誰でもうっかり日常的に経験するもの忘れ。 笑い話になるようなものなら良いですが、ヒヤリとするようなことが増えてきたら不安になるものです。 一般的な単なる物忘れと、記憶障害の一つである健忘症とはどう違うのでしょうか。 また、もしも健忘症と診断されてしまったら、どうしたら良いのでしょうか。 ここでは健忘症についてさまざまな角度から説明していきます。
- 健忘症と認知症など他の症状との違い
- 健忘症の種類
- 健忘症の診断基準
- もし健忘症になってしまったら?
気になる健忘症の予防法についても紹介していますので、ぜひ最後までご覧ください。
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健忘症とは

健忘症とは、記憶障害の一つです。 わかりやすく言うと、「もの忘れ」が頻繁に起こることです。 最近もの忘れが激しくなってきたと感じている方は、気になるワードかもしれません。 とはいえ、誰でももの忘れの経験はあるでしょう。 「買い物に行ったのに、買う物を書いたメモを忘れた」 「しかも一番欲しかった物を買い忘れて帰ってきた」 「普段はわかっている漢字をど忘れして書けない」 「物を取りに来たのに、何を取りに来たのか忘れた」 「今日だと思っていた約束が、明日だった」 …などは、一般的によくあることではないかと思います。 健忘症とは、こういったよくある笑い話になるようなもの忘れではなく、その度合が病的に著しい場合を指します。 数分前、数日前、あるいはもっと前の体験の記憶が失われ、日常生活に支障を来たすようなケースです。 どのくらい前まで思い出せなくなるかは、人によってさまざまです。 ほんの数秒前の記憶がわからなくなるものから、中には遠い過去の記憶にまで障害が影響するケースもあります。
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プラズマローゲンとは?サプリについても説明
プラズマローゲンとは、グリセロリン脂質の一種であり、細胞を構成する主要な成分です。 人間の全身のリン脂質の約18%がこのプラズマローゲンであるといわれており、特に脳に多く存在しプラズマローゲンは人間が存在する上でとても重要な成分と考えられています。 しかし、このプラズマローゲンはさまざまな要因で減少しやすい成分でもあります。 酸化ストレスや炎症、神経の変性、感染症や外傷など、さまざまなストレスにさらされることで、プラズマローゲンが減少していきます。 特に、脳の海馬や前頭葉には多くのプラズマローゲンが含まれており、成分の減少と認知症の進行度には関連性があるという報告もあります。 プラズマローゲンは現在、認知症対策のサプリメントとして販売されています。 1995年にアルツハイマー型認知症の患者の、脳のプラズマローゲンが減少していることが確認されました。 その後、2007年にはアルツハイマー型認知症患者の血清でもプラズマローゲンの減少が認められており、プラズマローゲンは認知症と関係があると考えられています。 また、アルツハイマー型認知症の発症には、アミロイドβたんぱくの沈着が関係しているといわれています。 プラズマローゲンは、アミロイドβたんぱくの沈着を抑える効果のほか、脳神経細胞のアポトーシス抑制の効果も見込めるため、プラズマローゲンを摂取することで認知症への対策が期待できます。 出典:認知症との関係|AdvancedMedicalCareInc. 認知症予防に使われるサプリについて知りたい方は、ぜひこちらの記事もお読みください。
認知症予防とは、脳の神経細胞の働きが低下し、認知機能の低下によって社会生活に支障を来さないよう、「認知症になるのを遅らせる」「認知症になっても進行を緩やかにする」という意味で、生活習慣病対策やサプリメントを用いるなどの予防策があります。[…]
他の症状との違いについて

