夜中に「叫ぶ」「奇声を発する」などの理由で、介護施設の利用を断られることがあります。
認知症の方が叫ぶのには「理由」があり、それを解決できれば、症状を落ち着かせることが可能です。
本記事では、認知症の方が「叫ぶ」理由や、周囲がとるべき対応について解説します。
- 認知症の方が叫ぶ理由について
- 夜中に叫ぶ原因とは
- レム睡眠行動障害の症状や原因は
- 突然叫ぶとき、周囲はどのように対応すべき
ぜひ最後までお読みください。
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認知症の方が叫ぶ原因について
「叫ぶ」という行動は、認知症の周辺症状にあてはまります。
周辺症状は、中核症状と異なり、認知症当事者に必ずあらわれるものではありません。
周辺症状があらわれる場合、その人本来の性格や、置かれている環境に原因があるかもしれません。
そのため、叫ぶ原因を取り除けば、周辺症状の緩和や消失が期待できるでしょう。
「叫ぶ」という行動がみられる場合には、以下の3つの原因の可能性があります。
レム睡眠行動障害
レム睡眠行動障害は、睡眠中に、夢と同じ行動を現実でも取ってしまうことを言います。
たとえば、夢の中で叫ぶと、実際に現実でも叫んでしまうという状態です。
レム睡眠行動障害は、身体の抑制機構が障害を受けるため発生します。
一般的に、人間は睡眠中は脳から筋肉への指令が届きにくくなることで、身体が思うように動きません。
しかしレム睡眠行動障害では、睡眠中でも脳からの指令が通常どおり行われるため、寝ている間も体を自由に動かすことができます。
そのため、睡眠中でも、夢と同じように体が動いてしまいます。
レム睡眠行動障害は、基本的に自然治癒はできません。
しかし、投薬によって症状の緩和が見込めるといわれています。
不安感
認知症の方は、自分の考えや思いをうまく言葉にするのが苦手です。
うまく伝えられないもどかしさから、「叫ぶ」といった行動を起こすケースは多く見られます。
自身の認知症への不安を吐き出すために、叫ぶという行動に走ることもあるでしょう。
あるいは、なにか不愉快な思いをしてその抗議として、叫ぶことも考えられます。
たとえば、着替えを手伝うときにいきなり服を脱がされたことに怒り、その結果叫ぶという行動を取ったのかもしれません。
小さな子供扱いや、「どうせできない」と決めつけられると、プライドを傷つけられて、叫ぶこともあります。
このように、叫ぶという行動には、認知症当事者の「不安感」や「悲しみ」「怒り」などが隠れていることが多いです。
この場合は、「不安感」などを取り去れば、症状を落ち着かせることが可能です。
家族や介護者は、叫ぶという行動が、認知症当事者の感情の発露であることを、まず理解しておきましょう。
大声で叫んだからといって、無理やりやめさせたり、口をふさいだりしてはいけません。
「どうしたの?」などの優しい声掛けをおこない、本人が安心できる環境を整えましょう。
また、どんなに認知機能が低下していても、子供扱いしたり、モノ扱いしたりするのは、やめましょう。
介護中に体や衣服に触れるときは、前もって声をかけるなどの注意が必要です。
幻想・妄想
認知症の周辺症状には、「せん妄・妄想」や「幻視・幻覚」があります。
とくにレビー小体型認知症の場合は、幻視があらわれる傾向が強いといわれています。
たとえば「家族に財布を盗まれたと思い込む」「足元にヘビがいると思い込む」などの症状が、せん妄・幻視に当てはまります。
周囲にすればただの思い込みですが、本人にとっては現実に起きていることです。
妄想や幻覚に心から怯えたために、叫ぶという行動に走ることも少なくありません。
叫ぶ原因が、幻覚やせん妄にある場合、まずは本人の話を否定しないことが大切です。
否定されると本人は「どうして分かってくれないの!」「馬鹿にされている!」と思い、症状がさらに悪化することがあります。
「逆にこわかったね」「私が探してきてあげるね」と受け入れることで、気分が落ち着き、「叫ぶ」などの周辺症状がなくなることもあります。
また、レビー小体型認知症の幻覚やせん妄の緩和には、向精神薬などの投薬が有効といわれています。
また、認知症の周辺症状について知りたい方はこちらの記事も参照にしてみてください。
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認知症患者に大声で叫ばれた時の対応法について
突然大声で叫ばれたときには、以下のような方法で対応しましょう。
叫んでいる理由を知る
まずは叫ぶ理由を特定しましょう。
認知症の方が叫ぶ理由には、「レム睡眠行動障害」「不安感」「幻視・妄想」などがあります。
叫ぶタイミングがいつなのかがわかると、理由を特定しやすいです。
薬で対処する
あまりにも、叫ぶ症状がひどくなったら医師や看護師の方に相談し、必要に応じて薬での対応を検討します。
