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健達ねっと>認知症を学ぶ>血管性認知症の診断方法は?診断基準や診断後の対応を解説!

血管性認知症の診断方法は?診断基準や診断後の対応を解説!

脳梗塞や脳出血、くも膜下出血といった病気は脳血管障害といわれます。
そして、脳血管障害によって引き起こされた認知症が血管性認知症となります。

症状が多岐にわたる血管性認知症ですが、診断方法や基準をご存知でしょうか?

本記事では、血管性認知症の診断について以下の点を中心に解説いたします。

  • 血管性認知症の診断方法
  • 血管性認知症の診断基準
  • 血管性障害の分類
  • 血管性認知症と診断されたあとの対応

早期発見につなげるためにも、ご参考いただけますと幸いです。

ぜひ最後までお読みください。

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血管性認知症とは


血管性認知症は、脳梗塞や脳出血などの脳血管障害が原因となって発症する認知症です。

脳梗塞になったり、コレステロールが脳血管内に付着して血管が細くなったりすると、その先の脳細胞は死滅します。
脳細胞が死滅することで現れるさまざまな症状の一つが血管性認知症です。

厚生労働省老健局によると、血管性認知症は認知症全体の中でも約20%を占めており、男性の割合が高いことが特徴です。

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血管性認知症の診断方法


血管性認知症かどうかを診断するためには、頭部CTやMRIによる画像診断によるものと、脳の血管や血流を調べる方法があります。

発症の原因が脳梗塞によるものかどうかを調べるには、脳そのものを見る方法が適しています。
そのため頭部CTやMRIを使って診断します。

また、血流が細くなったことが原因なのかどうかを調べる場合には、血管そのものを調べます。

脳梗塞を見つける場合

脳梗塞があるかどうかを調べるには、頭部CTやMRIを使って、脳内を画像で見る方法が有効です。
それぞれ解説していきます。

頭部CT

頭部CTでは、X線で頭の断面を細かく撮影していきます。
コンピューターを使って頭部を輪切りのような形で連続的に画像を表示します。
撮影された画像から、脳梗塞の場所や広がり、大きさなどを診断できます

血管性認知症の場合、脳内に大きな梗塞があったり、小さな梗塞が複数あったり、または脳の中枢部が梗塞になっていたりします。

頭部CTでは、広範囲の検査をわずかな時間で行うことができ、小さな病変も画像化できます。
一方で、骨の影響を受けやすいのが難点です。

また、MRIのように陰影が画像で出にくいので、見やすくするための造影剤を体内に注入して画像をはっきりさせる必要があります。

MRI

CTがX線を使うのに対して、MRIでは磁場と電波を用いて診断します。

人の身体はさまざまな元素で構成されており、磁気をあてるとそれぞれの元素の原子核が違う反応をします。
MRIは、その元素の反応をコンピューターによって解析し、画像化します。

CTに比べMRIのほうが組織分解能が高く、梗塞の様子をより詳細に見ることができます。

ただしMRIは磁石を使うので、金属製のものを身に着けていたり体内に埋め込まれたりしていると検査が行えないため、注意が必要です。

脳の血管・血流を調べる場合

脳血管が細くなり血流が悪くなることで血管性認知症を発症することがあります。
そのため、血管の状態や血流を調べることで発症の有無を診断できます。

MR Angiography(磁気共鳴血管画像)

MRIを用いて血流を画像化する検査です。

MR Angiographyでは、造影剤を体内に入れ、血管内で起こる現象を利用して画像表示します。

脳血管造影

脳の血管にカテーテルという管を通して造影剤を注入していき、それをX線で連続撮影していく方法です。
脳血管造影では、CTやMR Angiographyに比べてはるかに鮮明な画像を得ることができます。

