みなさんは、普段薬を服用していますか?
高齢になると、様々な薬を服用しなくてはいけない可能性が高くなります。
本記事では、高齢者の薬について以下の点を中心にご紹介します。
- 高齢者の薬について
- 高齢者の副作用の影響
- 薬の飲み忘れを防止する方法
高齢者の薬について理解するために、参考にしていただけたら幸いです。
ぜひ最後までお読みください。
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高齢者とは
高齢者とは、WHOの定義によると65歳以上の方を指します。
さらに日本では、65〜74歳が前期高齢者、75歳以上が後期高齢者に分かれています。
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高齢者の薬について
人は高齢になると、複数の持病を抱え、何種類もの薬を服用することが多くなります。
薬を多く服用することで起こる弊害には、以下のようなものがあります。
- 処方・調剤の間違い
- 飲み忘れ
- 飲み間違い
- 副作用の発症
また、高齢者は口腔内が乾燥している方が多く、食道の動きも低下しています。
そのため薬を服用することで、誤嚥性肺炎を起こす可能性も高くなっています。
肝臓や腎臓も機能が低下しているので、必要以上に薬が体内に残り、効果が出過ぎたり、持続し過ぎたりします。
また認知症を発症した場合は、誤飲を防止したり、服薬の管理も必要になってきます。
高齢者の方の中には自己判断で薬の服用を中断したり、飲み忘れてしまった薬をまとめて服用したりする方もいます。
このように高齢者が薬を服用する場合は、様々な注意が必要です。
薬物動態とは?
薬物動態とは薬を服用し、排泄されるまでの過程のことです。
具体的には以下の順序です。
- 投与(薬を体内に入れる)
- 吸収(血液の流れに乗る)
- 分布(作用する場所に移動する)
- 代謝(化学変化を起こす)
- 排泄(身体から除去される)
同じ薬を服用していても、年齢や体重、持病などにより薬物動態は異なります。
高齢者の薬物動態の特徴
高齢者の薬物動態の特徴を解説していきます。
高齢になっても、吸収に関しては、影響をほとんど受けないと言われています。
しかし、加齢に伴い体内の水分量が減少するので、水溶性の薬は濃度が濃くなります。
反対に脂肪量は多いため、脂溶性の薬は身体に長く留まります。
代謝と排泄に関しては、腎臓の排泄能力と肝臓の分解能力の低下により、薬物血中濃度が高くなる傾向があります。
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薬の副作用について
薬の副作用とは、本来の薬の効果と別の効果が現れてしまうことです。
副作用は薬の種類や服用する人によって様々あります。
例えば以下のようなものです。
- 吐き気
- 便秘
- 口腔乾燥
- 眠気
- せん妄
では、高齢者の副作用について解説していきます。
高齢者は副作用の影響を受けやすいのか
高齢者は若い人に比べて薬の影響を受けやすいです。
副作用の影響を受けやすい理由には以下のようなものがあります。
- 腎臓や肝臓の機能が低下し、薬の排泄に時間がかかる
- 複数の持病があり、多数の薬を服用していることが多い
- 同時に服用している薬が相互作用を起こすリスクが高い
高齢者が副作用に注意すべき薬一覧
高齢者が副作用に注意すべき主な薬は、以下の表の通りです。
表の分類 | 薬の名前 | 主な副作用 |
睡眠薬 | ブロチゾラム錠・ゾルピデム錠 | ふらつき、転倒、認知機能の低下、せん妄 |
抗うつ薬 | トリプタノール錠 | 認知機能の低下、せん妄、便秘、口渇 |
抗血栓薬 | クロピドグレル錠・バイアスピリン錠・ワーファリン錠 | 消化管出血、脳出血 |
高血圧治療薬 | トラセミドOD錠・フロセミド錠 | 立ちくらみ、転倒、腎機能低下 |
カルデナリン錠 | 立ちくらみ、転倒 | |
インデラル錠 | 呼吸器疾患の悪化、喘息発作誘発 | |
消化性潰瘍治療薬 | ファモチジンOD錠 | 認知機能の低下、せん妄 |
糖尿病治療薬 | アマリール錠・インスリン製剤 | 低血糖 |
アクトス錠 | 骨粗鬆症、骨折、心不全 | |
メトホルミン塩酸塩錠 | 低血糖、乳酸アシドーシス | |
ジャディアンス錠 | 低血糖、脱水、尿路・性器感染症 | |
非ステロイド系抗炎症薬 | セレコックス錠・ロキソプロフェンNa錠 | 胃潰瘍、腎機能低下 |
副作用は個人差があるため、他の薬に対しても注意が必要です。
高齢者の薬の副作用を予防するには
高齢者の副作用は、用量を減らすか投与回数を減らすことで予防できます。
減らすことができるかのポイントは以下です。
- 本当に必要な薬なのか
- 優先順位は高いのか
- 生活習慣を改善することで減薬できないか
自己判断で減らさないように、医師や薬剤師に相談するようにしましょう。
その他にも、サプリメントの服用や嗜好品があれば、必ず申告することで副作用を予防することができます。
正しく薬を服用することは、副作用を予防するだけでなく、薬の効果を十分に得ることにつながります。
高齢者が薬を服用する際の注意点
高齢者が薬を服用する際の注意点について、確認していきます。
薬の飲み忘れや飲み過ぎ
