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健達ねっと>健康お役立ち記事>栄養>高齢者は味覚が低下している?原因や対策、食事の工夫まで徹底解説!

高齢者は味覚が低下している?原因や対策、食事の工夫まで徹底解説!

 

加齢とともに「味覚」も衰えます。
味覚が衰えると食欲も低下するため、十分に栄養を摂取できなくなる可能性があります。

では、味覚が低下している高齢者に、どのような対策を講じられるでしょうか。
そこで、本記事では、高齢者の味覚について以下の点を中心にご紹介します。

  • 高齢者の味覚が低下する原因として考えられること
  • 高齢者の味覚が低下している場合にできる対策
  • 味覚が低下している高齢者に提供する食事の工夫

高齢者の味覚について理解するにあたり、参考としていただけますと幸いです。
ぜひ最後までお読みください。

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味覚とは

そもそも味覚とは、味を感じる感覚のことをいいます。
では、私たちは一体どのように味を感じているのでしょうか。

味覚はどうやって感じるの?

食べ物には「味覚を引き起こす物質」が含まれています。
味覚を引き起こす物質は、舌の表面などにある味蕾(みらい)で感知されます。
味蕾で感知した信号が脳まで伝わることで、私たちは味を感じられます。

ちなみに味蕾は、舌の表面にあるザラザラしている部分や、口腔内の粘膜などにあります。
そして、私たちの舌には、約5000個の味蕾が存在しています。
味蕾など口の中にある細胞はダメージを受けやすいので、10日に1回のペースで生まれ変わります。

味覚の種類

私たち人間の味覚には5つの種類があります。

  • 甘味
  • 酸味
  • 塩味
  • 苦味
  • うま味

5つの味覚について分かりやすく表にまとめました。
まずは次の表をご覧ください。

名前引き起こす物質
甘味甘い
酸味酸(す)っぱい
塩味しょっぱいナトリウムイオン
苦味苦いキニン
うま味うまいグルタミン酸

味蕾は舌の場所ごとに、それぞれ感知できる物質が決まっています。
入ってくる物質が異なることで、感じる味覚も異なります。
たとえば、味蕾が

  • 糖を感知すると、甘味
  • 酸を感知すると、酸味
  • ナトリウムイオンを感知すると、塩味
  • キニンを感知すると、苦味
  • グルタミン酸を感知すると、うま味

のように、それぞれの細胞が物質を感知して、味となります。
上の表を見て、辛い時に感じる「辛味」がないことを疑問に感じた方もいるのではないでしょうか。

実は辛味は、味蕾で感知されないため、味覚には含まれません。
辛味は、温度や痛みを感じる「温覚」と「痛覚」で判断されます。
また、以前は甘味、酸味、塩味、苦味の4つだけが味覚と呼ばれていました。

最近まで、うま味は味覚として認識されていませんでした。
うま味が発見されたのは比較的最近になってからなのです。
現在では、うま味も味覚の1つとして世界中で認識されています。

味覚を感じる舌の場所はそれぞれ違う

実は、味覚を感じる舌の場所はそれぞれ違っています。
主に味蕾は、歯や歯茎と接する「舌の外側」に存在しています。
一体どの場所で、どのような味覚を感じるのでしょうか。

分かりやすく表にまとめたので、以下をご覧ください。

感じる味覚舌の場所
甘味舌の先端(やや横長に存在)
酸味舌の半分より奥(両サイドに存在)
塩味舌の半分より前側(両サイドに存在)
苦味舌の奥(甘味を感じる場所と並行するように横長に存在)

出典:味覚について
表のように、舌の

  • 先端は甘味
  • 奥は苦味
  • 半分より前側の両サイドは塩味
  • 半分より奥の両サイドは酸味

が感じやすいといわれています。
しかし、最近では「どの味蕾にも5種類の味に対応できる味覚受容器が存在している」ことが分かってきています。

認知症と味覚の関係について詳しく知りたい方は下記の記事を参考にしてください。

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高齢者が衰えてくるもの

人は加齢により、身体の器官を構成する細胞が減ったり、働きが低下したりします。
そのため、身体のさまざまな能力が衰えていきます。
では、高齢者の身体は一体どのように衰えていくのでしょうか。

そして、どのような問題が出てくるといえるのでしょうか。
能力ごとに分けて解説します。

筋肉

まず、30歳前後から筋肉の発達を促進する成長ホルモン等の分泌量が減少していきます。
そのため、筋肉を構成する細胞も老化します。
結果、高齢の方の筋力は低下していきます。

