不整脈は身近に接することが多い病気です。
不整脈の原因の最も多いのは加齢によるものです。
不整脈にはどのような種類があるでしょうか?
不整脈になる原因にはどのようなものがあるでしょうか?
本記事では不整脈について以下の点を中心にご紹介します。
- 不整脈の種類について
- 不整脈になる原因について
- 不整脈の治療法について
不整脈について理解するためにもご参考いただけますと幸いです。
ぜひ最後までお読みください。
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不整脈とは
不整脈とは心臓の拍動が不規則になる病気をいいます。
拍動が不規則になる原因は心臓の電気信号が正常に伝達されないことによって起こります。
不整脈は脈が正常より速く打つ、ゆっくり打つ、又は不規則に打つ状態で分けられます。
脈が100回/分以上を頻脈性不整脈、50回/分以下を徐脈性不整脈といいます。
脈が乱れたり心臓がドキドキする場合、不整脈が起こっている可能性があります。不整脈は心臓病だけでなく、ストレスなどによっても引き起こされます。そもそも不整脈とはどのようなものでしょうか?なぜストレスが不整脈の原因となるのでしょ[…]
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不整脈は大きく3種類に分類される
不整脈は、何十種類にも細かく分類されています。
細かい分類を心拍の状況をもとに大きく分けると以下の3つのタイプになります。
- 心拍が速い(頻脈性不整脈)
- 心拍が遅い(徐脈性不整脈)
- 心拍が飛ぶ・抜ける(期外収縮不整脈)
それぞれの不整脈のタイプの概要についてご紹介します。
頻脈性不整脈
心拍が速い(100回/分以上)不整脈を頻脈性不整脈といいます。
運動や興奮、発熱などで心拍が速くなる場合もありますが、病的な頻脈とは区別されます。
病的な頻脈は、体が求めていないのに100回/分以上の脈を打つ場合をいいます。
病的な頻脈は起こっている部位と心拍数によって10種類以上に分類されます。
徐脈性不整脈
心拍数が遅い(50回/分以下)不整脈を徐脈性不整脈といいます。
一般の方(特にスポーツマン)でも脈が50回/分になることがありますが病的な徐脈とは区別されます。
病的な徐脈は健康な方と違って、運動時などで脈が速くならずしんどくなってしまいます。
期外収縮不整脈
心拍が飛ぶ・抜ける不整脈を期外収縮不整脈といいます。
正常な場合、心臓は洞房結節という部位からの電気信号で動いています。
期外収縮の場合は洞房結節とは別の部位からの電気信号で心臓を余分に動かします。
胸が苦しいなどの自覚症状がない場合でも、脈を取ると飛んだり抜けたりがわかります。
不整脈は心拍のリズムが乱れる症状として知られています。しかし、不整脈の多くは期外収縮であることはあまり知られていません。期外収縮とはどのような症状がみられるのでしょうか?期外収縮に対しどのような治療方法があるのでしょうか?[…]
不整脈のタイプ別の症状
不整脈の症状を以下のタイプ別にご紹介します。
- 頻脈性不整脈
- 徐脈性不整脈
- 期外収縮不整脈
頻脈性不整脈
頻脈になると心臓が効率的に血液を送り出すことができなくなります。
心拍が速くなりすぎると心臓がから打ち状態になることもあります。
心臓がから打ちになると全身へ血液が全く送れずに心停止発作を起こすことにもなります。
頻脈性不整脈で起こる症状は以下のようなものです。
脈の乱れの自覚 | 息切れ息切れ |
動悸(心臓がどきどきする) | めまい |
立ちくらみ | 突然の虚脱感 |
失神 | けいれんを伴う失神 |
徐脈性不整脈
徐脈性不整脈になると心臓の拍動が減ります。
心臓の拍動が減ると、必要な酸素が全身に行きわたらなくなって以下のような症状があらわれます。
めまい | 眼前暗黒感 |
疲労感 | 作業時の息切れ |
失神 |
表記の眼前暗黒感とは以下のような症状をいいます。
- 立ち上がった瞬間にくらくらする
- 意識が遠のいていく感じ
- 長時間立っていると目の前が暗くなる感覚
期外収縮不整脈
期外収縮不整脈では症状を感じない方が多いです。
しかし、中には以下のような症状を感じる方がいます。
動悸(心臓がどきどきする) | 胸がつまづく |
胸がつまる | 胸に空気が入ったような感じ |
心拍に異常を感じたとき、「ひょっとして不整脈かも?」と不安になる方も多いでしょう。不整脈は心拍の乱れ以外にも、さまざまな症状があらわれます。そのため不整脈かどうかを調べるには、複数のチェック方法を試すのがおすすめです。それで[…]
不整脈になる原因
不整脈になる原因には以下のようなものがあります
【加齢】
加齢が不整脈の原因としてまずあげられます。
したがって不整脈は誰にでも起こりうる病気といえます。
心臓は電気の刺激によって一定のリズムを保ち動いています。
電気の刺激は洞房結節という部位から刺激伝導系を通って心臓の心筋へ伝わります。
高齢になると刺激伝導系の機能が低下し不整脈が起こりやすくなるとされています。
【心臓の病気】
心臓の病気は不整脈の発症に大きく影響します。
以下のような心臓の病気を患ったことがある方は注意が必要です。
- 心筋梗塞
- 心筋症
- 心不全
- 心臓弁膜症
【心臓病以外の病気】
心臓の病気以外でも不整脈の原因となる以下のような病気があります。
- 高血圧
- 慢性閉塞性肺疾患などの重い肺の病気
- 甲状腺の病気
- 糖尿病
特に高血圧は心臓の負担が増えることから心臓肥大になり不整脈を起こしやすくなります。
【服用薬】
服用している薬が不整脈を起こす原因になる場合があります。
以下の薬には、自律神経や心臓の電気刺激の発生に影響を与える成分を含んでいる場合があります。
