レビー小体型認知症には「幻視」と呼ばれる症状が出ます。
このレビー小体型認知症は、すべての認知症の約20%といわれています。
決して知名度の高い病気ではなく、症状が出ても認知症と認識されにくいです。
ここではレビー小体型認知症の特徴的な症状である幻視についてご説明します。
- レビー小体型認知症とは
- レビー小体型認知症の特徴的な症状である幻視
- 幻視が起きた場合には周囲の人はどう対応すべきか
- レビー小体型認知症が早めにわかる方法はあるか
ぜひ最後までお読みください。
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レビー小体型認知症とは
レビー小体型認知症は、アルツハイマー型認知症についで二番目に多い認知症です。
血管性認知症とともに「三大認知症」といわれています。
主に65歳以上の男性の高齢者に多くみられます。
現時点では根本的な治療効果がある治療法はありません。
早期に発見し、各症状に対する投薬治療やリハビリを行うことが主な治療です。
なお、レビー小体型認知症の進行は他の認知症より比較的早い傾向があります。
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レビー小体型認知症の特徴的な症状である幻視
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幻覚とは対象がないにも関わらず、はっきりとした感覚が存在するということです。
幻覚には幻視や幻聴、幻触、体感幻覚などがあります。
レビー小体型認知症の約8割の人に幻視がみられます。
症状
幻視とは、実際には存在しないものがはっきりと見えてしまう症状です。
猫が部屋の中にいる、知らない人が部屋を覗いている、辺り一面が花畑であるなどです。
見えるものはその人によって様々ですが動物や人、子供であることが多いようです。
レビー小体型認知症は記憶障害が軽いため、幻視の内容を数日後にも正確に話すことができます。
原因
レビー小体型認知症は「レビー小体」という物質が神経細胞にたまることで発症します。
レビー小体がたまると情報を処理する脳の伝達神経細胞が徐々に少なくなります。
伝達神経細胞が減ってしまう理由は分かっておらず、後頭葉の機能低下により幻視が発生します。
三大認知症の一つとされているレビー小体型認知症。発症すれば幻視や妄想をともなう可能性のあるレビー小体型認知症ですが、どのような対策や予防があるのでしょうか?今回は、レビー小体型認知症について以下の点を中心にご紹介します。[…]
レビー小体型認知症の幻視症状に対しての対処法
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幻視はご家族や周囲の方々にとっては驚くような症状ですが、冷静に対応するようにしましょう。
患者さまへの理解を深め、介助者は下記のような点を心がけましょう。
強く否定しない
本人には、実在しないものだと思えないほど極めてはっきり見えています。
そのため、幻視や幻聴の内容を否定する発言は控えた方が良いです。
本人が混乱し興奮が高まると幻視の症状が悪化することも考えられます。
病気による症状だと周囲の方々が理解をし、不安感が強い時は寄り添うことをおすすめします。
気分転換する
幻視や幻聴を起こすとご本人は恐怖や不安に襲われます。
公園などへ散歩に連れ出したり、明るい居間で温かい飲み物を勧めるといった気分転換をしましょう。
部屋を明るくする
幻視や幻聴は、室内の環境と関係することが多いものです。
部屋を明るくしたり、見間違えるようなものは片付けたり住環境を整えて下さい。
身の回りの安全を確保する
レビー小体型認知症から起きる幻視や見間違いは、非常にリアリティがあるといわれます。
家具の影などから人や小動物が見えることが多く、そこから妄想に繋がります。
パニックを起こし刃物を持ち出したり、家を飛び出すなどの行動にでるかもしれません。
ご本人や周囲の方々に危害が及ぶようなものを目のつく場所に置かないように注意します。
レビー小体型認知症以外で幻視を引き起こす病気の種類
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ここでは幻視が起こる病気の種類について解説します。
パーキンソン病
パーキンソン病は病歴が長く、投薬治療を続けている場合に幻視が起きることがあります。
一定の薬をパーキンソン病の患者さまが服用した場合に発症します。
また、幻視は夕方以降の暗くなった際に起きやすく、幻聴を起こす人はごく少数です。
うつ病
うつ病では、薬の副作用の一つとして幻覚が起きる可能性があります。
統合失調症
統合失調症では抑うつや無気力などの症状と合わせて幻覚や妄想の症状が出ます。
統合失調症の原因は、神経伝達物質の分泌がうまく調整できないことが理由とされています。
レビー小体型認知症の前兆症状
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レビー小体型認知症は、物忘れや見当識障害の症状がでる前に前兆症状があります。
しかし、一般的な認知症に関する症状と思われないため周囲の人は混乱します。
レム睡眠行動障害
眠りが浅くなるレム睡眠時に、大声をあげたり暴れるなどの異常行動が見られます。
無理に起こすと夢と現実がわからなくなり、暴れるなどの危険性があります。
症状が出たら外に出て行ったりしないように見守り、症状が落ち着くのを待ちます。
嗅覚障害
匂いのないところで「何かが臭う」という症状を幻臭といいます。
また、他の認知症においても嗅覚が低下するという前兆症状があるといわれています。
嗅内皮質と呼ばれる嗅覚をつかさどる部分に、異常なタンパク質が溜まる事で障害がでます。
嗅内皮質は、記憶をつかさどる海馬のすぐ近くにあります。
そのため、物忘れなどの症状の前に嗅覚に障害が出ると考えられています。
レビー小体型認知症の幻視についてのまとめ
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ここまでレビー小体型認知症の原因や中核症状である幻視についてお伝えしてきました。
レビー小体型認知症の理解を深めることが、早期発見への第一歩となります。
下記が本記事のまとめです。
- レビー小体型認知症は、幻視やパーキンソン症状などの症状があり比較的進行が早い
- 幻視は、実際にはないものがはっきりと見える症状である
- 幻視の対処法は、本人の発言や行動を否定せず気分転換させるなど冷静に対応する
- レビー小体型認知症は、前兆症状として睡眠時の異常行動や嗅覚障害がでることがある。
これらの内容が少しでも皆さまのお役に立てば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。