「睡眠薬で聞くオレキシンとはどんな成分なのか?」
「オレキシン受容体拮抗薬の種類を知りたい」
現在、睡眠薬について調べている方の中には、このように考えている方も多いのではないでしょうか。
本記事では、睡眠薬のオレキシンについて以下の点を中心に詳しく解説します。
- オレキシンの特徴
- オレキシン受容体拮抗薬を正しく服用するためのポイント
- オレキシン受容体拮抗薬のメリット
睡眠薬のオレキシンにご興味のある方はご参考いただけますと幸いです。
ぜひ最後までお読みください。
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オレキシンの効果について
まずはオレキシンの効果について解説します。
オレキシンとは脳内の覚醒物質で通常昼間に分泌され、夜間に減少していく物質です。
不眠の場合はオレキシンが過剰に働き、覚醒状態が続いていると考えられます。
このオレキシンの働きを抑制する作用のある薬が、オレキシン受容体拮抗薬になります。
主に途中で何度も起きてしまう中途覚醒や、早朝に目が覚めてから二度寝ができなくなる早朝覚醒などの症状がある場合に処方されます。
なお、オレキシン受容体拮抗薬は医療用医薬品のため市販はされていません。
オレキシン受容体拮抗薬の副作用
続いて、オレキシンを抑制させる睡眠薬の副作用についてご紹介します。
オレキシン受容体拮抗薬を服用した場合に起こる副作用は、
傾眠や倦怠感、頭痛、悪夢を見る、金縛りなどがあり、場合によっては翌朝まで眠気が残る可能性もあります。
さらに肝臓や腎臓機能が影響を受けやすいため、肝機能障害があると代謝が遅れてしまい、
強く効きすぎてしまうおそれもあります。
そのため重度の肝機能障害を持っている人は、服用できない場合があります。
副作用が起こる可能性があることを知ったうえで、睡眠薬を服用しましょう。
オレキシン受容体拮抗薬が含まれる睡眠薬
次にオレキシン受容体拮抗薬が含まれる睡眠薬について、ご紹介します。
オレキシン受容体拮抗薬が含まれる睡眠薬は、デエビゴとベルソムラの2種類です。
どちらの薬もオレキシンの働きを抑制し、自然な眠気を誘発させる点が共通しています。
しかしデエビゴとベルソムラには、それぞれ以下のような違いがあります。
- 入眠障害にはデエビゴ、中途覚醒にはベルソムラ
- デエビゴの方が用法用量の調節が容易
- デエビゴは睡眠を誘発する作用が強い
- デエビゴの方が効果時間が長く、効き目が長い
- ベルソムラの方が肝腎機能への影響がやや少ない
中途覚醒の場合はベルソムラ、入眠障害や用法用量の調整をしたい場合はデエビゴが有利です。
注意するべき点は、どちらの薬も肝臓や腎臓に機能障害がある場合は、服用ができない可能性がある点です。
以下の記事では、デエビゴの効果や注意点について解説しています。
合わせてご覧ください。
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オレキシン受容体拮抗薬の睡眠薬を飲む時の注意点
続いて、オレキシン受容体拮抗薬の睡眠薬を飲む時の注意点を、3つご紹介します。
- アルコールで飲まない
- 服用するタイミングに気を付ける
- 自己判断しない
アルコールで飲まない
オレキシン受容体拮抗薬の睡眠薬を飲む時の注意点の1つ目は「アルコールで飲まないこと」です。
睡眠薬をアルコールで服用した場合は、効果が強く出すぎる可能性があります。
薬とアルコールを分解する肝臓の代謝に問題が起こり、酩酊状態になるほか、副作用が起こりやすい状態になります。
また、オレキシン受容体拮抗薬などの睡眠薬とアルコールを服用した場合、記憶障害が発生する可能性もあり、
服用後の記憶が全くないまま翌朝を迎える場合もあるでしょう。
健康と安全のためにアルコールで服用するのはもちろん、アルコールを摂取した直後に睡眠薬を服用するのはやめましょう。
服用するタイミングに気を付ける
2つ目は「服用するタイミングに気を付けること」です。
睡眠薬が効果を十分に発揮するためには、正しいタイミングで服用する必要があります。
特に食事中や食後すぐに服用すると、入眠効果の発現が遅れる可能性があります。