特にレビー小体型認知症や、幻視・妄想に原因がある場合、向精神薬などの薬が役に立つこともあります。
認知症の症状について
認知症の症状には、「中核症状」と「周辺症状(BPSD)」の2つがあります。
中核症状は、どんな認知症発症者にも、必ずあらわれる症状です。
ここでは、主な中核症状について紹介します。
記憶障害
認知症の代表的な症状ともいえるのが、「記憶障害」です。
記憶障害は、認知症の初期段階からあらわれます。
「老化による物忘れ」との大きな違いは、体験を丸ごと忘れる点です。
たとえば、単なる物忘れであれば、ついさっきの食事の内容を忘れます。
一方、認知症による記憶障害では、食事したこと自体を忘れてしまいます。
機能障害
機能障害には「失認」「失語」「失行」があります。
それぞれの特徴は以下のようになっています。
失認は、五感で感じているものの、それがなにかを正しく認識できない状態です。
一方、失語では言葉の認識ができません。
また、失行では体は動かせるものの、目的をもって動かすことができない状態です。
つまり、身体機能を動かすこと自体に問題はないものの目的をもって自由に動かせない状態が、機能障害にあてはまります。
機能障害の具体例は以下のようになっています
- 花を見ても「花」と認識できない
- 触れられていることはわかるが、具体的にどこを触れられているのか分からない
- 話しかけられている内容は理解できるが、言葉がうまく出てこない
- 相手の言葉が理解できない
- 手足は動くが、着替え方が分からない
行動実行障害
行動実行障害も、認知症の初期段階からあらわれやすい症状です。
行動実行障害では、目的を達成するために、段取りをつけて行動することができません。
たとえば料理をしようと思っても、なにから手を付ければよいのか、分からなくなってしまう状態です。
複数のことを同時におこなうのが難しいため、日常生活を送ることが著しく困難になります。
- 料理を作るための手順を忘れる
- 洗濯の仕方が分からない
認知症の症状について:認知症|こころの病気を知る|メンタルヘルス|厚生労働省
プラズマローゲンとは?サプリについても説明
プラズマローゲンとは、グリセロリン脂質の一種であり、細胞を構成する主要な成分です。
人間の全身のリン脂質の約18%がこのプラズマローゲンであるといわれており、特に脳に多く存在しプラズマローゲンは人間が存在する上でとても重要な成分と考えられています。
しかし、このプラズマローゲンはさまざまな要因で減少しやすい成分でもあります。
酸化ストレスや炎症、神経の変性、感染症や外傷など、さまざまなストレスにさらされることで、プラズマローゲンが減少していきます。
特に、脳の海馬や前頭葉には多くのプラズマローゲンが含まれており、成分の減少と認知症の進行度には関連性があるという報告もあります。
プラズマローゲンは現在、認知症対策のサプリメントとして販売されています。 1995年にアルツハイマー型認知症の患者の、脳のプラズマローゲンが減少していることが確認されました。
その後、2007年にはアルツハイマー型認知症患者の血清でもプラズマローゲンの減少が認められており、プラズマローゲンは認知症と関係があると考えられています。
また、アルツハイマー型認知症の発症には、アミロイドβたんぱくの沈着が関係しているといわれています。
プラズマローゲンは、アミロイドβたんぱくの沈着を抑える効果のほか、脳神経細胞のアポトーシス抑制の効果も見込めるため、プラズマローゲンを摂取することで認知症への対策が期待できます。
出典:認知症との関係|AdvancedMedicalCareInc.
認知症予防に使われるサプリについて知りたい方は、ぜひこちらの記事もお読みください。
認知症予防とは、脳の神経細胞の働きが低下し、認知機能の低下によって社会生活に支障を来さないよう、「認知症になるのを遅らせる」「認知症になっても進行を緩やかにする」という意味で、生活習慣病対策やサプリメントを用いるなどの予防策があります。[…]
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認知症の方が叫んでしまうことについてのまとめ
ここまで、「認知症」と「叫ぶ」行動の関係性についてお伝えしてきました。
- 認知症の方が叫ぶのは、「レム睡眠行動障害」「不安感」「幻視・妄想」などに原因がある
- 夜中に叫ぶ場合は、「レム睡眠行動障害」に原因がある可能性が高い
- レム睡眠行動障害は、「レビー小体型認知症」で併発しやすい
- 叫び行動がおさまらないときは、睡眠薬や向精神薬などを利用する
これらの情報が少しでも皆さまのお役に立てば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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