ストレスは、さまざまな病気の発症リスクを高めます。
アルツハイマー病もそのうちの一つです。
ストレスとアルツハイマー病には、どのような関係があるのでしょうか?
本記事では、ストレスとアルツハイマー病の関係について、以下の点を中心に解説します。
- ストレスがアルツハイマー病を引き起こす原因
- ストレスによるアルツハイマー病の悪化
- ストレスの解消法
アルツハイマー病の予防効果を高めるためにもご参考いただけますと幸いです。
ぜひ、本記事を最後までお読みください。
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ストレスとは
ストレスとは、外部からの刺激に対する身体的・精神的な歪みのことです。
なにかの圧力を受けたときに嫌だと反応することが歪み、すなわちストレスにあたります。
ストレスが溜まる原因は、人によってさまざまです。
一般的には仕事が忙しい、同僚とうまくいかないなど、仕事や対人関係に原因があることが多いです。
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ストレスがアルツハイマー病を引き起こす原因
ストレスが、アルツハイマー病の原因になることが分かっています。
ストレスによるアルツハイマー病の原因は、直接的原因と間接的原因の二種類に分けられます。
直接的原因
直接的原因は、ストレスが脳神経細胞を減少させることです。
ストレスが脳神経細胞を減少させる仕組みには、2パターンあります。
一つ目は、ストレスによる脳内の血流悪化です。
ストレスが脳内の血流を悪化させるのは、コルチゾールの分泌に関わるからです。
コルチゾールは、なんらかのストレスを感じた時に分泌されるホルモンで、ストレスホルモンとも呼ばれます。
コルチゾールが分泌されると、心拍数が上がって血圧が上昇します。
血液が心臓に集められる一方で、末端の血管は収縮し、全身の血流が悪くなります。
脳に血液が届きにくくなるため、脳機能の維持に必要な酸素や栄養の配達も滞りやすくなります。
結果、脳神経細胞が死んでしまい認知機能が低下します。
二つ目の仕組みは、ストレスホルモンによる脳神経細胞への直接攻撃です。
ストレスホルモンに攻撃された部位は、破壊され、萎縮します。
とくに萎縮しやすい部位は、海馬です。
海馬は、記憶を司る器官です。
海馬が委縮して記憶力・認知機能が低下した状態が、まさしくアルツハイマー病に該当します。
間接的原因
ストレスは、間接的にもアルツハイマー病の発症に関わります。
理由は、ストレスが生活習慣病のリスクを高めるためです。
ストレス解消のために、飲酒・喫煙・暴食の機会が増えることは少なくありません。
飲酒や喫煙、暴食は、動脈硬化のリスクを高めます。
動脈硬化は、全身の血流を悪化させます。
血流悪化は脳の血行不良を起こし結果として認知症のリスクを上げます。
さらに、動脈硬化は脳卒中や心臓疾患のリスクも高めます。
脳卒中や心臓疾患によって、寝たきり状態になると認知症の発症確率が上がります。
寝たきり状態になると脳への刺激が減り、脳の老化が早まるからです。
あるいは、飲酒・喫煙そのものが脳の血行不良の要因でもあります。
つまり、ストレスは脳に悪影響のある生活習慣・行動の元となることから、アルツハイマー病の間接的原因となりえます。
もう一つ、ストレスが間接的に認知症に関わるパターンがあります。
ストレスによるうつ病です。
うつ病は、アルツハイマー病などの認知症に移行することがあります。
よって、ストレスによってうつ病の危険性が高まると同時に、アルツハイマー病の発症リスクも高まるのです。
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ストレスによるアルツハイマー病の悪化
すでにアルツハイマー病を発症している場合、ストレスが症状を悪化させることがあります。
前述の通りストレスは、さまざまな角度から脳内の血流を悪化させます。
脳の血流の悪化は、脳神経細胞の減少に拍車をかけるため、アルツハイマー病の症状がどんどん進行してしまいます。
また、ストレスによって分泌されるストレスホルモンは脳神経細胞を攻撃します。
攻撃を受けた脳神経細胞は壊死するため、アルツハイマー病の進行を早めます。
