レビー小体型認知症はアルツハイマー型認知症、血管性認知症と合わせて3大認知症の一つです。
認知症の治療薬には、症状の進行を抑制する効果があります。
レビー小体型認知症に効果的なアリセプトという薬をご存知ですか?
本記事では、レビー小体型認知症とアリセプトについて以下の点を中心に紹介します。
- レビー小体型認知症に効果的なアリセプトの特徴
- レビー小体型認知症に対するアリセプトの効果
- レビー小体型認知症に効果的なアリセプトの副作用
- アリセプトの服用に注意が必要な人
アリセプトへの疑問を解消するためにも、参考にしていただけると幸いです。
是非最後までご覧ください。
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レビー小体型認知症とは
レビー小体型認知症は、高齢者の認知症全体の約4.3%を占めています。
アルツハイマー型認知症は女性に多く発症しますが、レビー小体型認知症の場合、男性の方が約2倍多いです。
レビー小体型認知症の特徴的な症状として幻視、睡眠時の大声の寝言、パーキンソン症状などが見られます。
レビー小体型認知症の認知機能には波があり、調子の良いときは全く問題がないように見えるため注意が必要です。
初期段階では認知機能の低下が目立たない場合もあります。
そのため、うつ病やアルツハイマー型認知症などと誤診される場合も多いです。
三大認知症の一つとされているレビー小体型認知症。発症すれば幻視や妄想をともなう可能性のあるレビー小体型認知症ですが、どのような対策や予防があるのでしょうか?今回は、レビー小体型認知症について以下の点を中心にご紹介します。[…]
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アリセプトとは
アリセプトは最も古くから認知症の治療薬として使用されています。
はじめは1999年に「軽度および中等度のアルツハイマー型認知症」に対する治療薬として承認されました。
その後2014年にレビー小体型認知症の治療薬としても承認されました。
現在、認知症に対するアリセプトの処方頻度が約7割というデータも公表されています。
データが示すように、国内外で大きなシェアを占めている治療薬です。
アリセプトの特徴
アリセプトは、認知症の治療薬として効果を発揮しています。
一体どんな特徴があるのでしょうか。
ここでは、アリセプトの特徴をご紹介します。
レビー小体型認知症に適応がある
アリセプトは、レビー小体型認知症の認知症症状の進行を抑える薬として処方されます。
レビー小体型認知症に対する効能・効果を有する世界で初めての薬です。
また、2021年現在もレビー小体型認知症に対する治療薬として、日本で唯一承認されている薬です。
認知症症状の進行を抑制する
アリセプトには、レビー小体型認知症の認知症症状の進行を抑える効果が認められています。
一方で、精神症状、行動障害に対する有効性は確認されていません。
また、レビー小体型認知症自体の進行を止めることもできません。
アリセプトによってレビー小体型認知症が治る、病気の進行が完全に止まるということはないので注意してください。
アリセプトの効果
レビー小体型認知症になると、脳内伝達物質のアセチルコリンが減ってしまいます。
アリセプトの効果は、減少したアセチルコリンを増やすことです。
アリセプトの服用によって、認知機能の基盤である注意力・集中力の低下を防ぐことができます。
そのため、認知症症状の進行抑制に繋がります。
ですが、副作用が出る場合もありますので、服用後の状態を観察し、気になることがあれば医師に相談しましょう。
脳内伝達物質とは、脳内の神経細胞が情報をやり取りするための物質です。
脳内伝達物質には様々な種類があり、種類によって働きが異なります。
アセチルコリンは記憶や思考にかかわる脳内伝達物質です。
脳内で作られたアセチルコリンは、アセチルコリンエステラーゼによって分解されます。
アリセプトは、アセチルコリンエステラーゼの働きを阻害し、アセチルコリンの濃度を高めることで、神経伝達を助けます。
アリセプトの副作用
認知機能の低下を防ぐことができるアリセプトですが、副作用が出る可能性もあります。
ここでは、アリセプトの副作用について紹介します。
消化器症状
代表的な副作用は、胃潰瘍や嘔吐といった消化器症状です。
アリセプトの効果によってアセチルコリンが増加します。
その後、胃酸の増加や消化管運動の促進などが原因となって消化器症状を引き起こします。
以下が、副作用の種類と発生率です。
- 胃・十二指腸潰瘍、消化管出血、嚥下障害、便失禁(0.1%未満)
- 腹痛、便秘、流涎(0.1~1%未満)
- 食欲不振、嘔吐、下痢(1~3%未満)
- 十二指腸潰瘍穿孔(不明)
嚥下障害とは、食べ物をうまく飲み込むことができない状態です。
食べ物が気道に入ってしまうと、誤嚥性肺炎などにつながる危険性があります。
精神症状
アリセプトの服用に伴って様々な精神症状が出る場合もあります。
以下が、代表的な精神症状と発症率です。
