医療技術が日々進歩している現在、看護師の専門性の向上についても注目が集まっています。
認定看護師や専門看護師が誕生してから、今では
「専門知識を極めたい」「強みを持って、求められる存在になりたい」
と認定看護師や専門看護師を志す看護師や看護学生の数も年々増加しています。
高齢化が進む日本において、認知症患者の急増により認知症看護は特に注目を浴び、認知症認定看護師の需要も高まってきています。
では、どうすれば認知症認定看護師などの認定看護師資格を取得することができるのでしょうか?
本記事では、認知症認定看護師を中心に、認定看護師の基本事項から認定看護師資格取得の注意点まで細かくご紹介いたします。
- 認知症認定看護師とは
- 認知症認定看護師の必要性
- 認知症認定看護師になるには
- 認知症認定看護師の今後の活躍
- 認知症認定看護師資格取得後の待遇
認知症認定看護師の資格取得やあなたのキャリアアップの参考にするために、ぜひ最後までお読みください。
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認知症認定看護師とは
そもそも認定看護師とは、特定の分野の専門知識・技術を持った看護師を指します。
認知症認定看護師は、認定看護師の中でも認知症分野に特化した認定看護師です。
また、2021年度から認定看護師が一定の研修が必要な特定行為も行う事ができるように、研修内容が移行しつつあります。
目的
認定看護師の制度は、より広い場面での看護ケアの提供と質の向上を目指しています。
この制度では、熟練した看護技術や知識を持つ看護師を認定看護師と認定し、病院以外の社会へ送り出しています。
それによって、病院以外のあらゆる場面で看護を必要としている人にも高い水準の看護を提供することにが出来ます。
役割
認定看護師は以下の3つの役割を担っています。
- 実践
- 指導
- 相談
それぞれの役割についてご紹介します。
実践
現場のリーダーとして以下のような実践的役割を担います。
- 的確なアセスメントによる認知症患者の隠れたニーズの汲み取り
- 周辺症状の予防・緩和のための的確なケアの実施
- 事故防止・症状悪化を防ぐための環境整備の実施
- 合併症などにも配慮した健康管理と医療との連携対応
指導
現場のリーダーとして以下のような指導的役割を担います。
- 多様な認知症対応のノウハウを指導
- 勉強会の開催やマニュアル整備
相談
現場のリーダーとして以下のような相談の役割を担います。
- 認知症介護に疲れ、困窮している家族へのケア・アドバイス
- 看護・介護チームへのアドバイス(ケアの問題などに対する)
活動
認定看護師のほとんどは病院で活動しており、病棟に所属して看護実践を主に行っています。
しかし、病棟に所属せずに病院のケアチームとして病院全体の看護指導に携わる場合もあります。
病院以外にも、訪問看護ステーションや介護施設、クリニックなど、働くフィールドは幅広くあります。
また、行政との調整業務などの活動もあります。
認知症患者の増加に伴い、認知症認定看護師の活動の幅は今後さらに広がっていくと考えられています。
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認知症認定看護師の必要性
少子高齢化に伴い、認知症患者が急増している現在においては、認知症の専門知識を持つ看護師の存在は必要不可欠です。
認知症はあらゆる病気との併発が見られ、ほとんど全ての病棟で認知症患者の看護は必要な技術となっています。
また、在宅医療や介護施設においても認知症に関する問題は年々大きくなっているのが現状です。
そんな中で、認知症認定看護師は一般看護師やその他の医療職のサポートをするかけがえのない存在となってくるでしょう。
高齢者介護の中でも大変な場面の多い認知症の介護。介護拒否や危険行動もあるため、介護者にとっては負担の大きい認知症の介護ですが、どのような問題や対策方法があるのでしょうか?今回、認知症介護の特徴をご紹介した上で、その問題の傾向や介[…]
認知症認定看護師になるには
認知症認定看護師の今後の活躍
認知症認定看護師は幅広い分野での活躍が期待されています。
前述したように、認知症患者の急増に伴い、あらゆる施設や場面で認知症患者への適切な対応が求められているのです。
具体的には、病院のケアチームに入り、病院全体の認知症看護のカバーを担ったり、地域への認知症対応の啓蒙活動も実施されています。
また、認知症認定看護師は、あらゆる分野の医師と対等な立場で意見交換をし、認知症患者に適切な医療を届ける役割も担っています。
認知症認定看護師になるための費用
認定看護師になるための費用は一般的には200万円程度、または、それ以上と言われています。
