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トップページ>認知症を学ぶ>レビー小体型認知症の介護とは?介護認定や介護施設について解説します

レビー小体型認知症の介護とは?介護認定や介護施設について解説します

レビー小体型認知症は、幻視やパーキンソン症状が現れるため、症状が進行していくにつれ介護負担が大きくなります。

介護をする際には、症状や利用できるサービスなど、さまざまなことを知っておくことが重要です。

今回、レビー小体型認知症介護の特徴や介護の方法、活用できるサービスについてご紹介します。

  • レビー小体型認知症の主な症状
  • 介護の方法や注意点
  • 介護で利用できる在宅介護保険サービス


レビー小体型認知症介護を実践される際の参考にしてください。ぜひ最後までご覧ください。

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レビー小体型認知症とは

レビー小体型認知症とは、アルツハイマー型認知症、血管性認知症と並ぶ三大認知症のうちの一つです。

今回は、そんなレビー小体型認知症の症状や原因、治療方法について詳しくご説明していきます。

レビー小体型認知症の原因

レビー小体型認知症の原因は、αシヌクレインという主成分を含む「レビー小体」というたんぱく質の蓄積です。
脳細胞にレビー小体が蓄積すると、脳細胞が変性したり脳機能が低下したりします。

そして、脳の変形や脳機能の低下により、さまざまな症状が現れます。
レビー小体型認知症特有の症状として、見えないものが見える「幻視」が挙げられます。

レビー小体型認知症は、70〜80歳代と高齢で発症するケースが多い認知症です。
レビー小体型認知症は、女性よりも男性の方が約2倍も発症しやすいとされています。

レビー小体型認知症の症状

レビー小体型認知症介護を行っていく上では、症状の理解が必要不可欠です。
レビー小体型認知症の代表的な症状として、以下の5つを挙げることができます。

  • 幻視
  • パーキンソン症状
  • 自律神経障害
  • 記憶障害
  • レム睡眠時行動障害

 

上記の症状が、一体どのようにレビー小体認知症介護での負担を生じるのでしょうか。
以下、症状ごとに特徴について解説していきます。

幻視

まずは、レビー小体型認知症の代表的な症状である「幻視」についてです。
記憶をつかさどる後頭葉で障害が起こると「幻視」を発症します。
幻視は発症初期から現れやすい症状であるといえます。

ちなみに、幻視が出現すると実際にはいないはずのもの(人や虫など)が見えるようになります。
また、中には幻聴が現れる場合もあります。

しかし、幻視や幻聴を否定すると不安になったり、症状が悪化したりするため注意しましょう。

パーキンソン症状

パーキンソン症状もまた、レビー小体型認知症にみられる代表的症状の一つです。
パーキンソン症状とは、以下の症状のことを示します。

  • 小刻み歩行
  • 手足の震え
  • 前傾姿勢
  • 動作の緩慢さ

パーキンソン症状が現れると、身体を思うように動かせなくなるため、些細なことで転倒しやすくなります。
レビー小体型認知症介護ではこうした危険回避のため、終始介助者の見守りが必要になることもあります。

記憶障害

レビー小体型認知症の初期では見られませんが、以下のような記憶障害も起こります。

  • 現在の時刻や季節、家族の顔が分からなくなる
  • 自宅を他人の家であると思いこむ
  • 実年齢よりも若い年齢であると思いこむ(例:20代等)

介護者が怒ると、自尊心を傷つけたり興奮状態になったりする恐れがあります。
発症者の自尊心を傷つけないように注意しましょう。

自律神経障害

自律神経障害では、以下のような症状がみられます。

  • めまい
  • 立ちくらみ
  • 排尿障害
  • 便秘
  • 異常発汗 など

 

上記の症状の中でも、めまいや立ちくらみは、転倒や大きなけがにつながる危険性があります。
特に、立ち上がりの際に血圧が下がりやすくなるため注意しましょう。

レム睡眠時行動障害

レビー小体型認知症の方の場合、眠りの浅いレム睡眠時に以下のような行動が見られるようになります。

  • 大声をあげる
  • 暴れる
  • 足や腕を動かす など

 

上記の行動によって自分自身を傷つけたり、近くにいる人にけがをさせてしまったりする恐れがあります。
レム睡眠時行動障害は、レビー小体型認知症の約75%の方に現れるため、留意しながら介護を行いましょう。

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レビー小体型認知症の治療法は何がある?