ただし、ごくまれに脳の血管に血栓を作って脳梗塞を起こしたり、血管を損傷してしまったりするリスクがあります。

脳血流シンチグラフィー

脳血管内に放射性医薬品を注射し、それを専用のカメラで撮影して画像化する方法です。
放射性医薬品にはラジオアイソトープ(放射性同位元素)が含まれています。

このラジオアイソトープが放出した放射線を専用のカメラで捉え、血流の多い部分と少ない部分を見つけることができます。

放射性物質を心配されるかもしれませんが、検査一回あたりの被ばく量はごく微量であり、X線やCTで被ばくする量とほぼ同じです。
問題が生じるようなリスクはほとんどありません。

血管性認知症の診断基準


血管性認知症では、記憶障害や認知障害といった症状が現れることがあり、アルツハイマー型認知症の症状ととてもよく似ています。

事実、かつて血管性認知症はアルツハイマー型認知症と同一視されていました。
さらに血管性認知症は、アルツハイマー型認知症と合併している場合も少なくありません。

そこで、血管性認知症と診断するには、次の3つの条件がすべて満たされていることが必要だとされています。

認知症を発症している

認知症の方とそうでない方の境は曖昧です。
認知症を発症しているにもかかわらず、気づいていない人も多いと思います。

認知症を発症していると診断される基準は以下の通りです。

  • 記憶障害があること
  • 認知機能のうち2つ以上の障害があること
  • 日常生活に支障をきたすほど認知症が進展していること

脳血管障害がある

脳血管障害があると診断される基準は以下の通りです。

  • 脳血管障害による機能障害が見られること
  • 画像診断で、大規模な梗塞、小さいが多数の梗塞、脳中枢部の梗塞などが見られること

上記の2つに因果関係がある

「認知症を発症していること」と「脳血管障害がある」だけでなく、2つに因果関係があるかどうかが大切です。
主な目安を以下にまとめます。

  • 上記の2つの条件が満たされていること
  • あるいは、脳血管障害が起きて3か月以内に認知症を発症していること
  • あるいは、認知機能が急に悪化していること
  • あるいは、認知機能障害が良くなったり悪くなったりといった症状を繰り返していること

ただ、診断基準はさまざまであり、それぞれの規準に照らし合わせた結果が一致しないという問題があるのが実情です。

血管性認知症の分類


血管性認知症は症状が多岐にわたります。
そのため適切に診断するには、症状を原因別に分類し、どれにあたるのかを判断する必要があります。

多発梗塞性認知症

大脳皮質や白質にたくさんの梗塞が起こることで現れる認知症です。

次のような特徴があります。

  • 梗塞の面積が広ければ広いほど、認知症は重篤性を増す
  • 症状の経過は、急激に悪化する場合や段階的に悪化する場合がある
  • 梗塞の起こった部位によって、失語、失認、視空間障害、運動麻痺(まひ)などが起こる

小血管による認知症

穿通枝(せんつうし)が張りめぐらされている中枢の血流が悪くなることで発症する認知症です。
穿通枝とは、脳の深い部分に張り巡らされた小血管のことをいいます。

戦略的部位の単一的梗塞

記憶や注意力、判断力、感情といった機能をつかさどる、高次脳機能の障害によって発症する認知症です。
通常、損傷などにより機能障害を起こすと梗塞を急速に発症し、時間とともに回復していきます。

しかし、上記の障害がしばらく残っている場合は、血管性認知症と判断されます。

低灌流性(ていかんりゅうせい)

脳全体に対して血流が悪くなり、酸素や栄養が行き渡らなくなって発症するタイプの認知症です。

脳出血性

脳出血により流れ出た血液によって脳が圧迫され、さまざまな機能障害を引き起こすことがあります。

その後、後遺症として発症した認知症が、脳出血性の認知症です。

健達ねっとECサイト

血管性認知症と診断されたあとの対応


脳は謎の多い臓器で、認知症の治療も容易ではありません。
血管性認知症もそのメカニズムはかなり解明されたとはいえ、根本的に治療する方法は見つかっていないのが現状です。