服用する際は食事から2時間以上空いている、かつ就寝の約30分前のタイミングで服用しましょう。
また、場合によっては寝るまでの間に健忘などの副作用が出る場合もあるため、眠る準備を整えてから服用し、服用後はすぐに布団へ入りましょう。
自己判断しない
3つ目は「自己判断しないこと」です。
睡眠薬を服用している時に、効果が薄くなってきたから勝手に量を増やす、
眠れるようになってきたから服用を自己判断でやめるなどは、避けましょう。
自己判断で服用する量を変えてしまうと、副作用や離脱症状が現れる可能性が高まります。
勝手に服用をやめた場合は、服用前よりも強い不眠になる場合もあります。
また、他の人に服用している睡眠薬を渡す、もらうといったことも厳禁です。
不眠の症状は人によって異なるため、自分に合っていない薬によって副作用の発生や不眠の悪化などの可能性もあります。
適切に睡眠薬を使うためにも、自己判断でタイミングを変えず、用法用量を守り、
また他人には睡眠薬を渡さないようにしましょう。
睡眠薬の副作用については、以下の記事で詳しく解説しています。
合わせて参考にしてください。
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オレキシン受容体拮抗薬のメリット
次に、オレキシン受容体拮抗薬のメリットについて、以下の3つをご紹介します。
- 自然な眠気
- 耐性や依存性が少ない
- 中途覚醒や熟眠障害に効果がある
自然な眠気
オレキシン受容体拮抗薬のメリットの1つ目は「自然な眠気が起こること」です。
睡眠薬には、自然な眠気を強める睡眠薬と脳の機能を低下させる睡眠薬の2種類があり、
自然な眠気を強める睡眠薬の1つが、オレキシン受容体拮抗薬です。
自然な眠気の効果によって、不眠になる前と同じようなサイクルで眠れるほか、強引に眠ることがありません。
反対に脳の機能を低下させる睡眠薬は、睡眠作用と筋弛緩作用、抗不安作用が含まれる脳をリラックスさせる効果があります。
この場合睡眠への効果は得られますが、睡眠の質が落ちる可能性があるため、熟睡感を得られなくなる場合があります。
普段の生活と変わらずに睡眠をとりたい人、睡眠薬に不安がある人にとっては、自然な眠気を得られるのはメリットとなるでしょう。
耐性や依存性が少ない
2つ目は「耐性や依存性が少ないこと」です。
オレキシン受容体拮抗薬は、それまでの睡眠薬とは作用機序が異なるため、従来よりも耐性や依存性が少なくなっています。
従来の睡眠薬の種類により最初はよく効くが、徐々に身体が慣れてしまい耐性ができる場合があります。
耐性ができてしまうと薬の量を増やすことになり、睡眠薬に依存するサイクルが形成されます。
やめようとしても離脱症状が生じ、薬がないと不安で眠れない状況に陥る可能性もあるでしょう。
しかし、オレキシン受容体拮抗薬は耐性が少ないほか、離脱症状が発生するリスクも抑えられます。
安心して使い続けられる点が、オレキシン受容体拮抗薬のメリットです。
中途覚醒や熟眠障害に効果がある
3つ目は「中途覚醒や熟眠障害に効果があること」です。
オレキシン受容体拮抗薬の睡眠薬には、デエビゴとベルソムラの2種類があります。
どちらも作用時間が20〜24時間、効果ピークは1〜3時間の中間型に分類される睡眠薬です。
中間型の睡眠薬は、途中で起きてしまう中途覚醒のほか、睡眠時間は確保しているがよく眠れた気がしない
熟眠障害にも効果が期待できます。
しかし効果がゆるやかに継続するため、翌朝に眠気やふらつきなどの副作用が発生する場合があります。
途中で起きてしまう、よく眠れた気がしないといった点で悩んでいる方には、オレキシン受容体拮抗薬が合うかもしれません。
不眠症の原因について
続いて、不眠症の原因について、以下の4つをご紹介します。
- 精神的なストレス
- 生活習慣
- 病気
- 服用している薬やアルコール
精神的なストレス
不眠症の原因の1つ目は「精神的なストレス」です。
日々の人間関係や仕事に関する悩みなどはもちろん、引っ越しなどの環境の変化による心理的な影響も、不眠に影響してきます。
特に生真面目な性格で繊細、物事に対して敏感に反応する方は、ストレスによる不眠になりやすいとされています。
