長寿大国の日本ですが、最近ではただ長生きするのではなく、元気に生きられる長さ=「健康寿命」に意識が向けられています。
健康志向が高まる中、必要な栄養素を必要な量だけ摂取したいという人が増えています。
今回は栄養素の一つ、ビタミンaに注目していきます。
ビタミンの中でも、ビタミンaにどのような効果があるかご存知でしょうか。
本記事では、ビタミンaについて以下の点を中心にご紹介します。
- ビタミンaの効果や摂取できる食品
- ビタミンaの過剰摂取リスクについて
- ビタミンaの上限摂取量
ビタミンaを正しく摂取するためにも、ご参考頂けますと幸いです。
ぜひ最後までお読みください。
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ビタミンaとは
ビタミンaについてご存知でしょうか。
ビタミンとつく栄養素はたくさんあり、全ての違いを知っている人は少ないでしょう。
ビタミンは、人体の機能を正常に保つために必要な有機化合物です。
水溶性ビタミンと脂溶性ビタミンがあり、ビタミンaは脂溶性ビタミンになります。
脂溶性ビタミンは水に溶けない性質で、主に脂肪組織や肝臓に貯蔵されます。
どちらも、体内ではほとんど作ることができません。
したがって、食物から摂取することが必要です。
では、具体的なビタミンaの効果や、ビタミンaを含む食品を紹介していきます。
ビタミンaの効果
ビタミンaの主要な成分はレチノールです。
レチノールには、目や皮膚の粘膜を健康に保ち、抵抗力を高める役割があります。
暗いところでも視力を保ったり、細胞のターンオーバーを助け、コラーゲン生成を促進し、クリアな肌を保ったりする働きがあります。
ビタミンaが豊富に含まれる食品
ビタミンaは、動物性食品と、体内でビタミンaとして働く「プロビタミンa」が多く含まれた植物性食品で摂取することが可能です。
【動物性食品】
- 豚レバー
- 鶏レバー
- うなぎ
- バター
- 卵黄
【植物性食品】
- 海苔
- しそ
- モロヘイヤ
- 人参
- ほうれん草
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ビタミンaを過剰摂取するとどうなる?
ビタミンaは、人体にとって摂取すべき必要な栄養素であることはご理解頂けたでしょうか。
しかし、積極的に摂取したいからといって、ビタミンaサプリを大量に飲むことはおすすめできません。
なぜなら、過剰摂取すると身体に害を及ぼすからです。
悪影響を受けないためにも、過剰摂取とはどのくらいの量を取ることなのか知っておきましょう。
ここでは、ビタミンaの適切な摂取量と過剰摂取するとどのような可能性があるのかを説明していきます。
過剰摂取による悪影響
ビタミンaを短期間に過剰摂取すると、腹痛や吐き気、嘔吐を起こす可能性があります。
ほかにも、皮膚の表面が剥がれ落ちる場合もあります。
長期間にわたりビタミンaを過剰摂取した場合は、脳脊髄液圧の上昇、皮膚の乾燥・脱毛、筋肉痛、肝脾腫などの症状があらわれます。
小児は、骨や関節の痛みがよくみられるようになり、正常な成長と発達を妨げられ、高齢者は骨折するリスクが高まります。
ただし、体内でビタミンaに変換される「カロテノイド」を食物から摂取しても、ビタミンaに変換される速度が遅いため毒性はないと考えられています。
緑黄色野菜やマンゴー、柿などにカロテノイドは多く含まれています。
過剰に摂取することを避けるには、どの食品をどのくらい食べてよいのでしょうか。
一日の上限摂取量
過剰摂取による健康障害を起こさないためにも、1日の上限摂取量をみていきましょう。
厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2020年度版)」において、ビタミンaについて、健康な人を対象に栄養素摂取量の上限度を設定しています。
年齢によって異なりますが、18~70歳以上のかたのビタミンa上限量は、2,700㎍RAEとなっています。
ビタミンaの摂取基準は、レチノールだけでなくビタミンaの前駆体すべて合わせて、レチノール活性当量として算出した値を用いられています。
ビタミンaやプロビタミンaを多く含む食品には、どのくらいの量のビタミンaが含まれているのかみていきましょう。
豚レバー(生) | 1人前 | 13,000㎍ |
うなぎの蒲焼 | 1串 | 1,500㎍ |
全卵 | Mサイズ1個 | 150㎍ |
にんじん(ゆで) | 1本 | 730㎍ |
ほうれん草(ゆで) | 1株 | 450㎍ |
動物性食品と植物性食品は、ビタミンaの量が大幅に違うことが分かります。
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妊婦は特に注意が必要
妊娠すると、今まで以上に栄養をとらなければと感じる方も多いです。
ビタミンaは目や皮膚の形成、粘膜の健康維持などに欠かせない栄養素であり、胎児にとっても、成長に必要なものです。
しかしビタミンaは、妊娠初期に過剰摂取すると、胎児に器官形成異常が起こる可能性があり、注意が必要です。
妊娠初期のビタミンaの推奨量は、650~700㎍となります。
レバーや卵を取りすぎないように、緑黄色野菜を積極的にとりましょう。
ビタミンaが不足した場合は?