脳細胞はいったん壊れると元には戻りません。
そのため、現時点では対症療法と脳血管障害の再発防止が主な治療法になります。

治療法は、薬物による治療法と薬物に頼らない治療法がありますので、それぞれご紹介します。

薬物治療

血管性認知症は、脳血管障害が頻発することで段階的に悪化していきます。
脳血管障害は主に高血圧や糖尿病などによって発症するため、高血圧薬や脳血流改善薬を服薬することで再発を予防します。

また、認知症を発症すると、副交感神経を活発にするアセチルコリンという神経伝達物質が減少しやすくなるといわれています。
アセチルコリンが減少すると、脳内の情報伝達が滞ってきます。

その一方で、グルタミン酸というアミノ酸が過剰に分泌されやすくなります。
グルタミン酸が過剰分泌すると、刺激が強いあまり、脳細胞が自ら死滅する方向に動きます。

このような症状に対処するため、アセチルコリンの分泌を促し、グルタミン酸を抑制する薬剤が使われる場合があります。

また、意欲や自発性の減退の改善や過剰な興奮を抑制する脳循環代謝改善薬や、抑うつに対する抗うつ剤が効果的な場合があります。

非薬物療法

薬物を使わない治療法として、血管性認知症を改善するために症状に合わせた訓練を行う方法があります。

訓練には次のようなものがあります。

  • 現実見当識訓練:見当識障害を改善する訓練
  • 認知機能を刺激する訓練:言語や数字を使ったゲーム
  • 脳に刺激を与える訓練:活動療法、レクリエーション療法、芸術療法など
  • 行動や感情へのアプローチ

上記のようなリハビリテーションを含んだ訓練により、脳神経機能の回復を図ります。

生活習慣病の予防

これまで見てきたように、血管性認知症は脳血管障害が原因になって発症します。

つまり、血管性認知症を予防するためには、生活習慣病の原因となる生活習慣を改善することが何より大切です。

生活習慣病には、高血圧、糖尿病、脂質異常症、虚血性心疾患があります。
生活習慣病を予防するためにも、適度な運動、バランスの良い食事、十分な睡眠、禁煙を心がけましょう。

薬の使い方

血管性認知症の方の家族にできること


血管性認知症の方は、意欲が減退したり自宅に引きこもりがちになったりします。
気分の変調は誰にでも起こりうることなので、家族も本人も認知症だとは気付きにくい側面があります。

しかしよく観察していると、突然の気分の変調や、状態の悪化に気付くことがあります。

もしもおかしいなと思った時には、念のため認知症を疑い、早めに近くの病院や診療所を受診することをお勧めします。
早期に診断して認知症が発見できれば、服薬や訓練などによって機能が回復する可能性も出てきます。

また認知症の初期段階では、本人が機能障害を自覚している場合もあります。

不用意な言葉を投げかけて本人を傷つけることもありますので、認知症が疑われる場合には言葉に気をつけることも大切です。

血管性認知症の診断のまとめ

まとめ
ここまで血管性認知症の診断についてお伝えしました。
要点を以下にまとめます。

  • 血管性認知症の診断には、「脳全体を画像にして診察する方法」と「血管の状態を画像にして診察する方法」がある
  • 血管性認知症の診断基準は「認知症である」「脳血管障害がある」「両者に因果関係がある」の3つが満たされていること
  • 血管性認知症と診断されたら、症状の改善と脳血管障害の再発防止に努める

これらの情報が少しでも皆様のお役に立てば幸いです。
最後までご覧いただき、ありがとうございました。

監修者 メディカル・ケア・サービス

  • 認知症高齢者対応のグループホーム運営
  • 自立支援ケア
  • 学研グループと融合したメディア
  • 出版事業
  • 社名: メディカル・ケア・サービス株式会社
  • 設立: 1999年11月24日
  • 代表取締役社長: 山本 教雄
  • 本社: 〒330-6029埼玉県さいたま市中央区新都心11-2ランド·アクシス·タワー29F
  • グループホーム展開
  • 介護付有料老人ホーム展開
  • 小規模多機能型居宅介護
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  • 栄養提供
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  • 障がい者雇用

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