認知症には早期発見が非常に重要です。
しかし自分の身近な人に認知症の症状がみられた際、どのように病院へ連れていけば良いのか分からない人もいるでしょう。
今回は認知症の方を病院へ連れて行く方法をご紹介した上で、認知症検査の種類や費用についてもご紹介します。
- 認知症の方を病院へ連れて行く方法
- 認知症の方の受信拒否について
- 認知症検査の種類や費用
- 診察に必要なもの
この記事をご覧いただき、身近な人に認知症の症状がみられた際の参考にしてください。
ぜひ最後までお読みください。
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認知症患者は何科を受診するべきか
認知症が疑われたとき、何科を受診するべきか悩む方は少なくないでしょう。
認知症が疑われたときに受診できる科は1つではなく、いくつかの選択肢があります。
受診できる科は、
- 脳神経内科・外科
- 物忘れ外来
- 精神科
- 老年病科
などです。
「認知症」と一括りにされますが、認知症の種類や原因、症状などによって治療法や日常生活の注意点などが違います。
正しい診断と適切な治療を行わなければ、余計に症状を悪化させる可能性もあります。
そのため、最初は認知症が疑われる方のかかりつけ医に相談し、アドバイスをもらうことをおすすめします。
かかりつけ医に相談をし、認知症の疑いがあるとされれば、より専門的な検査が受けられる病院を紹介してもらえるでしょう。
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認知症の方の病院の受診拒否について
家族が「もしかして認知症かも」と感じても、本人が病院の受診を拒否することがあります。
病院の受診を拒否されてしまうと家族が困るだけではなく、認知症の症状が進行する危険性があります。
ですが、認知症の疑いがある方が病院の受診を拒否するのには理由があります。
認知症は物忘れから始まり、新しいことを覚えるのが困難になります。
そこで家族は、「何で覚えていないの?」「さっき言ったばかりなのに」と叱ったり、責めたりするかもしれません。
しかし、本人は忘れた自覚がなく、自分がなぜ怒られているのかが分かりません。
なので、どんなに家族から「おかしい」と言われても、「自分はおかしくない」「ボケていない」と思うのです。
その結果、自分が馬鹿にされていると思い込み、自分を守るかのように病院への受診を拒否するのです。
なので、病院の受診拒否そのものが、認知症の症状の1つであると言っても過言ではありません。
たとえ本人が「自分はおかしくない」と思っていたとしても、心の底では不安を感じています。
「自分はおかしくない」と思う反面、「本当に認知症だったらどうしよう」という気持ちがあります。
本人なりに様々な葛藤があるからこそ、病院の受診を素直に受け入れることができないのです。
認知症は早期受診がおすすめ
受診を拒否されても、そのままにせずできるだけ早期に受診する方が良いでしょう。
なぜなら、認知症は進行する病気といわれているからです。
- 幻覚・妄想
- 暴言・暴力
- 徘徊
などの精神・行動症状は、周囲の人が適切に対応しないと悪化する危険性があります。
適切な対応や、薬によるコントロールなどが症状の進行に役立ちます。
そのため、早期に受診して専門的な治療に結び付けるようにしましょう。
認知症患者の病院の連れて行き方
では、病院の受診を拒否された場合、一体どのような方法で病院へ連れて行けば良いのでしょうか。
まず、無理やり連れて行こうとするのは絶対に厳禁です。
また、怒ったり、「おかしい」「ボケている」などと傷付けるような言葉を発するのも避ける必要があります。
病院の受診を拒否されることは家族にとって非常にストレスとなり、腹が立つ気持ちも分かります。
しかし、力ずくで無理やり連れて行こうとするのは逆効果であり、余計に本人の不安を煽ることになります。
認知症の疑いがある方を病院に連れて行く際は、伝え方が非常に重要です。
「認知症かもしれないから」とストレートに伝えるのではなく、「今は大丈夫だけど念のために」というニュアンスで誘うと良いでしょう。
たとえば、「念のために健康診断を受けてみない?」「高齢になると受ける人が多いみたいだよ」などと、健康診断を理由にして誘うのも1つの方法です。
本人は不安や恐怖心などを抱いているので、そういった気持ちを刺激しないことが大事です。
認知症の方に限らず、「おかしい」と言われたら良い気持ちにはなりませんし、言い返したくもなるはずです。
本人の話をしっかり聞き意見を尊重しつつ、伝え方に注意しながら病院へ受診することを促しましょう。
認知症検査の種類や費用について
認知症の検査には種類があり、それぞれ費用にも違いがあります。
ここからは、認知症検査の種類や費用をご紹介します。
長谷川式認知症簡易評価スケール
長谷川式認知症簡易評価スケールは、精神科医の長谷川和夫先生によって開発されたものです。
見当識や注意力、計算力などが正常に機能しているかを合計9個の設問の回答内容を元に採点します。
30点満点中20点以下だった場合は、認知症の疑いがあります。
質問内容には、「お歳はいくつですか?」「今日は何年の何月何日ですか?また何曜日ですか?」などがあります。
長谷川式認知症簡易評価スケールは、「物忘れ外来」や「認知症専門外来」などの医療機関で受けることができます。
