アルツハイマー病と認知症の明確な違いがわかりますか?
恐らく混同して考えている方も少なくないと思います。
そこで今回の記事では
- アルツハイマー病と認知症の違い
- アルツハイマー病以外の認知症
- アルツハイマー病とその他の認知症の違い
- アルツハイマー病の症状
- 認知症の完治の可能性
以上の解説をしていきます。
ぜひ最後までお読みください。
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アルツハイマー病と認知症の違い
アルツハイマー病というのは、認知症の原因疾患の一つです。
一方、認知症は病気ではなく、病気によって引き起こされる症状のことです。
認知機能の低下により、社会生活や日常生活に支障を来した状態です。
アルツハイマー病は、脳にアミロイドβというタンパク質の蓄積が原因で、認知機能の低下を引き起こす病気です。
脳に蓄積した異常たんぱくは、やがて脳神経細胞を破壊します。
脳神経細胞が破壊されることで、さまざまな脳器官が働かなくなった結果、認知機能が低下します。
認知機能の低下により、日常生活に支障をきたすと認知症と診断されます。
アルツハイマー病を原因疾患として認知症に至った場合は、アルツハイマー型認知症と呼ばれます。
アルツハイマー病によって、日常生活を送るのも困難な高齢者の方がいます。もし、周りにアルツハイマー病で苦しんでいる方がいたら、どのように対処すべきなのでしょうか?今回はアルツハイマー病について、以下の項目を中心に解説します。アルツ[…]
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アルツハイマー病以外の認知症
アルツハイマー病以外の、認知症のタイプを紹介します。
レビー小体型認知症
脳にレビー小体というタンパク質が蓄積したことによって起こる認知症を、レビー小体型認知症と言います。
レビー小体の蓄積によって脳神経細胞が減少し、認知機能が低下します。
レビー小体型認知症の症状には波があり、一日の中でも認知機能や体調が大きく変動し、とくに夕方は不調になりやすいです。
顕著な症状としては、例えばパーキンソン症状や幻視・幻覚が挙げられます。
特に幻覚や幻視は、記憶障害に先んじてあらわれることが多い症状です。
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血管性認知症
血管性認知症は血管障害が引き金となって、発症します。
脳の血管障害とは、例えば脳梗塞・くも膜下出血が挙げられます。
脳血管が損傷を受けるために、損傷部位周辺の脳神経細胞が壊死し、認知機能の低下が起こります。
血管性認知症では、認知症の症状の差が激しいです。
最近は落ち着いていたのにある日いきなり悪化することはよく見られるそうです。
また転びやすくなる、感情が不安定などの症状も見られる場合もあります。
脳梗塞や脳出血など、脳の血管に障害が起こることで発症する脳血管性認知症。脳血管性認知症はどのような症状があるのかを知っていますか?今回は脳血管性認知症の原因や症状についてご紹介した上で、診断方法や治療法をご紹介します。[…]
前頭側頭型認知症
タウタンパク質などの異常物質の蓄積により、前頭葉と側頭葉が萎縮することで起こります。
前頭側頭型認知症で見られる症状は人格変貌や言語障害です。
前頭葉が害されると、理性のブレーキが効かなくなり、人が変わったような振る舞いをするようになります。
他の認知症と比べて大きな違いは、40代~60代で発症することが多いそうです。
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アルツハイマー病の症状
アルツハイマーを含め認知症の症状は大きく以下の2つに分かれます。
- 中核症状
- 周辺症状
それぞれの症状についてご紹介します。
中核症状とは?
中核症状は一般的に認知症の方全般にあらわれる症状です。
脳の障害により脳の細胞が壊れて細胞が担っていた役割が失われる症状が中核症状です。
中核症状には以下のような症状があります。
【記憶障害】
もの忘れや少し前の出来事が思い出せない、覚えているはずの事が思い出せないなどの症状です。
認知症の初期に見られる症状です。
【見当識障害】
見当識障害は、今自分がいる状態の把握ができない症状です。
今日の年月日や季節、今いる場所、周りにいる人との関係性などがわからなくなります。
その他、「理解・判断力の障害」「実行機能障害」「失語・失認・失行」などがあります。
周辺症状とは?
