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健達ねっと>認知症を学ぶ>アルツハイマー病と前頭葉の関係は?徹底解説します!

アルツハイマー病と前頭葉の関係は?徹底解説します!

記憶力や判断力が徐々に低下していくアルツハイマー病。
アルツハイマー病は、脳の萎縮が原因となって発症します。

脳の中でも、前頭葉の萎縮もアルツハイマー病に関係することをご存知ですか?

本記事では、アルツハイマー病と前頭葉の関係について以下の点を中心にご紹介します。

  • 前頭葉について
  • アルツハイマー病と前頭葉の関係
  • 脳が萎縮する原因
  • アルツハイマー病の主な症状

疑問を解消するためにも、参考にしていただけると幸いです。
ぜひ本記事を最後まで読みください。

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前頭葉とは


前頭葉とは、大脳の前方にある領域です。
主に「運動」「言語」「感情」をコントロールしています。

なお、前頭葉は、以下の6つの領域に細分化されます。

障害を受ける領域によって症状が異なる点に注意が必要です。

【前頭葉の各領域】

  • 前連合野
  • ブローカ野
  • 運動前野
  • 補足運動野
  • 前頭眼野
  • 一次運動野

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前頭葉の障害でアルツハイマー病になる?


前頭葉に障害が起こると、さまざまな認知症症状があらわれます。
具体的には、人格変化や社会性の欠如、記憶力や判断力の低下などです。

上述した通り、前頭葉は感情・運動・言語を司っています。

そのため、障害を受けると、感情や運動機能に支障があらわれます。

前頭葉の障害による諸症状は、アルツハイマー病でも見られます。
一方で、前頭葉の障害が直接アルツハイマー病を引き起こすとは限りません。

アルツハイマー病は、側頭葉の「海馬」という部位が萎縮することで発症します。

ただし、アルツハイマー病の方の中には、側頭葉よりも前頭葉の萎縮が目立つ場合もあります。

なお、萎縮がどの部位で起こるにしろ、萎縮の原因はいずれも同じです。

萎縮の代表的な原因である異常タンパク質の蓄積については以下でご紹介します。

前頭葉に障害をおこすアルツハイマー病の原因


先程、アルツハイマー病は側頭葉の萎縮が原因となって発症するとお伝えしました。

萎縮の原因には、異常タンパク質の蓄積が関係しています。

異常タンパク質とは、アミロイドβやタウタンパクなどのことです。
それぞれについて以下でご紹介します。

アミロイドβ

アミロイドβとは、脳内で生成されるタンパク質です。

通常は無害な老廃物として、体外に排出されます。
しかし、何らかの原因で、「有害なごみ」に変化して、脳に蓄積することがあります。

脳に蓄積したアミロイドβは、「老人斑」というシミを作ります。

老人斑ができた部位は、脳神経細胞が破壊され、萎縮していきます。
脳が委縮すると、情報伝達がスムーズにいかなくなるため、認知機能や運動機能が低下します。

その結果発症してしまう病気が、アルツハイマー病です。

アルツハイマー病では、とくに側頭葉の「海馬」に、アミロイドβの蓄積が目立ちます。

海馬から始まった老人斑は徐々に広がり、やがて前頭葉などの他の領域に至ります。

アミロイドβの蓄積範囲が広がれば、脳神経細胞の損傷部位も広がります。
広い範囲の器官がダメージを受けると、認知機能の低下は次第に重篤化していきます。

タウタンパク質

タウタンパク質は、脳内の情報伝達に欠かせない物質です。
脳内のネットワークを構成しています。

しかし、タウタンパク質は、「異常リン酸化」という変異を起こすことがあります。

異常リン酸化したタウタンパク質は、お互いに結合しあい、脳に蓄積していきます。
簡単に言えば、変異したタウタンパク質同士が大きな塊を作り、脳に蓄積します。

タウタンパク質同士が塊として蓄積することを、「神経原繊維変化」と呼びます。

タウタンパク質の塊が蓄積した部位では、脳神経細胞が破壊されます。

脳神経細胞が破壊されると、脳が萎縮し、認知機能が低下します。

なお、近年のマウスを使った実験では、正常なタウタンパク質も、変異したタウタンパク質と同様に、脳に蓄積することが判明しました。

同調査では、タウタンパク質の蓄積はとくに前頭葉で目立つというデータも出ています。

アルツハイマー病の症状


アルツハイマー病の中でも、中核症状についてご紹介します。

中核症状とは、認知症を発症すれば、必ずあらわれる症状です。
代表的な症状は以下の通りです。

