亜鉛は魚介類や肉類に多く含まれる栄養素です。
さまざまな原因で亜鉛は不足状態になります。
亜鉛が不足すると、どのような症状があらわれるのでしょうか?
本記事では、亜鉛不足について以下の点を中心にご紹介します。
- 亜鉛不足の原因や背景
- 亜鉛不足によりあらわれる症状
- 亜鉛を多く含む食品
- 亜鉛の過剰摂取によりあらわれる症状
亜鉛について理解するためにも、ご参考いただけますと幸いです。
ぜひ最後までお読みください。
栄養素について知りたい方は下記の記事を参考にしてください。
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亜鉛不足の原因は?
亜鉛不足の原因として
- 亜鉛の摂取不足
- 摂取した亜鉛の吸収不全
- 尿や汗からの過剰排せつ
が挙げられます。
それぞれについてご説明します。
亜鉛の摂取不足
亜鉛は魚介類や肉類に多く含まれています。
亜鉛を含む食品を摂取していなければ、亜鉛不足になります。
またダイエットで食事量が少なかったり、偏った食事をしていたりしても亜鉛不足になるため、注意が必要です。
亜鉛は体のなかに貯蔵することができないので、日々摂取する必要があります。
摂取した亜鉛の吸収不全
亜鉛は同時に摂取する食品によって、腸からの吸収率が高くなったり低くなったりします。
したがって、腸からの亜鉛の吸収率を低下させる食品を過剰に摂取することで、亜鉛不足の原因になります。
腸からの亜鉛の吸収率を低下させる食品の成分は、以下を参考にしてください。
- フィチン酸:米ぬかや小麦などの穀類や豆類に多く含まれる
- シュウ酸:ホウレンソウやタケノコに多く含まれる
- ポリリン酸:加工食品の添加物として含まれる
尿や汗からの過剰排せつ
アルコールは尿中への亜鉛の排せつを促進するため、多量の飲酒は亜鉛不足の原因になります。
またアスリートやスポーツ選手は、汗や尿からの亜鉛の排せつ量が多くなります。
そのため亜鉛不足に陥りやすいことで知られています。
亜鉛についてより詳しく知りたい方は下記の記事を参考にしてください。
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亜鉛不足による症状は?
亜鉛不足による症状として
- 味覚障害
- 免疫量の低下
- 爪・皮膚の異常
- 脱毛症
- 成長障害
- 勃起不全(男性の場合)
が挙げられます。
それぞれについてご説明します。
味覚障害
食べ物の味は、舌の表面にある「味蕾(みらい)」という器官で感じ取ります。
味蕾は味覚のセンサーとして機能しています。
亜鉛は味蕾の新陳代謝において必要な栄養素です。
よって、亜鉛不足による味覚の障害が起こります。
何を食べても美味しくなかったり味がしなかったりなど、いつもと違う味に感じられる症状があらわれます。
免疫力の低下
亜鉛は体の免疫にも大きく関わっており、不足すると免疫力の低下をもたらします。
その結果、ウィルスや細菌に感染しやすくなり、肺炎などの感染症にかかるリスクが高まります。
爪・皮膚の異常
亜鉛は皮膚や爪の状態を良好に保つ働きがあります。
亜鉛不足により皮膚炎やかゆみなどの皮膚トラブルや、爪に横線が出るなど爪の異常が起きやすくなります。
脱毛症
亜鉛は、髪の毛の主成分でもある「ケラチン」というたんぱく質を生み出すことに関わっています。
亜鉛が髪の毛をつくっているということです。
よって亜鉛不足は、髪にハリ・コシがなくなったり脱毛症の原因になったりします。
成長障害
亜鉛は成長ホルモンの働きを助けます。
子供が亜鉛不足になると、低身長など成長障害の原因になります。
勃起不全(男性の場合)
亜鉛は男性の体内では、精子や男性ホルモンの生成に関与しています。
亜鉛不足により、勃起不全や精子の減少、性欲の減退などの症状があらわれ、男性不妊症の原因になります。
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亜鉛不足サインは?チェックリストで確認しよう
亜鉛不足になると、身体にさまざまな症状があらわれます。
まずは、亜鉛不足かどうかのチェックをしてみましょう。
味が感じにくい
亜鉛不足になると、味が感じにくくなる味覚障害が起こる可能性が高くなります。
味がわからなくなる、食べていないのに変な味がするなどの症状です。
味を感じるのは、舌にある「味蕾」という器官です。
この味蕾という器官は、細胞の生まれ変わりが非常に活発です。
そのため亜鉛不足になると新陳代謝が鈍くなり、味覚がいつもと違ってしまいます。
風邪をひきやすい