- 降圧薬
- 抗うつ薬
- 抗不整脈薬
【生活習慣】
以下のような生活習慣も不整脈を起こす原因となることがあります。
ストレス | 睡眠不足 |
過労 | 喫煙 |
アルコールの過剰摂取 | コーヒーの過剰摂取 |
過食 | 肥満 |
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不整脈の診断方法
不整脈の検査には以下のような方法があります。
24時間心電図 | 心臓超音波検査 |
胸部レントゲン検査 | 胸部CT検査 |
心臓電気生理検査 | ー |
それぞれの検査方法についてご紹介します。
24時間心電図
心臓の状態を正確に記録するために1日分の心電図の記録をとる検査です。
医療機関での一時的な心電図検査ではなく、患者の日常生活に合わせ24時間分の記録をとります。
心臓超音波検査
心臓超音波検査は不整脈診断に必要な心臓自体の病気の有無を調べる検査です。
心臓超音波検査検査では以下の検査ができます。
- 心臓の収縮する力
- 弁の動き
- 筋肉の厚さや動き
- 心臓の心房、心室の大きさ
胸部レントゲン検査
胸部レントゲン検査では心陰影(心臓の大きさ)を見ます。
心陰影から不整脈の原因となる病気の有無を推測します。
胸部CT検査
胸部CT検査はX線を使用し胸部の断層写真を撮る検査です。
肺がんなどの病変の発見に使われますが、心臓疾患の病変の発見にも利用されます。
心臓電気生理検査
心臓内の電気活動を詳細に調べる検査でEPS検査ともいわれます。
心臓内の電気活動は電極カテーテルの先端についた電極を心臓内壁に接触させて調べます。
電極カテーテルは足の付け根や肩の下の静脈から心臓へ向けて数本挿入します。
EPS検査はカテーテルを介して意図的に不整脈を起こして以下のようなことを調べます。
- 不整脈の原因(患者特有の原因)
- 不整脈の発生元
- 重症度
- 有効性のある薬剤の判定
患者に最も適した治療方法を決定するために大変有効な検査方法です。
不整脈とは、脈が正常よりも速くなったり、遅くなったりする状態のことです。不整脈が原因で、心不全や脳梗塞の原因になることもあります。不整脈の検査はどのようにするのでしょうか?また、不整脈の治療方法には何があるのでしょうか?[…]
不整脈の治療方法
不整脈の治療方法には以下のようなものがあります。
- 薬物治療
- 心臓ペースメーカー
- ICD(植込み型除細動器)
- カテーテルアブレーション
それぞれの治療方法についてご紹介します。
薬物治療
不整脈の薬物治療は頻脈性不整脈の治療に対し使われます。
使われる薬は抗不整脈薬です。
抗不整脈薬は不整脈を作り出すイオンチャネルを遮断する薬で以下の働きをします。
- 不整脈を停止させる
- 不整脈を軽症にする
- 不整脈を起こりにくくする
抗不整脈薬は以下の4つに分類されます。
- Ⅰ群薬 ナトリウムチャネル遮断薬
- Ⅱ群薬 交感神経β受容体遮断薬
- Ⅲ群薬 カリウムチャネル遮断薬
- Ⅳ群薬 カルシウムチャネル遮断薬
心臓ペースメーカー
徐脈性不整脈の治療にはペースメーカーによる治療が第一選択肢となります。
ペースメーカーは心臓の拍動を助ける働きをします。
植えこまれた機器から一定のリズムで電気信号を心臓へ送ることで拍動を助けます。
現在のペースメーカーは性能の向上に加え小型軽量化、電池の長寿命化が図られています。
したがって植込み後もほとんど今までと変わらない生活を送ることができます。
ICD(植え込み型除細動器)
ICD(植え込み型除細動器)は頻脈性不整脈の治療に使われます。
頻脈性不整脈のうち致死性の重症不整脈(心室頻脈、心室細動)に使われる治療法です。
ICDにより頻脈が検出されたときに適切な治療が行えるよう心臓の動きを常時監視します。
カテーテルアブレーション
カテーテルアブレーションは不整脈の原因となる電気回路を遮断する治療方法です。
カテーテルアブレーションは外科的な手術に比べて体への負担が少ないことが特徴です。
カテーテルアブレーションで治療できる不整脈は以下の通りです。
- 頻脈性不整脈
・心房細動
・心房粗動
・発作性上室性頻脈
・心室頻拍 - 期外収縮
・心室性期外収縮
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不整脈による突然死と塞栓症
不整脈は放置しても害のないものからすぐに対応が必要なものまで様々です。
また、症状も無症状なものから動悸や息切れなどや、さらに重篤なものまであります。
しかしながら注意が必要なのは特に以下のように重篤な状態に至るリスクがあることです。
心不全 | 意識消失 |
突然死 | 脳梗塞 |
腎梗塞 | ー |
不整脈の治療は以下の2つで行うことが必要です。
- 現在の不整脈の症状を正常に戻し維持する治療
- 将来的に重大な結果をもたらすリスクの高い患者に対する治療
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不整脈のまとめ
ここまで不整脈についてお伝えしてきました。
不整脈についての要点を以下にまとめます。
- 不整脈は大きく頻脈性不整脈、徐脈性不整脈、期外収縮不整脈の3つに分類される
- 不整脈は加齢や心臓病を原因とするが、高血圧などの生活習慣病、服用薬による場合もある
- 不整脈の治療法は薬物治療と非薬物治療の心臓ペースメーカー、ICD、カテーテルアブレーションがある
これらの情報が少しでも皆さまのお役に立てば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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