近年、運動不足や食生活の変化から肥満と判定される方が増えています。
肥満が身体に悪いことはほとんどの方が知っていると思いますが、実は肥満は認知症の発症リスクを高めるとも考えられています。
しかし、なぜ肥満が認知症の発症リスクを高めるのか、明確な理由を知っている方は少ないです。
この記事では、肥満と認知症について詳しく解説していきます。
- 肥満と認知症にはどのような関係があるか
- 体重コントロールと認知症発症のリスクの関係
- 肥満以外の代謝異常について
肥満の危険性を知り、認知症の予防にも役立てていただけたら幸いです。
中年期からの体重コントロールの必要性についても解説していますので、ぜひ最後までお読みください。
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肥満とは
肥満は、身体の脂肪組織に脂肪が過剰に蓄積した状態のことをいいます。
肥満かどうかの判定にはBMIが用いられ、BMIが25以上からが肥満と判定されます。
肥満が原因で健康被害が発症すると、肥満症とメタボリックシンドローム(代謝異常症候群)に分けられます。
肥満症は、BMIが25以上で肥満と判定され、高血圧などの肥満が原因とされる健康被害が出ている状態です。
メタボリックシンドロームは内臓脂肪型肥満となり、さらに高血圧や高血糖、脂質異常のうち二つ以上の症状が現れた状態をいいます。
内臓脂肪型肥満は、腹囲が男性85㎝以上、女性90㎝以上の状態です。
肥満だけでは病気とはいいませんが、肥満症やメタボリックシンドロームは肥満が原因で健康被害が発症しているので、治療が必要になります。
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肥満と認知症の関係
肥満が体に悪影響を与えることはよく知られていますが、認知症の発症リスクを高めることはあまり知られていません。
ここでは、肥満と認知症の関係について解説します。
肥満と認知症発症のリスク
肥満は高血圧や糖尿病などの生活習慣病の発症リスクを高めます。
生活習慣病は、認知症の発症につながるとされるので、間接的に肥満が認知症の発症リスクを高める要因の一つになります。
また、肥満により代謝異常が起きると血流が滞りやすくなります。
脳への血流が滞り、脳の機能低下を招くこともあります。
肥満と大脳皮質
人間の脳で大脳は最も発達した部分です。
大脳は運動や記憶、認知などに関わり、その大脳の表面を覆うのが大脳皮質です。
肥満になると大脳皮質が薄くなるという研究データがあります。
大脳皮質が薄くなると認知機能の低下の原因となり、アルツハイマー型認知症の発症リスクが高まるといわれます。
肥満と脳の老化
脳は加齢と共に老化していきますが、肥満により脳の老化は10年以上早まるとも言われます。
肥満は認知機能の低下や、脳への血流の停滞など、脳への悪影響を及ぼします。
その結果、正常な方よりも脳の老化が促進されます。
脳の老化は、認知症の発症リスクを高めることにもつながります。
体重コントロールと認知症発症のリスク
適切な体重や体脂肪率を保つためには、日々の体重コントロールが大切です。
体重コントロールにより脳機能が改善すると、認知症の発症リスクを抑えることができると考えられます。
体重コントロールには主に、運動と食事の2つの方法があります。
有酸素運動や筋トレを定期的に行うことは、余分な体脂肪を減らし、肥満の解消になります。
また、すぐに体重や体脂肪が減らなくても、運動をすることは血流を促進させ脳を活性化させることへの効果が期待できます。
食事による体重コントロールでバランスの良い食事を心がけることは、肥満の改善や日々の健康にとても大切です。
脂肪や糖分を抑えたバランスの良い食事を習慣化することは、生活習慣病や身体の老化防止につながります。
体重コントロールのためには、運動と並行してバランスの良い食事にこだわりましょう。
体重や体脂肪減少の効果が出やすいですし、健康を維持するためには適度な運動習慣と質の良い食事が欠かせないからです。
肥満に悩んでいる方は、認知症予防をはじめさまざまな病気を予防するためにも、体重コントロールの実践が推奨されます。
肥満以外の代謝異常
肥満以外にも認知症のリスクを高める代謝異常があります。
ここからは、肥満以外の代謝異常について解説していきます。
高血圧
高血圧の状態が続くと、血管が硬くなる動脈硬化が起きる可能性が高まります。
動脈硬化は、脳出血や脳梗塞、心筋梗塞などの発症リスクを高めます。
脳出血や脳梗塞は、認知症の発症リスクを高めると言われ、高血圧の改善が認知症予防にも間接的につながります。
高血糖
高血糖の状態が続くと、高血圧と同じように、動脈硬化を引き起こすリスクが高まります。
そのため、脳出血や脳梗塞が発症しやすくなり、その結果として認知症が発症することがあります。
中年期から体重コントロールが大事?
45歳から64歳は中年期と呼ばれ、身体の衰えや変化を感じやすくなる時期です。
特に女性は、ホルモンバランスの影響で肥満になりやすいとも言われます。
中年期に肥満と判断された方は、年齢が上がると認知症や他の疾患が発症しやすくなるというデータがあります。
中年期に自身の身体の状態を見直し、健康を維持する習慣を身につけることが、後に迎える高齢期も健康的に過ごすための鍵となります。
そこで健康維持のため、中年期に積極的に取り組みたいことが、体重コントロールです。
運動と食事の両方を改善し、適正な体重や体脂肪を維持することが認知症の発症を抑えることにつながります。
中年期であれば、高齢期に比べ活動量も多く身体も動きやすいので、体重コントロールも習慣として定着しやすいです。
体重コントロールのために急激な運動をしたり、極端な食事の改善をしたりすることは負担になります。
まずは、一駅分歩く、飲酒量を少し控える、野菜を多く取るなど、日常に取り入れられることから始めましょう。
肥満と認知症のまとめ
ここまで肥満と認知症の関係や、体重コントロールと認知症発症リスクなどを中心に書いてきました。
この記事のポイントをおさらいすると、以下の通りです。
- 肥満は身体の脂肪組織に過剰に脂肪が蓄積した状態
- 肥満は間接的に認知症の発症リスクを高める
- 体重コントロールは認知症発症のリスクを下げる
- 肥満以外の代謝異常には高血圧や高血糖がある
これらの情報が少しでも皆様のお役に立てば幸いです。
最後までご覧いただき、ありがとうございました。