寝言の頻度が異常に増えた場合は、すこし注意が必要です。
寝言や寝相などの睡眠障害は、認知症の前触れの可能性があります。
不安には感じつつも、気にしていないという方が多いのではないでしょうか?
本記事では、認知症と寝言の関係について以下の点を中心に解説します。
- レビー小体型認知症と寝言の関係
- レビー小体型認知症によるレム睡眠行動障害の特徴
- レム睡眠行動障害への対応
認知症の早期発見に繋げるためにも、ご参考いただけますと幸いです。
ぜひ最後までお読みください。
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レビー小体型認知症とは
レビー小体型認知症とは変性性(脳の神経細胞が原因不明に減少する病態)の認知症です。
神経細胞が減少する原因は脳にあらわれるレビー小体という異常蛋白の影響と考えられています。
レビー小体型認知症はアルツハイマー型認知症に次いで2番目に多い認知症です。
レビー小体型認知症の症状には以下のようなものがあります。
- 認知機能障害(日や時間帯によって認知の変動がある)
- 幻視
- パーキンソン症状
- 睡眠時の異常行動
- 自律神経症状
- 抑うつ症状
また、レビー小体型認知症について詳しく知りたい方は下記の記事も参考にしてみてください。
三大認知症の一つとされているレビー小体型認知症。発症すれば幻視や妄想をともなう可能性のあるレビー小体型認知症ですが、どのような対策や予防があるのでしょうか?今回は、レビー小体型認知症について以下の点を中心にご紹介します。[…]
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レビー小体型認知症と寝言の関係
寝言は、レム睡眠行動障害の一種です。
レム睡眠行動障害は、「レビー小体型認知症」と深い関わりを持つ疾患であり、レビー小体型認知症の初期段階で多くみられます。
まず前提として、レム睡眠は身体は寝ていて脳は起きている状態です。
脳は起きているため、夢を盛んに見るのがレム睡眠の特徴です。
また、レム睡眠時には全身の筋肉が弛緩しているため、睡眠中に脳は起きていても、身体は自由に動かなくなります。
しかし、レム睡眠行動障害が起こると、睡眠中でも筋肉が弛緩しません。
身体が自由に動きやすくなるため、夢と同じ行動を取ることが増えます。
レム睡眠行動障害は、レビー小体型認知症の前兆~初期に顕著に目立ちます。
しかし、認知症が進行するにつれ、レム睡眠行動障害は目立たなくなるのが一般的です。
寝言が異常に増えた場合、その方はレビー小体型認知症の「入口」にいる可能性もあります。
レム睡眠行動障害の症状
レム睡眠行動障害の具体的な症状について解説します。
大声での寝言
レム睡眠行動障害では、大声での寝言が増えてきます。
あるいは、奇声をあげたり、うなされたりすることも少なくありません。
寝言の多くは悪夢によるものです。
寝言や奇声は、夢の中の「こわいもの」への恐怖や、逃げ出したいという気持ちが引き起こしています。
【寝言の具体例】
- 「あっちへ行け!」などと大声で叫ぶ
- 怒鳴る
- 奇声をあげる
- うなされる
- 誰かと会話している
睡眠中に手足を動かす
レム睡眠行動障害では、寝言のほかに、睡眠中に手足を動かすという症状が目立ちます。
たとえば、手足を大きく振り回したり、壁を殴ったりするといったケースが見られます。
症状がひどくなると、眠ったまま周囲を歩き回ることもあります。
手足を動かす理由は、寝言と同じく悪夢を見ている場合がほとんどです。
レム睡眠行動障害では夢と同じ行動をするため、喧嘩している夢を見れば、現実でも誰かに殴りかかってしまいます。
そのため、レビー小体型認知症の方は、同じベッドで寝ている方に大けがを負わせることも少なくありません。
【具体例】
- 手足を振り回す
- 暴れる
- 壁を殴る
- 物を投げる
- 同じベッドで眠る人に暴力をふるう
- 眠ったまま歩き回る
レム睡眠行動障害への対応
レム睡眠行動障害によって大きな寝言や暴力が増えると、家族も安眠できなくなります。
ここでは、レム睡眠行動障害が起こった場合の対応について解説します。
見守る
とくに問題がなければ、約10分は見守りましょう。
レム睡眠への突入は、入眠から約90分後が一般的です。
つまり、寝言や乱暴といった症状は、就寝から約1時間半後にやってきます。
寝言や寝相は10分程度で収まることが多いため、もし症状が10分以内に収まり、かつ特別な危険や問題がなければ、そのまま寝かせてかまいません。
睡眠の質を調整する
ぐっすり眠れるように工夫をします。
具体的には、日中に身体を動かしたり、頭を使ったりすることで適度に疲れておくことがおすすめです。
反対に、昼寝をすると夜の眠りが浅くなり、悪夢を見やすくなります。
おなじく、怖い体験や不快な出来事も、やはり夜中の悪夢を誘発します。
また、脱水症状や発熱などの身体的な不調が浅い眠りにつながることもあります。
健康管理は万全に行い、リラックスして眠れる環境を整えましょう。
寝具をこまめに取り換えたり、照明を工夫したりするのも、安眠に有効です。
自然に起こす
身体を強くゆすったり、大きな声で起こしたりするのは避けましょう。
強い刺激で起こすと、覚醒後も悪夢と現実の区別がつきにくいからです。
場合によっては、興奮が収まらず、さらなる暴力や暴言につながることもあります。
寝言はレビー小体型認知症の早期発見につながる?
寝言を含むレム睡眠行動障害は、レビー小体型認知症の前兆や初期症状として多くみられます。
よって、寝言が異常に増えた場合は、レビー小体型認知症の疑いがあります。
レビー小体型認知症は、早期に治療を開始すれば進行をゆるやかにできます。
そのため、異常な寝言が見られる場合は、早めに病院を受診することで、早期発見・早期治療につなげることができます。
受診する場合は、まずかかりつけ医に相談するのがおすすめです。
かかりつけ医で対応できない場合は、対応できる診療科を案内されます。
かかりつけ医がいない場合は、心療内科・精神科・神経科等を受診しましょう。
いずれも、睡眠障害と認知症の両方に対応できる診療科です。
大きな病院であれば、「睡眠外来」を設置しているところもあります。
レム睡眠行動障害の診断方法は、問診や脳画像検査が一般的です。
睡眠中の様子を見るために、就寝時のビデオ撮影を依頼されることもあります。
まとめ:寝言と認知症の関係
ここまで、寝言と認知症に関する事柄についてお伝えしてきました。
要点を以下にまとめます。
- 異常な寝言は、レビー小体型認知症の前兆や初期症状であることが多い
- レビー小体型認知症によるレム睡眠行動障害では、寝言や睡眠中の乱暴な行動もみられる
- 家族にレム睡眠行動障害がみられた場合は、見守りながら睡眠の質を高めることが大切
これらの情報が少しでも皆さまのお役に立てば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。