まず、全員に共通して必要となる費用として
- 入試検定料(約5万円)
- 認定看護師教育機関の入学金(約5万円)
- 認定看護師教育機関の授業料(約70万円)
- 認定看護師認定に必要な実習の実習費(約10万円)
- 認定審査費用(約5万円)
- 認定費用(約5万円)
上記合計で約100万円が必要となります。
さらに、それぞれの状況によって必要となる費用として
- 認定看護師教育機関に寮がなく、自宅が遠方の場合の家賃(短期契約型マンションなど)
- 引っ越し費用
- 実習中の宿泊費またはマンスリーマンションなどの賃料
- 実習先までの交通費
- 参考書などの書籍代
- パソコンやプリンター機器の購入費用
上記で約100万円が必要となります。
これらは所属の病院によっては、支援制度がある施設もあります。
支援制度としては、通学中の給与保障や授業料、交通費の一部助成などがあります。
認定看護師になるための費用は高額になるため、所属病院の支援制度や各種奨学金制度をよく調べてみましょう。
認知症認定看護師の合格率
認定看護師の合格率は約90%前後となっています。
中でも、認知症認定看護師の合格率は2015年から2017年の3年間で約99%とかなり高い現状です。
しかし、この高い合格率には3つの理由があるのです。
その理由とは
- 実績のある人のみの受験
- 専門分野のみの勉強
- 審査の難易度はそれほど高くない
以上の3点になります。
そもそも、認定看護師を志す人は実務研修が5年以上で優秀な人材が多いです。
そのような優秀な看護師が専門分野のみを6か月以上学んで受験するので、合格率が高くなるのも当然と言えます。
しかし、合格率が高いからと言って安心は出来ない現状があります。
審査の前に高い壁が存在するのです。
その壁は、認定看護師教育機関への入学です。
入学試験が非常に難関となっており、入学試験の合格率は20%~50%となっています。
入学試験が難しい理由としては2点あります。
まず1点目は、認定看護師教育機関は定員制を取っていることです。
合格基準を達していたとしても、定員オーバーの場合は入学が出来ません。
定員割れをしていても、合格基準に達していない場合には当然入学出来ません。
つまり、合格基準をクリアして、なおかつ定員数の順位に入らなければならないのです。
2点目は入試科目です。
入試科目は筆記・小論文・面接となっており、日ごろの業務で多忙な中で勉強を進めていくにはかなり重めの内容です。
そのため、勉強時間をしっかりと確保して受験に臨まなければ合格は難しいでしょう。
このように、まず認定看護師教育機関への入学をクリアしなければ、認定看護師の第一歩を踏み出すことができま
ん。
認定看護師を志すのであれば、認定看護師審査の合格率だけでなく、その過程の難易度まで確認する必要があります。
認定看護師資格取得後の待遇
苦労して認知症認定看護師資格を取得した後は待遇は良くなって欲しいものです。
しかし、2015年のデータによると、6割前後の認定看護師が「資格取得後、待遇の変化がなかった」と回答しています。
「昇給・昇格、資格手当の双方ともあり」の回答は5.4%と驚くべき低さです。
認定看護師制度はまだ出来て20年ほどの比較的新しい資格であるため待遇の整備が追いついていないのが現状です。
全体的な傾向としては、国立病院や医療法人系の病院で手当の支給率が高い傾向にあります。
一方で、認知症認定看護師に関しては、他分野の認定看護師よりも資格手当の平均が1,000円~2,000円程高いというデータも存在します。
このことから、認知症認定看護師は他の分野よりも需要が高いと考えられます。
今後、看護の専門性がより求められ、認定看護師の待遇も良くなっていくことが考えられますが、認定看護師資格の取得を考える際には、所属病院に必要とされる認定分野や待遇の変更の有無について確認しておくことをオススメします。
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認知症認定看護師についてのまとめ
ここまで、認知症認定看護師を中心に認定看護師資格についてお伝えしてきました。
- 認知症認定看護師の目的は看護ケアの提供と質の向上
- 認知症認定看護師の役割は実施・指導・相談の3つある
- 認知症認定看護師になるには200万程度かかる
- 認知症認定看護師の合格率は限りなく高いが、認定看護師教育機関への入学が困難
- 認定看護師資格取得後の優遇はまだあまりない
これらの情報が、あなたのキャリアアップや充実したライフプランを叶えるために少しでもお役に立てば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。