「子供返り」と聞いて真っ先に思い浮かぶのは、小さいお子さんに現れる行動に対してでしょう。
例えば、弟や妹ができて、上の子が嫉妬心から親の目や愛情を自分に向けたいがために行うというイメージが強いかと思います。
しかし、子供に限らず大人の方にも、子供返りを思わせる行動が起こり得ます。
認知症の方は、認知症の影響によって子供返りが起こる場合もあります。
本記事では、認知症の方の子供返りについて、以下の項目を中心に解説します。
- 認知症の方の子供返りの症状
- 認知症の方に子供返りが起こる理由
- 認知症の方が子供返りを起こしたときの接し方のポイント
実際に子供返りが起こったときの対策にも触れているので、ぜひ最後までお読みください。
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認知症の方の子供返りとは
子供返りとは、急に甘えだし、自分では何もできないように振る舞うことです。
「赤ちゃん返り」「幼児退行」「退行」といった表現も使用されます。
ここからは、実際に認知症の方に起こる子供返りの具体例を解説していきます。
急に甘えだす
認知症の方に子供返りが起こった際、急に甘えだす相手は家族や周りの方たちです。
認知症の高齢者の方に限らず、若く健康的な方であっても、過度なストレスにさらされると甘えが出ることはあるでしょう。
無意識のうちに心の防衛反応が働くことによって、子供返りの症状が現れるといわれています。
誰でも精神的に弱っているときには、甘えたいという気持ちになるかもしれません。
しかし、病気によって起こるものであるかどうかは、一時的か永続的かで判断されます。
服や靴下を自分で履けないと言い出す
今まで洋服を自分で着られていたにもかかわらず、服や靴下を自分で履けないと言い出します。
症状が進行し、入浴時に脱衣を手伝ってもらわないといけない段階にまで進むと、重度な段階である可能性が考えられます。
自分で食事をしなくなる
自分でできるにもかかわらず、食事をしなくなるります。
食事の際には、周りの人に食べさせてほしいと要求してきます。
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認知症の方に子供返りが起こる原因
認知症の方に子供返りが起こる原因は、周辺症状が起こる過程にあるとされています。
中核症状である記憶障害や見当識障害によって、認知症の方は不安、恐れ、焦り、怒り、自信喪失といった状態になっていきます。
このような精神状態に、周囲の環境や対応、体験、その方の性格などの要素が加わり、心の拠り所が欲しくなり、甘えてしまうとされています。
したがって、家族の方は認知症の方の症状や気持ちを察し、より適切なケアを模索していく必要があります。
人によって症状はさまざまであり、確実な正解があるわけではありません。
家族や周りの方たちが、心にゆとりを作り、症状とうまく付き合っていくことが大切です。
子供返りが起きたらどう接したらいいの?
ここまで、認知症の方に子供返りがなぜ起こるのか解説してきました。
ここからは認知症の方に子供返りの症状が出たとき、どう接すれば良いのかを解説していきます。
叱らない
認知症の方がくっついたり、離れなくなったりすると、家族の方は家事や介護を邪魔されていると感じるかもしれません。
しかし、認知症の方が子供返りを起こす原因は、認知症への不安から心の拠り所が欲しいためです。
心の拠り所が欲しくて、甘えたことを叱られると、不安感が増します。
また、不安感が増すと、子供返りの症状が進行してしまう可能性が高まるので、認知症の方がどうして子供返りしているのかという気持ちを考えましょう。
要求してくることを行う
子供返りした認知症の方は、「服を着替えさせて」「ご飯を食べさせて」とせがんでくることがあります。
そのような時に、「忙しいから」「自分でできるでしょ」などと言って認知症の方を突き放してしまうと、一層不安感が増してしまいます。
不安感が増すと、子供返りが悪化するだけでなく、認知症の症状も悪化することがあるので、認知症の方が求めていることを行ってみてください。
認知症と子供返りのまとめ
今回は、認知症と子供返りについてご紹介しました。
認知症と子供返りについての要点を以下にまとめます。
- 認知症の方の子供返りの症状は、急に甘えだし、自分では何もできないように振る舞うこと
- 認知症の方に子供返りが起こる原因は、心の拠り所が欲しいから
- 認知症の方が子供返りを起こしたときの接し方のポイントは、怒らない・否定しない・そっと見守る・相手を尊重し、ペースを合わせる
これらの情報が少しでも皆さまのお役に立てば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。