「レカネマブは認知症に効果があるの?」「レカネマブの安全性やリスクが知りたい」
レカネマブについて調べている方の中には、このように考えている方も多いのではないでしょうか。
レカネマブは、2023年12月に発売され始めた新薬で、アルツハイマー病によって引き起こされる軽度の認知症において、治療の有効性が期待されています。
本記事では、レカネマブについて以下の点を中心に解説します。
- レカネマブの効能や副作用
- レカネマブの投与を希望するときの注意点
- 認知症の予防策
レカネマブや認知症についてご興味のある方はご参考いただけますと幸いです。
ぜひ最後までお読みください。
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レカネマブの詳細
※画像はイメージです
まず、レカネマブの詳細について、以下の4つのテーマに分けてご紹介します。
- 薬の効能
- 投与方法と期間
- 副作用
- 投与できない人
①薬の効能
レカネマブの詳細の1つ目は「薬の効能」です。
レカネマブは、アルツハイマー病の原因であるアミロイドβを脳内から除去する治療薬です。
アルツハイマー病によって引き起こされる軽度の認知症/認知機能障害の進行を遅らせる効果が期待できます。
臨床試験では、レカネマブの投与により、認知機能障害の悪化が18ヶ月で27.1%抑制されたことが報告されています。
ただし、あくまで病気の進行を遅らせるための治療薬であり、症状の改善や進行を止める効果はありません。
②投与方法と期間
2つ目は「投与方法と期間」です。
レカネマブの投与は、2週間に1回の点滴で、原則18ヶ月間まで投与できます。
また、投与前には、レカネマブの投与に適応しているかを確認するために、以下の検査を行います。
- 認知機能テスト
- 血液検査
- MRI検査
- アミロイドPET検査
検査では、アルツハイマー病による脳内のアミロイドβの蓄積や脳にむくみや出血がないかを確認します。
検査した結果、認知症や記憶障害の原因がアルツハイマー病ではない場合や脳内に出血などの異常があるときは、レカネマブの投与はできません。
レカネマブの投与が認められないときは、他の治療薬の投与や治療法を行うことになります。
③副作用
3つ目は「副作用」です。
レカネマブの副作用には、以下が挙げられます。
- アミロイド関連画像異常ARIA(アリア)
- 頭痛
- 発熱
- 寒気
- 吐き気
アミロイド関連画像異常ARIA(アリア)とは、MRI検査によって脳にむくみや一部出血が認められる状態のことを指します。
副作用でARIAが見られた患者の多くは無症状ですが、症状があらわれたケースでは、けいれんやてんかん、頭痛などが見られます。
そのため、レカネマブの投与後は、定期的にMRI検査を実施し、経過観察を行います。
また、レカネマブ投与の初期では、頭痛や発熱などの副作用があらわれる可能性もあるため、異変があればすぐに専門医へ相談しましょう。
④投与できない人
4つ目は「投与できない人」です。
以下の特徴を持つ人は、レカネマブの投与が禁止されています。
- レカネマブの成分に重篤な過敏症の既往歴がある人
- 投与前のMRI検査で脳にむくみや出血が認められた人
- 脳にアミロイドβの蓄積が確認できたが、認知機能障害などの症状がない人
- アルツハイマー病による認知症が中程度まで進行している人
レカネマブは、病気が軽度のときに効果とされる治療薬のため、中程度まで進行しているケースでは効果が期待できません。
また、妊婦や妊娠の可能性がある人、授乳中の人は、子どもへの影響を考慮して専門医との相談が必要です。
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レカネマブの投与を希望するときの注意点
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次に、レカネマブの投与を希望するときの注意点についてご紹介します。
- 専門機関による検査が必要
- 医療費が高額になる
- アルツハイマー型認知症にしか使用できない
①専門機関による検査が必要
レカネマブの投与を希望するときの注意点の1つ目は「専門機関による検査が必要であること」です。
レカネマブの投与前には、アルツハイマー病の患者であることや脳に出血などの異常がないことを調べるための精密な検査が必要です。
そのため、必要な機器が揃っていない病院では、検査を受けることが困難なケースもあります。
