皆さまはレビー小体型認知症の方と接したことがあるでしょうか。
認知症には様々な症状があり、周囲の人や介護者も対応に迷うことがあります。
患者さまや介護者、周囲の方が快適な生活を送るためにより良い対応を心がけましょう。
ここではレビー小体型認知症について症状や原因、対応などを中心にお伝えします。
- 身近な人がレビー小体型認知症になった時の対応
- 介護者が介護疲れをしないための対策
これらの情報を患者さまのより良い療養生活と介護者の今後のために役立てていただけたら幸いです。
ぜひ最後までお読みください。
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レビー小体型認知症とは?
レビー小体型認知症は主に65歳以上の高齢者に発症しやすく、女性より男性に多い傾向があります。
アルツハイマー型認知症、血管性認知症に次いで認知症の基礎疾患の約4%を占め3番目に多いです。
レビー小体型認知症では、歩行障害、無動、姿勢の異常や無表情などのパーキンソン症状や幻視、幻聴、レム睡眠行動障害といった症状が特徴的です。
また、初期から中期では記憶障害が目立たない場合が多くあるのも特徴の一つです。
現時点ではレビー小体型認知症の根本的な治療法は見つかっていません。
三大認知症の一つとされているレビー小体型認知症。発症すれば幻視や妄想をともなう可能性のあるレビー小体型認知症ですが、どのような対策や予防があるのでしょうか?今回は、レビー小体型認知症について以下の点を中心にご紹介します。[…]
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レビー小体型認知症の人への対応
レビー小体型認知症の人への対応についてご説明します。
否定しない
レビー小体型認知症では、幻視や幻聴が繰り返し発生するため、周囲の人々は驚きを隠せないことも多いでしょう。
本来何もないはずなのに本人には、はっきり見えてしまうため混乱を起こします。
たとえ混乱が起きても、更なる興奮に発展する恐れがあるため、否定しないことが大切です。
「ドアの陰に人がいる」 と言われたら「見てきますね」と落ち着いた声がけをし対応しましょう。
安心させる
レビー小体型認知症では幻視や錯視(見間違い)、妄想が繰り返し発生します。
人や小動物など動きを伴うものが暗い場所や隙間から現れるように見えます。
また、錯視とは天井のシミが虫に見えたり廊下や道路が波打って見えるといった症状です。
こういった場合には、レビー小体型認知症本人の症状を理解し受け入れることが大切です。
見えるものによっては恐怖を感じるので安心できる対応を心がけて下さい。
近寄ったり触ると消えることが多いので一緒に見てみるなども良い方法です。
また、壁に洋服を掛けない、壁紙は無地にするなど室内環境を見直すことも有効な方法です。
環境づくり
レビー小体型認知症のパーキンソン症状が進行すると、つまずきやすくなります。
前かがみになり歩幅が狭くなるなど身体のバランスが悪くなり転倒リスクが高まります。
自宅であれば、段差がない様にスロープ状にリフォームをするといった対応を考える事をおすすめします。
また、お風呂場や台所などは滑りやすいため、滑り止めやクッション性があるものに変えることで対応するとよいでしょう。
さらに、ベッドの高さを低くしたり、手すりを設置するといったケガを減らすような工夫も大切な気遣いです。
なお介護リフォームは、要介護者の安全な生活のための費用補助が介護保険制度にあります。
市町村ごとに助成金制度を設けていることもありますので対応を確認してみましょう。
話し方の工夫
レビー小体型認知症の方は脳の萎縮などによる記憶障害で常に不安を感じています。
以下のような話し方や声かけを心がけ患者さまを安心させるような対応をしましょう。
- 笑顔を忘れずゆっくりとわかりやすく話しかける。
- 最近の言葉は使わず相手の年齢に適した言葉選びをする。
- 本人の昔話を引き出すなど覚えていることを話してもらうように対応する。
- 今いる場所と介護者の名前を相手に伝え、話しかけている理由を伝える。
- 相手が不安を感じている場合にはその気持ちに寄り添う対応をする。
- 安心感を与えるため「手をさする」などのスキンシップを取り入れる。
少しの工夫で患者さまには感情が十分に伝わりコミュニケーションが取れます。