健忘症と間違われやすいものに、認知症やせん妄などの病態があります。 また、一般的な加齢に付随するもの忘れも混同されやすいので、違いを以下に説明します。
健忘症と認知症の違いについて
健忘症と認知症の大きな違いには、その一つに忘れていることへの自覚の有無が挙げられます。 忘れてしまったこと自体を覚えているのが健忘症、忘れていること自体を忘れているのが認知症です。 たとえば、数分前に食事をしたとします。 食事をしたこと自体は覚えているけれど、食事内容が思い出せないのが健忘症です。 一方、認知症は、食事したこと自体を忘れてしまい、また食べようとします。 特に直近のことを覚えていられない認知症の病例に、アルツハイマー型認知症があります。 アルツハイマー型認知症では、同じことを何回も訊いたり、食事も何度もしたりする症状がみられます。 しかし、本人は繰り返しているという自覚はまったくありません。 何度も繰り返し質問したとしても、質問したこと自体を覚えているのならアルツハイマー型認知症ではありません。 また、しばしば認知症では人格が大きく変わってしまうことがありますが、健忘症ではそのような人格面の変化は見られません。 さらに、認知症の初期症状では「物を盗まれた」「泥棒に入られた」などといった「物盗られ妄想」が出てくる場合が多く見られます。 健忘症ではそのような被害妄想は現れません。 しかしながら健忘症の症状と、認知症の初期症状は間違われやすいので、周りの人もよく注意して特徴を把握しておくと良いでしょう。
健忘症とせん妄の違いについて
健忘症とせん妄では、障害の分類が違います。 健忘症は記憶障害ですが、せん妄は意識障害に当たります。 意識障害というと、昏睡状態などが思い浮かぶかもしれませんが、せん妄も意識障害の一種です。 せん妄状態に陥ると思考力が低下して幻覚や幻聴が現れ、半分眠っているような寝ぼけた様態になります。 睡眠リズムも乱れ、睡眠中でも覚醒して落ち着きがありません。 しかし、健忘性では、幻覚や幻聴はなく、睡眠リズムも安定しています。 せん妄は、健忘症のような記憶障害ではなく、急性で一時的な意識障害として位置づけられています。
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健忘症と一般的なもの忘れとの違いについて
もの忘れは、誰にでもあることです。 それが加齢による一般的な自然現象なのか、記憶障害である健忘症なのか気になっている方も多いかもしれません。 症状の違いを判断する方法の一つとして、職場や家庭内で役割を果たすことができるかどうかが挙げられます。 顧客と会うことを忘れたり、同じ指示を何度も出すなど、業務に支障が出るような状態だと、健忘症の可能性が高いでしょう。 健忘症の特徴に、抜け落ちたように記憶が思い出せないというものがあります。 一方、もの忘れの場合は、会話などをきっかけに思い出すことが多いです。
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健忘症の種類について

健忘症は、その時間的関係において、いくつかに分類されます。 以下に、3つ紹介します。
前向性健忘
新しいことを覚えられなくなるのが前向性健忘です。 症状の一例として、日本のテレビでも取り上げられた話があるので紹介します。 それは、イギリスの高校生の少年が、記憶をなくしてしまったというエピソードです。 少年はラグビーの試合中に脳震盪を起こし、その事故以前の記憶をすべて失ってしまいました。 家族や恋人のことも、学校へ行く道も忘れ、勉強しても次の日には忘れてしまったと言います。 つまり、事故以降の記憶障害に陥ってしまったのです。 幸い、旅行やスポーツがきっかけで現在は記憶を取り戻したそうですが、少年のようなケースは、記憶が必ず戻るとは言えないそうです。 このように、原因となる受傷などをした時点から記憶できなくなってしまう症状を、前向性健忘と言います。
逆行性健忘
逆行性健忘とは、発症以前の過去の記憶を思い出すことができない症状です。 原因となった出来事の時点からさかのぼって、記憶を呼び戻すことができない状態を指します。 交通事故などで頭部に外傷を受けたり、脳に大きな衝撃を受けたりした時に発症します。 症状の度合いは、原因となる出来事の数時間前までが思い出せないといったものから、衝撃を受ける前の記憶がまったく無いといったものまでさまざまです。 ある例として、バイクの転倒事故で頭部に外傷を負った患者さんが、事故から前の数分の出来事が思い出せないというケースがありました。 病院は頭部のCTを撮り、海馬などの記憶中枢を検査しましたが、異常はなかったそうです。 事故後の記憶力は問題はありませんでしたが、それでも事故前の記憶は戻りませんでした。 このように、原因となった出来事から前の記憶がないことを逆行性健忘と言います。
一過性健忘
一過性健忘は、前向性健忘症と逆行性健忘症がほぼ同時に起こる病態です。 他の症状は出ずに、記憶がなくなる健忘のみが現れるのが特徴です。 一過性健忘の症状は、30分から8時間前後続きます。 稀ですが、長くて24時間ほど続く場合もあります。 一過性健忘になると、場所や時間がわからなくなりますが、人に対する認識は正常に働いています。 また、突然いろいろなことがわからなくなるので、不安から興奮状態に陥ることが多くなります。 この一過性健忘症の発症率は、10万人に5人程度と言われています。
健忘症の原因について

健忘症の原因は色々考えられますが、大きく外的要因と内的要因に分けられます。
外的要因
外的要因では頭部への衝撃による外傷性のものや、脳手術による脳の損傷、服用している薬の副作用などでも引き起こされることがあります。 その他、脳の感染症、アルコールによる影響、脳卒中や脳腫瘍などの脳疾患などが原因に挙げられます。
内的要因
内的要因としては、精神的ショックや大きなストレスなどによる心因性のものがあります。 記憶障害ではないですが、解離症の一種に当たる解離性健忘は、トラウマが原因で起こります。 脳の機能については未知な部分が多く、まだまだ研究が求められる分野ですが、脳の海馬は記憶を司る部位であることがわかっています。 このことから、健忘症の原因の一つは、海馬に血流が行かなくなることではないかとも言われています。
健忘症の診断基準について