たとえ筋力が低下しても、運動できなくなるわけではありません。
必要な筋肉量と筋力があれば、運動などを楽しむこともできます。
しかし、全身の筋力が低下すると、転倒しやすくなるため注意が必要です。

加齢にともない、骨密度が低くなりやすい傾向があります。
そのため、高齢者は骨粗しょう症になりやすくなります。

特に女性は、骨粗しょう症になりやすいと言われています。
骨粗しょう症になると、転倒のときなどに骨折するリスクが高くなるため注意しましょう。

関節

関節を長年動かしていくと、関節と関節の間にある「軟骨部分」が薄くなります。
軟骨部分が薄くなったりケガを繰り返したりすると、以下の状態になるリスクが高くなります。

  • 軟骨部分や関節の損傷
  • 変形性関節症

膝や腰の痛みが、年齢とともに出やすくなるのは自然なこととも言えます。
しかし、痛みが出ると運動を避けてしまうため、早めに対応しておきたいところです。

高齢の方は、高音を聞き取りにくくなる傾向があります。
加齢とともに音が聞き取りにくくなる変化を「加齢性難聴」といいます。

加齢性難聴が進行すると、低音も聞き取りにくくなっていきます。
次第に、相手の声だけでなく話している内容も理解しづらくなります。

眼の水晶体が衰えると老視(老眼)になったり、本などを読む際により明るい光を要したりするようになります。
また、その他にも以下のような変化が起こりやすくなります。

  • 瞳孔の機能が低下すると、光への反応が鈍くなりやすくなる
  • 涙の生成量が減って、眼が乾きやすくなる
  • 神経細胞が減り、奥行きを認識しづらくなる など

白内障や緑内障、加齢黄斑変性などを発症したり、症状が悪化して失明したりする恐れもあります。

鼻の粘膜が乾きやすくなるため、嗅覚も衰えていきます。
嗅覚が衰えると、味覚にも影響を及ぼします。
また、高齢者は加齢に伴い、以下のようになりやすくなります。

  • 鼻が長くて大きくなる
  • 鼻先が垂れ下がりやすくなる

加齢とともに唾液の分泌量が減るため、口の中が乾きやすくなります。
さらに、味蕾で味を引き起こす物質を感知する能力も、加齢とともに衰えていきます。

味覚

年を重ねて高齢者になると、味覚も衰えていきます。
なぜなら、味覚を感じるために必要である味蕾や嗅覚などの能力が低下するからです。
鼻と口は全く違う働きをします。

しかし、どちらかもしくは両方の能力が衰えると、味覚の感じ方に変化が起こりやすくなります。
起こりやすくなる味覚の変化は以下の通りです。

原因引き起こされる変化
味蕾の能力が低下甘味や塩味の感じ方に影響がでる恐れがある
嗅覚の低下味覚はにおいなども含めて判断するため、食べた時に味を感じにくくなったり、苦味を感じやすくなったりする

このように、本来の味とは違った味に感じたり、味を感じにくくなったりするなどの症状を「味覚障害」と呼びます。

高齢者の病気について詳しく知りたい方は下記の記事を参考にしてください。

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高齢者の味覚が低下する原因と対策

味覚障害が起こる要因の1つに「加齢」があります。
しかし、味覚障害となる原因はさまざまです。
そのため、味覚障害となる原因として複数の理由が挙げられることもあります。

ちなみに、高齢者の味覚が低下する原因には以下の6つがあります。

  • 味蕾の減少
  • 心理的要因
  • 薬の副作用
  • 亜鉛の欠乏
  • 嗅覚障害
  • 口腔内の汚れや唾液の減少

それぞれについて解説し、対策も紹介します。

味蕾の減少

1つ目に解説するのは「味蕾の減少」です。
60歳を超えると、若い頃の6割程度まで味蕾の数が減っていきます。

解説

まず、味蕾の数の変化について表にまとめました。
以下をご覧ください。

年代有郭乳頭1個あたりに含まれる味蕾の平均数に対する割合
0~20歳100%
60歳以上約60%
74歳以上約35%

出典:加齢と味覚障害

0〜20歳を100%とすると、60歳以上は約60%、そして74歳以上は約35%となっています。
このように、味蕾の数は加齢とともに減少していきます。
その他にも、以下のことが原因となって味覚障害が起こることもあります。

