ビタミンb1は糖質をエネルギーに変えるために必要な栄養素の1つです。
また、ビタミンb6は健康や美容を維持するために欠かせない栄養素の1つです。
それではビタミンb1やb6が不足するとどのような悪影響がみられるのでしょうか。
今回はビタミンb1やb6をはじめとしたビタミンb群について、以下の点を中心にご紹介します。
- ビタミンb群の役割
- ビタミンb群を過剰摂取した場合
- ビタミンb群の補い方
ビタミンb1とb6について理解するためにもぜひご参考いただけますと幸いです。
栄養素について詳しく知りたい方は下記の記事を参考にしてください。
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ビタミンb群の働きとは?
ビタミンb群には以下の8種類の水溶性ビタミンがあります。
- ビタミンb1
- ビタミンb2
- ビタミンb6
- ビタミンb12
- ナイアシン
- パントテン酸
- 葉酸
- ビオチン
それぞれの働きについて詳しく見てみましょう。
ビタミンb群が含まれる食材について詳しく知りたい方は下記の記事を参考にしてください。
ビタミンb1
ビタミンb1はチアミンともいわれ、ビタミンの中で最初に発見されたものです。
皮膚や粘膜の健康維持、糖質を体内でエネルギーに分解・合成する役割を担っています。
糖質の多い食材やアルコールを多く摂取する方はビタミンb1が不足しがちです。
ビタミンb1をとるように心がけるのが良いでしょう。
ビタミンb2
ビタミンb2はリボフラビン酸ともいわれます。
また、別名「美容のビタミン」「発育のビタミン」とも呼ばれます。
発育促進や皮膚・粘膜の健康維持、糖質・脂質・タンパク質などを体内でエネルギーに分解・合成する役割を担っています。
熱や酸には比較的強く、光やアルカリには分解されやすい性質をもっています。
ビタミンb6
ビタミンb6はピリドキシン酸ともいわれます。
約100種類もの酵素の働きを助ける補酵素として重要な役割を担っています。
酵素とは体の細胞をつくるために必須のタンパク質でできた物質です。
体内に約5,000種類存在しているといわれています。
酵素の一部は補酵素として働くビタミンb6がなければ十分に作用することができません。
タンパク質の摂取量が増えると、ビタミンb6の必要量も増加することになります。
ビタミンb6は他にも以下のような身体の働きに作用しています。
- タンパク質の構成要素であるアミノ酸の代謝
- 免疫機能の維持
- 皮膚・粘膜の健康維持
- ヘモグロビンの合成
- 神経伝達物質の合成
- 脂質の分解・合成
ビタミンb12
ビタミンb12はコバラミンともいわれます。
赤血球の合成やDNAの合成、神経の機能維持、睡眠を促す作用を持っています。
また、動脈硬化の危険因子とされるホモシステインの血中濃度を正常に保ちます。
水やアルコールに溶けやすく、光によって分解されやすい性質を持っています。
ナイアシン
ナイアシンはニコチン酸・ニコチンアミドともいわれ、酵素の働きをサポートします。
皮膚や粘膜の健康維持、脂質やアミノ酸をエネルギーに分解・合成する役割があります。
飲酒により失われやすい栄養素で、熱に強く、加熱料理で失われにくい特性があります。
ビタミンb1やb6と助け合う関係にあるので、バランス良く一緒に摂取するようにしましょう。
パントテン酸
パントテン酸は、体内のエネルギー産生をサポートするコエンザイムAという補酵素の構成成分です。
皮膚の粘膜の健康維持、脂質の合成・分解にも関与しています。
腸内細菌によって合成される栄養素で、比較的多くの食材に含まれています。
葉酸
葉酸はグルタミン酸ともいわれます。
赤血球の生成やDNA・アミノ酸の合成、胎児の発育にも重要な役割を担う栄養素です。
動脈硬化の危険因子とされるホモシステインの血中濃度を正常に保つ働きがあります。
また妊娠を計画している方や、妊娠中の方は胎児の神経管閉鎖障害のリスクを減らすためにも積極的にとる必要があります。
葉酸は野菜や果物に多く含まれていますが、熱に弱い性質があります。
生で食べられる野菜や果物から摂取するようにしましょう。
ビオチン
ビオチンは皮膚粘膜の健康維持、糖質や脂質・アミノ酸の代謝やエネルギー産生に関与しています。
腸内細菌による合成のほか、体の働きを維持するために食材からも摂取する必要があります。
ビオチンは多くの食材に含まれており、一般的な食生活で不足する心配はないといわれています。
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ビタミンb1とb6を豊富に含む食材
