タンパク質は体をつくるのに重要な栄養素です。
食事で摂取したタンパク質の中にはさまざまな栄養素が含まれ、必要な形に分解・吸収されて体の一部となります。
食事で摂ったタンパク質はどのように分解されていくのでしょうか?
今回はタンパク質の分解について以下の点を中心にご紹介します。
- タンパク質は分解されるとどのようになるのか
- タンパク質の効率よい摂り方
- タンパク質の摂りすぎはいけないのか
タンパク質の分解について理解するためにもご参考いただけますと幸いです。
ぜひ最後までお読みください。
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タンパク質とは
タンパク質は糖質・脂質とならび、三大栄養素といわれる栄養素のうちの1つです。
人間の体を構成する成分の中で約60%は水分でできていますが、タンパク質は約16%と水分の次に多く占めています。
タンパク質の種類
タンパク質は多数のアミノ酸が結合してできています。
体を構成する約10万種類ものアミノ酸のうち、20種類のアミノ酸が配列することでタンパク質を構成しています。
20種類のうち、9種類は必須アミノ酸とよばれ、体内でつくることができないため食事から摂る必要があります。
食事として摂るタンパク質には肉や魚などの動物性タンパク質と大豆などの植物性タンパク質とにわけられます。
動物性タンパク質には必須アミノ酸がほとんど含まれ、脂質も多く含まれています。
植物性タンパク質には必須アミノ酸が不足しているものもあります。
しかし、体によい栄養素が含まれているため、動物性とバランスよく摂ることをお勧めします。
タンパク質の役割
タンパク質は筋肉や内臓のほか、皮膚や骨・髪の毛などの成分となります。
体を調整するホルモンや酵素、免疫物質などの材料にもなっており、体をつくるのに重要な栄養素です。
また、タンパク質の一部はエネルギーとしても消費されます。
タンパク質は日々、合成と分解を繰り返しています。
食事で摂ったタンパク質を利用して体の一部に合成していきます。
そして、分解することで、いらなくなった物質を体外に排出させています。
爪や髪の毛が伸びるのはタンパク質が合成と分解を繰り返しているからです。
筋肉や臓器も合成と分解を繰り返しています。
合成と分解を繰り返して体内のタンパク質を一定量にたもっています。
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タンパク質が分解されると?
タンパク質はそのままでは吸収できません。
タンパク質分解酵素によってアミノ酸に分解されることで吸収されます。
そのため、分解促進のため、酵素の多く含まれる果物や野菜を同時摂取する必要があります。
タンパク質が分解される過程についてご紹介します。
タンパク質が吸収されるには?
タンパク質が分解されるとペプチドやアミノ酸という物質になります。
ペプチドとはアミノ酸が2〜20個結合した状態のものです。
タンパク質は50個以上のアミノ酸が結合した状態のものをいいます。
食事で摂ったタンパク質はそのままでは吸収できません。
アミノ酸にまで分解されることで吸収できるようになります。
ただし、アミノ酸が2つ繋がったジペプチドや3つ繋がったトリペプチドはアミノ酸と一緒に吸収できます。
タンパク質分解酵素の働き
食べたものは消化器官を通っていく間に、各器官から分泌される消化酵素の働きによって分解されます。
タンパク質がペプチドやアミノ酸に分解されるときも、いくつかの消化酵素が関わっています。
タンパク質はアミノ酸が立体的に繋がった構造をしています。
食事から摂ったタンパク質は以下のように分解・吸収されて体をつくります
- 胃液の消化酵素であるペプシンによって立体から鎖状のポリペプチドとよばれる状態になる
- 十二指腸で膵臓からの消化酵素によってアミノ酸やジペプチド、トリペプチドの状態まで分解
- 小腸上皮で吸収され、いったん肝臓に運ばれる
- 血液の流れにのって肝臓から各組織に運ばれていく
- DNAの情報にしたがい、筋肉や皮膚、爪などのタンパク質に組み替えられ体をつくる
また、古くなったタンパク質は分解され血液にのって肝臓に運ばれます。
75〜80%は新しいアミノ酸として再利用されます。
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タンパク質分解酵素とは
タンパク質分解酵素とは、その名の通り、タンパク質を分解するための酵素です。
消化酵素の1種で、プロテアーゼとも呼ばれています。
タンパク質は人体機能を維持するために欠かせない栄養素です。
しかしサイズが大きすぎるため、そのままの形では体内に吸収されません。
体内に吸収されるには、タンパク質を小さくする必要があります。
タンパク質を小さくするために必要なのが、タンパク質分解酵素です。
