認知症はさまざまなことが原因で発症します。
WHOは認知症のリスクを低減するためのガイドラインを公表しています。
本記事ではそのガイドラインで推奨されている12のアプローチの中から「糖尿病の管理」について詳しく解説しています。
- 糖尿病の管理をすることで認知症の発症リスクは抑えられるのか
- 糖尿病の管理をするためには何を行えばよいのか
糖尿病の管理と認知症発症の関連性について理解するためにも、参考にしていただければ幸いです。
ぜひ最後までお読みください。
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糖尿病とは
そもそも糖尿病とは、血糖値を正常値にとどめておくことができず、慢性的に高血糖が続く病気のことです。血糖値を下げる働きを担うインスリンの不足や働きが悪くなることが原因で発症します。
糖尿病にかかると合併症も患ってしまう可能性が高くなり、網膜症、腎症、神経障害、心臓病、脳卒中などの病気のリスクが上がります。
また、糖尿病には1型糖尿病と2型糖尿病の2種類が存在します。
1型糖尿病
1型糖尿病は、ウイルス感染や自己免疫疾患などが原因で、インスリンが出なくなってしまう状態です。
これは肥満や生活習慣などには関係なく発症してしまう可能性があり、毎日のインスリン注射が必要になります。
2型糖尿病
2型糖尿病は、肥満や生活習慣病などが原因で、食事をしてもインスリンがうまく働かない、インスリンが不足するといった状態です。
糖尿病のうち約9割は2型であり、糖尿病患者とその疑いがある人は日本人の1/6、1870万人ほどいるといわれています。
WHOによると、以下の治療法が推奨されています。
- 食事の改善、健康体重の維持、定期的な身体活動
- 目標血糖値に達しない場合は経口血糖降下薬
- メトホルミンの投与
- 目標血糖値に達しない場合メトホルミンに他のクラスの血糖降下薬
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WHOが推奨している糖尿病の管理とは何?
WHOのガイドラインによると、
- 糖尿病の管理は、糖尿病患者の認知機能低下や認知症リスクを低減するために推奨される
とされています。
しかし、エビデンスの質は非常に低く、糖尿病の管理が認知症予防になるとははっきりとはいえません。
WHOは糖尿病と認知症リスクの関連性に関して、以下のような研究を行いました。
- 本題:糖尿病のある認知機能正常または軽度認知障害の成人にとって、糖尿病治療は、認知機能低下や認知症のリスクの低減において、プラセボあるいは介入なしよりも効果的か。
- 対象:認知機能正常または軽度認知障害の糖尿病の成人
- 介入 : 血糖管理のための治療、食事およびライフスタイルへの介入
不良な血糖管理は認知機能の低下や悪化に関連していることや、糖尿病と合併して発症しやすい、腎症(腎臓障害)、網膜症(眼障害)、聴覚障害、心血管疾患といった病気が全て認知症リスクを上げることはもともとわかっていました。
しかしながら、糖尿病と認知症リスクの発症機序は不明であったことから、こういった研究が行われました。
研究の結果
研究の結果として認知機能低下や認知症のリスク低減を目的とした糖尿病の管理は、エビデンスが限られており、明確に推奨することはできないとされています。
しかし、糖尿病が認知機能低下・認知症リスクを高めることを示唆するエビデンスは得られたようです。
したがって、糖尿病の患者に対して血糖の管理を行うことは、認知機能低下・認知症リスクを低減させるために必要なことであるという結論になります。
WHOの糖尿病の管理のまとめ
ここまで糖尿病の管理と認知症の関連性についてお伝えしてきました。
本記事の要点を以下にまとめます。
- 糖尿病患者に血糖の管理を行うことで認知機能低下や認知症のリスクを減らすことが期待できる
- 糖尿病患者に対して効果的な管理は、食事の改善、健康体重の維持、定期的な身体活動、経口血糖降下薬、メトホルミンの投与などがある
これらの情報が少しでも皆様のお役に立てば幸いです。
最後までお読みいただきありがとうございました。