ストレスがアルツハイマー病の進行を早めるのには、もう一つ理由があります。
ストレスによるアミロイドβの生成です。
アミロイドβとは、アルツハイマー病の原因物質です。
具体的には、脳の海馬にアミロイドβが蓄積し、海馬を萎縮させることでアルツハイマー病を発症します。
アミロイドβはもともと脳内で生成された、たんぱく質の分解物です。
本来なら無害なものとして排出されますが、何らかの原因により脳内で有害なゴミに変化することがあります。
ストレスは、アミロイドβを有害なゴミに変化させる原因の1つです。
認知症の方がストレスを受けると、アミロイドβがますます蓄積されるため症状を悪化させるおそれがあります。
以上のように、ストレスは脳の血流悪化、脳神経細胞の攻撃、アミロイドβの蓄積を促します。
いずれも脳神経細胞の減少させるため、アルツハイマー病の悪化につながります。
アルツハイマー病を予防するストレス発散法
アルツハイマー病を予防するには、ストレスを溜めないことが大切です。
有効なストレス発散方法を三つご紹介します。
ポジティブに考える
物事をポジティブに捉えるようにしましょう。
ネガティブ感情は、ストレスの元になります。
何事に対してもポジティブでいると、自己肯定感が高まります。
自己肯定感が高まると、不安や嫉妬などのネガティブ感情がわきにくくなります。
自律訓練法
自己暗示によって、全身の緊張やストレスを解いていく方法です。
リラックスした姿勢を取り、手が重たい、手が温かいなどと唱えながら、意識して全身の緊張を解いていきます。
マインドフルネス
いわゆる瞑想です。
今の自分の状態に集中することで雑念を振り払い、心を安定させます。
一般的なやり方はリラックスして座り、目を閉じて自分の呼吸に集中するというものです
ストレスはうつ病にも関係する?
うつ病は、アルツハイマー病に発展する可能性のある疾患です。
うつ病の原因の多くは心理的ストレスです。
そのためうつ病は心の病気だと思わがちです。
しかし実際はうつ病は脳の変化によって起こる疾患です。
具体的には、脳のホルモンバランスが崩れることが原因です。
まず前提として心や体が正常でいられるのは、脳内の情報伝達が守られているからです。
情報伝達は神経伝達物質が、脳からのさまざまな指令を各器官に伝えることで成り立っています。
神経伝達物質に何らかの異常が起こると情報伝達が滞るようになります。
各器官に適切な指令が届かなくなるため、心身にさまざまな不調があらわれます。
神経伝達物質の異常により心身に不調をきたした状態がうつ病です。
具体的な症状には不安、悲観的思考、無気力などがあります。
それではなぜ、神経伝達物質に異常が起こるのでしょうか。
理由はストレスです。
ストレスを受けてストレスホルモンが分泌されると、神経伝達物質のバランスが壊れます。
よって過剰なストレスは、うつ病のリスクを高めるというわけです。
【うつ病の原因となるストレスの例】
- 親しい人との死別
- 離婚
- 重い病気
- 仕事
- 人間関係
- 失業
- 子どもの独立
- パワハラ・DV
- 失業・転職・昇進・異動・閉経・出産などによるホルモンバランスの乱れ
また、うつ病になる人は体質的にストレスに弱いという報告があります。
具体的にはストレスホルモンが出やすいのです。
ストレス時にはストレスホルモンが分泌されますが脳のバランス機能により、分泌はいずれ止まります。
しかし中には、ストレスホルモンが止まりにくい体質の方がいます。
よって一度でもストレスを受けると、ストレスホルモンが過剰に分泌されることになります。
過剰に分泌されたストレスホルモンは、脳や神経伝達物質にダメージを与え、うつ病のリスクを高めます。
アルツハイマー病とストレスのまとめ
ここまで、アルツハイマー病とストレスにについてお伝えしてきました。
要点を以下にまとめます。
- ストレスによる血流の悪化や生活習慣病が、アルツハイマー病の原因となる
- ストレスは、血流悪化やアミロイドβの生成により、アルツハイマー病を悪化させる
- ストレスの解消法は、ポジティブ思考、自立訓練法、マインドフルネスなど
これらの情報が少しでも皆さまのお役に立てば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。