カルシウムは骨を作るための代表的な栄養素です。
しかし、実は日本人は慢性的にカルシウムが不足しがちであることをご存知でしょうか?
カルシウム不足の原因は何でしょうか?
また、カルシウムが不足するとどのような症状が出るのでしょうか?
さらに、1日に必要なカルシウム摂取量や、カルシウムが多く含まれる食品も気になりますよね。
今回は、カルシウム不足について以下の4点を中心にご紹介します。
- カルシウムの効果
- カルシウム不足が体に与える影響
- カルシウムの1日の必要摂取量
- カルシウムを含む食品
カルシウム不足に関する理解を深めるための情報をまとめております。
ぜひ、最後までお読みください。
栄養素について詳しく知りたい方は下記の記事を参考にしてください。
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カルシウムとは
カルシウムとは体内に含まれるミネラルの中で、もっとも多い栄養素で、体内含有量は体重の1〜2%です。
カルシウムの約99%は骨や歯のエナメル質形成に使われており、残りの1%はカルシウムイオンとして血液や筋肉・神経細胞内に存在します。
カルシウムの主な役割としては、筋肉の収縮や神経の興奮抑制、血液凝固作用等が挙げられます。
カルシウムの働きについて詳しく知りたい方は下記の記事を参考にしてください。
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カルシウム不足の症状
カルシウム不足が生じると骨密度が低下し、骨粗しょう症のリスクが上がったり、子供の身長が伸びなくなったりします。
子供に限らず、閉経期以降や高齢になるとより深刻な骨密度の低下につながります。
また、低カルシウム血症を引き起こし、神経系の攣縮症状が現れます。
それぞれの症状を具体的に紹介します。
骨密度が低下する
骨細胞は一定のサイクルで、
- 古い細胞を溶かしてカルシウムを流出させる
- 新しい細胞を作るためにカルシウムを取り込む
というように代謝を行っています。
このような骨細胞の代謝を繰り返すことで、骨の密度は高くなり、強度は保たれます。
しかし血中カルシウムが不足すると、カルシウムを補うため、過剰に骨細胞が溶かされてしまい、その結果、骨量が減少し骨密度の低下を引き起こします。
また、カルシウム不足は、加齢と強く関連しています。
特に閉経期以降や高齢になると骨吸収が骨形成を上回り、骨密度の低下につながります。
慢性的にカルシウム不足が続くと、骨粗鬆症や骨折のリスクが高くなります。
子供の発達障害
カルシウムは子供、特に中高生の発育において重要な栄養素です。
なぜなら、カルシウムには
- 成長ホルモンが作用することで、身長を伸ばす
- 骨量を最大限に高め、丈夫な骨づくりができる
の二つの作用があるからです。
子供のカルシウム摂取が不足すると、骨の発育障害が起こります。
具体的には
- 身長が伸びない
- 骨折しやすい
などの症状があらわれやすくなります。
また、カルシウム不足が進むとくる病を発症し、以下の症状があらわれる場合があります。
- 脚が曲がって成長する
- 歯の生え変わりが遅くなる
神経系の痙攣症状
副甲状腺ホルモンや腎臓は、血液中のカルシウム濃度を一定に保つ働きがあります。
しかし、上記機能の低下や食事などが原因で、血液中のカルシウム濃度が低下し、低カルシウム血症を発症することがあります。
重度の低カルシウム血症では、
- 手足の感覚障害(チクチク感)
- 筋肉痛
- テタニー(筋肉の攣縮や硬直)
などが生じる場合があります。
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カルシウムの摂取量
カルシウムを適切に摂取する基準として、必要量と推奨量が定められています。
1日に必要なカルシウム摂取の必要量、推奨量は以下の通りです。
必要量
必要量とはおおよそ半分の人がカルシウム摂取を満たす量のことをいいます。
カルシウムの推定平均必要量
必要量(mg/日) | ||
年齢(歳) | 男性 | 女性 |
1~2 | 358 | 343 |
3~5 | 487 | 444 |
