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トップページ>認知症を学ぶ>認知症の症状>認知症になると失語が起こる?原因から対策まで解説します!

認知症になると失語が起こる?原因から対策まで解説します!

超高齢社会の日本において、年々増加している認知症。
代表的な記憶障害の他にも、認知症の症状はさまざまです。

中核症状の一つでもある失語をご存知でしょうか?

本記事では、認知症と失語の関係について以下の項目を中心にご紹介します。

  • 認知症による失語の種類
  • 認知症による失語の症状
  • 認知症によって失語が起こる原因
  • 認知症による失語のリハビリ方法

認知症症状の理解を深めるためにもご参考いただけますと幸いです。
ぜひ最後までお読みください。

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認知症による失語の種類と症状

「失語」とは、身体的異常がないにも関わらず言語機能に支障をきたす障害です。

言語機能とは、言葉の意味を理解し操るための機能です。

失語では、「聞く」「話す」「読む」「書く」などの言語操作が困難になります
認知症の中でも中核症状の一つに数えられます。

中核症状は認知機能の低下を原因とする症状で、認知症当事者に必ずあらわれます。
なお、失語にはいくつかのタイプがあり、それぞれ症状が異なります。

今回の記事では、失語症の中でも代表的な「ウェルニッケ失語」と「ブローカ失語」を解説します。

ウェルニッケ失語

別名「感覚性失語」といいます。
ウェルニッケ失語には、大きく2つの特徴があります。

  • 言葉の意味を理解できない
  • 言葉を流暢に話せる

ウェルニッケ失語は、発語自体に問題はありません

抑揚やメロディーにも支障はなく、一見健常者と同じように話せます。

しかし、言葉の意味を理解できないため、話す内容は支離滅裂なことが多いです。

ウェルニッケ失語では、「話を聞いて理解すること」が困難であるのも特徴です。

「聴覚的理解障害」と呼ばれる障害で、ウェルニッケ失語の中核症状にあたります。

話を理解できないのは、言葉の意味が分からないためです。
同じ理由から、相手の言葉を復唱できないことも、ウェルニッケ失語特有の症状です。

「読み・書き」についても同様で、模写は可能でも文字や言葉の意味を理解するのは困難です。

ブローカ失語

別名「運動性失語」といいます。

ブローカ失語には、以下の2つの特徴があります。

  • 言葉の意味を理解できる
  • 言葉を流暢に話せない

ブローカ失語の特徴を簡単にまとめると、言葉のインプットはできても、アウトプットができない状態です。

ブローカ失語では、言葉の理解に大きな支障はないことが多いです
程度には個人差があるものの、話の聞き取りや文章の読み取り能力は、比較的維持されます。

一方で、言葉を話すことは困難になります。
声を出すこと自体に問題はないものの、自分の考えを伝える言葉が出てこなくなります。

あるいは、単語は出てくるけれど、文章としてうまく組み立てられない場合もあります。
とくに話し始めはぎこちないことが多く、単語単位でしか話せないケースが多いです。

ブローカ失語が重症化すると、まったく言葉が出てこないこともあります。

言葉のインプットに大きな問題はないため、文章の読み取りや読解は比較的良好です。

反対に、自発的な書き取りは難しい傾向が見られます。
読み書き全般において、平仮名より漢字のほうが比較的得意です。

ブローカ失語は、ウェルニッケ失語と同様、相手の言葉の復唱は困難です。

ただし、ウェルニッケ失語は相手の言葉を理解できないのに対し、ブローカ失語は自身からの発語が困難という違いがあります。

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認知症が失語を引き起こす原因

認知症による失語は、大脳の言語中枢の働きが低下することが原因です。
言語中枢は、言葉を操るための器官です。

認知症は、脳の神経細胞が何らかの原因で破壊されるために、発症・進行します。

認知症の進行によって、脳の神経細胞の破壊が「言語中枢」に及ぶと、失語が起こります。
言語中枢は、大脳の前頭葉から側頭葉にかけて分布します。

言語中枢の領域の中でも、障害を受ける場所によって失語症状のあらわれ方が異なります。

たとえばウェルニッケ失語は、側頭葉の上側頭回後部の障害によって起こります。
ウェルニッケ分野と呼ばれる部位で、話し言葉を聞いて理解する働きがあります。

また、言葉を選んで文章を組み立てる役割もあります。

一方、ブローカ失語は前頭葉の下前頭回後部の障害が原因です。
ブローカ分野と呼ばれる部位で、言葉を話すための運動を司ります。

具体的には、ウェルニッケ分野から伝達された「イメージ」を「言葉」に変換して、発語に必要な器官・筋肉に伝達します。
ブローカ分野の働きによって実際に発された言葉は、ウェルニッケ分野にて管理されます。