かかりつけ医がいる場合は、検査について相談すると良いでしょう。
また、かかりつけ医がいない場合は、お近くの脳神経内科を受診し、認知症についての診断を受けましょう。
②医療費が高額になる
2つ目は「医療費が高額になること」です。
レカネマブでの治療費は、体重50㎏の人の場合、年間290万円と高額です。
しかし、健康保険の高額療養費制度を利用することで、外来での年間の自己負担額を最大14万4,000円にまで引き下げることが可能とされています。
ただし、高額療養費制度での自己負担額は年齢や所得によって異なります。
高額療養費制度の適用を受けるためには、領収証書などの書類が必要になるため、詳細は加入している健康保険組合に確認してください。
③アルツハイマー型認知症にしか使用できない
3つ目は「アルツハイマー型認知症にしか使用できないこと」です。
先ほどもお伝えしましたが、レカネマブはアルツハイマー病の原因物質を取り除く治療薬です。
そのため、アルツハイマー病以外の原因による認知症には効果がなく、使用できません。
認知症は、以下の4つに大別されており、発症の原因はそれぞれ異なります。
- アルツハイマー型認知症(アミロイドβの蓄積が原因)
- 血管性認知症(脳卒中による血管のつまりなどが原因)
- レビー小体型認知症(レビー小体の蓄積が原因)
- 前頭側頭型認知症(原因はいまだ解明されていない)
レカネマブの投与対象になるかは、検査してみなければわからないため、投与を希望する場合は専門医に相談してみましょう。
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認知症を疑うときの受診の目安
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ここでは、認知症を疑うときの受診の目安をご紹介します。
認知症の症状には個人差があるものの、初期症状には以下の症状が見られます。
- 物忘れ
- 理解力や判断力の低下
- 怒りっぽくなる
自分ではこれらの変化に気づかなくても、家族が気づくケースもあります。
また、早期発見によって治療の効果が高まるとされ、病気の進行をゆるやかにできるなどのメリットがあります。
病状を悪化させないためにも、異変を感じたら早期検査が大切です。
下記では、認知症専門医についても解説していますので、こちらの記事も合わせてお読みください。
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認知症の予防策
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ここでは、認知症の予防策についてご紹介します。
- 適度に運動する
- 栄養のある食事を心がける
- 他者とコミュニケーションをとる
- 趣味を通して脳を活性化させる
- 過度な喫煙/飲酒は避ける
- 医療機関で定期検査を受ける
①適度に運動する
認知症の予防策の1つ目は「適度に運動すること」です。
運動の習慣がある人は、運動の習慣がない人よりも、認知症の発症リスクが38%低いという研究結果があり、
運動が認知機能の低下抑制にも効果が期待できることがわかっています。
認知症予防には、1日30分以上のウォーキングを週3回することをおすすめします。
また、ウォーキングが難しい場合は、筋力トレーニングでも脳の活性化が期待できます。
運動の習慣がない人は、まずは週1回から始め、少しずつ慣れていきましょう。
②栄養のある食事を心がける
2つ目は「栄養のある食事を心がけること」です。
アルツハイマー型認知症の原因となるアミロイドβは、以下の栄養素が不足すると、脳内に蓄積されやすくなります。
- 青魚に含まれるEPA(エイコサペンタエン酸)やDHA(ドコサヘキサエン酸)
- 緑黄色野菜に含まれる葉酸
- ウコンに含まれるファイトケミカル(抗酸化物質)
認知症の予防には、青魚や緑黄色野菜などを食事に取り入れる必要があります。
また、肥満によって動脈硬化のリスクが高まると、脳梗塞の発症リスクも高まります。
脳梗塞は認知症の原因になるため、塩分やコレステロールの摂り過ぎにも注意しましょう。
③他者とコミュニケーションをとる
3つ目は「他者とコミュニケーションをとること」です。
コミュニケーションは脳に良い刺激になる他、気持ちを安定させる効果も期待できるため、認知症予防になるといわれています。
他者とコミュニケーションをとることが少ない人は、サークルや自治会などの地域の活動に参加し、
社会的なつながりを持ちましょう。
