花粉症は、スギやヒノキなどの花粉が原因で起こるアレルギー疾患です。
花粉症の治療には、薬物療法、レーザー治療などがあります。
では、花粉症のレーザー治療とはどのような治療なのでしょうか。
本記事では、花粉症のレーザー治療について以下の点を中心にご紹介します。
- 花粉症のレーザー治療のメリット・デメリットとは
- 花粉症のレーザー治療の種類について
- 花粉症に有効なほかの治療法とは
花粉症のレーザー治療について理解するためにもご参考いただけますと幸いです。
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花粉症のレーザー治療とは
花粉症のレーザー治療は、鼻粘膜の表面をレーザーで照射します。
腫れていた粘膜にレーザーを照射すると、粘膜が凝固して鼻の中の空間が広がり、鼻づまりが解消されます。
また、粘膜が固くなると、鼻の中に侵入してきた花粉がつきにくくなります。
さらに、照射された部分は水分が失われるので、花粉がついてもアレルゲンが体内に入りにくくなります。
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花粉症のレーザー治療
花粉症のレーザー治療のメリット・デメリットには、どのようなことがあるのでしょうか。
以下でそれぞれ具体的にご紹介します。
メリット
花粉症のレーザー治療のメリットには以下のようなことがあります。
- 薬や点鼻ではあまり効果がない方に適している
- 副作用が出にくい
- 通院が少なくなる
- 鼻づまりが原因となる睡眠障害が改善される
- 鼻づまりによる口呼吸の解消
- スポーツをする際などに鼻づまりの解消
- 鼻声が治る
レーザー治療は、アレルギー性鼻炎や花粉症によるくしゃみ、鼻水などの症状に効果があります。
とくに鼻づまりに効果が高いです。
レーザー治療後に症状が強くなってきたら、再度レーザー治療することで症状が改善されます。
花粉症のレーザー治療は、個人差がありますが1~3年ほど持続します。
また、1回の治療でおよそ75%の方に効果があるといわれています。
デメリット
花粉症のレーザー治療のデメリットには以下のようなことがあります。
- 鼻中隔弯曲がひどい方はレーザー治療ができない
- 局所麻酔薬のキシロカインにアレルギーがある方は、レーザー治療ができない
- 麻酔のためのガーゼを入れるため、治療の約10分間じっと出来ない方は、レーザー治療ができない
花粉症のレーザー治療は、上記に該当する方は治療が難しいですが、レーザー治療は小学校高学年位からできます。
また、レーザー治療の刺激で鼻の粘膜が腫れて、くしゃみや鼻水が数日間続くことがあります。
花粉症のレーザー治療の種類
花粉症のレーザー治療には
- CO2レーザー治療
- 炭酸ガスレーザー治療
があります。
それぞれ具体的にご紹介いたします。
CO2レーザー治療
CO2レーザー治療の方法は
- ガーゼによる局所麻酔を行います。
- CO2レーザーで鼻粘膜の焼灼を行います。
- おおよそ麻酔が15分、CO2レーザー焼灼が5~10分程度となっています。
施術後は5分ほど安静にして、再度、鼻の中を観察し異常がないことを確認して治療は終了です。
CO2レーザー治療の施術後は、しばらく通院します。
CO2レーザー治療後は、施術当日の通院だけでは終わらないでの注意が必要です。
施術後、しばらく鼻の中にカサブタがつくため、カサブタを除去するために通院します。
最終的に鼻粘膜が落ち着く時期には個人差がありますが、だいたい施術後2ヶ月ほどで通院が終了することが多いです。
炭酸ガスレーザー治療
炭酸ガスレーザー治療の方法は
- 麻酔薬を浸したガーゼを鼻につめて10~15分待って麻酔を行います。
- 炭酸ガスレーザーを使用して鼻粘膜に照射します。
- 手術時間は片側5分~10分で、全工程を30分程度で終了します。
施術後は軽いやけどの状態となり、2、3日間は鼻汁が多めにでます。
また、施術後の翌日からは焼灼の反応で、一時的に鼻づまりの症状が強くなります。
CO2レーザー治療と同じく、鼻内にカサブタがつきます。
そのため、カサブタの除去のために通院する必要があります。
花粉症のレーザー治療Q&A
花粉症のレーザー治療Q&Aについてご紹介します。
ぜひ、ご参考にしてください。
治療は痛いですか?
麻酔液に浸したガーゼを鼻の奥に約20分ほど詰めて、麻酔をします。
そのため、レーザー治療自体にはあまり痛みはありません。
入院が必要ですか?
レーザー治療は入院せずに外来通院のみで可能です。
効果はどのくらい続きますか?
体質などにより個人差はありますが、1~2年程効果が継続します。
しかし、永遠に効果が持続するわけではありません。
治療後は普通の生活に戻れますか?
治療後はすぐに仕事をすることもできます。
鼻出血の心配はほとんどありませんが、施術当日は念のため入浴はせずシャワーのみとなっています。
治療を受けるタイミングは?
ダニ、ハウスダストなどの通年性アレルギー性や慢性鼻炎のレーザー治療は、基本的にいつでも治療可能です。
しかし、鼻炎の症状が出ているときにレーザー治療をすると、一時的に症状が悪化します。
そのため、鼻炎の治療をしてからレーザー治療をします。
スギ花粉症の場合は、症状が出ない秋~冬に治療を開始します。
治療に向いているのはどんな人ですか?