  • 記憶障害
  • 見当識障害
  • 実行機能障害
  • 失行
  • 理解力・判断力の低下

記憶障害は、アルツハイマー病を代表する症状です。
初期段階であれば、通常の物忘れと、さほど違いはありません。

しかし、アルツハイマー病が進行するにつれて、日常生活に支障が出るほどの記憶障害が起こります。

アルツハイマー病の記憶障害の特徴として「忘れたことを忘れる」「体験を丸ごと忘れる」点が挙げられます。

また、実行機能障害とは、物事を計画立てて実行できなくなる障害です。
家事の同時進行などが難しくなります。

症状が多岐にわたるため、介護者も含めてアルツハイマー病を理解することが大切です。

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アルツハイマー病の進行の特徴

介護の相談
アルツハイマー病は、進行がゆるやかなことが特徴です。

進行スピードには個人差があるものの、一般的には、30年以上かけて進行します。

特定の症状だけが急激に悪化することは少ないです。
多くの場合、認知機能が全体的にゆっくりと低下していきます。

理由は、脳の萎縮が海馬に始まり、その後、脳全体に広がっていくためです。

ちなみに、その他の認知症では、進行の仕方が異なります。

たとえばレビー小体型認知症は、症状が良い時と悪い時を繰り返します。
その後、認知機能全体が少しずつ低下していきます。

一方、血管性認知症は、段階的に症状が進行します。
血管性認知症は、脳卒中などの発作ごとに症状が進行する点が特徴です。

薬の使い方

脳が萎縮する場所によって認知症の種類が変わる?


認知症は、脳が委縮する部位によって、いくつかのタイプに分けられます。

アルツハイマー病であれば、海馬の萎縮が目立つことはお伝えしました。
その他の認知症のタイプについて以下で解説します。

レビー小体型認知症

レビー小体型認知症は、大脳が全般的に萎縮するのが特徴です。

アルツハイマー病と比べると、「海馬」の萎縮はさほど目立ちません。

大脳が委縮する原因は、「レビー小体」という異常タンパクが蓄積することです。
蓄積したレビー小体は、やがて脳細胞を破壊し、認知機能の低下を引き起こします。

レビー小体型認知症では、海馬がさほど萎縮しないため、記憶障害はアルツハイマー病ほど顕著ではありません。

血管性認知症

血管性認知症では、脳の萎縮ではなく脳梗塞や脳出血がみられます。

あるいは、血流が低下するほど、脳の血管が細くなっている場合もあります。

血管障害が起こった部位では、脳に血液や酸素が届きにくくなります。
脳細胞は、栄養不足によって壊死し、結果として認知機能が低下します。

前頭側頭型認知症

前頭側頭型認知症は、前頭葉と側頭葉が委縮することで発症します

前頭葉と側頭葉が萎縮する原因は、異常タンパク質の蓄積です。

萎縮が前頭葉・側頭葉から始まる点が、アルツハイマー病と大きく異なります。
そのため、アルツハイマー病のような記憶障害は、初期段階では目立ちません。

代わりに、発症初期は「人格変化」や「言語障害」などが顕著です。

前頭葉と側頭葉が、感情・理性・運動・言語を司る分野だからです。

アルツハイマー病と前頭葉のまとめ

まとめ
ここまで、アルツハイマー病と前頭葉の関係についてお伝えしてきました。
要点を以下にまとめます。

  • 前頭葉は、感情・運動・言語を司る分野
  • アルツハイマー病では側頭葉の萎縮が目立つが、前頭葉が萎縮する場合もある
  • 脳が萎縮する原因は、「アミロイドβ」や「タウタンパク」といった異常タンパク質の蓄積
  • アルツハイマー病の主な症状は、「記憶障害」「見当識障害」「実行機能障害」「失認」

これらの情報が少しでも皆さまのお役に立てば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。

監修者 メディカル・ケア・サービス

  • 認知症高齢者対応のグループホーム運営
  • 自立支援ケア
  • 学研グループと融合したメディア
  • 出版事業
  • 社名: メディカル・ケア・サービス株式会社
  • 設立: 1999年11月24日
  • 代表取締役社長: 山本 教雄
  • 本社: 〒330-6029埼玉県さいたま市中央区新都心11-2ランド·アクシス·タワー29F
  • グループホーム展開
  • 介護付有料老人ホーム展開
  • 小規模多機能型居宅介護
  • その他介護事業所運営
  • 食事管理
  • 栄養提供
  • 福祉用具販売
  • 障がい者雇用

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