ウェルニッケ分野が障害を受けると、適切な言葉を選ぶのが困難になります。
また、言葉を発したとしても、正しく使用されているのか判断できなくなるため、話の内容が支離滅裂になります。

一方、ブローカ分野の障害では、言葉を話すための運動器官への伝達がうまくいかなくなります。
ウェルニッケ分野から適切な言葉の情報が届いても、筋肉や器官に転送できないため、言葉が出づらい状態に陥ります。

失語のリハビリ方法

では、失語が起こったらどのようなことをすればいいのでしょうか?
ここでは、認知症による失語のリハビリ方法についてご紹介します。

聴覚回復のリハビリ

聴覚回復のリハビリは以下の通りです。

  • 言葉と意味の結びつきの理解を促す
  • 読み聞かせや言葉の復唱など
  • 物を示しながら、名称・単語を繰り返し唱える
  • ジェスチャーを示し、動作名を復唱する
  • 歌詞のある歌を聞く

読解力回復のリハビリ

読解力回復のリハビリでは、単語・文章を読み取る力の回復を目指します。
一般的な内容は以下の通りです。

  • イラストと言葉のカードでカルタする
  • 絵の状況と言葉を照らし合わせる
  • 簡単な文章の後半を空欄にし、適切な文末を選ぶ

話す能力回復のリハビリ

意図をもって話す力の回復を目指します。
以下のことを中心に行なっていきます。

  • イラスト等を示して、名称を繰り返す
  • イラスト等を示して、名称をあてる
  • 挨拶を交わしあう

書く能力回復のリハビリ

書き取り能力の回復も重要です。
最初はなぞり書きや模写から始め、自分の名前など、身近な名称の書き取りに発展させます。

  • 文字の書き取り・模写
  • イラストを見せて、名称を書きとる
  • 一言日記を書く

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失語が起きた時の周囲の対応

失語が起きた場合、周囲は本人の「話す意思」を尊重した対応を取りましょう。

ゆっくりと話す

本人が聞き取りやすいよう、ゆっくり・大きな声で話しましょう
単語レベルで区切ると、聞き取りやすくなります

先回りしない

本人が言葉に詰まったとしても、すぐ話を引き取らないようにしてください。
時間をかければ本人が自力で話せることもあります。

言葉が途切れた時は、まずワンクッション置いて本人からの発言を待ちます。

もし本人が本当に困っているならば、単語を教えるなどの助け船を出しましょう。
あるいは、「はい・いいえ」で答えられる質問をするのも良い方法です。

ジェスチャーを使う

ジェスチャーを見て、言葉を思い出す場合もあります。

本人が言葉につまったら、ジェスチャーを示して言葉と意味の対応を助けましょう。

健達ねっとECサイト

失語は治るの?

認知症による失語の完治は見込めません
認知症は脳神経細胞の破壊によって起こり、壊死した脳神経細胞は元通りにはならないからです。

ただし、リハビリ次第である程度の回復を期待できます

リハビリの効果を高めるためにも本人のペースに合わせることが大切です。
不安がある場合は専門家とも相談してみましょう。

薬の使い方

認知症による失語のまとめ

ここまで、認知症による失語についてお伝えしました。
要点を以下にまとめます。

  • 認知症による失語は、主にウェルニッケ失語とブローカ失語
  • ウェルニッケ失語は、話せるが言葉を理解できない
  • ブローカ失語は、言葉は理解できるが話せない
  • 認知症による失語は、大脳の言語中枢が破壊されることで発症する
  • 失語のリハビリでは、聴覚や読解力の回復を目指す

これらの情報が少しでも皆さまのお役に立てば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。

監修者 メディカル・ケア・サービス

  • 認知症高齢者対応のグループホーム運営
  • 自立支援ケア
  • 学研グループと融合したメディア
  • 出版事業
  • 社名: メディカル・ケア・サービス株式会社
  • 設立: 1999年11月24日
  • 代表取締役社長: 山本 教雄
  • 本社: 〒330-6029埼玉県さいたま市中央区新都心11-2ランド·アクシス·タワー29F
  • グループホーム展開
  • 介護付有料老人ホーム展開
  • 小規模多機能型居宅介護
  • その他介護事業所運営
  • 食事管理
  • 栄養提供
  • 福祉用具販売
  • 障がい者雇用

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