高齢者は多くの薬を服用していたり、認知機能の低下により、飲み忘れや飲みすぎが起こりやすくなっています。
認知症を発症すると、薬の保管場所がわからなくなったり、服用したかどうかわからなくなったりします。
そもそも薬を服用するような病気を発症していないと思う方もいます。
薬の服用は病気の治療のために必要なことです。
薬の種類によっては、飲み忘れや飲み過ぎが命に関わる危険性もあります。
薬を服用する本人だけでなく、家族や介護者が薬の場所や服用したかどうかをすぐに確認できるような工夫をすることが大切です。
薬の飲み忘れや飲み過ぎを防止するには
では薬の飲み忘れや飲み過ぎを防止するにはどのようにしたらいいのでしょうか。
いくつか方法をご紹介します。
お薬カレンダーの作成
お薬カレンダーは日付や曜日、時間で薬を分けて収納することができるカレンダーです。
その日の薬を飲んだかどうかや、薬の残量がどれくらいあるか、すぐに確認することができます。
目につくところに掛けておくことができるので、飲み忘れや飲み過ぎを防ぐことができます。
薬局で1度に飲む薬を1つにまとめてもらい、お薬カレンダーにセットすると管理しやすいです。
一度に飲む薬を1つにまとめる
薬局では、一包化といって、服用時間が同じ薬を、1つにまとめてくれる場合があります。
ぜひ、薬剤師に相談してみましょう。
ただし、1つにまとめる場合には、料金が発生することもあるため、薬剤師に確認しましょう。
一包化してもらうことで、飲み間違いや薬の紛失も防ぐことができます。
電話を定期的にかける
同居している家族がいない場合は、家族に定期的に電話をかけてもらうことで、薬の飲み忘れを防ぐことができます。
例えば、朝食後の薬なら、朝食の時間に合わせて、電話をかけて服用を促します。
在宅訪問薬剤管理指導の活用
主治医の指示により、薬剤師が自宅に訪問して、薬の管理をする制度があります。
この制度のことを「在宅訪問薬剤管理指導」といいます。
薬剤師が、自宅を訪問し
- 服薬の指導
- 服薬の支援
- 保管状況の確認
- 飲み忘れがないかの確認
などをしてくれます。
薬のことについて色々な相談ができるので、ぜひ活用しましょう。
デイサービスや訪問看護師と連携
訪問看護やデイサービスなどを利用している場合は、看護師、デイサービスのスタッフが服薬の支援をします。
薬を服用する時間に看護師が訪問できないときは、主治医の訪問時間に合わせて、薬を処方してもらえないか相談してみましょう。
薬の誤飲
高齢者は、視覚や味覚などの身体機能の低下や、認知症により、薬の誤飲が起こりやすいです。
1番起こりやすい誤飲は、カプセルや錠剤を包装シートごと飲み込んでしまうことです。
包装シートは角が鋭利な場合があり、誤って飲み込んでしまうと食道を傷つけてしまいます。
薬と同じような形状のボタン電池や細かい部品を勘違いして、飲み込んでしまうこともあります。
では誤飲はどのように防止すればいいのでしょう。
高齢者の誤飲を防ぐには家族や介護者の協力が必要なことが多いです。
特に認知症を発症している高齢者の場合、自身では気が付きにくいため、家族が以下の点に注意することが大切です。
- 薬の包装シートは、1錠ずつに切り離さないようにする
- 薬は別の場所で保管する
- 誤飲すると危険なものは、高齢者の手の届かないところに保管する
複数の医療機関受診による多剤服用の現状
高齢者は、複数の持病を患っている方が多く、新たに症状が加わる度に医療機関を受診する方が多いです。
受診する医療機関が異なると、同じような効果のある薬や飲み合わせが悪い薬が処方されてしまう可能性が高くなります。
そしてポリファーマシーが発生します。
ポリファーマシーとは、害のある多剤服用のことです。
6種類以上の薬を服用することで、副作用やそれに伴う転倒や転落などの事故を起こす可能性が高くなるといわれています。
治療のために必要とする以上の薬は、様々な問題を引き起こしかねません。
高齢者の多剤服用を防ぐには、医療機関の間で情報を共有し、連携することが大切です。
入院や施設への入所、かかりつけ医を受診した際に、どのような薬が処方されているかこまめに確認してもらうことで多剤服用を防ぐことができます。
また薬局ではお薬手帳を活用し、薬剤師に服用している薬を提示することで減薬することができないか確認してもらうこともできます。
複数の薬局にいくのではなく、かかりつけの薬局を決定することも重要です。
非薬物療法の重要性
非薬物療法とは、
- 生活習慣の改善
- リハビリテーション
- 心理療法
などの、薬を用いない治療のことです。
生活習慣病を患っている方は、塩分を控えたり、運動を取り入れたりすることで薬を服用しなくても改善する可能性があります。
また認知症の治療においても、非薬物治療法が注目されています。
リハビリテーションや心理療法で、認知症の症状である歩行障害や不穏、被害妄想などが改善されるといわれています。
高齢者の薬についてのまとめ
本記事では、高齢者の薬についてお伝えしてきました。
以下に要点をまとめます。
- 高齢者は多くの薬を服用しているため、様々な問題が起こりやすい
- 高齢者は多剤服用や機能低下により副作用が起こりやすい
- 薬の飲み忘れを防止する方法は、お薬カレンダーの作成、在宅訪問薬剤管理指導の利用などがある
これらの情報が少しでも皆様のお役に立てれば幸いです。
最後までお読みいただきありがとうございました。