- リビドー亢進、多弁、躁状態、錯乱(0.1%未満)
- 興奮、不穏、不眠、眠気、幻覚、攻撃性、無感情(0.1~1%未満)
- 悪夢(不明)
リビドー亢進とは性欲の過剰状態を示すものです。
薬の服用によって服用前よりも性欲が異常に増す場合のことを言います。
徐脈、不整脈
アセチルコリンの増加は心機能にも影響を与える可能性があります。
心機能に対する影響は生死にかかわる場合もあるので注意してください。
代表的な症状を以下にまとめます。
- 頻拍、心ブロック、失神(0.1~1%未満)
- 心室頻脈、心室細動、洞不全症候群、洞停止、高度徐脈(不明)
心ブロックという症状は聞きなじみが無いかもしれませんが、疲労やめまい、ふらつきなどを引き起こす可能性がある症状です。
また、心ブロックや洞不全症候群は不整脈を引き起こす原因として知られています。
生死にかかわる可能性もあるため、注意してください。
パーキンソニズム
アリセプトの服用により、脳内伝達物質のバランスが崩れることでパーキンソンニズム症状が出る場合もあります。
パーキンソンニズム症状とは、手の震えや筋緊張といった症状です。
筋緊張や歩行障害によって転倒する危険があり、日常生活の中で注意が必要になります。
アリセプトの種類
アリセプトには、患者の状態に合わせて様々な形状があります。
以下でそれぞれの特徴を紹介します。
口腔内崩壊錠
口の中に入れた途端に唾液で溶けて崩れるのが口腔内崩壊錠の特徴です。
口腔内崩壊錠が最も多く処方されています。
嚥下機能の弱っている人でも無理なく服用することができます。
また、普通の薬と同じように水での服用が可能です。
ゼリー剤
1口サイズのカップゼリーとなっている状態のアリセプトです。
アリセプトの用量が変わってもゼリーの量は変わりません。
ゼリー剤も嚥下機能の弱った人に向いています。
はちみつレモン風味となっているので、無理なく服用することができるでしょう。
ドライシロップ
粉末状態で処方されるのがドライシロップです。
粉末のままでも、水に溶かした状態でも好みに合わせて服用方法を選択できます。
薬を飲むのを嫌がる方におすすめです。
アリセプトの服用方法
ここまでアリセプトの効果や種類を紹介しました。
認知症の種類ごとに服用方法が異なることにも注意しましょう。
アルツハイマー型認知症
まず、1日1回3mgから開始し、5mgと増やし、上限10mgまで増量することができます。
開始時の1日1回3mgは、副作用の確認や体を慣れさせるために実施されます。
3mgの処方後に副作用が確認されなかった場合、1~2週間後に5mgの処方となることが一般的です。
認知症の進行度合いによって、10mgまで増やすことができます。
アリセプトの効果は食事のタイミングや有無には影響されません。
決まった時間であれば好きな時間に服用することができます。
レビー小体型認知症
アルツハイマー型認知症と同様に、開始時は1日3mgです。
副作用の有無を確認し、問題がなければ1日5mgに増量します。
1日5mgを4週間以上継続し、1日10mgに増量します。
しかし、症状や薬の作用の出方によって1日5mgに減量する場合もあります。
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アリセプトの費用
アリセプトはエーザイ株式会社によって製造販売されている治療薬です。
アリセプトの服用にかかる費用は用量や薬の形状によって様々です。
基本的には保険適用前の金額で月に約6,000円~18,000円となっています。
また、アリセプトにはジェネリック医薬品(後発医薬品)があります。
ジェネリック医薬品を選択した場合は自己負担額が少なくなります。
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アリセプトの服用に注意が必要な人
アリセプトを服用する際は、服用者の持病によって注意が必要な場合があります。
現在の症状や服用している薬について情報共有しながら相談することが大切です。
アリセプトの服用に注意が必要な方は、以下のような症状を持っている方です。
- 洞不全症候群、洞房ブロックなどの心疾患
- 胃潰瘍、十二指腸潰瘍などの既往歴
- 気管支喘息または閉塞性肺疾患
- パーキンソン病
場合によっては命にかかわる可能性もあるため、必ず医師に相談してください。
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レビー小体型認知症とアリセプトのまとめ
ここまでレビー小体型認知症とアリセプトについてお伝えしてきました。
要点を以下にまとめます。
- アリセプトは、日本で唯一レビー小体型認知症に適応がある
- アリセプトには、注意力・集中力の低下を防ぐ効果がある
- アリセプトの副作用には、消化器症状や精神症状が挙げられる
- 心疾患や消化性潰瘍の既往歴がある人は服用に注意する
これらの情報が少しでも皆さまのお役に立てば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。