アルツハイマー病に用いられる薬を聞いたことがありますか?
治療には、症状を軽減する医薬品が処方されます。
症状を軽減する一方、副作用が出ることもあるため、注意が必要です。
本記事では、アルツハイマー病に用いられる薬を紹介したうえで副作用などについても解説します。
- アルツハイマー病に用いられる薬の種類
- アルツハイマー病に用いられる薬の副作用
- 世界初のアルツハイマー病治療薬
ぜひ本記事を最後までお読みください。
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アルツハイマー病とは?
※画像はイメージです
アルツハイマー病は、認知症の中で最も多い認知症です。
中核症状である記憶障害のほか、理解力の低下や実行機能障害が生じます。
性格や環境によって誘発される興奮、攻撃性、意欲の低下などの周辺症状が生じることもあります。
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薬物療法の目的
アルツハイマー病における薬物療法の目的は、認知症の進行をゆるやかにすることです。
アルツハイマー病をはじめ認知症の多くは完治ができません。
症状の緩和を目指す対症療法が中心となります。
認知機能の低下に対しては、抗認知症薬によって認知機能の維持を目指します。
周辺症状に対しては、向精神薬や漢方薬などを用いて気分の安定を図ります。
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アルツハイマー病の薬の種類一覧をご紹介!
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周辺症状の治療に用いられる薬について解説します。
周辺症状の治療薬は、大きく分けてアクセル系とブレーキ系の2種類があります。
アクセル系
アクセル系の薬は、脳を活性化させることで、気力の回復を図る薬です。
徘徊、妄想、抑うつ、意欲の低下の治療に用いられます。
徘徊や妄想の原因の多くは、強い不安感や焦燥感であるためです。
元気が出るため、認知症の方が前向きに日常生活を送れるようになります。
ブレーキ系
ブレーキ系の薬は、脳の神経バランスを整えることで、気持ちを穏やかにさせる薬です。
興奮、攻撃性、イライラなどの症状の方が対象です。
イライラや興奮が止むことで、認知症の方だけでなく、その家族のストレスも軽減されます。
アクセル系の種類
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アクセル系の薬にもいくつか種類があります。
ここからは、アクセル系の治療薬についてご紹介します。
アセチルコリンエステラーゼ阻害薬
アセチルコリンエステラーゼ阻害薬は、認知機能を改善する抗認知症薬です。
脳を活性化させる作用があるため、意欲の向上や気力の回復を期待できます。
アセチルコリンエステラーゼ阻害薬には、以下の3種類があります。
- アリセプト
- レミニール
- イクセロンパッチ・リバスタッチ
抗うつ薬
抗うつ剤は、うつ病や抑うつ症状の治療薬です。
幸せホルモンや興奮ホルモンを分泌させることで、脳を活性化させます。
ブレーキ系の種類
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アクセル系と同様に、ブレーキ系の薬にも3種類あります。
以下に3つのブレーキ系の薬を紹介します。
メマリー
メマリーは抗認知症薬の一種です。
脳内の神経伝達物質のバランスを整えることで、気持ちを穏やかにする作用があります。
一般的に、中度~重度の認知症の方に用いられるといわれています。
鎮静作用が強いため、暴力や攻撃性などの周辺症状の抑制にも有効です。
抗不安薬
抗不安薬は、向精神薬の一種で精神安定剤にあたります。
神経伝達物質に作用し、不安や緊張をやわらげる効果があります。
漠然とした不安感を解消し、気持ちを穏やかに保つのに役立ちます。
漢方薬
漢方薬の中でも、抑肝散が有名です。
興奮やイライラを抑制し、気持ちをリラックスさせる作用があります。
漢方薬のメリットは、医薬品に比べて副作用のリスクが少ないことです。
アルツハイマー病の薬の副作用は?