ちなみにタンパク質とは、アミノ酸が複数個結合した栄養素です。
タンパク質分解酵素はタンパク質をアミノ酸レベルにまで分解することで、体内に吸収されやすくします。
タンパク質分解酵素一覧
タンパク質分解酵素には複数の種類があります。
代表的な種類をご紹介します。
- トリプシン
- プラスミン
- トロンビン
- パパイン
- ペプシン
- コラゲナーゼ
タンパク質分解酵素は、種類によって働く場所・性質が異なります。
たとえばペプシンは胃で働く酵素です。
ペプシンはタンパク質を大まかに分解します。
分解されたタンパク質はその後、血流に乗って腸・膵臓などに移動します。
膵臓ではトリプシンが中心となって、タンパク質をさらに細かく分解します。
タンパク質分解酵素を多く含む食品
タンパク質分解酵素は食品に含まれます。
代表的な食品をご紹介します。
タンパク質分解酵素は熱に弱いという性質があります。
そのため以下のような食品からタンパク質分解酵素を摂取するときは、できれば生食がおすすめです。
果物
タンパク質分解酵素が豊富な果物には以下があります。
- パイナップル
- グリーンキウイ
- いちじく
- パパイヤ
野菜
タンパク質分解酵素が豊富な野菜には以下があります。
- マイタケ
- こうじ
- ショウガ
- たまねぎ
- 納豆
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タンパク質を効率よく吸収するには?
タンパク質を分解できたとしても吸収されなければ、体の各組織をつくりあげることはできません。
タンパク質を効率よく吸収するには以下のポイントが重要です。
- 1日の摂取量
- タンパク質を摂取する時間
- 高タンパク質の食材
それぞれ説明します。
1日のタンパク質摂取量
実際にタンパク質はどのくらい摂ればよいのでしょうか。
推奨量は以下になります。(推奨量:g/日)
年齢 | 男性 | 女性 |
15〜17歳 | 65 | 55 |
18〜29歳 | 65 | 50 |
30〜49歳 | 65 | 50 |
50〜64歳 | 65 | 50 |
65歳以上 | 60 | 50 |
出典:厚生労働省【日本人の食事摂取基準2020】
1日の摂取量は男性と女性では異なります。
年齢別にみると高齢になってもタンパク質の必要量は変わりません。
タンパク質が不足すると筋力の低下に繋がります。
また、免疫物質やホルモンの材料にもなるので、風邪を引きやすくなるなど体調面にも影響を及ぼします。
タンパク質は何歳になっても必要な栄養素です。
高齢になっても意識して摂るように意識しましょう。
タンパク質の摂取タイミング
タンパク質を摂る時間としては朝食をおすすめします。
理由はタンパク質の多い食材に含まれるトリプトファンというアミノ酸に、体内時計を調整したりストレスを軽減したりする働きがあるからです。
トリプトファンを朝に摂る習慣をつけることで目覚めがよく良質な睡眠への手助けになります。
また、朝食にタンパク質を多く摂った方が、夕食にタンパク質を多く摂るよりも筋肉量が増加しやすいという研究結果もあります。
朝食は簡単にすませることが多く、タンパク質が不足しがちです。
意識して摂るようにしましょう。
筋肉量維持のためには夕食時に摂ることもおすすめします。
理由は筋肉の成長を助ける成長ホルモンが夜間も分泌されるからです。
とくに、日中に運動した日は傷ついた筋肉を修復するためにも、夕食時にタンパク質を摂るようにしてください。
ただし、消化器の負担がかからないように寝る3時間前には摂るようにしましょう。
オススメ高タンパク質レシピ
手軽につくれるタンパク質を多く含むメニューを紹介します。
朝食ではツナや卵、納豆など手軽にタンパク質を摂取できる食品を追加することが無理なく継続する工夫です。
【カツオのたたき】
材料 | 目安量 | タンパク質量 |
カツオ | 100g | 25.8g |
にんにく | 5g | 0.18g |
しょうが | 5g | 0.02g |
ねぎ(あさつき) | 5g | 0.21g |
【ツナとカニカマのトースト】
材料 | 目安量 | タンパク質量 |
食パン | 5枚切り1枚(72g) | 約5.6g |
ツナ | 1/2缶(30g) | 4.8g |
カニカマ | 1本(15g) | 1.8g |
スライスチーズ | 1枚(18g) | 4.1g |
マヨネーズ | 約大さじ1(12g) | 0.2g |
塩胡椒 | 適量 |
出典:文部科学省:【食品成分データベース】
ヘルシーだからといって植物性タンパク質ばかりだと、他の栄養素が摂れず貧血などの症状を起こす可能性があります。
偏った食事にならずにバランスよく摂ることが重要です。
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タンパク質を過剰摂取すると?
