認知症と一言で表しても、実はさまざまな種類があります。
その中の皮質下性認知症というものをご存知でしょうか?
本記事では、皮質下性認知症について以下の点を中心にご紹介します。
- 皮質下性認知症とは
- 皮質下性認知症の症状
- 皮質下性認知症の原因
皮質下性認知症の症状や原因を把握するためにも、ご参考いただけますと幸いです。
ぜひ最後までお読みください。
スポンサーリンク
皮質下性認知症とは
そもそも皮質下性認知症とはどのような認知症なのでしょうか?
実際に皮質下性認知症と診断されても、脳がどんな状態かわからないと不安なことも多いですよね。
まずは皮質下性認知症について解説します。
皮質下性認知症とは、血管性認知症のうちの一つです。
血管性認知症は、脳血管の障害によって起こったすべての認知症の総称です。
皮質下性認知症は、大脳皮質という前頭葉、頭頂葉、側頭葉、後頭葉など脳全体の表層がダメージを受けることで発症します。
脳血管が起因する認知症は高齢者に多いので、皮質下性認知症は老人性の認知症ともいわれています。
皮質下性認知症によって、無気力、激しい感情の変動、記憶障害などの症状が現れます。
後述しますが、重度になってくると歩行障害や尿失禁、パーキンソン病に繋がるケースも少なくありません。
スポンサーリンク
皮質下性認知症の症状
上記で皮質下性認知症の概要について解説しました。
皮質下性認知症が重症化すると、さまざまな症状が現れます。
その一例について記載していきます。
歩行障害
皮質下性認知症は脳内の血管が破れたり詰まったりすることで、運動機能も低下します。
手足の震えや麻痺がみられ、歩行障害にも繋がります。
尿失禁
認知症による尿失禁は機能性尿失禁に分類されます。
くしゃみや咳などでおなかに力を入れたときや、我慢しきれないときのような身体的な失禁ではなく、以下のようなことが原因です。
- トイレに行きたくても、人にうまく伝えられない
- トイレの場所や使い方がわからない
- トイレへ行くこと自体を忘れてしまう
- 膀胱がいっぱいという感覚が鈍い
- 排泄行為自体がわからなくなり、トイレではないところで排泄してしまう
自分の今の状況を判断できない見当識障害や、認知機能の低下がもたらす失禁であるため、排尿機能自体は正常です。
転びやすくなる
歩行障害と重なる原因もありますが、皮質下性認知症によって手足が麻痺することで転倒しやすくなります。
時には以下の通りパーキンソン病のような症状が出ます。
- 筋肉が固くなる
- 手足が震える
- 姿勢を保つことが難しくなる
- 小刻みに歩く
- 動きが遅くなる
- 顔の表情が乏しくなる
- 飲み込みが悪くなる
また認知症になると、転びやすくなるだけでなく、転んだ際に手をついてけがを最小限に抑える上手な転び方が難しくなります。
そのため、骨折や寝たきりという重症に繋がる可能性も高いです。
皮質下性認知症の原因
ここまで皮質下性認知症の症状の例について挙げました。
なぜ歩行障害、尿失禁、転びやすくなるというような症状は現れるのでしょうか?
皮質下性認知症の原因には、進行性核上性麻痺、皮質基底核変性症、パーキンソン病、脳血管障害などがあります。
それぞれ以下で説明します。
進行性核上性麻痺
歩行障害や眼球の運動障害、認知症、嚥下障害などの症状がみられます。
特徴的な点は、初期から歩行に変化がみられるという点です。
何度も転びやすくなるうえ、とっさに手をついて身を守る反射機能も衰えるため、顔を怪我するリスクもあります。
歩行についても障害が現れ、足が出しづらくなる「すくみ足」や、逆に歩いていくうちに意図せず加速していってしまう「加速歩行」になるケースもあります。
歩行障害と転びやすさは紐づいているといえます。
皮質基底核変性症
何らかの原因で脳内の神経細胞が脱落し、残った神経細胞にも異常なタンパク質が蓄積されることにより脳に障害が発生します。
身体の左右どちらか一方に症状が強く現れるのが特徴です。
主に身体的な機能に障害が現れ、手足が麻痺する、筋肉が固くなる、指先での細かい作業が困難になる、歩行の際に足が出しづらくなるという症状になります。
パーキンソン病
大脳皮質から出る筋肉への指令物質となるドーパミンが減少することで発症します。
パーキンソン病になると、身体の動きが遅くなる、筋肉が固くなる、身体が震えるという身体的な障害が現れるようになります。
ドパミンが急激に減る理由については明確になっていませんが、高齢になっていくほどパーキンソン病になる割合も増加していきます。
脳血管障害
いわゆる脳卒中のことです。
血管が詰まる脳梗塞と血管が破れる脳出血、クモ膜下出血に分類されます。
脳の血管に障害があると、全身を巡る血流にも影響が出るため、身体の障害にも繋がります。
上半身のみ右半身のみなど、片方にだけ麻痺が現れる、言葉を上手く発せなくなる、急な意識障害、頭痛などの症状があります。
脳血管障害の症状は少しずつ進行する場合があるため、脳卒中になった直後は手足のしびれだけだったのに、翌日には全身麻痺の状態になったというケースもあります。
少しでも身体の不調や違和感があれば、すぐに専門家へ相談することが大切です。
上記のような障害や病気が皮質下性認知症の原因かもしれません。
特に高齢になるほど、定期的に健康診断や人間ドックでご自身の脳や身体の状態を把握しておくことがおすすめです。
皮質下性認知症のまとめ
ここまで皮質下性認知症についてお伝えしました。
要点を以下にまとめます。
- 皮質下性認知症とは、大脳皮質という脳全体の表層がダメージを受けることで発症する認知症
- 皮質下性認知症の症状は、歩行障害、尿失禁、転びやすくなるなど
- 皮質下性認知症の原因は、進行性核上性麻痺、皮質基底核変性症、パーキンソン病、脳血管障害など
これらの情報が少しでも皆様のお役に立てば幸いです。
最後までお読みいただきありがとうございました。