健忘症を診断する際は、いろいろな角度からチェックして診断します。 問診はもちろん、外傷の有無も確認し、脳のCT検査やMRI検査を行い、画像診断により脳に問題が見られないかチェックします。 健忘症の場合は、視床下部や海馬の領域に障害が見られます。 単語の記憶テストや、数字を順に数える数唱テストなど、簡単な記憶力も検査して判断していきます。 さまざまなチェックの結果、直前の記憶だけは保たれていますが、短期あるいは長期の記憶に問題が見られる場合に、健忘症と診断されます。 問診では、本人にいろいろヒアリングして状態を診ます。
- 今日の日付、今の季節がわからない
- 同じ事を繰り返し話す
- 自分の卒業した学校など、大事なことがわからない
ヒアリングでこうした当然知っているべき事柄について思い出せない場合、健忘症が疑われます。
健忘症になったら?

健忘症になったら、記憶が曖昧になるので不安になり混乱しますが、対策はあります。
メモの活用
物の保管場所や予定は、こまめにメモを取るようにしましょう。 しかし、そのメモを置いた場所を忘れる、ということもありますので、ホワイトボードなどを利用すると良いかもしれません。 ホワイトボードだと職場や家庭でも誰もが目に入りますし、情報を共有できます。 情報が共有できるということは、周りもフォローがしやすくなるので、健忘症の方の安心につながります。
金銭管理
保険や貯金など、財産に関わることは忘れてしまうと大きなトラブルにつながります。 通帳の保管場所や金融期間の暗証番号は、忘れずメモしておきできれば信頼できる人と共有しましょう。 支払いも忘れることがないように、自動引き落としに変更するなどの工夫が必要です。
その他
伝達事項も、口頭で言われるだけだと記憶に残らない場合があります。 そのような場合は、紙に書いて伝えてもらうなど、視覚的アプローチをお願いしましょう。 また、アラームも有効活用できるアイテムです。 予定や約束、スケジュール管理などは、時間になったらアラームが鳴るようにセットしておきましょう。 たとえ用事を忘れていたとしても、アラームの聴覚的刺激により記憶が蘇ります。 健忘症になったことはショックなことですが、状況を受け入れ、周りがサポートしやすい環境を整えるようにしましょう。
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健忘症の予防法について

50代以上の年齢になってくると、健忘症が気になってくるかもしれません。 予防法があるなら積極的に取り入れたいものです。 健忘症の予防に有効なのは、栄養バランスの良い食事と軽い運動です。 健忘症の原因の一つに、脳梗塞などの脳の血管障害が挙げられます。 脳の血管障害は、高血圧や糖尿病と大いに関連があります。 塩分や糖分、脂質が多めの食事をしていないでしょうか。 生活習慣病にならないような、健康的な食生活を心がけると健忘症の予防になります。 塩分が多めの食事をしている人は、ナトリウムを排出する働きを持つカリウムを摂取しましょう。 カリウムは、リンゴやバナナに多く含まれています。 果物が苦手なかたには、カリウムサプリも市販されているので利用してみるのも良いでしょう。 手軽に食べることができる菓子パンや甘いジュースなどもつい手が出がちですが、健忘症予防のためにはあまりおすすめできません。 小さいのにカロリーが多い菓子パンや、甘いジュースには糖分がたっぷりと含まれています。 生活習慣病にならないためには、運動も必要です。 脳が活性化する運動は、デュアルタスク型運動が効果的だと言われています。 例えば足踏みしながら奇数の時に手を叩くなど、同時進行の動きが脳を活性化させることがわかっています。 また、知的ゲームも有効です。 時間がある時には、計算ゲームや漢字パズルなどをするのも良いでしょう。
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健忘症まとめ

ここまで、健忘症の症状や原因、診断基準などを中心にお伝えしてきました。 以下まとめです。
- 健忘症は他の症状と違い、忘れていることに対して自覚がある
- 前向性健忘症や逆行性健忘症などの種類がある
- 脳の画像診断や、記憶の度合い、日常生活に支障があるかなどで判断される
- 健忘症になってしまってもメモを取り情報を共有するなど対策はある
これらの情報が少しでも皆さまのお役に立てば幸いです。 最後までお読みいただき、ありがとうございました。