ALS(筋萎縮性側索硬化症)は、運動神経が障害され全身の筋肉が麻痺していく病気です。
症状が進行すると、車椅子や寝たきりの生活になる方がほとんどです。
しかし、ALSの原因はまだはっきりと解明されていません。
また、進行スピードや症状は人によって様々で、一概に理解するのが難しい疾患です。
ALSの症状にはどのようなものがあり、どう進行していくのでしょうか?
症状や進行の個人差はどれくらいなのでしょうか?
本記事では、ALSについて以下の点を中心にまとめていきます。
- そもそもALSとはどんな病気なのか
- ALSと診断されたらどうすればよいのか
- ALSの原因、患者数、進行について
ALSについて正しく理解するためにも参考にしていただけますと幸いです。
ぜひ最後までお読みください。
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ALSとは?
そもそもALS(筋萎縮性側索硬化症)とは、どんな病気なのでしょうか。
ALSは運動神経だけが次第に変性し、萎縮して障害されていく病気です。
発症後、数ヵ月から数年かけて徐々に全身の筋肉が萎縮、麻痺していきます。
筋肉そのものではなく、筋肉に指令を出す神経の病気で直接筋肉に障害はありません。
しかし、神経からの指令が来ない状態が続くことで、筋肉が痩せたり弱ったりします。
症状には個人差が大きいですが、代表的な初期症状として以下のものがあります。
- 細かい作業がしにくい
- 何もないところでつまずく
- 今まで楽に運べていた物が急に重く感じる
- 飲み込みにくい、しゃべりにくい
初発症状だけでなく、進行にも個人差が大きいです。
ALSが進行していくとともに以下の重篤な症状があらわれます。
- 上肢や下肢の筋萎縮
- 顔・舌・のどの筋萎縮
- 呼吸筋の障害
症状の進行が続くと、最終的には食事を摂ることや話すこともできなくなります。
また、呼吸筋も動かなくなり自力での呼吸が不可能となります。
呼吸の麻痺が出ると、人工呼吸器に頼らざるを得なくなることも少なくありません。
しかし、症状の出かたや、症状の進行には個人差が大きいです。
ALSは主な初期症状によって、以下のタイプに分けられています。
- 上肢型:上肢の筋萎縮と筋力低下が主体で、下肢は痙縮を示す。
- 下肢型:下肢の腱反射の低下、消失が早期から見られるなど下肢から発症する。
二次運動ニューロンの障害が前面に出る。 - 球麻痺型:言語障害、嚥下障害などの症状が主体となる。
- 呼吸筋型:呼吸筋麻痺が初期から見られる。
また、ALSは国の指定難病になっています。
指定難病とは原因不明で治療法の確立されていない病気のことで、公的な治療費補助を受けることができます。
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ALSであることがわかったら?
ご自身や、周囲の方にALSの症状がみられた場合と、ALSと診断された場合に分けて、解説していきます。
まず、ALSらしき症状が出た場合、なるべく早く神経内科を受診しましょう。
ALSの場合は、早期に対応することにより、症状の進行を抑えることが期待できます。
また、ALSでなかったとしても、ALS以外の病気の早期発見に繋がるかもしれません。
ネットの情報などで自己診断を行い、受診しないことだけは絶対にやめましょう。
体に異変を感じた際には、一刻も早く病院で検査してもらうことをおすすめします。
また、四大陰性症状といって、ALSにはあらわれないといわれている
- 眼球運動障害
- 感覚障害
- 排尿・排便障害
- 床ずれ(褥瘡)
4つの症状が見られるときは、ひとまずALSではないと考えてよいでしょう。
しかし、逆にいえばALS以外の病気のサインであることも考えられます。
ALSではないと安心せず、早めに病院を受診しましょう。
次に、ALSと診断された場合の対応について紹介していきます。
ALSの治療法とケアについて
今のところ、残念ながらALSを完全に治す治療法や特効薬などはありません。
そのため、患者さんそれぞれの症状の進行に合わせて対症療法を行います。
主に、薬物療法やリハビリなどの治療になります。
薬物療法では、神経を障害から保護する効果のあるお薬を使います。
リハビリでは、関節を動かす訓練やストレッチを行います。
関節が硬くなってしまったりするのを防ぐために、筋力低下を遅らせたりするために行います。
また、嚥下機能を保ったり誤嚥を防いだりするための処置も必要になります。
そのため、食事形態の工夫や口腔ケア、胃ろうの造設が検討されます。
症状が進行すると、体を動かすことや意思の疎通が困難になっていきます。
