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もうできないと思っていた。
いつもの店で、母との大切な時間を実現
2022.06.08
小松さまの生活歴と入居時の認知症の症状
以前はお茶や習字などの習い事、友人との旅行が好きで活発な性格で、
バレーボールの選手として試合に出るほどの腕前。
娘2人も立派に育て上げた。認知症の症状が現れたのは76歳のとき。
その後、介護施設を転々とする。慣れない環境で不安が大きくなり、その影響は被害妄想として強く出ていた。
愛の家グループホーム岡谷幸町への入居当初は、「あの人は私に怒っている」という思い込みもあり
不安もさらに強くなっている様子だった。
食事の仕方やトイレの場所も忘れてしまってわからない。夜眠ることもできず、朝まで毎日廊下を歩き続け、
日中は部屋でウトウトすることがほとんどだった。
「できることなら、いつもの店でもう一度、母と外食をしたい」
小松さま親子にとって、家族での外食は大切なイベント。しかし一度、外食先でトイレが間に合わないことがあり、
それ以降、娘さんは「母との外出はもうできない」と諦めていた。
そんな娘さんの姿と小松さまの大切な家族の時間を、もう一度実現するために自立支援ケアがはじまった。
自立支援ケア
①水分摂取量を増加して、脳の覚醒状態を上げる
食事の仕方やトイレの場所がわからないといった認知力の低下や、夜間の徘徊、被害妄想など、
認知症の方によく見られる症状は、実は脱水が原因であることが多い。そのため、水分摂取量の増加を中心に行った。
②活動量を増やして生活にメリハリをつける
生活リズムを整えるために、日中の活動量を増やすことも大切だ。活発だった小松さまの性格や趣味を考え、
掃除の手伝いや食材の買い物、他ご利用者との歌やゲームに参加してもらった。
毎日の散歩では、歩行距離や運動量の記録を取り、症状の変化や水分摂取量等との相関関係を見た。
適切な水分摂取量で全ての症状が消失
その後、さらに適切な水分量を分析し、4か月後には毎日朝までぐっすり眠れるようになった。
被害妄想や、他の全ての症状も改善した。さらに、抗認知症薬等の薬をなくすことができた。
今では、自主的にモップがけをしたり、大好きな洋服や化粧品の買い物も楽しまれている。
料理や近所のスーパーでの買い物も小松さまの日課だ。
「できることなら、いつもの店でもう一度、母と外食をしたい」
8か月ぶりの娘さんとの外食。
小松さまは娘さんと腕を組んで「ふるさと」を
歌いながら満面の笑顔で帰ってきた。
娘さんは「このままどんどん具合が悪くなって、
二度と以前の母に戻れることはないと諦めていました。
でも、母の笑顔が増え、安心して過ごしていることが伝わります。明るくて元気な本来の母に戻って、本当にびっくりしました。」と話してくださった。
小松さまの活発で元気な姿を取り戻すことができた。