6~7 | 486 | 449 |
8~9 | 534 | 624 |
10~11 | 590 | 601 |
12~14 | 821 | 670 |
15~17 | 664 | 555 |
18~29 | 648 | 553 |
30~49 | 556 | 550 |
50~69 | 593 | 555 |
70以上 | 601 | 519 |
推奨量
推奨量はほとんどすべての人が必要摂取量を満たす量のことをいいます。
カルシウムの推奨量
必要量(mg/日) | ||
年齢(歳) | 男性 | 女性 |
1~2 | 430 | 412 |
3~5 | 585 | 533 |
6~7 | 583 | 539 |
8~9 | 641 | 749 |
10~11 | 707 | 722 |
12~14 | 986 | 804 |
15~17 | 797 | 665 |
18~29 | 778 | 663 |
30~49 | 667 | 660 |
50~69 | 712 | 666 |
70以上 | 722 | 622 |
カルシウムが含まれる食品
カルシウムを効率よく摂取するためには、
- カルシウムを多く含む食品
- 食品の組み合わせ
が重要になります。
具体的な説明は以下の通りです。
主な食品
牛乳を含む乳製品はカルシウムの吸収もよく、効率的に摂取できます。
魚介類のうち、骨まで食べられる小魚や小エビは少量で多くのカルシウムを摂取できます。
その他野菜類や海藻、豆類からも摂取できます。
カルシウムを多く摂取できる食品を以下にまとめます。
食品群 | 食品名 | 摂取量 | カルシウム含有量 (mg) |
牛乳・乳製品 | 牛乳 | コップ1杯(200g) | 220 |
ヨーグルト | 1パック(100g) | 120 | |
プロセスチーズ | 1切れ(20g) | 126 | |
野菜類 | 小松菜 | 1/4束(70g) | 119 |
菜の花 | 1/4束(50g) | 80 | |
水菜 | 1/4束(50g) | 105 | |
切り干し大根 | 煮物1食分(15g) | 81 | |
海藻 | ひじき | 煮物1食分(10g) | 140 |
小魚 | さくらえび(素干し) | 大さじ1杯(5g) | 100 |
ししゃも | 3尾(45g) | 149 | |
豆類 | 木綿豆腐 | 約1/2丁(150g) | 180 |
納豆 | 1パック(50g) | 45 | |
厚揚げ | 1/2枚(100g) | 240 |
具体的な組み合わせ
効率よくカルシウムを吸収するためには他の栄養素との相性が重要です。
カルシウムと相性が良い栄養素は以下の通りです。
- ビタミンD
- 乳糖
- カゼイン分解物
- リジン(アミノ酸)
反対に、カルシウムの吸収を阻害する食品として
- 野菜に含まれるシュウ酸
- 穀類や豆類に含まれるフィチン酸
- 食物繊維
がありますので注意が必要です。
カルシウムを含む食品について詳しく知りたい方は下記の記事を参考にしてください。
カルシウムはさまざまな食品に含まれています。また、骨を強くする以外にもさまざまな効果があります。より効果を得るために、効率よく摂取する方法を知りたいと思う方は多いと思います。今回はカルシウムについて、以下の点を中心にご紹介します。[…]
必要量を満たす組み合わせ
日々の食生活でカルシウム不足を解消できるよう意識しましょう。
例えば、ひじきと小松菜の白和えは、カルシウムを豊富に含んでいるのでおすすめです。
ビタミンDを豊富に含むものには魚やきのこ等が挙げられます。
例えば、ツナとチーズのサンドイッチのように魚と乳製品を組み合わせたり、きのこと油揚げとを一緒に炊き込みご飯にしたりして、カルシウムを効率よく摂取しましょう。
推奨量を満たす組み合わせ
推奨量を目指す場合は、食事以外でもカルシウム摂取を心がけましょう。
間食には以下の食品がおすすめです。
- 牛乳やチーズ
- にぼしなどの小魚
食事にトッピングを増やすことで、カルシウム摂取を容易にすることもできます。
具体的には以下の通りです。
- ヨーグルトの入ったドレッシング
- ふりかけ(おかかなど)
カルシウムを摂りすぎると?