亜鉛は、免疫機能を保つために必要な栄養素です。
亜鉛不足になると、免疫力の低下により、すぐに風邪などの感染症にかかりやすくなります。
傷が治りにくい
亜鉛は、新陳代謝をサポートする栄養素です。
亜鉛不足になると、新陳代謝が鈍くなって、傷が治りにくくなります。
疲れやすい
亜鉛不足によって消化液の分泌が減り、消化器官の働きが鈍くなります。
食欲が落ちると、エネルギー不足となって疲れやすくなります。
抜け毛が気になるようになった
皮膚や髪の毛には、体内の亜鉛の約8%が存在しています。
亜鉛不足になると、頭皮に炎症が起こるなどして抜け毛の原因となります。
性機能の減退を感じる
亜鉛不足になると、成人男性の場合にはインポテンツの原因になります。
また、女性も妊娠しにくい体質となります。
舌や口の違和感は亜鉛不足が原因?
亜鉛が不足すると、舌や口に違和感や痛みを感じます。
もしかすると「舌痛症」かもしれません。
舌痛症とは
明らかな病変が認められない場合には「舌痛症」が疑われます。
口の中の粘膜面にあらわれる原因不明の痛みです。
主な原因
ハッキリとした原因はわかっていません。
亜鉛不足によるもの、心因的な要因によるものなどさまざまな原因が考えられます。
舌痛症を訴える方が更年期以降の女性が多いため、エストロゲンの減少も考えられています。
具体的な症状
舌痛症の症状としては、舌がヒリヒリする、焼けるような痛みなどです。
また痺れを訴えることもあります。
また、痛みは安静にしているときに感じやすく、何かに集中しているときには忘れる傾向があります。
睡眠時には痛みを感じることはないようです。
治療法
治療法は、まず舌に病気がないかどうかを調べます。
舌痛症には、原因が明らかになっていないため、根本的な治療はありません。
精神的な要因がある場合には、抗うつ薬などの薬物治療が行われます。
漢方薬を使う治療法もあります。
予防法
舌痛症は、精神的疾患との関係性が深いと考えられています。
そのため、ストレスをできるだけ排除するなどが予防につながります。
また、歯周病や虫歯など口腔内の健康も維持するようにしましょう。
再発する?
舌痛症は、原因がはっきりしないため、再発する可能性があると考えていいでしょう。
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亜鉛不足とうつの関係性
私たちの体は伝達物質によって連携されており、体調を整えています。
体内伝達物質のなかでも、最も多いのがグルタミン酸です。
そのグルタミン酸の働きをサポートしているのが亜鉛です。
うつ病と亜鉛には深い関係性があります。
うつ病と診断された人は、亜鉛の量がそうでない人に比べて14%も下回っているという研究があります。
さらに、うつ病が重くなればなるほど亜鉛が減少するという傾向があります。
これは男女問わずに共通しており、うつ病予防には亜鉛摂取量がポイントとなりそうです。
亜鉛不足を解消する食事は?
亜鉛不足を解消する方法としては
- 亜鉛を多く含む食品を摂取する
- 摂取した亜鉛の吸収の効率を高める
- 尿や汗からの過剰排せつを防ぐ
が挙げられます。
それぞれについてご説明します。
亜鉛を多く含む食事を摂る
亜鉛を含む食品として、
魚介類 | 肉類 |
藻類 | 種実類 |
豆類 | 野菜類 |
乳製品 |
が挙げられます。
特に多く含むものは魚介類のカキや豚レバー、牛肉赤身(肩ロース、肩肉)です。
また、亜鉛を含む種実類として
- カシューナッツ
- アーモンド
- かぼちゃの種
があります。
手軽なおやつとして、亜鉛を含む種実類を摂取することもおすすめです。
亜鉛を多く含む食材についてより詳しく知りたい方は下記の記事を参考にしてください。
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摂取した亜鉛の吸収の効率を高める
亜鉛はクエン酸やビタミンCと一緒に摂取することで、腸からの吸収率が高まります。
亜鉛の含有量が多いカキに、クエン酸を多く含むレモンをかけることは、とても良い食べ合わせです。
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尿や汗からの過剰排せつを防ぐ
アルコールの多量摂取は、尿からの亜鉛の過剰排せつにつながるので慎むべきです。
また、アルコールの体内での分解にも亜鉛が使われます。
よってアルコールの多量摂取は、体内での亜鉛の減少をもたらす面もあるというわけです。
お酒は適正量を守って飲みましょう。
亜鉛を過剰摂取するとどうなるのか?