レーザー治療に向いてる方は
- 薬や点鼻ではあまり効果がない方
- 薬で眠気や口渇などの副作用が出る方
- あまり通院をしたくない方
- 鼻づまりが原因となる睡眠障害や口呼吸がある方
- 鼻声を治したい方
などが適しています。
妊娠中や授乳中でも受けられますか?
レーザー治療は、妊娠中や授乳中でも行えます。
何歳から受けられますか?
レーザー治療はとくに年齢制限はないため、子どもでも治療できます。
しかし、レーザー治療中は動いてしまうと危険なので、じっとしておく必要があります。
個人差はありますが、治療への理解などを考えて小学校5年生くらいから可能な子どもが多いです。
副作用はありますか?
レーザー治療の副作用は、寒い季節に起きやすい傾向にあります。
施術後1~2週間ほどは、鼻粘膜が腫れて鼻水が多くなりますが、一時的な炎症反応によるものです。
次第に症状は治まりますが、症状を抑える薬を処方することもあります。
治療後に花粉症の薬は必要ですか?
レーザー治療後でも、完全に花粉症の薬なしで花粉症を乗り切るのは難しいです。
しかし、軽い薬での服用で済む可能性があります。
健康保険は適応されますか?
レーザー治療は健康保険が適用されます。
治療にはどのくらいの費用がかかりますか?
レーザー治療の費用は、健康保険3割負担で両側約8,770円となっています。
あくまでレーザー治療のみの金額なので、薬の処方せん料、診察代は別途かかります。
レーザーに危険性はありますか?
レーザー治療は、とくに大きな問題となる合併症はありません。
しかし、レーザー治療後にできるカサブタが治療後1ヶ月ほど減少しないことがあります。
1回の治療で効果を得られますか?
1回の治療で鼻閉に対する有効率は約70~80%です。
治療は、基本的に1回で完了するようになっています。
花粉症に有効なほかの治療法
花粉症に有効な他の治療法には
- 薬物治療
- 舌下免疫療法
などがあります。
それぞれみていきましょう。
薬物治療
花粉症に効果的な薬は、時期と症状によって異なります。
初期療法では、主に抗ヒスタミン薬の飲み薬が使用されます。
かゆみや鼻水などの症状が重い場合は、ステロイド薬などの併用が検討されます。
毎年の症状の出方や治療の希望などをお医者さんに伝えて、自分にあった薬をみつけてもらいましょう。
舌下免疫療法
舌下免疫法は、アレルゲン免疫療法の1つです。
アレルギーの原因物質を少しずつ体内に入れることで、アレルギー反応を弱めていく治療です。
スギ花粉症とダニによるアレルギー症状を根本的に治せます。
しかし、治療期間が3~5年とかかるため、根気のいる治療といえます。
花粉症のセルフケア
花粉症のセルフケアについて
- 外に出かけるときのセルフケア
- 帰宅後のセルフケア
- 室内でのセルフケア
などがあります。
それぞれ具体的にご紹介します。
外に出かけるときのセルフケア
鼻の中と眼に入る花粉数は以下の表のとおりになっています。
鼻の中の花粉数(個) | 結膜の上の花粉数(個) | |
マスクなし、メガネなし | 1,848 | 791 |
通常のマスク、通常のメガネ装着者 | 537 | 460 |
花粉症用マスク、花粉症用メガネ装着者 | 304 | 280 |
出典:厚生労働省「花粉症の正しい知識と治療・セルフケア」
外出時にメガネ、マスク、帽子を装着することで、装着していないときと比較して花粉の数を半分以下に抑えられます。
花粉症用のものを装着すると、さらに花粉の数を減らせます。
しかし、花粉症用のものではなく、一般的なものでも花粉対策になります。
また、コンタクトレンズを使用している方は、花粉が目に入るとレンズと結膜の間ですれてしまいます。
そのため、花粉シーズンだけでもメガネを使用しましょう。
そのほか、マスクを使用するときは、湿らせたガーゼを入れて使用するのがおすすめです。
帰宅後のセルフケア
帰宅後は、手洗い、うがい、洗顔をするようにしましょう。
外出中に手や顔に花粉がついてしまいます。
そのため、手洗いやうがいをして花粉を落とすことが大切です。
しかし、洗眼するときは顔についた花粉が、鼻や目に入り症状が悪化するおそれがあるので、丁寧に洗顔をしましょう。
出典:厚生労働省「花粉症の正しい知識と治療・セルフケア」
室内でのセルフケア
室内でも花粉との接触を避けることが大切です。
花粉のシーズンでは窓を全開にして換気をすると、大量の花粉が家の中に入ってしまいます。
そのため、換気をするときは窓の開ける幅を小さくして、レースのカーテンをしましょう。
また、タバコを避けたり、規則正しい生活を送ったり、ストレスをためないことも花粉症対策になります。
出典:厚生労働省「花粉症の正しい知識と治療・セルフケア」
花粉症のレーザー治療まとめ
ここまで、花粉症のレーザー治療の情報を中心にお伝えしました。
要点を以下にまとめます。
- 花粉症のレーザー治療のメリットは副作用が出にくい、デメリットは鼻中隔弯曲がひどい方は治療できないなど
- 花粉症のレーザー治療の種類には、CO2レーザー治療、炭酸ガスレーザー治療がある
- 花粉症に有効なほかの治療法には、薬物療法、舌下免疫療法など
これらの情報が少しでも皆様のお役に立てば幸いです。
最後までお読みいただきありがとうございました。