超高齢化社会の日本において、年々増加している認知症。
代表的な記憶障害だけでなく、症状は非常に多岐にわたります。
「こだわりが強くなる」という症状もその内の一つです。
認知症の方の変化に戸惑っている家族も多いのではないでしょうか?
本記事では、認知症の方のこだわりについて以下の点を中心にご紹介します。
- 認知症の方のこだわりの強さ
- こだわりが強くなることで起こるトラブル
- こだわりが強い方への対応法
認知症の理解を深めるためにも、ご参考いただけますと幸いです。
ぜひ最後までお読みください。
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認知症になるとこだわりが強くなる?
介護している方々であっても、認知症の方の言動に戸惑ってしまう場面は多いです。
認知症を発症してからこだわりが強くなったと感じている方も多いと思います。
認知症を発症後、こだわりが強くなるまでのプロセスを詳しく解説します。
認知症になると、一つのことに集中して抜け出せなくなる方がいます。
周囲からの反対や説得があるほどに、こだわりが強くなります。
これをこだわりの法則と呼びます。
認知症を発症すると、判断力や思考力、制御力が徐々にコントロールできなくなります。
そのため、他人からの正論や説得について判断できなくなります。
自分の言動が正しいと思い込み、それがこだわりが強いという症状として現れます。
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こだわりが強くなることで起こるトラブル
ここまで、こだわりの法則についてご紹介しました。
そのこだわりの強さがエスカレートすると、家族間を超えた思わぬトラブルに繋がることもあります。
どのようなケースがあるか解説していきます。
買い物に出かけると毎日同じものを買ってくる
例えば、毎日特定の食材を買ってくる場合はその食材に関する出来事にこだわりを持っているのかもしれません。
「自分の子供が好きなメニューを作りたい」「このメニューを作ると家族が喜んでくれる」とこだわりがある方もいます。
買い物をしたという記憶自体が無くなっているため同じ行動を起こしている場合もあります。
食事や入浴を促すと機嫌を損ねる
今の環境や状況を判断する機能が低下した失認が一因かもしれません。
たとえば、「目の前にあるのは食べ物である」「身体を洗うために入浴をする」という判断ができない方もいます。
自分の嫌がる気持ちをそのまま出してしまうケースも考えられます。
自分が座りたい席に座れないと気が済まない
席順や使用者が特に決まっていない場合でも自分の席に他人が座っていると思い込んでしまう方もいます。
施設の他の利用者たちとのトラブルになることもあります。
自分の場所というこだわりが強くなり、他人の介入が許せないと思う気持ちからの言動です。
お金を盗られたという被害妄想を抱く
物盗られ妄想という認知症の初期に頻繁に現れやすい言動です。
家族やヘルパーなど、普段親身な方にでも盗まれたと思う場合もあります。
自分が記憶障害かもしれないと認めたくないという気持ちから誰かを犯人にすることもあります。
こだわりが強くなる前の認知症症状
不安が多い介護生活の中で、前触れなく上記のようなトラブルが起こると困ってしまいます。
こだわりが強くなる前に起こる症状を理解し、事前に対処する準備を整えておくといいかもしれません。
以下で解説していきます。
認知症の最も基本的な症状は記憶障害です。
重度の物忘れに始まり、段々と体験を丸ごと忘れる、現在から過去にさかのぼって記憶が抜けていくという特徴があります。
最初は同じ話を何度も繰り返すような症状が現れます。
そのうち今さっき食事をしたという出来事を忘れて「食事はまだか?」など、より症状が進行すると高齢者である親が「自分は18歳だ」と発言することもあります。
ここで軸となるのは、本人が思ったことが本人にとっては事実であるということです。
先述したこだわりの強さも、本人にとっては事実であるため、自分の正しい主張を通したいゆえの行動とも捉えることができます。
こだわりが強くなった後の認知症症状
こだわりの強さが現れ、他人を攻撃している場合は認知症が重度まで進行している可能性が高いです。
重度の認知症になると、脳の動きだけでなく、身体の動きも難しくなります。
排せつや入浴など、生活のほぼ全てにおいて介護が必要な状態になります。
この段階での介護者としては、不安やストレスを多く抱えていることでしょう。
自分の家族に対しても感情的になってしまうことも不思議ではありません。
介護者の心理は、戸惑いや否定、混乱、諦めなどを通し、最終的には受容のステップがあるといわれています。
受容とは、認知症の方や介護をしているご自身、そして認知症そのものに対して価値を認めていく段階です。
いつか受容ができることを思いながら、ゆっくり焦らず認知症と向き合うことも指標の一つとして胸にとどめておくといいでしょう。
こだわりが強い認知症の方への対応法
介護をするということは、不安やストレスが多くのしかかっている状態です。
そのようなときに、認知症によるこだわりの強さでトラブルに巻き込まれると、心理的にも身体的にも負担になるでしょう。
認知症によるこだわりが強い方への対応法を記載しますので、ぜひ参考にしてください。
否定しない
認知症の方のこだわりを否定すると、その否定による不満や疑いの気持ちが別のこだわりを生む可能性もあります。
否定せず、命に関わるような差し迫った状況でない限り、そのまま放置するのも一つの手段です。
また、なぜその人がこのこだわりを持っているかという原因を考えて解消できるかもしれません。
専門家へ相談
介護が必要な生活の中では、家族間では解決できない悩みはあるはずです。
そのようなときは家族だけで悩まず、専門家への相談も検討してみてはいかがでしょうか?
認知症そのものに対する悩み、介護についての悩み、さらには認知症の方のトラブルに対する悩みなど、幅広い事情があるかもしれません。
かかりつけ医だけでなく、介護サービスや相談窓口、消費者センターなど、様々な相談先を検索してみてください。
注意をそらす
認知症でこだわりが強くなった方を説得するのは、介護者にとっても労力が必要となります。
説得よりも、そのこだわりから関心が無くなるよう注意をそらすこともおすすめです。
例えば、趣味や好きなことに関心が向くようにしてみてはいかがでしょうか?
まとめ:認知症の方のこだわり
ここまで、認知症の方のこだわりについてご紹介しました。
要点を以下にまとめます。
- 認知症になると判断力や思考力、制御力が低下し、自分こそが正しいと思い込む場合がある
- こだわりの強い認知症の方は、不機嫌になりやすくトラブルを招きやすい
- 認知症の方のこだわりが強い場合は、否定せず、注意をそらすことが大切
これらの情報が少しでも皆様のお役に立てば幸いです。
最後までお読みいただきありがとうございました。