DHAが認知症予防に効果があるという確証は得られていません。
しかし、さまざまな調査からDHAと認知症の発症リスクには何らかの関係があることもわかっています。
本記事では、DHAと認知症の関係について以下の点を中心に解説します。
- DHAと認知症の関係
- DHAの認知症予防効果
- DHA摂取の副作用
- DHA摂取のタイミング
疑問を解消するためにも、ご参考いただけますと幸いです。
ぜひ本記事を最後までお読みください。
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DHAとは
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DHAはドコサヘキサエン酸と呼ばれる脂肪酸の一種です。
脂肪酸とは脂質を作る構成要素の一つです。
脂肪酸がさまざまな栄養素と結びつくことで、人体に必要な脂質が生成されます。
とくにDHAは必須脂肪酸に分類され、網膜や心筋の生成・維持に欠かせません。
しかし人間の体内では脂肪酸をほとんど生成できないため、食事などで外から補給する必要があります。
DHAを多く含む食品は、魚が代表的です。
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DHAと認知症の関係
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DHAは認知症による認知機能の低下を軽減する効果があるといわれることもありますが、明確な根拠やデータはありません。
しかし、1991年の調査ではDHAと認知症の関係について興味深い結果が出ています。
アルツハイマー型認知症の死亡者の海馬には、他の原因による死亡者の海馬と比べてDHAが半分しか含まれていませんでした。
海馬とは学習能力や記憶を司る器官で認知機能に大きな関わりを持ちます。
つまり、DHAは、海馬つまり「認知機能」の維持となんらかの関係があることがわかります。
別の調査では週に一回以上魚を食べる人は、食べない人と比べ認知症の発症リスクが60%低いという報告もあります。
DHAは脳を活性化させ情報伝達をスムーズにする働きがあります。
脳器官の働きをサポートするという観点から、認知症予防に効果があるかもしれません。
DHAは認知症予防に効果的?
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近年の研究により、DHAが認知症予防に効果があることがわかりつつあります。
では、なぜDHAが認知症の予防を期待できるのか理由を説明します。
DHAは脳の栄養素
DHAは、脳の神経細胞の構成成分です。
また、DHAには脳神経細胞を活性化させ情報伝達能力を向上させる働きがあります。
脳内の情報伝達がスムーズになると記憶力や言語能力、学習能力がアップします。
DHAを脳に補給することで、認知機能の向上・維持が期待できるのです。
したがって、DHAは「脳の栄養素」とも呼ばれます。
反対に、DHAの不足は脳神経細胞の働きの低下をもたらします。
認知機能が衰えると、認知症の発症リスクが高まります。
実際に、アルツハイマー型認知症の死亡者は脳の海馬のDHA含有量が少ないことがわかっています。
つまりDHAを不足させないことは、認知症予防において非常に重要です。
認知症発症リスクを高める生活習慣病を予防
DHAの摂取により、血液循環がスムーズになるため、生活習慣病ひいては認知症の予防に役立ちます。
高血圧、糖尿病、内臓脂肪の蓄積などといった生活習慣病は、血管にダメージを与えて動脈硬化を引き起こします。
生活習慣病と認知症は密接な関係を持っていると言えます。
血流が悪化すると脳に栄養や酸素が届きにくくなるため、認知機能低下のリスクが高まるのです。
さらに脳梗塞や脳卒中などの生活習慣病は、血管性認知症の引き金となることも少なくありません。
血管性認知症とは、脳が物理的な損傷を受けることで神経細胞が破壊され発症します。
脳梗塞などは脳血管の詰まり、出血を起こすため血管性認知症の直接的な原因となりやすいのです。
このように、生活習慣病は認知症と深いかかわりを持ち、ときには認知症の発症に直結することもあります。
実際に、生活習慣病患者は認知症発症のリスクが高いです。
DHAには、血管を傷つけ、動脈硬化を引き起こす生活習慣病の元となる悪玉コレステロール、中性脂肪を減らす働きがあります。
さらに血栓を防ぐ効果もあるため、心筋梗塞などの心疾患のリスクを下げます。
寝たきりを予防
もう一つ、生活習慣病に気を付けるべき理由があります。
生活習慣病が重度になると、「寝たきり」になる場合もあります。
寝たきりは、認知症の発症リスクを高めます。
脳への刺激が少ない分、認知機能が低下しやすくなるからです。
認知機能の低下は、脳の不活性化によっておこるため「ぼーっと過ごす」状態が続くことはとても危険です。
さらに、運動不足になり筋力の低下を引き起こすため転倒のリスクを高めます。
生活習慣病による寝たきりや運動不足を防ぐことは、認知症予防のために重要です。
DHAの積極的な摂取によって、生活習慣病のリスクを減らしましょう。
DHAの摂取目安量
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DHAの1日あたりの摂取量目安は1000mg~1500mgです。
より具体的に、以下のような数値も示されています。
- 成人男性:2.0g~2.4g
- 成人女性:1.6g~2.0g
魚に含まれるDHA量の目安(可食部)は以下の通りです。
- アジ:570mg
- サンマ:1600mg
- サバ:970mg
DHA摂取の副作用
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DHA摂取の副作用として、出血時に血が止まらなくなる可能性があります。
DHAは、血が固まるのを防ぐ効果があるため、血栓や動脈硬化の予防を期待できます。
一方で、血が固まりにくくなるため出血時に血が止まらなくなることがあります。
具体的には、1日3000mg以上のDHAを摂取すると危険です。
外科手術や歯科治療を受けるときや、生理中は、とくに注意しましょう。
また、高血圧や糖尿病患者の方の場合DHAの過剰摂取が脳出血のリスクを高めます。
摂取の仕方によっては死亡リスクを上げることもあるので、注意しましょう。
DHAを多く含む食材
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DHAといえば魚が代表的ですが、肉類や乳製品にも含まれます。
また、DHAに限らず、栄養は、いろいろな食品から摂取することが大切です。
以下を参考にしながら、いろいろな食品をバランスよく摂るようにしましょう。
- サンマ
- サバ
- アジ
- うなぎ
- カツオ
- サンマ・イワシ・サバの水煮缶
- 牛・豚・鶏肉
- チーズ
DHAを摂取するタイミング
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DHAを摂取する際、最も効果的なタイミングは朝です。
マウスを使った実験で、朝にDHAを与えたマウスと夜にDHAを与えたマウスでは効果に差があることがわかりました。
朝にDHAを与えた場合、「血中の中性脂肪」「コレステロール」「肝臓中性脂肪」の数値が低いという結果が出たのです。
同じく、朝のグループのほうが、血中DHA濃度が高いこともわかっています。
そのため、DHAは夜よりも朝に摂取したほうが、脂質代謝にメリットがあります。
朝食に焼き魚を食べるなどして、摂取方法を工夫してみましょう。
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EPAも認知症に効果的?
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EPAも認知症の予防に効果が見込まれています。
EPAはDHAと同じく、魚に豊富に含まれる成分です。
また、EPAは体内でDHAに変換される成分でもあります。
DHAの摂取が難しい場合は、EPAとあわせて1日1000mg以上を目指すという方法もおすすめです。
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認知症とDHAの関係のまとめ
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ここまで、DHAと認知症の関係についてお伝えしてきました。
要点を以下にまとめます。
- DHAは脳を活性化させるため、認知症予防への効果を期待できる
- DHAは認知症の原因となる、生活習慣病の予防につながる
- DHAを過剰摂取すると、血が止まらなくなる可能性がある
- DHAは、朝に摂取することが望ましい
これらの情報が少しでも皆さまのお役に立てば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。