超高齢社会に突入した現代において、認知症になる方は珍しくありません。
家族や友人の様子の変化によって、認知症を発症しているのではないか?と感じたことがある方もいらっしゃるのではないでしょうか?
しかし、自分が認知症であると認めたくない方も多く、周囲の方は「どういった対応をしたら良いのかわからない」という悩みを抱えることもあります。
- 認知症の方が、自分の行動を認めない理由とは
- 認知症の疑いがある方を診察に連れて行くにはどうすれば良いか
- 認知症の方が認知症だと認めない時にはどう対処をすればいいのか
以上の内容について解説していきます。
認知症を認めたくない方との接し方を知ることで、今後のケアに活かしていただければ幸いです。
また認知症の方が自分は認知症だと認めない時の対処法についても紹介していますので、ぜひ最後までお読みください。
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認知症の方が自分の行動を認めない理由
認知症の症状が現れると、ものを無くしたり、火の不始末があったりと、日常生活に支障をきたすことも増えてきます。
周囲の方もそのような変化に戸惑い、心配になることもあるのではないでしょうか。
しかし、問題となる行動をやめてもらいたくても、認知症の方は自分の行動や間違いを認めないことも多いです。
その場合、問い詰めると逆効果になり、上手く納得してもらえないケースもあります。
その理由としては、認知症の症状である記憶障害が考えられます。
思い出せないから、他の方から間違いを指摘されても認められないのです。
認知症の方に起こる記憶障害の特徴は以下のようになっています。
思い出す力が低下する
認知症の方は、新しいことを覚えにくい傾向があります。
それは、記憶障害によって直近の出来事を思い出す力が低下するからです。
例えば、ものを置いた場所を忘れてしまう、同じことを何度も聞いたり、話したりするということが起きます。
はじめは、少し前の出来事を思い出せなくなり、その後徐々に思い出せないことが増えていきます。
出来事を丸ごと忘れる
記憶障害が進行していくと、出来事を丸ごと忘れてしまうという症状が現れることがあります。
認知症の方でなくても、出来事を忘れることはあります。
ですが、大抵の場合はヒントとなる情報があれば思い出すことができます。
しかし、記憶障害が進むと出来事自体を忘れてしまうので、周りが何を言っても思い出せません。
周囲の方が、思い出してもらいたくてしつこく言いすぎると、バカにしている、誤った情報を信じさせようとしていると認知症の方に不信感を与えてしまうこともあります。
最近のことから忘れる
認知症の記憶障害では、最近の記憶から過去の記憶に向かって、遡るように忘れていきます。
現在と過去をつなげる記憶が途切れるので、街の景色が変わっている、家族の顔が違うというように自分の認識と現実に違いが起こります。
また、記憶がますます抜け落ちて行くことで、自分のことがわからなくなることもあります。
思い出せない、わからないという状況は、大きな不安や恐怖を感じ、ストレスになることも多いです。
認知症の方が抱える状況や不安を理解し、認知症の方が認めない理由を理解しましょう。
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認知症の方を病院に連れていくには
認知症の疑いが見られたら、今後の生活のためにも、医師に診察をしてもらい専門のケアを受けられる環境を整えることが理想です。
家族からすれば、できるだけ早く診察を受け、適した治療を受けて欲しいと思う方が多いです。
しかし、自分が認知症だと受け入れるのは、簡単にできることではなく、自分は大丈夫と言って診察を拒む方も多くいらっしゃいます。
そのような場合に、強引に診察に連れて行くことは、関係が崩れる原因にもなります。
そこで、本人に納得して診察を受けてもらうためのポイントを紹介します。
健康診断を利用
健康診断は認知症以外の体の状態を確認するためにも大切で、認知症以外に他の病気が見つかることがあります。
かかりつけ医がいる場合は、医師から健康診断の受診を勧めてもらえると、認知症の方に大きな抵抗なく受診をしてもらえる場合が多いです。
健康診断の流れで、医師などから認知症の診察も受けてもらうように促してもらうと、自然に受け入れやすいです。
他人の例を示す
病院に行く機会があまりない方なら、他の方が認知症の診断を受けた話や、認知症かと思っていたら別の重大な病気だったという、他者の話をして興味を持ってもらいます。
他者のことなら受け入れやすく、自分は大丈夫だろうかと確認し直すきっかけになる場合もあります。
第三者に促してもらう
家族には意地を張ってしまうこともあります。
そんな時は、医師や友人など本人が信頼を寄せている方に診察を促してもらうのも効果的です。
第三者の方に認知症の早期発見や対応の大切さを伝えてもらうと、すんなりと診断を受けてもらえることもあります。
地域包括支援センターを利用
地域包括支援センターでは、認知症の診断の相談も行っています。
場合によっては往診を紹介してもらえることもあります。
また、地域包括支援センターでは、認知症と診断された後のサポートも行っているのでその後の相談もしやすくなります。
家族の方は、早く診察を受けて欲しいと焦ることもあると思います。
しかし、決して診断を無理強いすることなく慎重に進めることが大切です。
特に第三者の方にお願いする場合は、事前に家族がしっかりと話をし、状況を伝えておく必要があります。
認知症の方が認めない場合の対応法
認知症へのマイナスイメージを持っている方は多く、たとえ認知症だと診断されても、自分は認知症であると認めない場合もあります。
しかし、認めないからといって無理に認めさせる必要はありません。
例えば、認知症の方の介護サービスや施設などは、本人が認知症を認めていなくても利用できます。
また、家庭で過ごされるのであれば、食事の改善や住居の整備なども、無理に認めてもらえなくても対応することができます。
また、治療やリハビリ、薬の服用なども「脳の健康にはこんなことをすればいいよ」「脳の健康を助ける薬」というふうに、伝え方の工夫次第で抵抗なくスムーズに行えることもあります。
このように、本人が自分は認知症だと認めていなくても、できることはたくさんあります。
かかりつけ医やケアマネージャーなどに相談し専門家の立場からも認知症の方に合う対応法を一緒に考えてもらうと、本人が認知症を認めていなくても、過ごしやすい環境づくりや治療ができます。
認知症の方によっては、告知をすることによって不安が増し周辺症状が悪化することがあります。
そのような場合を考えると、告知することが良いとは言えません。
そのため、まずは認知症の方が安心できる状態で穏やかに生活してもらうようにしましょう。
まとめ:認知症の方が認めない時の対応法
ここまで、認知症の方が自分は認知症だと認めない場合の対応法などを中心に書いてきました。
この記事のポイントをおさらいすると、以下の通りです。
- 認知症の方がしたことを認めない理由は、認知症の症状である記憶障害による影響が大きい
- 認知症の疑いがある方を病院に連れて行くには、健康診断を利用する、他人の例を示す、第三者に促してもらう、地域包括支援センターを利用する、という方法がある
- 認知症の方が自分は認知症だと認めない場合でも、できる治療やケアはあるので、無理に認めてもらう必要はない
これらの情報が少しでも皆様のお役に立てれば幸いです。
最後までご覧くださり、ありがとうございました。