ビタミンb1とb6はどのような食材に多く含まれているのでしょうか。
文部科学省【日本食品標準成分表2020年度板(八訂)】をもとに詳しく見てみましょう。
ビタミンb1を含む食品(100gあたりのビタミンb1含有量)
食品名 | ビタミンb1含有量 | 食品名 | ビタミンb1含有量 |
豚ヒレ肉 | 1.32mg | 黒豆 | 0.73mg |
豚もも肉 | 1.01mg | 黄大豆 | 0.71mg |
豚ロース肉 | 0.96mg | たらこ | 0.71mg |
豚肩ロース | 0.82mg | 豚ひき肉 | 0.69mg |
うなぎ蒲焼き | 0.75mg | 小麦粉 | 0.49mg |
出典:文部科学省【日本食品標準成分表2020年度板(八訂)】
注)100gあたりのビタミンb1含有量になります
豚肉や大豆、穀類などにビタミンb1は多く含まれています。
ビタミンb1は熱に弱く、調理による損失が大きいという欠点を持っています。
また、水に溶けやすいので、汁ごと食べられる調理法だと効率的に摂取できるでしょう。
にんにくや玉ねぎに含まれる「アリシン」と一緒に摂取することで吸収率がアップします。
ビタミンb6を含む食品(100gあたりのビタミンb6含有量)
食品名 | ビタミンb6含有量 | 食品名 | ビタミンb6含有量 |
まぐろ(赤身) | 1.08mg | にんにく | 1.53mg |
牛レバー | 0.89mg | ピスタチオ | 1.22mg |
かつお | 0.76mg | ドライバナナ | 1.04mg |
鶏ささみ | 0.66mg | とうがらし | 1.00mg |
鶏レバー | 0.65mg | ドライトマト | 0.95mg |
鮭 | 0.64mg | いりごま | 0.64mg |
鶏むね肉 | 0.64mg | 焼き海苔 | 0.59mg |
豚レバー | 0.57mg | さつまいも | 0.26mg |
出典:文部科学省【日本食品標準成分表2020年度板(八訂)】
注)100gあたりのビタミンb6含有量になります
野菜などの植物性食品よりも肉や魚などの動物性食品の方が効率的にビタミンb6を摂取することができるでしょう。
ビタミンb6の働きについて詳しく知りたい方は下記の記事を参考にしてください。
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ビタミンb1とb6の摂取量の目安は?
一日に必要なビタミンb1とb6の摂取量は、年齢や性別で異なります。
厚生労働省の【日本人の食事摂取基準2020年版】で示されているビタミンb1とb6の食事摂取基準について詳しく見てみましょう。
ビタミンb1の一日の推定必要摂取量と推奨摂取量
年齢 | 男性の推定必要摂取量 | 男性の推奨摂取量 | 女性の推定必要摂取量 | 女性の推奨摂取量 |
18〜49歳 | 1.2mg | 1.4mg | 0.9mg | 1.1mg |
50〜74歳 | 1.1mg | 1.3mg | 0.9mg | 1.1mg |
75歳以上 | 1.0mg | 1.2mg | 0.8mg | 0.9mg |
ビタミンb1の妊婦・授乳婦の付加量
ライフステージ | ビタミンb6付加量 |
妊婦 | +0.2mg |
授乳婦 | +0.2mg |
厚生労働省の「令和元年国民健康・栄養調査」によると、ビタミンb1の平均摂取量は、成人男性で1.03mg、成人女性では0.88mgとなっています。
男女ともに平均必要量・推奨摂取量を下回っていることがわかります。
ビタミンb6の一日の推定必要摂取量と推奨摂取量
年齢 | 男性の推定必要摂取量 | 男性の推奨摂取量 | 女性の推定必要摂取量 | 女性の推奨摂取量 |
18歳以上 | 1.1mg | 1.4mg | 1.0mg | 1.1mg |
ビタミンb6の妊婦・授乳婦の付加量
ライフステージ | ビタミンb6付加量 |
妊婦 | +0.2mg |
授乳婦 | +0.3mg |
厚生労働省の「令和元年国民健康・栄養調査」によると、ビタミンb6の平均摂取量は、成人男性で1.30mgであり、平均必要量には達しています。
一方、推奨摂取量を下回っていることがわかります。
また、成人女性では1.12mgであり、平均必要量・推奨摂取量ともにかろうじて達している状態です。
ビタミンB1は健康を意識する方にとっては、欠かせない栄養素の1つです。では、ビタミンB1はどんな食べ物に多く含まれているのでしょうか。本記事では、ビタミンB1について、以下の点を中心にご紹介します。 ビタミンB1とは[…]
ビタミンb群を過剰摂取、不足した場合どうなる?