あまったタンパク質はアミノ酸に分解しても体内に溜めておくことはできません。
血液中の不要なアミノ酸は有毒なアンモニアとなってしまいます。
しかし、肝臓ですぐに無毒化され尿素となります。
尿素は腎臓の働きで尿となり体外へ排出されます。
そのため、タンパク質を過剰に摂ると肝臓や腎臓に負担をかけます。
加齢やストレス、病気などによって肝臓や腎臓の機能が低下していると、有毒なアンモニアが体の中に溜まります。
アンモニアは体臭として現れるだけでなく、吐き気や嘔吐、場合によっては意識障害を引き起こす可能性があります。
また、摂り過ぎた動物性たんぱく質はそのまま腸に送られ、悪玉菌のエサになってしまいます。
腸内環境の乱れにつながるため、注意が必要です。
タンパク質が分解できない病気、メチルマロン酸血症
メチルマロン酸血症(指定難病246)とは、体内でタンパク質や一部の脂肪酸を分解する過程で生成されるメチルマロン酸が正しく分解されず、体内に蓄積する病気があります。
メチルマロン酸は有害な物質であるため、その蓄積を防ぐ治療が行われます。
この病気では、タンパク質の制限、解毒作用のある薬の使用、点滴療法、または生成された酸を排除するための透析が行われることがあります。
メチルマロン酸血症を抑える方法
病気を抑えるためには、十分なカロリー摂取が重要です。
おそらく点滴が行われているかもしれませんが、しばしば嘔吐することが多く、心配されることでしょう。
ただ、嘔吐だけで機嫌がよく、体温も安定している場合は、経過を見守ることが適切です。
しかし、嘔吐の回数が急に増加したり、風邪のような症状が現れたり、発熱や無気力感、逆に低体温などの症状がある場合は、主治医に相談することが必要です。
メチルマロン酸血症の治療法は?
現時点ではこの病気の根本的な治療法は存在せず、生涯にわたり治療を続ける必要があります。
肝臓移植を受けた患者を中心に、成人になる方が増加しています。
肝臓移植後、タンパク質制限を中止した場合に発作が起こったという報告もあり、タンパク質制限は継続することが望ましいでしょう。
飲酒は避けるべきです。
適度な運動は良いですが、過度な運動は控えましょう。
女性の場合、出産に成功した報告がありますが、出産によって代謝異常が発生したという報告もありますので、慎重な対応が必要です。
また、腎機能が低下する可能性があるため、定期的に検査を受けるようにしましょう。
タンパク質の分解まとめ
今回はタンパク質の分解についてご紹介しました。
タンパク質の分解についての要点を以下にまとめます。
- タンパク質は分解されるとアミノ酸になる
- 朝食・夕食に意識して摂るとよい
- 過剰に摂取すると体臭の原因や嘔吐などの症状を引き起こす可能性がある
これらの情報が少しでも皆様のお役に立てれば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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