一般的な食事をしていると、カルシウムを過剰摂取することはほとんどありません。
しかし、サプリメントやカルシウム強化食品などで、カルシウムを過剰に摂取してしまう場合があります。
多量に摂取した場合、稀ではありますが
- 高カルシウム血症
- 高カルシウム尿症
などの疾患につながる場合があります。
またカルシウムの過剰摂取は、亜鉛など他のミネラルの吸収を阻害する原因になります。
過剰摂取症状
高カルシウム血症の場合、初期の段階では特徴的な症状は少ないです。
主な症状は、疲れやすさや倦怠感、イライラ感、食欲不振、便秘などです。
高カルシウム血症がすすむと、
- 筋力の低下
- 多飲・多尿
- 口渇感
- 吐き気
- 腹痛
などの症状が見られます。
高カルシウム尿症では、血尿や尿路結石ができやすくなります。
症状が進むと腎不全につながる場合があります。
耐容上限量
18歳以上における1日当たりのカルシウム耐容上限量は、2,500mgです。
18歳未満は特に上限は設けていません。
しかし、過剰摂取によるリスクはありますので注意してください。
サプリメントによっては、1回の摂取で1日のカルシウム必要量を満たす種類もあります。
また、カルシウム強化食品にはドーナツやウエハースなどおやつとして手軽に摂取できるものもあります。
いずれにおいても適切な摂取量を守ることが重要です。
カルシウム以外に必要な骨形成の栄養素
骨の成長や骨の形成にはカルシウムだけでなくリンとビタミンDも必要です。
リンはカルシウムに次いで多く含まれる栄養素です。
リンの80%以上がカルシウムと一緒にエナメル質を形成します。
血液中のリンが多くなると骨から血液にカルシウムが流れ出てしまい、骨量が低下してカルシウム不足になってしまいます。
従って、カルシウムとリンのバランスは非常に重要といえます。
また、ビタミンDには腸からカルシウムとリンの吸収を促進させ、骨形成を促進させるためにカルシウムとリンを蓄積させる働きがあります。
ビタミンDについて詳しく知りたい方は下記の記事を参考にしてください。
ビタミンdは丈夫な骨づくりに欠かせない栄養です。日本人には不足しやすい栄養素ですが、かといって摂りすぎても身体によくないことをご存知ですか。本記事ではビタミンdについて、以下の点を中心にご紹介します。 ビタミンdが不足すると骨粗し[…]
高齢者における骨折の影響
骨折は、高齢者が要介護状態になる原因の第3位として挙げられます。
高齢者の骨折は、寝たきり状態になるリスクが高い傾向にありますので、将来介護が必要とならないためには、骨折の予防がとても大切です。
高齢者が骨折しやすい原因としては、骨粗鬆症のリスクが高いことが考えられます。
骨粗鬆症を予防するために、カルシウム不足にならない健康的な体作りが大切です。
カルシウムをはじめとした、骨形成に必要な栄養素を、しっかり摂取しましょう。
出典:厚生労働省【2019年国民生活基礎調査の概況|介護の状況】
高齢者の骨折について詳しく知りたい方は下記の記事を参考にしてください。
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カルシウム不足まとめ
ここまで、カルシウム不足について基本的な知識をお伝えしてきました。
カルシウム不足についての要点を以下にまとめます。
- カルシウムは骨の形成に主要な栄養素であり、一部血液や神経に働きかけている
- カルシウム不足の症状として、骨粗鬆症や子供の発育障害、神経症状などがある
- カルシウムの摂取量は成長期である中高生をピークに、成人以降も一定量必要
- カルシウムは乳製品、野菜類、海藻、豆類、小魚等の食品に多く含まれる
これらの情報が少しでも皆様のお役に立てば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。