また、家族に認知症の患者がいる場合は、患者の気持ちを落ち着かせるためにも、
以下のような対応が必要です。
- 患者の気持ちに共感する
- ペースを患者に合わせる
- 優しく声をかける
④趣味を通して脳を活性化させる
4つ目は「趣味を通して脳を活性化させること」です。
趣味を通じて新しい刺激を得ることで、脳の活性化が期待でき、認知症予防につながるといわれています。
特に、手先を使う作業や頭を使うゲームは脳の活性化に良いとされています。
認知症予防で趣味を始めるなら、以下の趣味がおすすめです。
- 囲碁や将棋
- 手芸
- 楽器の演奏
- 料理
- ボードゲーム
- ゲートボール
⑤過度な喫煙/飲酒は避ける
5つ目は「過度な喫煙/飲酒は避けること」です。
研究によると、過度な飲酒と喫煙が合わさることにより、認知症のリスクが高まることがわかっています。
また、喫煙は脳卒中やガンの発症などにつながり、飲酒はすい臓の機能障害や糖尿病のリスクを高めてしまいます。
様々な健康被害のリスクを抑えるためにも、喫煙や飲酒は避けましょう。
ニコチンやアルコールの依存が疑われる場合は、専門の医療機関に相談し、必要なサポートを受けましょう。
⑥医療機関で定期検査を受ける
6つ目は「医療機関で定期検査を受けること」です。
健康診断と同様に、認知症も定期検査が可能です。
認知症の定期検査には、MICスクリーニング検査と呼ばれるものがあり、採血によってアルツハイマー型認知症の予備軍である軽度認知障害(MIC)のリスクを調査できます。
また、軽度認知障害(MIC)から元の健常状態に戻る確率は14~44%といわれており、早期発見のためには、
定期的な検査が必要です。
自身の変化に気づけるよう、年1回は検査を受け、脳の健康を維持しましょう。
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家族が認知症患者になったときの相談先
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最後に、家族が認知症患者になったときの相談先をご紹介します。
- 地域包括支援センター
- 自治体の福祉課窓口
- 司法書士などの専門家
①地域包括支援センター
家族が認知症患者になったときの相談先の1つ目は「地域包括支援センター」です。
地域包括支援センターでは、高齢者やその家族から、健康や生活に関する相談を受け付けています。
また、医療/介護/福祉の専門家が相談内容に応じて、介護予防の支援や高齢者が住みやすくなるような
サポート、必要な機関との連携や働きかけなどを行います。
病気や介護に関することだけでなく、生活関連の相談もできるため、どこに相談すれば良いか悩むときは、
まずは地域包括支援センターに相談すると良いでしょう。
②自治体の福祉課窓口
2つ目は「自治体の福祉課窓口」です。
自治体の福祉課窓口では、介護保険の申請が可能です。
申請により、介護が必要であることが認定されると、施設の入所や介護サービスなどの費用負担を通常の1割程度に抑えられます。
そのため、認知症の症状が悪化して介護が必要となった場合や施設への入所を検討している場合は、
自治体の福祉課窓口に相談してみましょう。
③司法書士などの専門家
3つ目は「司法書士などの専門家」です。
認知症の治療費や介護費用などを、本人の預金から捻出したいと考える家族もいるでしょう。
しかし、重度の認知症によって、判断能力が低下しているケースでは、トラブル防止などの観点から
銀行の預金口座が凍結される恐れがあります。
口座凍結されると預金を引き出せなくなりますが、成年後見人制度を利用することで、
口座凍結を解除することが出来ます。
成年後見人制度の詳細については、司法書士や弁護士に相談してみると良いでしょう。
レカネマブのまとめ
ここまで、レカネマブについてご紹介してきました。
要点を以下にまとめます。
- レカネマブは、アルツハイマー型認知症の進行を遅らせる効果があるとされ、副作用にはアミロイド
関連画像異常ARIA(アリア)などが見られるため、投与後の経過観察が大切 - レカネマブの投与を希望する際は、事前の検査/医療費が高額になる/アルツハイマー型認知症にしか
使用できないなどの注意点を理解しておく - 認知症の予防には、運動や他者との関わりなど、脳への刺激が重要
これらの情報が少しでも皆さまのお役に立てば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。