当社は、1999 年の設立以来、グループホーム「愛の家」を全国で展開し、認知症ケアの専門性を追究し続けてきました。
当報告会は、認知症ケアの取り組みや日々の成果を検証・共有する場として、年に一度開催しています。全国の事業所で実践されている事例の中から、特に広く共有すべきとして推薦された国内外の事業所がケアの実践事例を発表します。
全国で予選会を実施し、その中から選ばれた事業所が全国の各ブロックに分かれて2 次予選を実施。2次予選で、特に優秀であり、全国的に共有すべきとして推薦された事業所が全国大会で発表を行います。
事業所内をDIYし、オリジナルのドリンクバーを設置することで、当社が「MCS版自立支援ケア」の導入から注力している水分摂取を促進。視覚的にご利用者の飲む意欲を向上させることや、気分転換のため環境を変化させたことで、ご利用者の自発的な水分摂取と水分量の増加につなげた取り組み。
事業所内に運動機器を導入し、日々ご利用者の運動に力を入れている当事業所で、入居前、転倒・転落が頻発していたご利用者を対象に、身体状況からそれぞれに合ったSIDE別運動プログラム(当社オリジナルプログラム)を実施。歩行練習や座位・立位プログラムなどを実施したところ、下半身の強化や筋力・柔軟性の向上、姿勢の改善、歩行の安定につながった取り組み。
ご利用者の思いをくみ取り、その実現を行った昨年の発表から、「当たり前の生活の追究」として、ご利用者の「恩返ししたい」「人の役に立ちたい」という気持ちに着目。 地域の集会に参加した際に得た農業の人手不足という情報から、農業経験のあるご利用者とともに農作業に参加し、地域の皆さんと活動を行った他、近所の小学校から福祉教育のご依頼があった際に、子ども好きなご利用者ご本人に登壇いただくなど、「人の役に立ちたい」というご利用者の希望をさらに追及・実現した取り組み。
訪問介護を拒否して家に閉じこもる方に、愛の家のデイサービスの利用を打診するため初訪問。家の中はゴミ屋敷状態でデイサービスへのお誘いも激しく拒否。その方の生活環境の改善のため、事業所が、お食事のお誘いなどコミュニケーションを重ねるなかで、次第に心を開いてくださるように。ご利用者の生活環境だけでなく、地域や人間関係等の改善にもつながった事例。
昨年、南海トラフ地震の発生確率が 40 年以内に 90%と情報修正されました。行政のハザード情報は、健常者を対象とした想定であることから、認知症のあるご利用者全員が避難する方法を再考することに。認知症災害時支援事業モデルへ申し込みし、愛知県立医学博士の清水教授の講義を事業所全員が受講するなど、現実的で具体的な災害対応に向けて取り組む事例。
新型コロナウイルス感染症のクラスター発生によるご利用者の認知症状の悪化やご逝去で、スタッフの心身の疲弊も増加。そんな状況下、「取り戻し作戦」として、水分・運動・食事・排泄など基本のケアとレクリエーションの徹底、重症のご利用者には個別プランを実行。食事介助が必要になり立位が困難、看取り宣告されたあるご利用者には、筋力強化の運動プログラムを組み、手で持ちやすい食品・栄養補助食品などの提供を実施。すると普通食に戻り、立位保持ができるまでに回復。他の重症のご利用者も個別プラン実行後に回復し、3か月後にはイベントができるまでに事業所全体が回復した事例。
施設に入居されたあるご利用者。日中は傾眠傾向で身体機能も衰え、肺炎の頻発や排せつの失敗も多い状況。いざケアにあたろうとすると、ご家族は「自立支援ケア」に否定的。本人の裏にある想いを引き出し、ご家族には、ケアの重要性を繰り返し説明したことで理解が得られ、水分・運動を中心としたケアを実施。医療との連携による減薬にも取り組んだことで、身体機能の低下による頻尿や夜間不眠・心臓機能の低下という悪循環が回復し、肺炎も軽減。歩行器なしでの歩行も可能に。ご本人の笑顔が戻り、状態の回復が見られた事例。