社会で生活していく上で、ストレスを完全に避けることは困難です。
従って、正しくストレスと向き合っていくことが、人が健康的に暮らしていくためには大切です。
今回はストレスについて、以下の点を中心に解説していきます。
- ストレス症状、放置しているとどうなる?
- 自分がストレスをため込んでいるか、チェックする方法
- ストレスへの対処方法
ストレスについて理解するためにも、ご参考いただけますと幸いです。
ぜひ、最後までお読みください。
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ストレスとは?定義を説明!
厚生労働省はストレスを「外部から刺激を受けたときに生じる緊張状態のこと」と述べています。
外部の刺激とは人間関係の問題や環境の変化などを指します。
人によってストレスと感じる出来事には違いがあります。
しかし、ストレスをため込んでしまうと様々な症状が引き起こされます。
ストレス症状について
まずはストレスを受けていると、一般的にどのような症状が出るのかを解説していきます。
主な症状は以下の通りです。
頭痛 | 吐き気・嘔吐 |
めまい | 下痢・胃痛 |
発熱 | アトピー性皮膚炎・かゆみ・蕁麻疹 |
息苦しい・過呼吸 | 記憶が飛ぶ |
頭痛
ストレスが原因とされている緊張型頭痛は、頭全体が締め付けられるような痛みが特徴です。
対処方法としては蒸しタオルや温浴など、温めて血行を良くすることが有効です。
吐き気・嘔吐
ストレスを受けることで自律神経が乱れ、内臓器官の働きは低下してしまいます。
このような症状を自律神経失調症といい、頭痛・吐き気も症状に該当します。
胃や腸の機能が低下してしまうと、消化ができなかったり、胃液が多量に分泌されたりして吐き気を催すことがあります。
嘔吐が続くと体への負担も大きくなります。
したがって、早めに消化器内科など医療機関へ受診するようにしましょう。
病院では、自律神経を整える効果のある胃腸薬や漢方薬が、吐き気・嘔吐の症状に対して処方されています。
めまい
めまいも、ストレスが原因の自律神経失調症の1つです。
平衡感覚に問題が生じ、身体のバランスを保つのが難しくなります。
そのため、転倒など大けがにつながる危険性もあります。
めまいの症状でお悩みの際は、内科・耳鼻科・脳神経科を受診するようにしましょう。
下痢・胃痛
強いストレスは胃腸の働きを弱くし、下痢や胃痛といった症状を起こします。
自律神経失調症の他にも、ストレスが要因と考えられている消化器疾患として過敏性腸症候群があります。
過敏性腸症候群の詳しい原因やメカニズムは不明です。
しかし、過度な緊張感や不安感、疲労感などが症状を悪化させることが分かっています。
発熱
ストレスによって起こる発熱を心因性発熱といいます。
心因性発熱は解熱鎮痛剤を服用しても効果が少なく、頭痛・腹痛や気分障害を伴うこともあります。
症状改善のためには、まずは心身を休め、リラックスして過ごすことが大切です。
アトピー性皮膚炎・かゆみ・蕁麻疹
小児のアトピー性皮膚炎はアレルギーが原因であることが多いです。
しかし、成人の場合はストレスが原因で、皮膚炎を悪化させてしまうケースもあります。
理由としては、ストレスを受けることで自律神経が乱れ、免疫系の働きが弱ることが挙げられます。
息苦しい・過呼吸
過度なストレスを受けると、内分泌系の働きに問題が生じます。
その結果として、息苦しさや過呼吸を起こす可能性もあります。
記憶が飛ぶ
ストレスは身体だけではなく、意識や記憶力にも影響を及ぼします。
代表的な症状としては、健忘症・解離性健忘症があります。
健忘症・解離性健忘症を発症すると、過去の出来事や自分自身のことを思い出せなくなります。
ストレスの影響で心臓が痛い?不安を解消するためにも、以下の記事も併せてご覧ください。
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良いストレスも存在する?
ストレスは必ずしも悪い方向に働くとは限りません。
大切な場面で緊張感を持って取り組むことで、達成感を得られ自信向上につながります。
人が精神的に成長するためにも、ストレスは必要な要素ともいえるのです。
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ストレスの原因ってどんなもの?
