子どもから高齢まで発症リスクのあるてんかん。
特に高齢者てんかんは認知度が低く、認知症を疑って受診する方が多いです。
では、高齢者てんかんと認知症の違いはどこにあるのでしょうか?
本記事では、高齢者てんかんと認知症について以下の点を中心に紹介します。
- 高齢者てんかんと認知症の違い
- 認知症患者のてんかん発症リスク
- 高齢者てんかんの特徴
- 高齢者てんかんの症状や治療
誤診を防ぐためにも、参考にしていただけると幸いです。
ぜひ最後までお読みください。
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高齢者てんかんとは
高齢者てんかんとは、65歳以上の高齢者になって発症したてんかんを指します。
高齢者のてんかんは、持病が複数あるため鑑別診断が困難です。
てんかんは、小児の病気と思われがちですが60歳を超えると発病率が増加します。
高齢者てんかんの多くは、原因が判明している「症候性てんかん」です。
「症候性てんかん」は全体の3分の2、原因不明である「特発性てんかん」は3分の1の割合です。
症候性てんかんのうち側頭葉の障害によるものが約7割を占めています。
他には、前頭葉の障害によるものが約1割程です。
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高齢者てんかんと認知症の違い
高齢者てんかんの発作は他の病気と間違えられるケースが多くあります。
ぼんやりしていて反応が悪く、短時間の記憶障害があると認知症と勘違いされることが多いです。
症状の違い
認知症は進行するにつれて、意識障害や記憶障害といった症状が継続的に現れます。
一方、高齢者てんかんは複数回の発作が起き、症状に波があります。
意識障害
高齢者てんかんは、認知症に比べて意識障害に良し悪しの波があります。
てんかんの場合は、おかしな行動を繰り返した場合にも比較的短時間で普通に戻ります。
認知症は進行性であるため初期をすぎると継続的に症状がみられます。
前兆
てんかんの前兆は、変な匂いや胃不快感、まぶしいといった感覚異常が起きることがあります。
認知症の前兆は、徐々に症状が進行するもので記憶障害といった初期症状があります。
異常行動
てんかんは、自動症という「体をゆする」「もぐもぐする」ような行動が一時的にあります。
認知症の種類によって、反復行動といった行動異常が頻繁にみられます。
記憶障害
てんかんは、記憶が部分的にない時があり数分間や短時間の記憶障害が起きます。
発作時に本人は記憶がなく周囲の状況がわかりませんが発作時以外で記憶障害は起きません。
認知症では、「食事をした」といった出来事そのものを忘れるような障害が継続的に起きます。
高齢者てんかんでは、過去の印象的な記憶から失われる遠隔記憶障害が起こります。
一方、認知症は昔の記憶は比較的残りますが、最近の出来事から忘れることが多いです。
原因の違い
てんかんと認知症が発生する理由は異なっています。
しかし、てんかんは認知症を原因として発生する可能性があるため関係性があります。
てんかんの発生理由は、脳卒中の後遺症、脳腫瘍、頭部外傷、認知症などです。
大脳の損傷部位で過剰な電気的興奮が起きることで、発作が繰り返されます。
脳血管性認知症は、脳卒中や事故、ケガで脳の損傷を負ったことが原因です。
また、アルツハイマー型認知症は脳細胞への病的なタンパク質の蓄積が原因です。
これらの原因により、脳の神経細胞が破壊・減少することで認知症がてんかんを引き起こす可能性が高くなります。
治療法の違い
高齢者てんかんは認知症と違い、治療をすれば日常生活を支障がなく送れる可能性が高いです。
診断がつきにくく発見が遅れると発作や意識障害により脳に障害を与えかねません。
高齢者てんかんと診断がつけば、薬物治療が約90%のてんかん患者に効果があります。
薬物治療の反応がよくない場合には、認知症を疑います。
認知症は、根本的な治療法がないため症状を緩和するケアが治療の中心です。
そして、薬物治療とリハビリといった非薬物療法を並行して行われます。