少しでも快適に眠るためには、精神的なストレスとなることを寝る前に思い出さない、想起させるような行動を取らないことが大切です。
またストレスを減らすためには、寝る前に瞑想や読書など、落ち着いて過ごせる時間を取り入れてみましょう。
生活習慣
2つ目は「生活習慣」です。
仕事の疲れを癒すために休日は昼まで寝ている、寝る前のスマホやテレビがやめられない、
夜勤の仕事をしていて生活が不規則といった方は、不眠症となる可能性があります。
起床時間が統一されていないと、朝日を浴びて体内時計をリセットする時間もズレてしまい、眠気が起こる時間も後ろへとズレていきます。
遅い時間に太陽を浴びれば、その分夜型の生活へとシフトしていくため、徐々に眠れなくなってしまうことがあります。
また、寝る前には刺激の強いスマホやテレビは興奮状態となり、質の良い睡眠がとれなくなります。
寝る前には一度スマホを見るのはやめて、ゆったりと過ごせる時間を取り入れましょう。
病気
3つ目は「病気」です。
身体や精神的な病気の影響によって、うまく眠れなくなる人もいます。
例えば糖尿病や呼吸器疾患、皮膚病によるかゆみ、うつ病などです。
また更年期のホルモンバランスの変化など、身体のあらゆる変化や不調が不眠につながります。
病気が原因の場合は根本となる症状の治療によって、睡眠に関する悩みが改善される可能性が高いため、
病気の治療に専念しつつ、医師へ睡眠に関する不安なども相談しましょう。
服用している薬やアルコール
4つ目は「服用している薬やアルコールによる影響」です。
病気を治療している場合、服用している薬が不眠に影響する可能性があります。
主に降圧剤や甲状腺製剤、抗がん剤などです。
また、アルコールやタバコ、カフェインの含まれた飲料の摂取なども不眠につながります。
いずれも摂取すると興奮や覚醒状態となり、安眠を妨げる原因になります。
薬による不眠の場合、まずは医師へ薬を変更できないか相談してみましょう。
次の記事では、自律神経失調症による不眠について解説しています。
合わせてご覧ください。
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不眠症の治療について
最後に、不眠症の治療方法についてご紹介します。
- 薬物治療
- 非薬物治療
薬物治療
不眠症の治療方法の1つ目は「薬物治療」です。
薬物療法は、オレキシン受容体拮抗薬などの睡眠薬を服用して、不眠症を改善させる治療方法です。
睡眠薬の力を借りて夜の間に自然に眠れる状態に戻れるよう、治療していきます。
薬物治療で大切なのは、薬を飲んでいるから大丈夫と過信せず、用法用量を守った服用を続けること、
あくまで補助的な役割であると忘れないことです。
また健忘やふらつき、翌日以降に残る眠気などの副作用が発生する場合もあるため、
睡眠薬の効果とリスクを知ったうえで、服用しましょう。
非薬物治療
2つ目は「非薬物治療」です。
睡眠薬の力を借りずに、生活習慣の見直しによって、不眠を改善に導く方法です。
睡眠薬を服用している場合でも、非薬物治療で行う生活習慣の改善は重要となります。
以下のような生活習慣の見直しや、取り組みをしましょう。
- 定期的な運動
- 栄養バランスの整った食事
- 起床時間の統一
- 就寝環境の整備
- ストレスの管理や発散
日中の過ごし方によって、その日の睡眠の質も変化します。
まずは、1日10分でも散歩する、夕食を就寝時間の2〜3時間前にする、寝室の温度を快適に過ごせるように保つなどを取り入れてみましょう。
睡眠薬オレキシンについてのまとめ
ここまで睡眠薬のオレキシンについてご紹介してきました。
要点を以下にまとめます。
- オレキシンは脳内の覚醒物質で、昼に分泌されて夜に減少していく
- オレキシン受容体拮抗薬を正しく服用するためには、自己判断をせず、就寝の直前に飲むよう心がける
- オレキシン受容体拮抗薬は、耐性や依存性が少なく自然な眠気を誘発する
これらの情報が少しでも皆さまのお役に立てば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。