ストレスだと感じる要因は人によって違いがあります。
何がストレス原因となっているのか、以下の3つの要因に分けてまとめました。
世間一般的に言われる「ストレス」とは、多くが心理的要因や社会的要因を指します。
- 身体的要因
- 心理的要因
- 社会的要因
身体的要因
外部から身体へ様々な刺激が入ることで、人は少なからずストレスを受けています。
身体的要因とされるものの例は以下になります。
- 病気
- 疲労
- 血圧
- 痛み
- 暑さや寒さ
- 睡眠不足
心理的要因
心理的要因とされるものの例は以下になります。
- 不安感や緊張感
- 悩み事
- 悲しみや怒りなど、感情の変化
社会的要因
社会的要因とされるものの例は以下になります。
- 人間関係
- 仕事上の問題
- 就職・進学など環境の変化
ストレスの種類について詳しく知りたい方は、こちらの記事も併せてご覧ください。
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ストレスによって引き起こされる重大な病気
ストレスを放置していると、重大な病気に進行するリスクがあります。
この項目ではストレスによって引き起こされる重大な病気を、一部ご紹介します。
高血圧
収縮期血圧が140mmHg以上、または拡張期血圧が90mmHg以上の状態を指します。
高血圧の状態が続くと、血管が傷つき動脈硬化を起こす場合があります。
動脈硬化は、脳卒中や心不全の原因となってしまいます。
過喚起症候群
緊張感や切迫感から、呼吸回数が自分の意思に反して異常に増えてしまう現象を指します。
過喚起症候群によりすぐ命に関わることはありません。
しかし、症状が落ち着くには時間がかかり、生活や仕事場面に支障をきたしてしまいます。
糖尿病
ストレスによるホルモンバランスの乱れ、過食により糖尿病を起こすケースもあります。
糖尿病は進行すると、糖尿病性腎症・糖尿病性網膜症といった合併症を引き起こします。
放置していると命に関わることもあります。
心筋梗塞
心筋梗塞は、動脈硬化によって血管の閉塞が起こることで発症します。
主症状として強い胸の痛みがあり、人によっては無症状または痛みが軽いケースも見られます。
治療せず放置していると、心不全や不整脈、心臓破裂など死に至ることもあります。
従って、早期治療・早期発見が大切です。
ストレス性胃腸炎
ストレスを感じた時に胃腸の働きが弱くなり、腹痛を起こす病気です。
ウイルス性の胃腸炎ではありませんので、周りの人への感染リスクはありません。
しかし、ただの胃痛と軽く見てご飯が食べられなくなり、栄養失調によって倒れてしまう方もいます。
痛みが続くようでしたら、早めに医療機関へ受診するようにしましょう。
うつ病
うつ病とは、意欲の低下・無気力・気分の落ち込みなどが続き、日常生活に影響を及ぼす病気です。
症状が重度になると、自傷行為や自殺企図など、直接命に関わってくる場合もあります。
扁桃炎
十分な睡眠が取れず、疲労やストレスをため込んでいると、免疫機能が低下します。
すると、扁桃が細菌に感染しやすくなってしまいます。
扁桃炎は多くの場合左右どちらか一方で起こります。
悪化すると食事が取れない、呼吸がしにくいといった問題が生じます。
ストレスが脳萎縮に影響する?興味がある方は、こちらの記事も併せてご覧ください。
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ストレスチェックで自分の状態をチェック!
ストレス症状を悪化させてしまう前に、ぜひ一度、ストレスのセルフチェックをしてみましょう。
以下の1から30で当てはまる項目をチェックしてください。
1:頭がすっきりせず重く感じる | 2:目が疲れやすくなった |
3:臭いに過敏又は鈍感になった | 4:めまいを感じることが増えた |
5:時々、立ちくらみがする | 6:耳鳴りが増えた |
7:以前と比べ口内炎ができやすくなった | 8:のどのつまりや痛みを感じる |
9:舌の表面が白くなることが多い | 10:今まで好きだったものでも食べたいと思わなくなった |
11:食後に胃がもたれる | 12:下痢や便秘をすることが多い |
13:肩のこりがとれず、頭も痛い | 14:背中や腰が痛みやすくなった |
15:なかなか疲れがとれなくなった | 16:食欲がなく体重も減っている |
17:暴飲暴食をすることが増えた | 18:朝、布団からすぐ出られない |
19:仕事に対してやる気ができず、集中力もない | 20:夜なかなか寝付けない |
21:夢ばかり見て、熟睡できない | 22:夜中の1時2時頃に目が覚めて、そのあと寝付けないことが多い |
23:急に息苦しくなることがある | 24:しばしば動悸がする |
25:胸がしめつけられるように苦しくなることがある | 26:風邪を引きやすく、なかなか治らない |
27:ちょっとしたことでイライラする | 28:以前よりも手足が冷えやすい |
29:以前よりも手のひらや脇の下に汗をかく | 30:以前に比べ、人と会うのがおっくうである |
<自己診断>
A:0から5の方…正常範囲です。
B:6から10の方…軽ストレス→時には休養が必要です。
C:11から20の方…ストレス→一度、医師に相談してみましょう。
D:21から30の方…ストレス強→医療機関の受診を勧めます。
出典:【1988年 桂 戴作氏 作成のものを 2020年 千葉県精神保健福祉センター長 林 偉明氏 改編】
企業でもストレスチェックシートで確認を!
