高齢化が進む日本において、年々増加している認知症。
認知症の方やその家族の方々が日々を送る形も多様化しているかと思います。
そんな中、何気なく観ているテレビが実は認知症を加速させるという説があります。
一方で、テレビは脳を刺激して認知症予防に効果的という説もあります。
今回は、テレビ視聴と認知症リスクの関係について以下の点を中心にご紹介します。
- テレビ視聴が認知症リスクにつながる理由
- 高齢者が長時間テレビを視聴する原因
- テレビ視聴の認知症予防効果
認知症予防の効果を高めるためにもご参考いただけますと幸いです。
ぜひ最後までお読みください。
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長時間のテレビ視聴は危険?
多くの方々が何気なく日常生活の一部にしているテレビ視聴。
実際のところ、長時間のテレビ視聴と認知症リスクは関係あるのでしょうか?
結論からお伝えすると、長時間のテレビ視聴は認知症リスクにつながる可能性が高いです。
大きく分けると以下の2つの理由が挙げられます。
それぞれ詳しく解説していきます。
脳が受け身になる
テレビを観るということは情報を一方的に受け入れているという状態です。
情報を聞くことにだけ集中して、考えるときに使う前頭前野が働いていないということです。
外から来た情報を受け入れているだけのときは、脳が働いていません。
つまり、テレビを観る時間が長くなるほど、脳が働いていない時間も長くなるということです。
後述しますが、若者に比べて高齢者は認知症であるかどうかに関わらず一日のうち長時間をテレビ視聴に当てる傾向があります。
認知症予防の一例として、頭を使う工夫をする、人とコミュニケーションをとるなどがありますが、テレビ視聴をしているときはこれらの行動が行われません。
認知症を予防し、進行を遅らせるためには長時間のテレビ視聴で脳が受け身になった状態を避けることが大切です。
運動不足になる
テレビ視聴は脳を受け身状態にするだけではなく、運動不足ももたらします。
皆さんはテレビを観るとき、どのような姿勢でしょうか?
おそらく座っていたり、寝転がっていたりすることが多いかと思います。
高齢者や認知症の方々になるとなおさら、同じ姿勢でテレビを観ることになります。
さらにテレビを観ている以外の時間も運動不足である場合、より認知症を加速させてしまうかもしれません。
認知症の予防法として、運動によって身体や脳の血流を促すことが大切です。
脳内で血管が詰まると脳梗塞や血管破裂による脳出血の引き金となり、認知症のきっかけや進行の原因となるかもしれません。
運動することで脳の神経を成長させるタンパク質が分泌され、記憶機能の維持や肥大が期待されます。
脳が正しく働くためには、絶えず十分な血液が流れている必要があります。
高齢者や認知症の方は脳内の血流の低下が見られており、血流改善のためにも運動をして体を動かすことが効果的だと考えられています。
したがって長時間のテレビ視聴で運動不足になることは、認知症のリスクにつながるといえます。
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高齢者が長時間テレビを視聴する原因
長時間のテレビ視聴は、認知症の観点から見るとリスクが高いと説明しました。
そもそもなぜ高齢者の方々は長時間テレビを視聴する傾向にあるのでしょうか?
高齢者の方々がテレビを長時間視聴する大きな一因として時間が余っているからという理由が挙げられます。
定年退職をしたあとで物理的に時間が多く取れるというだけでなく、働いていたうちには観られなかったテレビを観られる状況になり、より夢中になりがちです。
しかし、テレビを娯楽として楽しむ一方で孤独や将来の不安を打ち消すためという場合もあります。
つまり、リタイア後に持て余した時間を何に使えばいいからわからないゆえの暇つぶしや、ニュースや報道番組を観て社会から置いていかれたくないという焦りから、長時間のテレビ視聴につながりやすいということです。
テレビ視聴にはメリットもある?
上記のことを考慮すると、テレビ視聴はリスクしか無いのでしょうか?
テレビ視聴そのものがリスクというわけではなく脳が受け身状態、つまりインプットの状態になっていることが問題なのです。
言い換えれば、アウトプットの機会を作り脳が働いている状態になればテレビ視聴にもメリットがあるということです。
例えばテレビで見た歌番組について、その歌にまつわる想い出を回想してアウトプットすると脳の運動になります。
その他にはテレビ番組のシーンを思い出して、その感想を人に伝えることで脳を動かすことになります。
テレビのアウトプットによって、家族や地域の方々とのコミュニケーションが活発になるかもしれません。
高齢者によるテレビ視聴の現状
ここまで長時間のテレビ視聴のリスクについて記載してきました。
特に高齢者は時間が余っているため、テレビ視聴の時間が長くなる傾向がありますがこの傾向は決して高齢者に限ったことではありません。
なぜなら、テレビは暇つぶしのためのツールとして扱われることが多いからです。
高齢者の方だけでなく、時間を持て余した若い方も暇つぶしとしてテレビを観ることはあります。
新たに人間関係を築くことが面倒と感じているときや、外出が億劫になっているときなど、長時間視聴してしまいがちなので注意が必要です。
暇だと感じる時間があると、誰にでも長時間のテレビ視聴をする可能性はあります。
新たな楽しみを見つけることが大切
テレビが暇つぶしとなっている状態では認知症のリスクが高まっていきます。
認知症を予防するため、健康になるためにも新たな楽しみを見つけることが大切になります。
定年によって仕事を止めている場合であれば、時間的余裕があるのでいろいろなことにチャレンジしやすい環境となっています。
継続的に取り組むことで生活にリズムが生まれてメリハリを持つことができます。
手軽にできる挑戦としていくつかご紹介します。
- 散歩・ウォーキング
- デッサン
- 写生
- 地域センターのジムに通う
- 綺麗な写真を撮りに近所の名所を巡る
外出を伴う挑戦によって運動機会が増えていき認知症予防にも効果的です。
テレビ視聴と認知症リスクのまとめ
ここまでテレビ視聴と認知症リスクの関係についてお伝えしました。
要点を以下にまとめます。
- テレビ視聴によって情報を一方的に受けていると、脳が働いていない状態になり認知症リスクにつながる
- 高齢者は、暇つぶしや社会の情報を手に入れるために長時間テレビを視聴することが多い
- テレビを視聴した感想や思い出を周囲の人に伝えることで認知症予防につながる
これらの情報が少しでも皆さまのお役に立てば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。