周辺症状は「認知症の行動・心理症状(BPSD)」と呼ばれています。
周辺症状は、中核症状が原因となって行動や心理症状にあらわれます。
周辺症状は心理状態によるものなので、あらわれ方に個人差があります。
周辺症状は中核症状と違い、適切な対応やリハビリで改善することがあります。
周辺症状には以下のような症状があります。
【不安・抑うつ】
認知症になると、認知機能の衰えから日常生活にさまざま支障が生じます。
今までできたことができないことで、気分が落ち込む抑うつ状態になることがあります。
【徘徊】
中核症状の影響、ストレス、不安など複合的な要因が重なり徘徊が起こることがあります。
その他、「弄便」「物盗られ妄想」「せん妄」「幻覚」「幻聴」「暴力・暴言」などがあります。
アルツハイマー病とその他の認知症の違い
アルツハイマー病と、レビー小体型認知症・血管性認知症の違いについて解説します。
脳の変化
アルツハイマー病では、脳全体、特に海馬が萎縮します。
レビー小体型認知症は、萎縮があまり見られません。
血管性認知症では、前頭葉・側頭葉・後頭葉を中心に、大小の梗塞があることが一般的です。
前頭側頭型認知症では前頭葉・側頭葉が徐々に萎縮していきます。
男女比
アルツハイマー病は、男性より女性の発症率が高く、男女比はおよそ1:2です。
女性の発症率が多い理由として、平均寿命が長いことや閉経に伴うホルモンバランスの乱れが挙げられます。
一方、血管性認知症患者の男女比は、およそ2:1です。
アルツハイマー病と男女比が逆になります。
レビー小体型認知症は、やや男性の方が数が多いものの、その他の認知症と比べると、男女差にさほど大きな違いはありません。
前頭側頭型認知症は男女差はありませんが、40代~60代の比較的若い世代で発症することが多いそうです。
特徴的な症状
アルツハイマー病の特徴的な症状は、記憶障害です。
原因は、記憶を司る海馬が著しく萎縮するためです。
レビー小体型認知症では、アルツハイマー病ほど、記憶障害は目立ちません。
そのかわり、身体が自由に動きにくくなるパーキンソン症状や、幻視等の症状が目立ちます。
血管性認知症は、脳が損傷を受ける部位により、あらわれる症状が異なります。
血管性認知症では、症状そのものより、症状のあらわれ方に、大きな特徴があります。
「できること・できないこと」の差が大きくさらに短時間で症状が大きく変動しやすい点が、他の認知症との大きな違いです。
前頭側頭型認知症は失語症状や理性的ではない行動が見られる症状です。
徐々に無気力や無関心の症状も見られることもあるそうです。
進行
アルツハイマー病の進行は、非常にゆるやかです。
本格的な症状があらわれる10年以上前から認知症を発症していた、というケースも少なくありません。
症状が急激に悪化することは少なく、一般的には、徐々に認知機能が低下していきます。
一方、レビー小体型認知症は、症状が良い時と悪い時を繰り返します。
ただし、症状に変動はあっても、認知機能自体はゆっくり低下していきます。
血管性認知症の場合、脳卒中などの発作が起こるたびに、症状が進行しています。
他の認知症と比べて、症状が急激に悪化しやすい点も大きな特徴です。
前頭側頭型認知症は進行速度がアルツハイマー病やレビー型認知症と同様にゆるやかです。
認知症は治る場合もある?
認知症は、基本的に、完治は見込めません。
アルツハイマー病は脳神経細胞が破壊される疾患ですが、一度破壊された脳神経細胞は、二度と元には戻らないからです。
ただし、認知症の中には、完治が見込めるタイプもあります。
該当するのは、脳腫瘍、特発性正常圧水頭症、甲状腺機能低下症などです。
治癒が見込める理由は、認知症の原因が脳細胞の減少ではなく、脳への刺激だからです。
認知症の原因である脳への刺激を取り除くことで、認知症の治癒が期待できます。
例えば脳腫瘍は、腫瘍が脳神経細胞を圧迫するため、認知機能に障害が起こります。
特発性正常圧水頭症は、頭蓋骨内に髄液が溜まり、脳神経細胞の働きが阻害されます。
脳神経細胞を圧迫する原因、すなわち腫瘍や髄液を取り除けば、認知症の消失が期待できます。
一方、甲状腺機能低下症は、甲状腺ホルモンの減少により、認知症によく似た症状が出ます。
なお、治療ができるタイプの認知症であっても、原因疾患の発見が遅れると、十分な効果が得られないこともあります。
早期発見のためにも、気になる症状があれば、早めに病院を受診しましょう。
アルツハイマー病と認知症の違いのまとめ
ここまで、アルツハイマー病と認知症の違いについて書いてきました。
この記事のポイントをおさらいすると以下の通りです・
- アルツハイマー病は、アルツハイマー型認知症の原因疾患
- 他の代表的な認知症は、レビー小体型認知症・脳血管性認知症・前頭側頭型認知症がある
- アルツハイマー病とその他の認知症は、特に症状が認知症ごとに違いが見られる
- アルツハイマー病の主な症状は記憶障害・見当識障害・実行機能障害
- 認知症の原因が脳細胞の減少ではなく、脳への刺激である場合は、刺激を取り除くことで認知症の治癒が期待できる
これらの情報が少しでも皆さまのお役に立てば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。