認知機能の低下は、高齢化社会において深刻な問題となっています。
多くの方々が、自分や家族が認知症になるかもしれないという不安を抱えています。
認知機能検査は、これらの不安を和らげ、早期発見・早期対応の助けになると考えられています。
認知機能の状態を把握することで、適切なケアや生活改善策を計画できます。
しかし、認知機能検査はどのように行われるのでしょうか?
そこで、本記事では以下の項目を中心に解説します。
- 認知機能検査の重要性
- 認知機能検査の目的
- 認知機能検査の方法
ぜひ最後までお読みください。
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認知機能検査(認知検査)について
認知機能検査は、運転免許証の更新期間で年齢が75歳以上のドライバーが受けなければならないものです。
認知機能検査は、記憶力や判断力を測定するものです。
「手がかり再生」と「時間の見当識」といった2つの検査項目について、検査用紙に受検者が記入、または検査に必要なデータなどが整備されているタブレットに受検者がタッチペンなどのツールを使い入力して行います。
認知機能検査の重要性
認知機能検査は、高齢者が運転する際の安全性を確保するためとても重要といわれています。
高齢者は運転のベテランであり、長年の経験を持っていますが、年齢とともに視力や体力、記憶力や判断力などの身体機能が変化します。
認知機能検査は、これらの変化を捉え、適切なサポートを提供するための重要な役割を担っていると考えられます。
認知機能検査の目的
認知機能検査の主な目的は、運転者の記憶力や判断力を評価し、その結果に基づいて適切な対策を講じることです。
前述した、記憶力を検査する「手がかり再生」と時間の感覚を検査する「時間の見当識」の2つの検査項目があります。
これらの検査により、運転者が適切に運転できる能力を持っているか、または認知症のおそれがあるかを判断します。
認知機能検査で得た情報は、運転免許証の更新や高齢者講習の内容を決定するために使用されます。
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認知機能検査の定義や大まかな種類
75歳以上の運転者は必ず受検が必要なので、事前にどのようなものか把握することはとても大切です。
認知機能検査の定義
認知機能検査とは、運転に必要な記憶力や判断力を測定する簡易的な検査になります。
認知機能検査は道路交通法により義務付けられています。
教習所などの会場で受検し、結果はその場もしくは後日書面にて受け取ります。
これらの検査は、運転者自身の安全だけでなく、他の道路利用者の安全にも直結すると考えられています。
なお、認知機能検査は医師の行う認知症の診断や医療検査に代わるものではありません。
認知症の疑いがある場合は医療機関の受診が推奨されています。
認知機能検査の種類
認知機能検査は大きく3つの部分に分かれています。
それぞれが運転者の判断力や記憶力を確認する簡単な内容になっています。
- 時間の見当識:自分の置かれている「時」を正しく認識できるかの検査
- 手がかり再生:少し前に記憶したものを引き出す力、「短期記憶」に問題がないかを調べる検査。点数の配分が全体の約6割に及ぶ。
- 時計描写:空間認知能力、構成能力、数の概念の理解などに問題がないか総合的に調べる検査。
認知機能検査の問題例
警察庁の公式ホームページより、認知機能検査において実際に利用する検査用紙やイラスト、検査の採点方法についてダウンロードが可能です。
その際は周囲の方に検査員役として進行してもらい、検査の雰囲気を体験できます。
認知機能検査のパターン
認知機能検査には、手がかり再生と時間の見当識という2つの検査項目があります。
手がかり再生は記憶力を検査するもので、一定のイラストを記憶し、採点結果には関係しない課題を行った後、さきほど記憶したイラストをヒントなしに回答し、さらにヒントがある状態でも回答します。
時間の見当識は時間の感覚を検査するもので、検査時の年月日、曜日と時間を回答します。
認知機能検査が評価する認知機能
手がかり再生は「記憶力」を評価します。
提示されるイラストを記憶し、検査内容に関係しない課題を行った後、先ほど記憶したイラストをヒントなしで回答し、その後ヒントを基にさらに回答していきます。
これにより、受検者の記憶力を評価することができます。