レビー小体型認知症を根本的に治療する方法はまだ見つかっていません。
そのため、レビー小体型認知症の治療は、以下を目標として行われます。

  • 認知症の進行を遅らせるため
  • レビー小体型認知症の症状を軽くするため
  • 認知症により低下している脳の機能や使われていない神経細胞などを刺激するため
  • 発症者に自信や生きていることを実感してもらうため
  • 発症者に安心感などを与えるため

 

レビー小体型認知症の治療法は、大きく分けて以下の2種類があります。

 

薬物療法

理学療法(非薬物療法)

・認知症の進行を遅らせるため。

・レビー小体型認知症の症状を軽くするため。

・認知症により低下している脳の機能や使われていない神経細胞などを刺激するため。

・発症者に自信や生きていることを実感してもらうため。

・発症者に安心感などを与えるため。


それぞれ解説していきます。

薬物療法

薬物療法とは、主治医の診察・指示のもとで処方された薬を服用する治療法です。

薬物療法では、以下のように発症者の症状に応じた薬が処方されます。

 

症状

処方される薬

記憶障害や認知機能障害

記憶障害や認知機能障害などに対する薬

幻視

幻視などの精神状態に対する薬

パーキンソン症状

パーキンソン症状に対する薬(レボドパ製剤やゾニサミド等)

自律神経障害

自律神経障害によって現れる症状(便秘など)に対する薬

レム睡眠時行動障害

漢方薬など(抑肝散等)

 

ちなみに、レビー小体型認知症発症者の脳内では「アセチルコリン」という神経物質が減少しています。

 

アセチルコリンが減少すると、脳内の情報がうまく伝達できなくなります。

そのため、治療では以下のような薬が使用されます。

  • ドネペジル
  • リバスチグミン
  • ガランタミン など

 

処方薬は医師の指示に従って服用しましょう。

そして気になることがあれば、すぐに主治医や薬剤師などに相談するようにしてください。

 

理学療法

「理学療法」では薬を使用せず、リハビリなどを実施します。

 

レビー小体型認知症に多いパーキンソン病による転倒を防ぎたいという方は、以下のような運動を行いましょう。

  • 散歩をする
  • ストレッチを行う など

 

また、楽しみながら買い物に出かけたり、洗濯などの家事を行ったりすることもおすすめです。

その他にも、以下のようなリハビリがあります。

 

治療法

内容

回想法

思い出を話す、会話を楽しむなど

認知機能訓練

計算やパズルをする、トランプをするなど

音楽療法

懐かしい音楽を聴く、楽器を演奏するなど

 

薬物療法をしている方も、日常生活の中にリハビリを取り入れることをおすすめします。

 

薬物療法には注意を

 

レビー小体型認知症には、薬に対して過敏に反応しやすいという特徴があります。
特に薬の飲み始めや服用後に症状が現れやすくなるため、薬物療法には注意しましょう。

ちなみに、服用時に注意して欲しい薬は以下をご参照ください。

  • 睡眠薬
  • 風邪薬
  • 胃腸薬
  • 抗精神病薬
  • 過活動膀胱治療薬 など

 

また、薬に対して過敏に反応した際に現れやすくなる症状は以下の通りです。

  • めまいやふらつきを感じるようになった
  • 転倒が増えた

 

さらに、以下のような症状も現れやすくなります。

 

症状

症状例

認知機能障害の悪化した

服用前よりもできないことが増えた等

精神状態の悪化した

服用前よりもイライラの頻度が増えた等

自律神経症状の悪化

服用がきっかけで便秘になった等

パーキンソン症状の悪化

服用前よりも身体の動きが硬くなった等


薬物治療を行う場合には、様子を見ながら治療を進めることをおすすめします。

レビー小体型認知症の方の介護方法

レビー小体型認知症の方の介護は、幻視への対処に頭を悩ませたり、パーキンソン症状の発症により身体的な負担が増加することが問題となり得ます。

幻視とパーキンソン症状が見られた際の介護の方法に関する注意点などをお伝えします。

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レビー小体型認知症の介護方法とは?