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薬物療法では、副作用のリスクがあります。
以下では、代表的な治療薬と主な副作用についてご紹介します。
アリセプト
アリセプトは、アルツハイマー病の代表的な治療薬です。
以下のような副作用があらわれる場合があります。
- 嘔吐・吐き気
- 食欲不振
- 下痢
- 興奮・イライラ
レミニール
アルツハイマー病の進行を食い止めるほか、周辺症状の緩和に役立ちます。
副作用は、薬の量を増減したときにあらわれやすいです。
以下のような副作用があらわれる場合があります。
- 吐き気
- 食欲不振
- めまい
- 下痢
イクセロンパッチ・リバスタッチ
貼り薬であるため、吐き気や嚥下(えんげ)障害がある場合にも服用できます。
以下のような副作用があらわれる場合があります。
- 皮膚のかぶれ・かゆみ
- 嘔吐
かぶれやかゆみは、貼る場所を変えるなどして対応しましょう。
抗うつ薬
過剰摂取や強く効きすぎると、興奮や落ち着きのなさなどの症状があらわれることがあります。
他にも、以下のような副作用があらわれる場合があります。
- 不安感
- めまい・ふらつき
- 嘔吐・吐き気
- 下痢
- 頭痛
服用初期は、嘔吐などの身体症状が出やすいです。
メマリー
鎮静作用が強すぎる場合、意欲の低下などが起こります。
他にも、以下のような副作用があらわれる場合があります。
- めまい
- 眠気
- 食欲不振
- 便秘
服用初期はめまいなどの身体的症状があらわれやすいです。
抗不安薬
特徴的な副作用として、離脱性があります。
薬の服用を止めると、さまざまな不調があらわれやすくなります。
離脱性のリスクを回避するために、服用のタイミングや量は慎重に調整しましょう。
他にも、以下のような副作用があらわれる場合があります。
- めまい
- ふらつき
漢方薬(抑肝散)
漢方薬は、医薬品よりも副作用のリスクが低いです。
しかし、副作用が全くあらわれないわけではありません。
以下のような副作用があらわれる場合があります。
- 吐き気
- 食欲不振
- 下痢
- 発疹
副作用の対処方法
※画像はイメージです
副作用が出た場合の対処方法について解説します。
自己判断ではなく、かかりつけ医の指示に従いましょう。
薬を増やす
副作用を抑えるために、他の薬の種類を増やすことがあります。
副作用がおさまるのを待って、処方薬の量を増やす場合もあります。
薬の種類を変える
服用回数を重ねるにつれ、副作用はおさまることが一般的です。
薬の種類を変更する前に、1~2週間程度様子を見ることもあります。
副作用が重い場合は、薬の種類を変更します。
治療薬によっては、その方の体質に合わないものもあるからです。
メマリーを併用する
メマリーは、比較的、副作用が軽いことが特徴です。
アセチルコリンエステラーゼ阻害薬などの副作用がひどい場合は、メマリーを代わりに用いることがあります。
他の薬の量を減らし、メマリーを併用して、薬効を補填する場合もあります。
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アルツハイマー病を治す薬?
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世界初のアルツハイマー病の治療薬としてアデュカヌマブが開発されています。
アデュカヌマブは、アルツハイマー病の原因物質であるアミロイドβを減らす作用があります。
臨床試験においては、アデュカヌマブを78週投与したところ、認知機能の低下が22%抑えられたというデータが出ています。アルツハイマー病の治療は対症療法が中心で、根本的な治療は確立されていませんでした。
アデュカヌマブの承認により、アルツハイマー病の根本治療ができる日が訪れるかもしれません。
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アルツハイマー病と薬のまとめ
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ここまで、アルツハイマー病と薬に関する事柄についてお伝えしてきました。
- アルツハイマー病の薬物療法には、アセチルコリンエステラーゼ阻害薬、抗うつ薬、漢方薬などが使われる
- 薬物療法の副作用で、興奮、吐き気、下痢、めまいなどを起こす場合がある
- アルツハイマー病の治療薬としてアデュカヌマブの承認が期待されている
これらの情報が少しでも皆さまのお役に立てば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。