出来事や思い出がすっぽりと抜け落ちていく記憶障害。
一口に記憶障害といっても、種類によって症状や原因は様々です。
その中でも、意味記憶障害についてご存知でしょうか?
本記事では、意味記憶障害についてご紹介します。
- 意味記憶障害の症状
- 意味記憶障害と物忘れの違い
- 意味記憶障害の原因
- 記憶のメカニズム
意味記憶障害の不安を解消するためにも、ご参考いただけますと幸いです。
ぜひ最後までお読みください。
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意味記憶障害とは
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意味記憶とは、言葉の意味や公式などのようないわゆる知識として覚えている記憶のことです。
意味記憶障害では教科書的な知識の記憶が思い出せなくなります。
エピソード記憶と違い、初めて知った時や暗記した時の状況や日時を一緒に覚えていないことが特徴です。
意味記憶を思い出すことができなくなり、記憶が抜け落ちてしまう症状を意味記憶障害と呼びます。
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意味記憶障害の症状
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意味記憶障害では、言葉の意味や物の名前などが思い出せなくなることが多いです。
「あれ」や「それ」のような指示語が増えます。
以下が、意味記憶障害の症状例です。
- 太陽がどの方角から昇るのかわからなくなる
- 春夏秋冬の順番がわからない
- 赤信号で止まるという意味を思い出せない
普通であれば覚えているであろう常識的な知識を忘れてしまう症状を指します。
意味記憶障害が現れた場合には介護者もより注意して介護する必要が出てきます。
意味記憶障害ともの忘れの違い
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意味記憶障害は今まで紹介したように、教科書的な知識がすっぽり抜け落ちてしまう症状です。
例えば「アメリカの首都がワシントンである」ことを忘れてしまった場合、意味記憶障害ともの忘れでは以下のような違いがあります。
意味記憶障害の場合は忘れていることに自覚がありません。
「あれの首都は…あれだよね」というように、文章の意味が伝わらなくなります。
もの忘れの場合、アメリカの首都を忘れてしまったから教えてほしいという気持ちが強くなります。
根本的に大きな違いがあることがよくわかるかと思います。
意味記憶障害の原因
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意味記憶障害には多くの原因がありますのでご紹介します。
認知症
認知症自体さまざまな原因で現れる症状ですが、基本的には脳に何か問題があり発症します。
そして認知症の中核症状の一つに、記憶障害があります。
意味記憶障害は認知症の症状が進んできてから発現することが多いです。
意味記憶障害から認知症が発覚することはほとんどありません。
高次脳機能障害
高次脳機能障害とは日常生活が難しいほど知的機能に問題が起きてしまう障害のことです。
病気や怪我による脳の損傷が原因となります。
脳梗塞やくも膜下出血などの脳卒中が原因の約8割を占めています。
頭部外傷やアルコール・薬物中毒などもリスクを高める要因です。
脳膿瘍
何かのきっかけで脳に病原菌が侵入してしてしまうと脳膿瘍ができることがあります。
原因不明の脳膿瘍もありますのでご注意ください。
脳膿瘍が前頭葉にできると、意味記憶障害が起きることがあります。
甲状腺機能低下症と甲状腺がん
甲状腺機能低下症はその名の通り、甲状腺の機能が低下してしまうことです。
甲状腺の機能が低下すると意味記憶障害が起きることがあります。
また、甲状腺がんによって甲状腺機能が低下する場合にも記憶障害が起きることがあります。
うつ病
うつ病でも意味記憶障害が起きることがあります。
しかし、脳の機能低下による意味記憶障害と違い、リハビリや治療によって回復が見込めます。
意味記憶障害以外の記憶障害
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記憶障害は、持続時間と内容によっていくつかの種類に分類されます。
持続時間によって、即時記憶、短期記憶、長期記憶の3つに分けられます。
内容ごとの種類は、エピソード記憶、意味記憶、手続き記憶です。
それぞれの記憶について解説します。
即時記憶障害
即時記憶障害は、数秒前の記憶を思い出せない障害です。
判別方法として有名なものは3つの単語を覚えてもらい、単語をすぐに復唱できるかどうかです。
即時記憶障害が現れている場合、その場ですぐの復唱だったとしてもできなくなります。
短期記憶障害
短期記憶障害は、数分から数日前の記憶を思い出せない障害です。
即時記憶とは違い、記憶を一度忘れた後に思い出せるかどうか確認します。
短期記憶障害の場合も、3つの単語を覚えてもらうことは同じですが復唱までに一定時間置くことが効果的です。
長期記憶障害
長期記憶障害は、数分から数年前の記憶を思い出せない障害です。
短期記憶と長期記憶の、短期と長期に明確な境目はありません。
数か月以上前の記憶は長期記憶と判断されることが多いです。
エピソード記憶障害
エピソード記憶障害は、日時や場所を含んだ自分が体験してきた記憶を思い出せない障害です。
家族や友人との思い出話に違和感を感じる場合が多く、認知症を発見するきっかけにもなります。
手続き記憶障害
ギターの演奏方法やスキーの滑り方、自転車の乗り方など自分が繰り返し練習して身につけた動作を思い出せない障害です。
手続き記憶とは「体が覚えている」といわれる記憶に分類されます。
なかなか忘れづらい記憶ですが、もしも忘れてしまった場合には手続き記憶障害が現れています。
意味記憶障害と健忘の違い
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健忘とは、過去の経験や出来事を思い出す機能が働かなくなる障害です。
意味記憶障害では健忘は起こりません。
では健忘とはどんなものなのかもう少し詳しくご紹介していきます。
前向性健忘
前向性健忘とは、記憶の中でも「記銘」ができない障害のことです。
つまり、新しい記憶を覚えることができません。
新たなエピソードを覚えておくことができないのが、前向性健忘です。
逆向性健忘
逆向性健忘は、記憶の中でも「想起」ができない障害のことです。
つまり、過去の記憶や出来事を思い出すことができません。
記憶のメカニズム
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記憶の流れは「記銘、保持、想起」となっています。
どれか一つでもうまくいかないと記憶障害が起こります。
- 記銘…記憶を脳に書き込む
- 保持…書き込んだ記憶を脳の引き出しにしまう
- 想起…引き出しにしまった記憶を思い出す
このように記憶は段階を経て、脳に書き込まれたり脳から持ち出されたりします。
これらのどれか一つでもできなくなると記憶障害が現れてしまいます。
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意味記憶障害のまとめ
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ここまで意味記憶障害についてお伝えしてきました。
要点を以下にまとめます。
- 意味記憶障害は、言葉やものの意味を思い出せない障害
- 意味記憶障害は、認知症やうつ病などが原因となる
- 意味記憶障害は、物忘れと異なり自覚がない
- 記憶は「記銘、保持、想起」という段階を踏んでいる
これらの情報が少しでも皆さまのお役に立てば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。