  • 味蕾に何らかの障害が起こっている
  • 細胞が生まれ変わりにくい状態になっている

対策

まず、以下の理由で味蕾が減少している場合は、亜鉛を摂取することをおすすめします。

  • 加齢
  • 味蕾に障害が起こっている

亜鉛は味蕾を生まれ変わりやすくしてくれる栄養素です。
ぜひこの機会に、食事に取り入れてみてはいかがでしょうか。

心理的要因

「心理的要因」が、味覚が低下する原因になっていることもあります。
自覚のないストレスやお薬の副作用で味覚が低下している可能性が考えられます。

解説

そもそも心理的要因には、以下のような症状も含まれます。

  • ストレス
  • 緊張
  • 不安 など

心理的な要因を抱えることにより、味覚障害が起こることもあります。
ちなみに、以下のような疾患も心因性要因に含まれます。

  • (心因性の)仮面うつ病
  • 不安神経症 など

例えば心因性の疾患を治療中という方の場合、服薬中の薬が原因となることもあります。

対策

心因性の疾患などを治療中の方は、まずはかかりつけの医師に相談しましょう。
服用中の薬を見直すことで、症状が改善する可能性があります。
また、ストレスを感じると亜鉛が消費されやすくなります。

サプリメントなどでも良いので、亜鉛を意識して摂取されることをおすすめします。

薬の副作用

心因性要因のところでも触れましたが、薬の副作用によって味覚障害が起こることもあります。

解説

高血圧などの治療薬を服用している高齢者は多いでしょう。
しかし、高血圧などの薬が「亜鉛」の吸収を妨げている可能性があるため注意が必要です。
その他にも、以下のような薬が原因となる場合もあります。

  • 解熱鎮痛剤
  • 抗がん剤
  • 抗アレルギー剤 など

対策

処方された薬の場合には、かかりつけの医師に相談しましょう。
市販の薬の場合には、服薬の中止を検討してください。

また、亜鉛の吸収が妨げられているため、亜鉛が欠乏している状態となっている可能性があります。
食事やサプリメントなどで亜鉛を摂取するようにしましょう。

亜鉛の欠乏

身体の中の亜鉛が欠乏することで、味覚障害が起こることもあります。

解説

亜鉛は私たちの身体にとって重要な栄養素です。
なぜなら、亜鉛は味蕾だけでなく、全身の細胞を生まれ変わらせるなどの働きを持つからです。

そのため、亜鉛が欠乏すると味覚障害を引き起こすリスクが高まります。
食事やサプリメントなどで亜鉛を摂取するようにしましょう。

対策

亜鉛が欠乏している場合は、亜鉛を摂取する必要があります。
かかりつけの医師から「亜鉛剤」が処方された場合には、きちんと服用しましょう。
また、以下の食品には亜鉛が多く含まれています。

  • 煮干しや牡蠣
  • カシューナッツやアーモンド
  • ゴマ
  • お茶(緑茶・煎茶・玄米茶・抹茶等)
  • 牛肉や豚肉(赤身部分)
  • チーズ
  • 大豆製品(納豆やきな粉等)

上記の食材などを食事に取り入れてみると良いでしょう。

嗅覚障害

嗅覚障害が起こると、味覚も低下しやすくなるため注意が必要です。
慢性の場合は治りにくいですが、医師などに相談してみると良いでしょう。

解説

嗅覚は味覚を判断するために必要な感覚です。
そのため、嗅覚が低下すると味覚障害が起こりやすくなります。
また、風邪や鼻炎などを患っており「鼻が詰まっている」ときにも、味覚を感じにくくなります。

対策

まずは、鼻づまりを解消するための治療を行いましょう。
鼻づまりなどの症状が落ち着くと、嗅覚や味覚の能力が回復する可能性があります。

口腔内の汚れや唾液の減少

そして、最後の原因として挙げられるのは、口腔内の汚れや唾液の減少です。

原因

まず、以下の要因で口腔内が汚れていたり荒れていたりすると、味覚を感じにくくなります。

要因状態どのようになる
舌苔(ぜったい)舌の表面を食べ残しなどの汚れが白く覆う状態味蕾にフタをしてしまうと、味を引き起こす物質を感知しにくくなる
舌炎(ぜつえん)熱い食べ物や飲み物を口にしてやけどを負ったり、義歯が合わなくて傷ができたりする舌の表面が荒れているため、味を判断しづらくなる

さらに、高齢者は加齢とともに唾液の生成量が減少していきます。
そのため、高齢者の口の中は乾燥しやすいといえます。
口の中が乾燥していると、以下のようなことが起こりやすくなります。