レビー小体型認知症の方を介護する場合は、以下の症状に注意する必要があります。

  • 幻覚や錯視
  • 睡眠時の異常行動
  • うつ症状
  • パーキンソン症状

 

では、上記の症状に対して、一体どのように介護すべきでしょうか。
症状別にそれぞれ解説していきます。

幻視と錯視

まずは、幻視や錯視の症状があるレビー小体型認知症の方を介護する方法についてです。
幻視や錯視が現れている方の症状は以下をご参照ください。

 

症状名

症状について

症状例

幻視

実際にはいないはずのもの(人や虫など)が見える

現実にはいないはずの動物が見える等

錯視

身の回りにあるものや模様などを、違うもの(人の顔や蛇など)であると見間違える

壁の模様やシミなどが虫や人の顔であると錯覚する等


上記の症状が現れた場合は、認知症の方を否定しないように注意しましょう。
そして、認知症の方が落ち着くように、以下のような対応を行うようにしてください。

 

じっくりと話を聞く

不安を解消するような声掛けを行う

症状を引き起こしているものを片づけたり、取り除いたりする

興奮などの症状が落ち着くのを待つ

部屋が暗いと症状が出現しやすくなるため、照明を調節する

幻覚や錯視で見えているものが、認知症の方に危害を与えないことを伝える

散歩に出かけるなどの気分転換を提案する

危険なもの(刃物等)を近くに置いておかないようにする

認知症の方が興奮して転倒し、足をケガしないように注意する

認知症の方が興奮して、家から飛び出たり事故に遭ったりしないように、本人や家族の安全を第一に考える

 

睡眠時の異常行動

 

睡眠時の異常行動はレム睡眠時に起こります。
睡眠中は、レム睡眠とノンレム睡眠を繰り返しているため、まずは本人の安全を確保して見守りましょう。

様子を見ているうちにノンレム睡眠へ移行すると、症状は穏やかになっていきます。

中には、睡眠時の異常行動を目の当たりにし、心配で起こそうとする介護者の方もいると思います。
しかし、無理に起こすと夢と現実が混同する恐れがあります。
また、混乱から介護者などに暴力をふるう場合もあるため、注意する必要があります。

介護者や認知症の方本人を守るためにも、以下のような対策もあわせて行いましょう。

  • 万が一ベッドから落ちても大ケガをしないように、ベッドの高さを一番低くしておく
  • 転倒しないように、通行の妨げとなりそうな障害物を取り除いておく など

 

うつ症状

レビー小体型認知症の方は、初期の段階からうつに似ている症状が現れやすくなります。
具体的にいうと、以下のような症状が挙げられます。

  • 食欲がない
  • 不眠
  • 以前よりも元気がない

上記の症状が現れた際に怒ったり注意したりすると、症状が悪化する恐れがあります。
症状を悪化させないためにも、まずは認知症の方に話を聞きましょう。

パーキンソン病

パーキンソン病のような症状が出現すると、転倒の危険性が非常に高くなるため注意しましょう。
そのため、介護者は転倒を予測した介護を行う必要があります。

具体的にいうと、以下のようなことを心がけると良いでしょう。

  • 低めの段差でも転倒のリスクがあるため、歩行を急かさない
  • 突然声を掛けて驚かせると転倒する危険性があるので注意する
  • 認知症の方の服を引っ張ると、バランスを崩しやすくなるため注意する など

介護者は、万が一歩行時にバランスを崩しても、サポートできる立ち位置で介助を行いましょう。

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介護をするならまずは要介護認定を

介護をするなら、まずは要介護認定を受けましょう。
次は、要介護認定について解説していきます。

要介護認定とは?

 

そもそも要介護認定とは、日常生活の中で必要となる介護の度合いを、客観的に数値化したものです。
介護サービスを受けるには、要介護認定を受ける必要があります。

ちなみに、介護や支援が必要な場合には、要介護もしくは要支援に認定されます。

  • 要支援1
  • 要支援2
  • 要介護1
  • 要介護2
  • 要介護3
  • 要介護4
  • 要介護5

 

要介護認定で受けられるサービス

 

要介護認定を受けると、介護保険のサービス利用が可能となります。
介護保険は、限られた財源や介護サービスを本当に必要な方が利用できるような仕組みの制度です。

そのため、要介護認定を受けることで、介護保険による金銭的な援助なども受けられるようになります。
また、認定された要介護度などの区分により、利用できるサービスや回数なども決まります。

施設入居には要介護認定が必要?