亜鉛の過剰摂取も、体にとって有害であることが知られています。
亜鉛を過剰摂取することであらわれる症状は、
- 吐き気
- 嘔吐
- 食欲不振
- 下痢
- 頭痛
などです。
また、銅の欠乏やHDLコレステロール(善玉コレステロール)の減少にもつながります。
さらに長期にわたる亜鉛の過剰摂取は、前立腺がんのリスクを高めると報告されています。
ゆえに、日本人の食事摂取基準(2020年版)では、年齢区分ごとに亜鉛摂取量の上限量(耐用上限量)が設定されているのです。
亜鉛の摂取量の上限量を推奨量とともに、以下の表にまとめました。
亜鉛の食事摂取基準 | ||||
年齢(歳) | 男性 | 女性 | ||
推奨量(mg/日) | 耐用上限量(mg/日) | 推奨量(mg/日) | 耐用上限量(mg/日) | |
18~29 | 11 | 40 | 8 | 35 |
30~49 | 11 | 45 | 8 | 35 |
50~64 | 11 | 45 | 8 | 35 |
65~74 | 11 | 40 | 8 | 35 |
75以上 | 10 | 40 | 8 | 30 |
出典:厚生労働省【日本人の食事摂取基準】(2020年版)PDF,P.367
上の表以外の年齢について補足すると、1歳以上から亜鉛摂取の推奨量は設定されています。
ただし上限量については17歳以下では設定されていません。
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亜鉛不足に関するよくある質問|Q&A
亜鉛不足については、多くの疑問があります。
よくある質問に対して回答します。
亜鉛が不足するとどんな症状が出ますか?
亜鉛が不足すると、免疫力の低下、味覚障害、皮膚の乾燥や粗さ、髪の毛の細さや抜けやすさ、傷の治りが遅い、成長障害(特に子供の場合)などの症状が現れる可能性があります。
また、男性では精子の質の低下や性欲の減退などの症状が見られることもあります。
亜鉛不足には何を食べたらいいですか?
亜鉛不足を補うためには、牡蠣、赤身の肉、鶏肉、豚肉、卵、乳製品、全粒穀物、豆類、種子類、ナッツなどの食品を摂取することが推奨されます。
これらの食品は亜鉛を豊富に含んでいます。
亜鉛が減る原因は何ですか?
亜鉛が減る原因としては、偏った食事や栄養不足、特定の病気や薬の副作用、アルコールの過剰摂取、高齢化、ストレスなどが考えられます。
これらの要因により、体内の亜鉛の吸収が妨げられたり、排出が増えたりすることがあります。
亜鉛不足になりやすい人は?
亜鉛不足になりやすい人としては、偏食をしている人、ベジタリアンやビーガン、妊娠・授乳中の女性、高齢者、アルコールを過剰に摂取する人、特定の病気を持つ人などが挙げられます。
これらの人々は、特に亜鉛の摂取に注意が必要です。
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亜鉛不足まとめ
これまで亜鉛の不足状態についてお伝えしてきました。
要点をまとめると以下の通りです。
- ダイエットで少食や偏食をしていると、亜鉛が不足する
- 亜鉛不足の症状として味覚障害、免疫力の低下、皮膚トラブル、脱毛症などがある
- 亜鉛を多く含む食品魚として介類のカキ、豚レバー、牛肉赤身がある
- 亜鉛の過剰摂取による症状として吐き気や嘔吐、食欲不振、下痢、頭痛などがある
これらの情報が少しでも皆さまのお役に立てば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。