一方、時間の見当識は「時間の感覚」を評価します。
検査時の年月日、曜日と時間を回答することで、受検者の時間感覚を評価することができます。
高齢者と認知機能検査
高齢者が運転する際には、認知機能の維持が重要と考えられています。
しかし、加齢に伴い視力や体力、記憶力や判断力など身体機能に変化が現れ、若い時と同じではなくなっていきます。
認知機能検査により、運転能力が適切に保たれているかを評価することが必要といわれています。
高齢者が認知機能検査を受ける意義
高齢者が認知機能検査を受ける理由は、自身の運転技能についての認識・理解を深め、安全運転を続けられるようにするためです。
現在、70歳以上の運転免許保有者は、免許証更新時に「高齢者講習」を受講することが義務付けられています。
これにより、視力や運転操作に問題がないかを診断したり、実際に担当者と車を運転したりしながら、自身の運転技能について再認識する機会を得られます。
高齢者における認知機能検査と高齢者講習認知機能検査を行う病院
認知機能検査は、検査結果に応じて従来よりもきめ細かな「高齢者講習」が実施されます。
75歳以上のドライバーは「高齢者講習」の前に認知機能検査の受検が必要です。
認知機能検査と「高齢者講習」は、免許証の更新期間満了日の6か月前から受講可能ですが、それぞれ受講自体は別日になります。
なお、混み合うことが予想されるので、「運転免許証更新講習等のお知らせ」の通知を受領してすぐに予約申込をしていただくことをおすすめします。
認知機能検査の種類
認知機能検査は、記憶力や判断力などの認知機能を簡易的に調べ、認知症の可能性の有無を検査します。
以下では、主に使われる長谷川式認知機能検査とその他の認知機能検査について詳しく説明します。
長谷川式認知機能検査
長谷川式認知機能検査は、検査員の説明に従い、受検者が検査用紙に記入して行います。
この検査では、次の2つの検査項目によって、対象者の記憶力や判断力の判定、評価をします。
- 「時間の見当識」:検査時の年月日、曜日、時間を回答
- 「手がかり再生」:検査員の説明に従いながら記憶
検査終了後、採点が行われ、その点数に応じて
- 記憶力・判断力が低くなっている方(認知症のおそれがある方)
- 記憶力・判断力に心配のない方(認知機能が低下しているおそれがない方)
の2つの分類で判定が行われます。
その他の認知機能検査
認知機能検査には、長谷川式認知機能検査以外も多数存在します。
アルツハイマー型認知症やレビー小体型認知症など、特定の認知症の診断をするために種類が設けられています。
これらの検査は、医療専門家によって行われ、患者の思考、記憶、言語、視覚空間スキル、注意、問題解決能力など、さまざまな認知領域を評価します。
認知機能検査の情報は、診断を確定するだけでなく、治療計画を立て、患者の病状の進行を追跡するのにも役立ちます。
認知機能検査を行う病院
認知機能検査は、認知症の診断や進行度の評価に不可欠といわれています。
以下では、認知機能検査を行う病院やその他の施設について解説します。
認知機能検査を行う主要な病院
認知機能検査を行う主要な病院は、専門的な医療スタッフと最新の設備を備えています。
これらの病院では、患者の症状や生活状況に合わせて、必要な検査方法を選択し、詳細な診断を提供します。
また、患者とその家族に対するサポートも充実しており、認知症の治療とケアに関する包括的な情報と支援を提供しています。
認知機能検査を行う施設
認知機能検査を行うその他の施設には、介護施設や地域包括支援施設などがあります。
これらの施設では、専門的な知識を持つスタッフが、日常生活の中での認知機能の変化を評価します。
また、地域のネットワークを活用して、患者とその家族に対する継続的な支援を提供します。
これにより、認知症の早期発見と適切なケアが可能となるとされています。
認知検査についてのまとめ
ここまで認知検査についてご紹介しました。
要点を以下にまとめます。
- 認知機能検査は、年齢が75歳以上のドライバーが受けなければならない
- 認知機能検査は、記憶力や判断力を測定するもので「手がかり再生」と「時間の見当識」の2つの検査項目がある
- 認知機能検査は、医師の行う認知症の診断や医療検査の代わりにはならない
これらの情報が少しでも皆さまのお役に立てば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。