  • 味覚を引き起こす物質が唾液に溶けにくくなる
  • 味蕾が働きにくくなる

したがって、口の中の乾燥が味覚の低下へ繋がりやすくなります。
その他にも、以下のようなことも味覚が低下する要因として考えられます。

  • ドライマウス
  • シェーグレン症候群
  • 咽頭炎
  • 頭頚部(とうけいぶ)にがん治療で放射線を使用する
  • 喫煙 など

対策

舌苔などの汚れを舌ブラシやガーゼなどで取り除き、口腔内を清潔に保ちましょう。
口腔内を清潔に保つためにマウスウォッシュを使用している方もいると思います。

しかし、マウスウォッシュには「ラウリル硫酸ナトリウム」等が含まれている可能性があります。
ラウリル硫酸ナトリウムは味覚障害を起こす可能性があるため注意が必要です。
そのため、抗菌性の高いマウスウォッシュを使用する際は、成分を確認しましょう。

また、唾液の分泌量が少なくなってきた高齢者には、唾液マッサージがおすすめです。
あごの裏側や両耳の付け根のあたりを指で優しく刺激し、唾液の分泌を促進しましょう。
ちなみに、抜歯などを行う際に味覚の神経が傷つくと、味覚障害が起こる恐れがあります。

現在歯を治療している方は、かかりつけの歯科などにも相談することをおすすめします。
最後になりましたが、口腔内には味覚以外の神経も多く存在しています。
味覚の低下が、脳の病気(脳梗塞や脳血栓等)や腫瘍などの兆候となることもあります。

気になる方は放置せず、医師などに相談されることをおすすめします。

高齢者の感染症について詳しく知りたい方は下記の記事を参考にしてください。

味覚が衰えた高齢者への食事

ここまで、さまざまな観点から味覚の衰えに触れてきました。
しかし、一体なぜ高齢者の味覚が低下することが問題視されているのでしょうか。
まずは、高齢者の味覚が低下することが問題視されている理由を解説します。

高齢者の味覚障害は要介護状態につながる?

高齢者の味覚が低下すると「要介護状態」となるリスクが高くなる可能性があります。
味覚が衰えると食欲が減退し、身体に必要な栄養を摂れなくなるからです。
さらに、高齢者が栄養を摂れなくなると、以下のような状態になりやすくなります。

病名・疾患名内容
低栄養加齢とともに食欲が減ったり、食べ物を噛む力が弱くなったりして低栄養となる。低栄養になると、身体を動かすためのエネルギーや、内臓などを作るために必要なカルシウムなどの栄養素が不足しがちとなる。
サルコペニア加齢とともに筋力量が減り、筋力も低下する。日常生活の動作(立つ・歩く等)に影響が出る恐れがある。
ロコモティブシンドローム関節・脊椎の病気(変形性膝関節症等)や筋力の低下、骨粗しょう症等が原因となり、移動の機能が低下する。

その他にも、以下のような状態になりやすくなります。

  • 風邪など感染症にかかりやすくなる
  • 風邪などの感染症が治りにくくなる
  • 寝たきり(要介護)にもなりやすくなる など

そのため、高齢者に味覚障害がある場合には、栄養を補給してもらうための工夫が必要となります。
以下は、厚生労働省の「65歳以上の低栄養傾向の者(BMIが20以下 )の割合」に関する調査の結果です。

男性の割合女性の割合全体の割合
12.4%20.4%16.8%

出典:厚生労働省【令和元年 国民健康・栄養調査結果の概要


令和元年の時点で、低栄養傾向の男性の割合は12.4%、女性の割合は20.4%です。

そして、低栄養傾向の男女の割合は、全体の16.8%となっています。
つまり、65歳以上の男性の約8人に1人、女性の約5人に1人が「低栄養傾向」であるといえます。

味覚障害の種類

味覚障害は、以下の4つのタイプに分けられます。

  • 本来の味と異なる
  • 味を強く感じる
  • 味を感じにくい
  • 食感が異なる

タイプごとに食事の工夫の仕方が少しずつ異なっているため、それぞれ紹介します。

本来の味と異なる

まずは、本来の味と異なる場合についてです。
好きだったものが美味しくない、水などを苦く感じるなど気付きやすいものです。


本来の味と異なる場合の例は以下の通りです。
  • 口に入れた食べ物本来の味と、異なっているように感じる
  • 水を苦く感じる
  • まるで泥を食べているような気持ちになる
  • 思っていた味ではなくまずい など
工夫点
まずは、食べてみて美味しくない味や、違和感のある味を把握する必要があります。
そして、違和感の少ない味を積極的に取り入れるようにしましょう。