 

介護施設ごとに、入居可能な要介護度などが定められていることも珍しくありません。
そのため、まずは要介護認定を受ける必要があります。

では、要介護認定はどこで受けることができるのでしょうか。

要介護認定はどこで受けられる?

 

要介護認定は、市町村の職員などの調査員が自宅などを訪問して行います。

ちなみに、要介護認定で調査員は、以下について聞き取り調査などを行います。

  • 要介護認定を受ける方の心の状態・身体の状態
  • 日常生活での様子
  • 家族や住まいの環境 など

 

要介護認定を受けるには申請が必要となります。
そのため、要介護認定を受けたい方は、居住の市町村にある窓口で申請手続きを行いましょう。

備考ですが、認知症の方本人が申請できない場合には、家族が代理で申請を行うことができます。
どこに窓口があるのか分からないという方は、市役所などの総合案内で相談することをおすすめします。

薬の使い方

レビー小体型認知症の介護保険

レビー小体型認知症の方の介護を行ううえで知っておくべき介護サービスとして、訪問介護や通所介護、住宅改修サービス、施設入所についてご紹介します。

訪問介護(ヘルパー)

訪問介護は、自宅へ介護スタッフが訪問し身体介護のほか生活介護までを行う介護保険サービスです。

身体介護では、食事、入浴、排泄といった介護を受けることができます。

生活介護では食事準備や掃除、洗濯といった内容を代行してもらうことができます。

通所介護(デイサービス)

通所介護は、他者との交流を目的としながら施設へ通い、食事や入浴介護サービスを受けることができるサービスです。

また、午前中から夕方まで通い先の施設で介護を受けられるため、家族は自分の時間を確保することも可能です。
レビー小体型認知症の方の介護は、定期的に通所介護サービスを利用することで負担軽減を図れます。

住宅改修費支給

パーキンソン症状の進行により転倒の危険性が高い場合、住宅を改修することで転倒リスクを軽減させられる場合があります。

要介護者が安全に在宅生活を送れるように、手すりや段差解消、玄関スロープの改修費用を区市町村が一部負担してくれます。
一般的には20万円まで保険が適用されます。

しかし、自治体によっては対象となる改修内容が違う場合もあるため、お住まいの地域の介護保険窓口まで相談することがおすすめです。

施設入所

レビー小体型認知症の方の介護では、症状が進行すれば施設入所が必要になる場合もあります。

要支援2以上であればグループホーム、要介護1以上であれば介護老人保健施設、要介護3以上であれば特別養護老人ホームへの入所が可能です。
施設によっては例外もあるため、事前の確認が必要です。

かかりつけ医療機関の医療ソーシャルワーカーや、担当のケアマネジャーなどに相談することで、病状にあった施設を紹介してもらえます。

 

レビー小体型認知症の方の介護のまとめ

レビー小体型認知症の方の介護のまとめ

ここまで、レビー小体型認知症の方の介護に関する利点や実践内容などを中心にお伝えしてきました。
内容をまとめると以下の通りです。

  • レビー小体型認知症の症状は、幻視、パーキンソン症状、記憶障害など
  • 介護では、気持ちのケアや転倒防止策が重要
  • 在宅介護保険サービスでは、訪問介護や通所介護、施設入所などが利用できる。

これらの情報が少しでも皆様のお役に立てば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。

監修者 メディカル・ケア・サービス

  • 認知症高齢者対応のグループホーム運営
  • 自立支援ケア
  • 学研グループと融合したメディア
  • 出版事業
  • 社名: メディカル・ケア・サービス株式会社
  • 設立: 1999年11月24日
  • 代表取締役社長: 山本 教雄
  • 本社: 〒330-6029埼玉県さいたま市中央区新都心11-2ランド·アクシス·タワー29F
  • グループホーム展開
  • 介護付有料老人ホーム展開
  • 小規模多機能型居宅介護
  • その他介護事業所運営
  • 食事管理
  • 栄養提供
  • 福祉用具販売
  • 障がい者雇用

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