そして、患者さんの苦痛にも繋がるため、苦痛に対するケアも重要になります。
治すことを目標とした治療とは違い、苦痛の軽減を最大の目標として行われます。
ケアでは酸素投与や、オピオイドなどの鎮痛薬投与を行います。
また、患者さんだけでなく介護をするご家族への説明やケアも重要視されています。
症状が進行していく姿を見ながら介護を続けていくのは、大きな負担や不安になります。
医療者と患者さんのご家族との信頼関係は非常に大切です。
信頼関係が築かれることで、一丸となって患者さんのサポートを行うことができます。
ALSで受けられる公的制度を活用
ALSは国の指定難病です。
指定難病では、治療費等の公的補助を受けることができ、経済的負担が軽減できます。
指定難病医療費助成制度 | ALSの重症度や、所得などに応じて自己負担の上限が設けられる制度 |
高額療養費制度 | 保険診療の自己負担額が高額な場合、所得に応じて自己負担に上限が設けられる制度 |
障害者医療費助成制度 | 障害者手帳を有する人の自己負担の全部または一部が助成される制度 |
ALSの治療では患者さんご本人やその家族の身体的、肉体的負担が重くのしかかります。
公的制度を活用して、せめて経済的負担だけでも軽減し、治療に集中したいですね。
※画像はイメージです。PR ※CLINICFORの情報提供元CLINICFORAGAは疾患であるため、必要な治療を施さなければ治すことはできません。さらに、AGAは進行性の脱毛症のため、できるだけ早く治療を始めないと手遅れになっ[…]
ALSの原因は?
ALSは神経変性疾患という疾患群に分類される病気です。
神経変性疾患は、誘因が明らかではありません。
誘因が明らかでないのにもかかわらず、神経細胞が徐々に障害されていく疾患です。
ALSでは筋肉に指令を出す運動神経のみが変性や萎縮して障害されます。
しかし、なぜ運動神経だけが変性や委縮するのか詳しいメカニズムは分かっていません。
原因が不明なため、ALSを完治させることのできる治療薬はありません。
そのため、現時点では症状の進行を完全に止めることはできないのです。
alsはかつて、原因も治療法も分からない難病といわれていました。ハッキリした原因はまだ特定されていませんが、有力な仮説がいくつか発見されています。果たしてalsの原因とはどのようなものなのでしょうか。本記事ではalsの原因について[…]
ALSの患者はどれくらいいる?
ALSを患っている患者さんは全国に約9,200人います。
また、1年間で新たに発症するのは10万人中1〜2.5人であるとされています。
同じ神経変性疾患の中で、最も患者数の多い病気がパーキンソン病です。
パーキンソン病の患者数は約16万人で、年間で新たに発症する人は10万人中100〜150人です。
パーキンソン病などの他の神経変性疾患と比較するとALSの発症確率は低いといえます。
出典:難病情報センター「筋萎縮性側索硬化症(ALS)(指定難病2)」
ALSの進行は早い?
ALSは、発症からの進行が他の神経変性疾患と比べて早いです。
平均生存期間も2〜5年と、進行スピードと同様に他の神経変性疾患と比べて短いです。
しかし、ALS全体で見たときの話であり、実際には個人差が大きいです。
以下のような症状であれば、発見が遅れた場合や球麻痺型と比較すると、予後はよいとされています。
- 若齢で発症した
- 早期発見した
- 発症タイプが上肢型であった
ALSを発症した有名人に、車椅子の物理学者ホーキング博士がいます。
彼は大学院生の時にALSと診断されて、医師から余命2〜3年と宣告されました。
しかし、余命宣告とは裏腹に彼は76歳でなくなるまで55年ほど生きていました。
ALSについては、まだまだ不明な点が多いです。
しかし、ホーキング博士のように長生きできるケースも実際にあるようです。
早期発見と早期の治療介入が予後改善に結びついている可能性も考えられています。
そのため、ALSの初期症状に近い症状を感じたら、すぐに病院を受診してください。
早めに診断や治療を受けることで、生存期間やQOLを改善できる可能性があります。
参考:難病情報センター「筋萎縮性側索硬化症(ALS) 概要・診断基準等(厚生労働省作成)」
ALSまとめ
ここまでALSについてお伝えしてきました。
冒頭で述べた要点について、以下にまとめます。
- ALSは運動神経が障害され、全身の筋肉が萎縮、麻痺して行く病気
- ALSと診断されたら早急に治療を開始し、公的制度の導入も検討
- ALSの原因は不明で、発症確率は10万人中2人程度で、進行は比較的早い
今回の記事の情報が少しでも皆様の参考になれば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。