例えば、塩味を苦いと感じる場合には、甘味や酸味などを活用してみると良いでしょう。
また、うま味やショウガなどの香りづけなどを加えるのもおすすめです。
肉や魚などを調理する際には、アクやくさみなどを抜いてから調理しましょう。

味を強く感じる

次は、味を強く感じる場合についてです。
不快感を覚えるようであれば工夫が必要でしょう。


味を強く感じる場合の例は以下の通りです。

  • ジュースの甘みを強く感じ、甘ったるいと感じるようになった
  • 野菜ジュースに含まれている塩味を強く感じ、しょっぱいと感じるようになった
工夫点
まずは、強く感じやすい味の調味料や食材を把握します。

強く感じやすい味の調味料などは避けたり、控えたりしてみてください。
そして、強く感じる調味料以外の味をメインで使用します。
また、うま味である「だし」を利かせて、薄味に仕上げることをおすすめします。

その他にも、臭みを抜いた魚を味付けをせずに焼き、かぼすなどの酸味をかけるのもおすすめです。

味を感じにくい

3つ目は、味を感じにくい場合についてです。
特に原因がないのに味を感じない時は、工夫することで食事をしやすくなります。
味を感じにくい場合には、以下のような例があります。

  • 食べ物の味を感じにくい
  • 食べているのにまるで紙に包まれているかのように全く味がしない
工夫点
味を感じにくい場合には、まずは料理にはっきりとした味を付けてみましょう。

例えば、調味料で味を調節したり、香辛料などを活用したりしてみると良いでしょう。
また、とろみをつけて「あん」をかけると、味を感じやすくなるため、おすすめです。
においも味を判断する材料となるため、以下のようなものを追加してみてください。

  • 香りや風味
  • うま味成分

食感が異なる

最後は、食感が異なる場合についてです。


食感が異なる場合の例は以下のようなものがあります。
  • 食べるときの感覚が全く違うように感じる
  • 砂を食べているような食感がする
  • 何度噛んでも紙のようで味気なく感じる
工夫点
食べた時の食感が変わったという方は、口腔内が乾燥していたり荒れていたりする可能性があります。

そのため、まずは食事の前に飲み物やお汁などを口にすることをおすすめします。
また、食事にとろみ付けをするよう工夫すると良いでしょう。
ちなみに、うま味には唾液の分泌を促進してくれる効果があります。

お悩みの方は、だしなどのうま味をぜひ食事に取り入れてみてください。

その他の工夫点

実は、その他にも行える工夫があるので、あわせてご紹介します。
人によっては「金属製のフォークなどを使うと苦味を感じる」という方もいます。
使う食器類を変えてみるのも、すぐにできる工夫です。

たとえば、

  • プラスチック製品
  • 陶器

などがあります。
使用する食器を変えることで、食べやすくなる可能性があるでしょう。

また、口腔内のトラブルや悪化を防ぎたい方は、口腔内を清潔に保つように心がけましょう。
こまめに口腔ケアをして清潔にするだけでなく、保湿しておくことも重要です。
口腔内を清潔に維持することで、口腔内で起こるトラブルを予防できます。

高齢者の食事について詳しく知りたい方は下記の記事を参考にしてください。

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高齢者の味覚まとめ

ここまで、高齢者の味覚についての情報を中心にお伝えしました。
要点を以下にまとめます。

  • 高齢者の味覚が低下する原因には、味蕾の減少、心理的要因、薬の副作用、亜鉛の欠乏、嗅覚障害、そして口腔内の汚れや唾液の減少が考えられる
  • 高齢者の味覚が低下している場合は、かかりつけ医などへ相談、亜鉛を摂取、唾液マッサージ、口腔内を清潔に保つなどの対策を行う

これらの情報が少しでも皆様のお役に立てば幸いです。
最後までお読みいただきありがとうございました。

薬の使い方

監修者 メディカル・ケア・サービス

  • 認知症高齢者対応のグループホーム運営
  • 自立支援ケア
  • 学研グループと融合したメディア
  • 出版事業
  • 社名: メディカル・ケア・サービス株式会社
  • 設立: 1999年11月24日
  • 代表取締役社長: 山本 教雄
  • 本社: 〒330-6029埼玉県さいたま市中央区新都心11-2ランド·アクシス·タワー29F
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  • 介護付有料老人ホーム展開
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