認知症の中核症状である記憶障害。
記憶障害にもいくつか種類があり、障害を起こす記憶はさまざまです。
記憶障害の中でも、初期に現れる短期記憶障害をご存知でしょうか?
本記事では、短期記憶障害について以下の点を中心にご紹介します。
- 短期記憶障害の症状
- 短期記憶障害を引き起こす病気
- 短期記憶障害ともの忘れの違い
- 短期記憶障害の対策
今後の不安を解消するためにも、参考にしていただけると幸いです。
ぜひ最後までお読みください。
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短期記憶障害の症状
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短期記憶障害とは、短い間に起きた新しい情報を記憶する脳機能が低下してしまう障害です。
アルツハイマー型認知症でよくみられています。
今日の日付や食事の内容を忘れる、物の置き場所をすぐ忘れてしまうなどが一般的です。
他にも、自分がやっていたことを忘れてしまう方もいます。
火の付けっぱなし、水の出しっぱなしに注意が必要です。
重大な事故につながる可能性も高い症状といえます。
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短期記憶障害を引き起こす病気
短期記憶障害の主な原因は、認知症や精神疾患、交通事故などによる頭部へのダメージです。
短期記憶障害を引き起こす恐れのある病気を以下にまとめます。
- 認知症
- 単純ヘルペス脳炎
- 高次脳機能障害
- パーキンソン病
- 甲状腺癌
- 貧血
- 甲状腺疾患
- 一過性全健忘
記憶障害の原因は非常に多岐にわたるため、事前に病気を予防することが大切です。
短期記憶障害ともの忘れの違い
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短期記憶障害ともの忘れの意味は全く違います。
短期記憶障害では、「財布を持っていかないといけない」などの根本的なこと自体を忘れてしまいます。
忘れてきたことに自覚がないため、「誰かに盗まれた」という被害妄想も起きやすいです。
しかし、もの忘れは覚えた情報を思い出せなくなることです。
例えば、外出時に財布を忘れたときは、忘れものをしたことに自覚があります。
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短期記憶障害のセルフチェック
ご自身やご家族に、短期記憶障害の症状が出ていないか気になる方もいるでしょう。
ここでは、短期記憶障害の有無を判断するセルフチェックについてご紹介します。
- 自分が今いるところがどこだかわからないことがある
- 自分が今何をしているのかわからなくなることがある
- 自分が最近したこと、体験したことの記憶が曖昧である
- 慢性的なストレスや疲労がある
- 色々な名称(人・もの・場所)をとっさに思い出せない
- ちょっと前に言われたことを忘れることがある
- 待ち合わせの時間に遅れてしまうことが多い
- 新しいことが覚えられない
- 頼まれたことを忘れてしまう
- 一度に複数のことを覚えられない
以上の項目に当てはまるものが多い場合は、短期記憶障害が疑われます。
医療機関を受診し、専門的に検査してもらうとよいでしょう。
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短期記憶障害の対策
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短期記憶障害は、認知症の初期症状として多く見られます。
進行を遅らせるにはどのような方法があるのでしょうか?
短期記憶障害の対策を四つご紹介します。
運動
運動は、本人も楽しみながらできる対策の一つです。
脳と身体を同時に使うため、脳への刺激が大きいです。
運動により分泌される成分によって、記憶障害の症状を抑えることも期待できます。
食事
食事は、記憶障害に大きな影響を及ぼします。
症状の緩和やその他の病気を併発させないためにも以下の二つが大切です。
- 脳に欠かせない栄養素をバランスよく摂取する
- 間食を控え血糖値をコントロールする
身体検査
身体検査をすることで、どこの器官に異常があるかを確認できます。
記憶障害を悪化させている原因を見つけることが大切です。
特に神経系を重点的に検査することで、効果的な対策が見つかる場合も多いです。
ストレスの管理
ストレスは多くの病気を引き起こす原因となります。
記憶障害が悪化すると、精神疾患などを併発して症状が悪化する場合もあります。
普段からストレスを軽減させるよう意識しましょう。
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短期記憶障害の方との接し方
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短期記憶障害がある方との接し方を三つご紹介します。
状況を受け入れる
短期記憶障害の方は、忘れていることさえも忘れてしまいます。
家族や介護者にとってはストレスが溜まりやすい症状の一つです。
また、日常的に多くのことを注意されると、本人にもストレスや不安がのしかかります。
注意ばかりではなく、まずは状況を受け入れましょう。
支えていく前提として、本人が安心できる生活を送れることが大切です。
環境を整える
短期記憶障害では、窃盗被害や交通事故などの重大な事故に発展するケースも少なくありません。
環境を整え、できる限り事前に防ぐことが大切です。
例えば、重要な書類や家・車の鍵は家族が保管するなど、本人の状況を見ながら環境を整えていきましょう。
メモを使う
短期記憶障害の方にメモを取ってもらっても、メモをしたことさえも忘れてしまいます。
しかし、メモの置き場所は固定する、目立つ色のペンを使うなどは効果が見込めます。
大切な情報が常に目に入るような工夫を取り入れましょう。
記憶障害の種類
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記憶障害にはいくつかの種類があります。
ここまで紹介した短期記憶障害もその一部です。
記憶障害の種類について、簡単にご紹介します。
短期記憶障害
短期間に起こった情報を記憶することができなくなる記憶障害です。
例をあげると、今日の日付・曜日や家族と話した内容などが思い出せなくなります。
長期記憶障害
長期記憶とは、長い期間の記憶です。
幼少期から社会人までの記憶や、親しい人の記憶までも忘れてしまいます。
手続き記憶障害
本人が意識をせずに記憶していることを手続き記憶といいます。
スポーツなど代表的な例です。
脳ではなく身体で覚えているため比較的忘れにくいとされています。
エピソード(出来事)記憶障害
記憶障害を起こす前までに体験した出来事を忘れてしまう記憶障害です。
そのため、家族や近しい人などとの思い出話が困難になります。
意味記憶障害
さまざまな事柄の意味を忘れてしまう記憶障害です。
「あれ」や「これ」などの抽象的な会話が増えていきます。
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20代の短期記憶障害
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短期記憶障害は決して高齢者だけの症状ではありません。
20代でも発症するおそれがあるため注意が必要です。
20代の場合、疲れやストレスによる一時的な症状だと安心してしまうパターンが多く、早期発見が難しいです。
原因としては、頭部への強い衝撃や過度のストレスなどが挙げられます。
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短期記憶障害のまとめ
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ここまで、短期記憶障害についてお伝えしました。
要点を以下にまとめます。
- 短期記憶障害とは、短期間に起こった情報を記憶できなくなる記憶障害
- 認知症やパーキンソン病、貧血などが原因となって短期記憶障害が起きる
- 短期記憶障害は、忘れたことさえ自覚できない
- 運動や食事、ストレスの管理が短期記憶障害の対策となる
これらの情報が少しでも皆さまのお役に立てば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。