発達障害の一種であるADHD。
症状は様々で、日常生活に支障が出る可能性も十分あります。
ただ、詳しい症状や改善策については知らない人が多いのではないでしょうか?
今回はADHDによる記憶障害について以下の点を中心にご紹介します。
- ADHDによる記憶障害
- ADHDによる記憶障害と認知症による記憶障害の違い
- ADHDの改善策
ADHDに関する疑問を解消するためにも、ご参考いただけますと幸いです。
ぜひ最後までご覧ください。
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ADHDとは
ADHDとは、注意欠如・多動性障害とも呼ばれる発達障害の一種です。
神経伝達物質であるドーパミンやノルアドレナリンの機能異常、遺伝的要因が原因として挙げられます。
ADHDの代表的な症状は、集中力の欠如、反射的な行動などです。
人によって記憶障害が起きる場合もあり、日常生活に支障をきたす恐れもあります。
発症率は子どもで5%、成人では2.5%に現れる障害とされています。
幼少期にはわからず、成人をむかえてから診断がつく場合も多いです。
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ADHDによる記憶障害
ADHDは、脳に起こる機能障害です。
ドーパミンやノルアドレナリンの機能異常を指摘されます。
ドーパミンは注意力や集中力に関連しています。
一方、ノルアドレナリンは記憶を引き出す機能に関連する脳の伝達物質です。
上記の2つが機能しないことで記憶障害が引き起こされます。
また、ADHDの方の中には短時間の記憶の処理を行うワーキングメモリーの容量が少ない方もいます。
容量面も記憶障害を引き起こす一つの要因です。
ワーキングメモリーは、日常生活において必要不可欠な記憶です。
会話の理解や計算、複数の選択肢に関して思考する際に使われます。
例えば、買いたいものや仕事で頼まれた伝言を記憶しておく部分です。
しかし、ワーキングメモリーの容量が少ないと、他の記憶に上書きされてしまいます。
元々あった記憶を忘れてしまう可能性が高いです。
記憶障害を含むADHDの症状
ADHDを理解するには、症状について理解を深めていくことが重要です。
ADHDの方にみられる主な症状は、不注意、多動性、衝動性です。
前述した記憶障害はこれらの症状に付随して現れる場合もあります。
注意力や集中力の欠如
ADHDの代表的な症状として注意力や集中力の欠如があげられます。
例えば、授業中や仕事中でもほかの物事が気になり、作業の手を止めてしまう場合があります。
火を扱っているときも、途中で他のことをやってしまう可能性があるため注意が必要です。
また、注意力や集中力の欠如は前述したワーキングメモリーの保持にも影響します。
集中力の欠如によって一時的な記憶保持ができず、記憶障害を引き起こします。
多動性
ADHDでは多動性という症状がみられるようになります。
多動性とは、一定時間大人しくできず、そわそわと動き出してしまうような症状です。
授業中や仕事中に椅子に座っていられず、言われた通りの待機場所で大人しく待つことができません。
突然の立ち上がりや貧乏ゆすりなども多動性の症状といわれています。
大人になるにつれて症状は軽減していきますが、相手の理解がない場合は仕事ができないと思われてしまうこともあります。
衝動性
衝動性もADHDにおける特徴的な症状の一つです。
自身で行動のコントロールをすることが難しく、興味の向くまま行動してしまうことが多くみられます。
多弁になったり、衝動買いをしてしまうようなことがあったり、突発的に怒りだすようなことも特徴の一つです。
周囲からは協調性がないと思われ、集団行動がやりづらくなるかもしれません。
また、危険認識や適切な判断ができないまま、横断歩道や踏切で飛び出してしまうこともあるため注意が必要です。
ADHDと認知症の違い
ADHDと同じく、記憶障害をともなう認知症と混同してしまう場合もあります。
ADHDによる記憶障害と認知症における記憶障害にはどのような違いがあるのでしょうか。
まず、ADHDにおける記憶障害では、数秒から数時間の記憶である即時記憶が低下する点に特徴があります。
対して認知症に多くみられる記憶障害の特徴は、数時間から数日の記憶である「短期記憶」の低下です。
ADHDと認知症による記憶障害の判断は時間軸で比較することができます。
ADHDの改善策
ADHDは先天性の発達障害であり、完治につなげることはできません。
しかし、トレーニング次第で日常生活に支障がない範囲まで改善が見込めます。
ADHDの改善方法を以下でご紹介します。
ソーシャル・トレーニング
ADHDの場合、他者とコミュニケーションを上手く図れないことが課題です。
コミュニケーションの不備から意図せずに他者を怒らせてしまったり、誤解を招いたりすることもあります。
社会的なコミュニケーションスキルを身につけるための改善策が、ソーシャル・トレーニングです。
ソーシャル・トレーニングでは、社会の中で必要なマナーや生活スキルを訓練していきます。
プログラムの手法は、グループワークやロールプレイが一般的です。
自分のみならず他者の行動も観察しながら学んでいきます。
ADHD以外にも、学習障害や自閉症スペクトラム障害などの方にも適応される訓練です。
アンガー・マネジメント
ADHDの特徴でもある衝動性は、怒りの感情にも向けられる場合があります。
突発的な怒りをコントロールできず、思ったことを口走ってしまうこともあります。
アンガー・マネジメントとは、怒りをコントロールするための心理トレーニングです。
どんな時に怒りやすいのかを自覚し、怒りを上手く処理する方法を学びます。
怒りのコントロールは、集中力の欠けやすいADHD患者に有効なトレーニングです。
ただ、対象者は発達障害の方のみにとどまりません。
一般企業でも職業訓練として積極的にとり入れられています。
カッとするようなことがあったらぜひアンガー・マネジメントを行ってみてください。
マインドフルネス
ADHDでは、感情の抑制をつかさどる前頭前野の機能が低下します。
マインドフルネスとは、前頭前野の機能を活発化させることを目的に行われる瞑想法の一種です。
「今この瞬間の自分と向き合うこと」と「物事の良し悪しを判断しないこと」を重要視します。
今抱いている感情や、置かれている環境に向き合うことで、思考の整理をはかります。
コーチング
コーチングでは、個人の性格に合わせたアプローチを受けることができます。
専門的視点から得意不得意を評価し、その人に合ったアプローチがとられます。
また、不安や上手くいかないことの相談も可能です。
患者側の精神的サポートにおいても有効なトレーニングです。
ニューロフィードバック
ニューロフィードバックは、衝動性や注意力の欠如に対し効果が期待される手法です。
実際に自分の思考や感情の脳波を見ながら訓練を行います。
脳波の動きを知ることで、集中力や感情のコントロール方法を視覚的に理解することができます。
記憶障害を含むADHDの強みを活かした仕事とは?
多動性や衝動性、記憶障害なども引き起こすADHDですが、強みとして生かせる職業もあります。
多動性や衝動性は、ジャーナリストやカメラマンなどの強みとなります。
また、興味のある分野において高い集中力を発揮される方もいます。
研究職やプログラマー、エンジニアなどでも強みとなるでしょう。
AHDHだからといって、どんな仕事も上手くいかないわけではありません。
一見デメリットに思われがちでも、側面を活かして仕事することも可能です。
ADHDによる記憶障害のまとめ
ここまで、ADHDによる記憶障害をお伝えしました。
要点を以下にまとめます。
- ADHDによる記憶障害の原因は、ドーパミンとノルアドレナリンの機能低下
- ADHDと認知症による記憶障害の違いは、失う記憶の時間軸
- ソーシャル・トレーニングやアンガー・マネジメントによってADHDを改善できる
これらの情報が少しでも皆様のお役に立てば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。