ビタミンb群を過剰摂取、不足した場合どのような症状がみられるのでしょうか。
それぞれの症状について詳しく見てみましょう。
過剰摂取した場合
ビタミンb群は水溶性であり、過剰摂取された分は尿として排泄されます。
したがって、過剰摂取が健康に悪影響を及ぼす心配はほとんどないといわれています。
しかし、ビタミンb6は長期にわたる過剰摂取で、神経障害や骨が傷んだり、筋力の低下などがみられる場合があるといわれています。
男性では精巣の萎縮、精子の減少などがみられる可能性もあります。
また、ナイアシン(ニコチン酸)の過剰摂取は、一時的な顔面紅潮や顔のむずがゆさがあらわれることがあります。
ナイアシン(ニコチンアミド)の過剰摂取は胃腸障害がみられることがあります。
日頃からバランスの良い食生活を心がけていれば、過剰摂取になるケースは多くありません。
過度に心配する必要はないといえるでしょう。
不足した場合
ビタミンb群が不足すると、エネルギー代謝がコントロールできなくなり、疲労が蓄積されてしまうこともあります。
糖質が多い食材やアルコールを多く摂取する方はビタミンb1が不足しやすくなります。
不足すると脚気など神経や脳への影響が及ぶ可能性があります。
ビタミンb2は皮膚や粘膜の機能維持に関係しています。
したがって、不足すると以下のような症状がみられることがあります。
- 脂漏性皮膚炎
- 口内炎
- 舌炎
- 口角症
- 角膜炎
- 子どもの成長障害
ビタミンb6は免疫機能の維持や神経伝達物質の合成などの生理作用に関与しています。
したがって、不足すると以下のような症状がみられることがあります。
- 貧血やリンパ球減少症などの血液症状
- うつ状態・錯乱・脳波異常・けいれん発作・聴覚過敏などの神経症状
- 皮膚・口内の炎症症状
ビタミンb12は体内の腸内細菌によって作り出されており、肝臓に蓄えられています。
したがって、基本的な食生活を送っていれば不足状態に陥ることは少ないといわれています。
万が一不足すると以下のような症状がみられることがあります。
- 貧血
- 動脈硬化や末梢神経障害による手足のしびれや痛み
- 筋力の低下
- 記憶障害
- うつ病
- 食欲不振
- 体重減少
- 子どもの発育不全や運動障害
ナイアシンが不足すると皮膚炎や認知症、下痢などがみられる病気になることがあります。
ただし、日本人でナイアシン欠乏症のケースはほとんどみられません。
パントテン酸は多くの食材に含まれているため、不足しにくいといわれています。
不足した場合には成長停止や副腎障害、手足のしびれや疲労などの症状がみられることもあります。
葉酸には赤血球を作る働きや遺伝情報に関わるDNAの合成にも作用しています。
したがって、不足すると以下のような症状がみられることがあります。
- 貧血
- めまい
- 味覚障害
- 乳児の脊椎または脳の先天異常
ビオチンは炭水化物や脂質の代謝、皮膚や粘膜の機能維持などに関わっています。
したがって、不足すると以下のような症状がみられることがあります。
- 食欲不振
- 吐き気
- 皮膚炎
- 舌炎
- 結膜炎
日本人がもっとも不足しやすいビタミンとして挙げられているのが、ビタミンB1です。かつて日本で2大国民病とされた脚気(かっけ)も、ビタミンB1不足が原因とされます。ビタミンB1が不足するとどうなるのでしょうか?今回は、ビタ[…]
ほかのビタミンの効果やおすすめの食材は?
ほかのビタミンにはどのような種類があるのでしょうか。
ビタミンの種類と効果、各ビタミンを豊富に含む食材について見てみましょう。
ビタミンa
脂溶性ビタミンの1つであり、皮膚・粘膜の健康を維持し、暗順応や視力を保ちます。
レバーやうなぎ、干し海苔などに多く含まれています。
ビタミンc
水溶性ビタミンの1つであり、皮膚のコラーゲンの生成や鉄の吸収を助ける役割を担っています。
パプリカやアセロラ、じゃがいもやレモンなどに多く含まれています。
ビタミンd
脂溶性ビタミンの1つであり、健康な骨の維持や免疫機能を調整する役割を担っています。
魚類やきのこ類などに多く含まれています。
ビタミンe
脂溶性ビタミンの1つであり、体内の脂質の酸化を防ぎ、動脈硬化や血栓の予防、細胞膜を健全に保つ役割を担っています。
かぼちゃやほうれん草、アーモンドなどに多く含まれています。
ビタミンk
脂溶性ビタミンの1つであり、血液の凝固性を保持し、骨や歯の形成に関わります。
ブロッコリーやモロヘイヤ、海藻などに多く含まれています。
認知症とビタミンの関係について詳しく知りたい方は下記の記事を参考にしてください。
ビタミンb1やb6はサプリメントでも摂取できる
近年、不足している栄養素をサプリメントや健康食品からとる方が増えてきています。
また過剰摂取しても尿から排泄されるため、健康に悪影響を及ぼす心配はあまりないといわれています。
そのため、ビタミンb群はサプリメントで摂取することも可能です。
健康を維持するためにサプリメントを使用することも方法の1つです。
しかし、人によっては肝機能障害や肺障害などの副作用がみられる方もいます。できるだけ食事から摂取するように心がけましょう。
サプリメントについて詳しく知りたい方は下記の記事を参考にしてください。
ビタミンb1とb6まとめ
ここまで、ビタミンb群についてやビタミンb1やb6が豊富に含まれる食材、一日の摂取量などを中心にお伝えしてきました。
- ビタミンb群は皮膚や粘膜の健康維持、エネルギー代謝に重要な役割を担っている
- ビタミンb群は過剰摂取しても悪影響が出る心配はあまりない
- 不足するビタミンb群をサプリメントで補うのは効果的
これらの情報が少しでも皆さまのお役に立てば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。