿を何度か見かけるようになった。転倒への不安が強く
車いすの使用を希望されることもあったが、下肢の運動を継続した。徐々に気持ちに変化がみられ
「歩く練習をしたい」と希望された。歩行練習を開始後2か月目には、車いすは必要なくなった。

開始時は1日1100mlであった水分摂取は、活動量の増加とともに6か月後には1700mlまで摂取でき、
食事も全て食べることができるようになる。

その結果、下剤を使用しコントロールしていた排便が自然とみられるようになる。
適切な水分摂取や食事摂取、活動量の増加により夜間の睡眠も深くなり、十分に休息がとれるようになった。

適切な水分が取れるようになり、記憶力にも改善が見られた。部屋から見える畑の野菜に、
花が咲いたと報告してくれるなど周りへの関心も見られるようになっていた。

役割をもつことでさらに元気を取り戻す





今では、気の合うご利用者とテレビを見たり、
談笑されたりと元気な姿が見られる。
もともとは働き者の森さま。
動けるようになると反対に「退屈」になった。
そこで、スタッフが手すり拭きをお願いしたところ、
毎日の仕事として意欲的に行われている。
事業所で畑を作る話がでたときも、
自分から一緒にやりたいと手をあげた。
毎日の水やりなど役割をもつことで、
さらに自分らしさを取り戻された様子。

今の願いは「大好きな焼き鳥を食べにいくこと」と
笑顔で教えてくれた。

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