認知症患者のてんかん発症リスク
認知症の方で、過去に脳梗塞や脳出血の既往があるとてんかんの発作が起きやすくなります。
一見発作には、思えない症状があるため通常と様子が異なる場合に注意する必要があります
アルツハイマー型認知症
アルツハイマー型認知症は、てんかん発作が起きる確率が高いと言われています。
てんかん合併率は、約10〜20%といわれ認知症初期に発症します。
また、認知症とてんかんを合併していると認知機能の低下が早い傾向があります。
てんかんを合併している患者さまに対しては下記の点に注意しましょう。
- 30秒以上のけいれんが続く場合には救急車を呼びましょう。
- 食事後では誤嚥性肺炎を起こす場合がありますので、頭を横に向けます。
- けいれん発作は繰り返し起きますので発作後は外出を控え転倒などを防ぎます。
- けいれんがあった場合は医師に相談し抗てんかん剤を服用すると再発作が防げます。
レビー小体型認知症
レビー小体型認知症は、てんかんの発病率が約10%と言われています。
一方レビー小体型認知症では、発現率が認知症の進行に伴い上昇する傾向があります。
夜寝ている時の発作や前頭葉からの激しいてんかん発作が起きることがあります。
その場合、レビー小体型認知症のレム睡眠行動障害と誤診するリスクがあります。
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高齢者てんかんの特徴
高齢者てんかんは、てんかんの区分でいうとを占めます。
そのため、検査を行えば原因や脳の損傷箇所がわかる場合が多く治療が可能です。
症状
高齢者てんかんはぼんやりするなどの意識障害があり、多くはけいれんが見られません。
そのため、発作がおきていることに本人や周りが気づかないことがあります。
発作後もうろうとした状態が数時間から数日単位で続くことがあります。
また発作発生時のことは本人は覚えておらず短時間の記憶障害が起きています。
そして、自動症という「もぐもぐする、歩き回る、手を叩く」といった症状が起きます。
原因
高齢者てんかんの多くは、脳に何か障害が起きたり脳に傷ができた場合に発症します。
それらは脳卒中やアルツハイマー病などの神経変性疾患、頭部外傷といったものに起因します。
しかし、全体の2割から4割は原因が不明といわれています。
治療法
一般的なてんかんで使われる抗てんかん薬による薬物治療が行われます。
小児てんかんと比較しても高齢者てんかんは薬の効果が出やすい傾向があります。
また、少量で効果があるため長期間の服用が可能であり治療効果も落ちないといわれます。
高齢者てんかんの約7割から8割は、適切な抗てんかん薬の処方により効果がみられます。
しかし、高齢者では肝臓や腎臓の機能が低下していることが多いため薬の量を調整します。
肝機能や腎機能が低下していると抗てんかん薬の効果が強く出ることがあるためです。
また、薬の副作用としてアレルギー反応や神経系の抑制がみられる可能性があるからです。
共通する症状として眠気があり、ふらつきで高齢者の場合には転倒や骨折のリスクがあります。
高齢者の方には、長期間の服用による副作用を怖がる方々もいます。
自己の判断で服用を中断したりすることがあると効果を十分に発揮しません。
不安を感じた場合や体調に変化があれば医師に必ず相談することをおすすめします。
てんかんと認知症のまとめ
ここまで高齢者てんかんの認知症についてお伝えしてきました。
要点を以下にまとめます。
- 高齢者てんかんは、症状に波があり記憶障害は発作時のみ
- アルツハイマー型認知症はてんかんを合併しやすく、認知機能低下が早い
- 高齢者てんかんは脳卒中などを原因とし、記憶障害や自動症が不定期に起きる
- 高齢者てんかんは、薬物治療の効果が高い
これらの情報が少しでも皆さまのお役に立てば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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