ビタミンaの過剰摂取について説明してきましたが、反対にビタミンaが不足すると、体内にどのような影響があるのでしょうか。
ビタミンaが不足した場合、ビタミンa欠乏症の初期段階として、夜盲症があります。
夜盲症は、暗いところや夜に見えにくくなる病気で、その後、眼球乾燥症という結膜と角膜が乾燥して厚くなる病態が現れることがあります。
眼球乾燥症は、ビタミンaの摂取不足の小児によくみられます。
進行すると最終的に失明に至ることもあります。
また、眼や皮膚、その他の組織が乾燥して損傷を受け、感染症が生じる頻度が高まります。
小児の成長や発達の遅れがみられることもあり、重度のビタミンa欠乏症の場合、小児では半数以上が死亡する可能性があります。
ビタミンaの平均摂取量
ビタミンaは、過剰摂取するのも、不足するのも、悪影響がありますが、理想的な摂取量はどのくらいかをみていきましょう。
【一日当たりのビタミンa摂取量】
推奨量 | 平均摂取量 | |
18~74歳の男性 | 850〜900㎍RAE | 544㎍RAE |
18~74歳の女性 | 650~700㎍RAE | 520㎍RAE |
参照元:日本人の食事摂取基準(2020年版)、「平成30年国民健康・栄養調査」
「推奨量」はほとんどの人が必要量を満たす量なので、推奨量に届くことが理想的です。
厚生労働省が行った「平成30年国民健康・栄養調査」によると、ビタミンaの平均摂取量は20歳以上の男性で544μgRAE、女性で520μgRAEです。
男性女性どちらとも摂取量と推奨量を比較しても、目標数値に届いていません。
緑黄色野菜や黄色やオレンジ色の果物を多く食べましょう。
加熱調理したり、油とともに摂取したりすると体内に最もよく吸収されます。
ほかにも、ビタミンaで栄養強化された牛乳やシリアルもおすすめです。
動物性食品のレバーやサプリメントの大量摂取などをしない限り、普段の食生活では、ビタミンaの過剰摂取にはなりにくいです。
また、ビタミンa欠乏症になるリスクが高い小児(発展途上国に住む子など)は、ビタミンaのサプリメントを推奨します。
ビタミンaの過剰摂取まとめ
ここまでビタミンaについて、過剰摂取がもたらす悪影響を中心にお伝えしてきました。要点を以下にまとめます。
- ビタミンaの主要な成分レチノールは、目や皮膚の粘膜を健康に保ち、抵抗力を高める効果がある
- ビタミンaの過剰摂取をすると、腹痛、頭蓋内圧亢進症、皮膚の乾燥、筋肉痛、肝脾腫など悪影響を及ぼす可能性がある
- ビタミンaの上限摂取量は、18~70歳以上で2,700㎍RAEとなっているが、普通の食生活で上限摂取量を超える可能性は低い
これらの情報が少しでも皆様のお役に立てば幸いです。
ご覧いただき、ありがとうございました。