突然、認知症の方が異常なほどの食欲を見せることがあります。
過食は認知症の代表的な周辺症状であるため、食欲旺盛だと感じたときは、すこし注意が必要です。
本記事では、認知症による過食の症状と、対処方法について解説します。
- そもそも過食とは
- 認知症による過食の特徴・症状
- 認知症による過食が見られたときの対応
- 過食以外に注意すべき摂食障害とは
ぜひ本記事を最後までお読みください。
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過食とは
過食とは、大量にものを食べ続ける状態です。
食べても食べても満腹感や満足感を得られず、目につくものを手当たり次第に食べてしまいます。
過食の原因は、「ストレス」や「過度なダイエットの反動」など、さまざまです。
ときには、認知症が過食を引き起こすこともあります。
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プラズマローゲンとは?サプリについても説明
プラズマローゲンとは、グリセロリン脂質の一種であり、細胞を構成する主要な成分です。
人間の全身のリン脂質の約18%がこのプラズマローゲンであるといわれており、特に脳に多く存在しプラズマローゲンは人間が存在する上でとても重要な成分と考えられています。
しかし、このプラズマローゲンはさまざまな要因で減少しやすい成分でもあります。
酸化ストレスや炎症、神経の変性、感染症や外傷など、さまざまなストレスにさらされることで、プラズマローゲンが減少していきます。
特に、脳の海馬や前頭葉には多くのプラズマローゲンが含まれており、成分の減少と認知症の進行度には関連性があるという報告もあります。
プラズマローゲンは現在、認知症対策のサプリメントとして販売されています。 1995年にアルツハイマー型認知症の患者の、脳のプラズマローゲンが減少していることが確認されました。
その後、2007年にはアルツハイマー型認知症患者の血清でもプラズマローゲンの減少が認められており、プラズマローゲンは認知症と関係があると考えられています。
また、アルツハイマー型認知症の発症には、アミロイドβたんぱくの沈着が関係しているといわれています。
プラズマローゲンは、アミロイドβたんぱくの沈着を抑える効果のほか、脳神経細胞のアポトーシス抑制の効果も見込めるため、プラズマローゲンを摂取することで認知症への対策が期待できます。
出典:認知症との関係|AdvancedMedicalCareInc.
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認知症による過食症状
過食は、認知症の周辺症状に該当します。
周辺症状とは、本人の性格や、本人を取り巻く環境によって、副次的にあらわれる症状のことです。
そのため、認知症による過食は、認知症の方に必ずあらわれるわけではありません。
また、症状のあらわれ方や程度にも、個人差があります。
それでは、認知症による過食の特徴について、具体的にご説明していきます。
一過性の症状
多くの場合、認知症による過食は、一時的な症状だといわれています。
一時期には異常なほどの食欲を見せるものの、次第に食欲は落ち着き、やがて元に戻るのが一般的です。
ただし、過食の期間には個人差があります。
時には長い期間、過食症状があらわれる場合もありますので、注意深く見守りましょう。
異常な食欲
認知症を発症すると、食欲が異常なほど旺盛になります。
これは、認知機能の低下によって満腹中枢が刺激されにくくなるためです。
つまり認知症の方は、食べても満腹感を感じにくいのです。
たとえば、食事の直後に食べ物を要求するのは、認知症による過食の代表的な例です。
夜中に起きだして、冷蔵庫や戸棚の中の食べ物を食べ尽くしてしまうケースも見られます。
食事したことを忘れる
認知症の方が過食になりやすいのは、認知症による記憶力の低下も関係しています。
認知症による記憶障害は、「体験を丸ごと忘れる」のが特徴です。
認知症の方は、認知機能の低下により食事したこと自体を忘れてしまうことがあります。
食べても満腹感を感じにくいことから、「お腹いっぱいに感じない=まだ食べていない」と思い込み、食べ物を要求します。
認知症による過食の対処法
過食は、肥満や糖尿病といった疾患を引き起こします。
できる限り、予防・防止が求められます。
認知症による過食の症状がみられた場合、以下のような方法で対処することをおすすめします。
食器をすぐに片付けない
「食卓についていた」ことを強く印象付けるのは、過食防止の有効な手段です。
たとえば食後は、あえて、皿やコップを食卓に広げたままにしておきます。
食後に認知症の方が「お腹が空いた」といっても、「さっきお皿を空にしたでしょう」と説明できます。
認知症の方にとっても、実際に使用済みの食器類を目にすることで、「食事は済んだ」と納得しやすくなります。
あるいは、食後にお茶などを飲みながら、団らんするのも良い方法です。
「食卓についていた」という記憶が残りやすいため、過食が起こりにくくなります。
