近年、若くして認知症を発症する「若年性認知症」が増加しています。
果たして、どのような人が若年性認知症になりやすいのでしょうか?
発症リスクを把握し、日々の予防効果を高めることが大切です。
本記事では、若年性認知症になりやすい人の傾向について以下の点を中心に解説します。
- 若年性認知症について
- 若年性認知症になりやすい性格
- 若年性認知症になりやすい病歴
- 若年性認知症になりやすい生活習慣
若年性認知症のリスクを把握するためにも、ご参考いただけますと幸いです。
ぜひ本記事を最後までお読みください。
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若年性認知症とは
若年性認知症は、65歳未満の方が発症する認知症です。
高齢者の認知症との違いは発症年齢で、症状自体に大きな差は見られません。
ただし、若年性認知症では、原因疾患のうち血管性認知症が大きな割合を占めるのが特徴です。
血管性認知症とは、脳の血管障害を原因とする認知症です。
その他、若年性認知症ではアルコール性認知症やスマホ認知症などもあります。
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若年性認知症になりやすい人って?
若年性認知症になりやすい人について、「性格」「病歴」「生活習慣」の3つの観点から解説します。
若年性認知症になりやすい性格
若年性認知症になりやすい人の性格を解説します。
協調性がない
協調性がない場合、その方は認知症になりやすい人といえます。
協調性がない方は、他人とのコミュニケーションが少なくなるからです。
他人とのコミュニケーションは、脳を活性化させます。
活性化により、脳が老化しにくくなるため、認知症のリスクが下がります。
反対に、他人とあまりコミュニケーションを取らない方は、脳への刺激が少なくなります。
そのため脳が老化しやすく、若年性認知症のリスクが上がります。
短気で怒りやすい
短気で怒りっぽい方も、認知症になりやすい人にあてはまります。
怒りっぽい方は、他人との円滑なコミュニケーションが取れないことが多く、周囲から避けられる傾向があります。
簡単に言うと孤立するため、その分、他人とのコミュニケーションは少なくなりがちです。
ネガティブになりやすい
ネガティブになりやすく、小さなことを気にする性格は、若年性認知症のリスクが高いです。
ストレスを感じやすいため、うつ病を発症する可能性が高まります。
うつ病になると一人で閉じこもりやすくなるため、他人との交流が少なくなります。
よって脳への刺激が減少し、若年性認知症のリスクが高まります。
人との交流を避ける
人との交流を避ける方は、認知症になりやすいです。
たとえば、「他人に迷惑をかけたくない」「なんでも自分でやらないと気が済まない」性格の方があてはまります。
自立心が高い方は、身の回りのことを自分で済ませる傾向が強いため、他人と接触する機会が減るからです。
しっかりした性格の方であっても、やはり外部との接触が減少すると、その分、脳の働きは鈍くなりやすいです。
若年性認知症になりやすい病歴
以下の病歴がある方は、若年性認知症になりやすい人にあてはまります。
脳卒中
具体的には、脳梗塞、くも膜下出血、脳出血などがあります。
いずれも脳血管が損傷するため、脳機能が低下しやすくなる病気です。
脳卒中は、とくに「血管性認知症」とかかわりの深い病気です。
血管性認知症は、若年性認知症の中でも大きな割合を占めています。
糖尿病
糖尿病によって、血糖値が高い状態が維持されると、認知機能が低下しやすくなります。
実際に、糖尿病の方は、認知症リスクが2倍~4倍高いというデータもあります。
糖尿病は動脈硬化を引き起こすため、ひいては脳卒中のリスクを高めます。
脳卒中は、認知症の発症率を上げる疾患です。
さらに、糖尿病は血糖値を下げる物質「インスリン」のバランスにも関わります。
インスリンは、アルツハイマー型認知症の原因物質である「アミロイドβ」の分解作用があります。
糖尿病によってインスリンに異常が起こると、アミロイドβが蓄積しやすくなり、アルツハイマー型認知症のリスクが上がります。
高血圧
高血圧の方も、認知症になりやすい人に該当します。
高血圧は、動脈硬化による脳卒中のリスクを高めるからです。
また、動脈硬化は全身の血流を悪くするため、脳の血行不良を引き起こすことがあります。
脳の血流が悪くなると、脳細胞が酸素不足に陥り、認知症のリスクが高まります。
若年性認知症になりやすい生活習慣
認知症になりやすい人の生活習慣を解説します。
運動をしない
運動不足は認知症のリスクを高めます。
運動をしないと、運動に関わる脳分野を使わなくなるからです。
つまり脳が不活性化するため、脳機能が低下しやすくなります。
また、運動不足は全身の血流が悪くなるため、高血圧や脳卒中などのリスクが高まります。
頻繁な喫煙
ヘビースモーカーは、若年性認知症になりやすい人にあてはまります。