健康保険が適用されるので、3割負担は240円、2割負担は160円、1割負担は80円と比較的安い金額で検査を受けることができます。
ミニメンタルステート検査
ミニメンタルステート検査は、認知症が疑われる方に行う認知機能低下を調べるための神経心理検査です。
検査は11項目で構成されており、所要時間は10〜15分程度です。
質問者から出される問題に1つずつ答えていきますが、制限時間は1問10秒です。
10秒以内に答えることができなければ、次の質問に移ります。
30点満点で評価し、24〜27点の場合は「軽度認知障害疑い」、23点以下の場合は「認知症疑い」となります。
質問内容には、時間や場所に関する見当識についてや、聴覚言語記銘などがあります。
ミニメンタルステート検査は医療機関で行うものなので、実施を希望する方はかかりつけ医に相談しましょう。
長谷川式認知症簡易評価スケールと同様に健康保険が適用されるので、3割負担は240円、2割負担は160円、1割負担は80円で受けることができます。
ウェクスラー記憶検査
ウェクスラー記憶検査とは、国際的に使用されている記憶検査です。
言語と図形を使った問題で構成されており、13個の検査項目で記憶力や集中力、注意力などを評価することができます。
所要時間は45分~60分程です。
ウェクスラー記憶検査は医療機関で検査ができるので、希望者はかかりつけ医や物忘れ外来などに相談しましょう。
画像検査
認知症の画像検査は、大きく分けて「形態画像検査」と「機能画像検査」の2種類があります。
形態画像検査ではMRI検査やCT検査があり、脳の萎縮や脳梗塞・脳出血など脳内の病変の有無を調べるものです。
機能画像検査では、脳内の血流の流れや代謝を測定するPET検査やSPECT検査があります。
画像検査をすることにより、認知症のタイプや症状がどのくらい進行しているのかを調べることができます。
画像検査はご紹介した他の検査と比較すると高額になるため、経済的負担がかかることは把握しておきましょう。
認知症の診察時に家族が用意しておいた方が良いもの
病院で診察を受ける際は医師に日頃の様子を伝えたり、具体的なことを医師から質問されるでしょう。
そのときすぐに応えられるよう、あらかじめ伝えるべきことをまとめておく必要があります。
診察時に家族が医師に伝えるべきことは以下です。
- どのような症状が気になり、いつから気になる症状がみられるようになったか
- 事故や病気など、症状がみられるようなきっかけがあったか
- 現在飲んでいる薬があるか、ある場合はいつから飲んでいるか
- 今までにかかったことのある病気、または現在治療中の病気があるか(あれば詳しい情報を伝える)
- 気になる症状が現れてから悪化した様子があるか
他には、気になることや悩んでいることがあれば伝え、疑問に思っている事柄はスッキリさせましょう。
認知症と診断されたら
家族が認知症と診断された場合、今後の動きを考える必要があります。
まず、医師としっかり話をし、それでも認知症の診断結果に納得がいかない場合は、セカンドオピニオンを考えましょう。
その場合はきちんと病院を調べ、認知症を専門としている病院を選ぶことをおすすめします。
また、介護サービスの情報を家族で共有することも1つの方法です。
認知症は、介護認定が下りれば様々な介護サービスを受けることができます。
家族だけで介護をするのが困難だと思うのであれば、早めに介護サービスの情報を得ることが大切です。
認知症と診断された後は、今後のことをしっかり家族で話し合いましょう。
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認知症と診断されたときの告知方法
もし認知症と診断されたとき、本人にはどのように告知したら良いでしょうか。
告知によって
- 深刻に受け止め悩む
- 前向きに今後の対策を考える
など、人によって感じ方はさまざまです。
そのため、
- 「忘れてしまうのは、認知症ではなくよくある物忘れですよ。」(前者の場合)
- 「あなたは認知症です。認知症は治りませんが、適切な治療で進行を遅らせられます。」(後者の場合)
など、相手によって告知方法もさまざまといえます。
ショックを与えないためには告知しない方が良いこともあります。
告知する場合も、一緒に治療方針を考えるなど、前向きに事が運ぶようすすめることが大切です。
したがって、本人に合わせてケースバイケースで対応していくのが良いでしょう。
病前の性格や生活歴などから、総合的に判断するべきです。
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認知症の病院に連れて行き方のまとめ
今回は、認知症の方を病院に連れて行く方法についてご紹介しました。
認知症の方を病院に連れて行く方法についての要点を以下にまとめます。
- 認知症が疑われたときに受診できる科は、「神経内科」や「精神科」などいくつかある
- 病院の受診を拒否することそのものが認知症の症状の1つである
- 認知症の疑いがある方が病院の受診を拒否した場合は、健康診断を理由にするなど誘い方に注意が必要
- 認知症の検査には、「長谷川式認知症簡易評価スケール」や「画像検査」などがある
- 診察時には医師に正確な情報を伝えられるよう、事前に伝えるべきことをまとめておく
これらの情報が少しでも皆さまのお役に立てれば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。