手の届く場所に食べ物を置かない
認知症による過食では、食べ物が目につくと、食べるのを我慢できない傾向があります。
そのため、認知症の方の手が届く場所や、目につきやすい場所には食べ物を置かないようにします。
たとえば、棚に鍵をかける方法が手っ取り早いです。
食べ物の保管には、中身の見えない容器を使うのも有効です。
しかし、食べ物をすべて遠ざけると、かえって状況が悪くなる場合もあります。
食べ物を諦めきれず、家中を荒らす可能性があるからです。
あるいは、食べ物を隠されていることに感づき、本人が逆上するケースもあります。
どうしても本人が食べ物探しを止めない場合は、あえて目につく場所に食べ物を置いておくことも1つの方法です。
食べ物は、小さなおにぎりや、低カロリーのお菓子などの軽食がおすすめです。
とりあえず食べ物が見つかれば、本人も安心し症状が落ち着くこともあります。
状況に応じて、臨機応変に対応してください。
軽食を渡す
なにか食べ物を探しているときは、軽食を渡してみて下さい。
小さなおにぎりや果物、あるいは温かい飲み物といったものがおすすめです。
認知症による過食は、「食事をもらえない」という不安感のあらわれとも言われています。
なにか食べ物を手にすることで、不安がやわらぎ、過食が落ち着くこともあります。
このとき、大切なのは、「望んだときにすぐ食べ物を口にできる」という安心感を与えることです。
たとえば、食後に食べ物を欲しがったとします。
「さっき食べたでしょう」と諫めても、本人は食事したことを覚えていません。
そのため「騙されている」「自分だけ食事をもらえない」と思い込み、かえって食べ物への執着が強くなる可能性があります。
反対に、「いま準備しているから、これでも食べてて」と軽食を渡されると、本人は「食事がない」ことを納得しやすくなります。
また、食べ物をすぐ手にできることは、大きな安心感につながります。
日ごろから軽食を準備しておき、食べ物を欲しがったときにすぐに渡せるようにしておくことをおすすめします。
摂取カロリーを考えて食事回数を増やす
1食を数回に分けて出すのも、有効な手段です。
たとえば朝食の量をあらかじめ減らしておき、朝食と昼食の間に、軽い食事を挟むとよいでしょう。
認知症の方は「空腹そのもの」を我慢できないのではなく、「食べたいという気持ち」を我慢するのが困難です。
少量ずつでもこまめに食べることで、「食べたい」という気持ちを常に満たすことができます。
あらかじめ1日に必要な総摂取カロリーや栄養を把握しておくと、1回あたりの食事量を適正にしやすくなります。
単純に食事の回数を増やすだけでは、かえって「食べすぎ」につながります。
かならず、1日の摂取カロリーを計算し、その中で食べる回数や量を調整してください。
本人の気をそらす
「食べること」から気をそらすのも、過食を防止するうえでは大切です。
とくに食後にゆっくり過ごしていると、食べ物に関心が向きやすいといわれています。
食事のあとは、食べ物から興味をそらすような工夫をしてみて下さい。
たとえば、軽いレクリエーションやゲームといったものが有効です。
あるいは、簡単な家事や作業をお願いすると、本人の達成感にもつながるのでよい気晴らしになります。
過食以外の認知症による摂食障害
認知症の方は、過食以外にも、さまざまな摂食障害を起こしやすくなります。
拒食・小食
過食と反対に、物をあまり食べなくなる障害です。
栄養状態の悪化・体力の低下につながるため、注意が必要です。
異食
本来は食べられないものを、食べてしまう障害です。
石鹸や洗剤などを口にすることもあるため、危険な物は遠ざけるようにします。
口唇傾向
唇に触れるものを条件反射でなめてしまう行動です。
異食と異なるのは、「食べられない」と認識すると口から吐き出す点です。
ただし、誤って危険物を口にするおそれもあるため、異食同様に注意して下さい。
誤嚥
飲み込んだものが誤って気管に入ってしまう障害です。
誤嚥は、脳と筋肉の連携に支障をきたすと起こりやすくなります。
つまり認知症患者には、発症リスクの高い障害といえます。
気管に入った食べ物が肺に到達すると、誤嚥性肺炎を起こすリスクがあります。
誤嚥性肺炎そのものは治療が可能ですが、繰り返すことで、命にかかわるリスクが高くなります。
実際に、誤嚥性肺炎は、認知症患者の死亡原因の上位に数えられます。
そのため、誤嚥は、とくに注意すべき摂食障害の1つです。
たとえば汁物にはとろみをつけたり、固形物はすりつぶしたりして、飲み込みやすい食事を心がけて下さい。
認知症による過食のまとめ
ここまで、認知症による過食について症状や対処法についてお伝えしてきました。
- 認知症による過食は、一過性であることが多い
- 認知症で過食になりやすいのは、満腹感を感じにくく食事をしたことを忘れてしまうから
- 過食症状には、「食べ物を隠す」「こまめに食べさせる」などの対応策がある
- 過食以外にも「誤嚥」「異食」「拒食」などに注意すべき
これらの情報が少しでも皆さまのお役に立てば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。