それが安心感を与えるとともに脳への刺激になります。
レビー小体型認知症は、幻視やパーキンソン症状が現れるため、症状が進行していくにつれ介護負担が大きくなります。介護をする際には、症状や利用できるサービスなど、さまざまなことを知っておくことが重要です。今回、レビー小体型認知症介護の特徴[…]
レビー小体型認知症の治療方法
レビー小体型認知症の治療は、患者さんの症状に合わせて、非薬物療法、薬物療法の両面から行われます。
非薬物療法
非薬物療法にも様々な種類がありますが、代表的な療法を二つご紹介します。
脳を活性化させる
非薬物療法は、症状や患者さんの性格、嗜好などを考慮して、以下のような方法で行われます。
- 回想法
- 認知機能訓練
- 運動療法
- 音楽療法
いずれの方法も、快い刺激を与えることで、脳の活性化を促します。
住環境の整備
幻視や誤認の症状は、生活環境を整えることで軽減する場合があります。
また、パーキンソン症状は転倒によるけがの原因にもなります。
以下のような点に気を付けて整備するとよいでしょう。
- 部屋を明るくする
- 誤認の原因になりそうな衣類などを片付ける
- 床に物を置かない、コード類はまとめる
- 段差解消などの住宅改修
住宅改修は、介護認定を受けている場合、補助を利用できます。
その他にも、患者さんの話をよく聞き、不安に感じていることがあれば一緒に解決することで、安心して生活を送ることができるようになります。
また、便秘や脱水は、幻視を悪化させることがあるため、身体的な不調にも配慮することが大切です。
薬物療法
患者さん自身や周囲が特に困っていることに対して、症状を抑えるための薬が処方される場合があります。
処方される薬は、患者さんにより異なります。
より良い治療を行うために、薬は正しく服用し、体調や気持ちに変化があった場合は主治医に相談しましょう。
患者さん自身では症状に気づきにくかったり、認知機能の低下が進むと、自分で薬の管理をすることが難しかったりします。
家族や介護サービス事業者が協力し、治療をサポートしましょう。
認知症には、アルツハイマー型認知症やレビー小体型認知症など多くの種類が存在するのはご存知でしょうか。これらの認知症の治療法として、リハビリや薬を使った方法が一般的に知られているものだと思います。今回は、レビー小体型認知症の治[…]
レビー小体型認知症患者の家族が介護疲れしないために
介護者は様々な場面で体を酷使しますが、徘徊の対応で夜間も気が休まりません。
そのため十分な睡眠がとれないことが多くゆっくりと疲れを取ることができません。
また、大事な家族に対する責任感から介護うつになる人もいます。
さらに、経済状況が厳しい場合には介護者が負担するなど経済的な負担もあります。
発病した本人だけでなく介護者が介護離職によりキャリアを中断することにもなりえます。
このように認知症の介護は診断時のショックから始まり、進行ごとに負担が大きくなり、同時に対応が辛くなると考えられます。
少しでも介護者の様々な負担を減らせるよう下記のような方法や対応を利用しましょう。
介護保険サービスの有効利用
訪問介護や訪問入浴、デイサービス、ショートステイなどで休息の時間を作りましょう。
金銭的な余裕があれば介護保険外の送迎サポート、日常生活援助などもあります。
地域のサービスの利用
市町村ごとに、紙おむつ助成など独自の支援サービスがあります。
市区町村の情報を地域包括支援センターなどで確認し利用すると負担を減らせます。
悩みの共有と解消
介護の専門家といった相談相手を作ることで悩みや対応方法も共有することができます。
また、介護教室で最低限の正確な介護テクニックを学ぶと効率的に介護が進みます。
高齢化が進み、要介護者の増加や介護期間の長期化などがみられるようになりました。また、老老介護という言葉もあるように介護する家族も高齢化しています。そういった現状を踏まえ、介護の負担を減らすために作られた制度が介護保険です。[…]
レビー小体型認知症患者への対応のまとめ
ここまでレビー小体型認知症の原因や患者さまへの対応などを中心にお伝えしました。
- レビー小体型認知症の対応は、「否定しない」「安心させる」「環境整備」「話し方の工夫」など
- 介護者は介護保険や行政サービスを活用し身体的、経済的な負担を減らすことで対応する
これらの情報が少しでも皆さまのお役に立てば幸いです。
最後まで読んでいただきありがとうございました。