タバコは動脈硬化のリスクを高めるからです。
さらに喫煙中は、一時的に血圧が上がるというデータがあります。
動脈硬化も高血圧も、若年性認知症の発症リスクを上昇させます。
実際に、喫煙者は非喫煙者に比べて、認知症の発症率が約2倍高いというデータがあります。
自身に喫煙習慣がなくとも、受動喫煙の頻度が高ければ、同様に若年性認知症のリスクは上昇します。
過度な飲酒
大量飲酒の習慣がある方は、認知症になりやすい人にあてはまります。
実際にフランスで行われた調査では、若年性認知症の方の半数以上に、過度な飲酒が認められました。
アルコールの過剰摂取は脳の萎縮を引き起こすため、認知症を誘発します。
さらに高血圧や脳卒中、糖尿病のリスク上昇にも関わるため、間接的に認知症リスクを高める要因でもあります。
偏食
栄養バランスが悪い食生活は、生活習慣病の原因となります。
糖尿病や高血圧のリスクを高めるため、間接的に認知症のリスクを上昇させるからです。
睡眠不足
アルツハイマー型認知症の原因物質である「アミロイドβ」は、睡眠中に分解・排出されます。
睡眠不足になると、アミロイドβが蓄積されやすくなるということです。
そのため、若い方でもアルツハイマー型認知症の発症リスクが高まります。
若年性認知症にならないために
若年性認知症は、とくに生活習慣との関連が深い病気です。
若年性認知症を予防するために、以下のポイントに注意しましょう。
適度な運動
運動には、適度な刺激を与えて脳を活性化させる効果があります。
全身の血流を良くする効果もあるため、脳に血液が届きやすくなるほか、血圧の降下も期待できます。
若い方でも、リモートワークなどで在宅時間が長くなると、運動の機会が減少しがちです。
若年性認知症を予防するためにも、意識して運動を習慣づけましょう。
バランスの取れた食事
栄養バランスのよい食事は、生活習慣病を予防し、ひいては若年性認知症の予防も期待できます。
若年性認知症の予防に効果的な食材は以下の通りです。
- 青魚
- 緑黄色野菜・果物
- 大豆・豆
- コーヒー・緑茶
- 赤ワイン
積極的な社会的交流
他人と交流を持つことは、若年性認知症予防に効果的です。
とくに会話は、頭と口の体操になるため、脳の活性化に役立ちます。
会話の機会を増やすためにも、社会や他人との積極的な交流を心がけましょう。
十分な睡眠
アルツハイマー型認知症の原因物質は、睡眠中に排出されます。
加えて、睡眠時間は、体や脳を修復する時間でもあります。
そのため、毎日十分な睡眠を取ることで、認知症予防や脳の健康維持が期待できます。
一日に必要な睡眠時間は個人差があるものの、平均6時間以上8時間未満がふさわしいとされています。
知的活動の実行
知的活動とは、すなわち「頭を使うこと」です。
頭を使う行為は、脳に刺激を与えるため、脳の老化防止に役立ちます。
【具体例】
- 簡単な計算
- 読書
- 書き取り
- 囲碁やオセロなどのゲーム
- 博物館や美術館巡り
- 絵画・音楽鑑賞
若年性認知症の方が仕事するには?
若年性認知症は、働き盛りの方に多いです。
認知症によって退職に追い込まれ、経済的に困窮する方も少なくありません。
とくに若年性認知症では、「仕事に支障が出るかもしれない」という心配から、自発的に退職する方も多くいらっしゃいます。
「他人に知られたくない」という思いも強いため、だれにも相談できずに、一人で苦しみながら退職を決断することもしばしばです。
一家の大黒柱が認知症によって失職すると、その方の家庭は経済的に苦しくなります。
働き盛り世代の家庭は、成人前のお子さんがいることも多いため、問題は深刻です。
現在は、若年性認知症の方が仕事を続けられるように、さまざまなサポートがなされています。
公的なサポートの代表例は、若年性認知症支援センターです。
多くの自治体に設置されており、就労支援や、若年性認知症の方が利用できる制度・サービスの情報提供などを行っています。
民間の取り組みであれば、各企業による「障がい者雇用」の推進があります。
障害を負っていても、自分らしく働けるよう、各企業が独自のサポートを行っています。
若年性認知症の方でも、治療や働き方次第で、発症以前の仕事や生活を維持することは可能です。
各種サービスやサポートを利用しながら、自分らしいライフ・プランを考えてみましょう。
若年性認知症になりやすい人のまとめ
ここまで、若年性認知症になりやすい人の傾向についてお伝えしました。
要点を以下にまとめます。
- 若年性認知症は、65歳未満の若い方が発症する認知症
- 協調性がない、ネガティブになりやすい人は若年性認知症の発症リスクが高い
- 脳卒中や糖尿病の人は、若年性認知症の発症リスクが高い
- 運動不足、飲酒量が過度に多い方は、若年性認知症の発症リスクが高い
これらの情報が少しでも皆さまのお役に立てば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。