企業でストレスチェックの取り組みをしたい場合、「厚生労働省版ストレスチェック実施ブログラム」の利用がお勧めです。
実施方法は?
こちらのプログラムは、アプリ版と紙媒体、2つの方法で実施できます。
導入・実施方法に関しては、厚生労働省のダウンロードサイトにて説明されています。
ぜひご覧になってみて下さい。
出典:厚生労働省【厚生労働省版ストレスチェック実施プログラムダウンロードサイト】
ストレス解消法は?
ストレスを解消するためには、どのようなことをすれば良いのでしょうか。
ストレスの内容は人によって様々であるため、解消法も合う合わないがあります。
あくまで方法の1つとして、参考にしていただけたら幸いです。
考え方を変えてみる
ストレスをため込んでいるときは、考え方に偏りが起きてしまいがちです。
視点を変えて考えることで、するっと解決の糸口が見つかることもあるでしょう。
また、物事を少しでもポジティブに捉える練習も効果的です。
「これだけしかできなかった…」と、悲観的になるのではなく、「これだけできた!」と明るく考え直す癖をつけてみましょう。
誰かに相談する
誰かに話を聞いてもらうことで、安心感を得られ、ストレス緩和にもつながります。
心を専門とするクリニックでカウンセリングを受けることで、気分が晴れやかになることもあります。
気分転換やリラックスをする
思いっきり気分転換する日や、リラックスできる日を意識的に設けるように心がけましょう。
特に身体を動かすことはストレス解消だけでなく、生活習慣病の予防にもつながるためお勧めです。
体力に自信がない方は、まずはウォーキングを取り入れるだけでも、気分の変化を感じられます。
しかし、運動を辛いと感じてしまっていると、逆にストレスとなります。
ストレスを感じてしまう場合は、音楽を聞くなど他に自分にあった方法を探すようにしましょう。
ストレス解消グッズを使う
最近では自宅でストレス解消できる、様々なグッズが販売されています。
以下がグッズの例になります。
- 香りを楽しむフレグランスグッズ
- 自宅ヘッドスパ体験ができるヘッドブラシ
- マッサージ器
卓上に設置できるパンチングマシーンや、大声で叫んでも音が漏れないマイクなど、ユニークな物もあります。
ぜひチェックしてみてください。
趣味を持つ(音楽・運動など)
新しい趣味活動を始めてみるのも、気分転換となりストレスを解消できるでしょう。
大事なのは、ストレスを忘れて何かに没頭する時間を作る、ということです。
仕事と趣味の切り替えをできるようになると、仕事への意欲が向上し、ストレスの原因を解決できるかもしれません。
環境を変える
環境を変えて心機一転スタートしてみることも、ストレスの根本的解決となることがあります。
大きな決断とはなりますが、転職や転居など、身の回りの環境を変えることも、ストレス解消の手段になることを覚えておきましょう。
ストレスの対処法について、より詳しく知りたい方はこちらの記事をご覧ください。
ストレスは、人に緊張感や責任感を与え、人が成長するために必要不可欠な要素といわれています。しかし、強いストレスは心身に異常をきたしてしまうため、適切に対処していく必要があります。ストレスと上手に付き合っていくための対処法には、どのよ[…]
自分に合うストレス解消法を探そう
ストレスの原因は年齢や、所属する環境によって様々です。
従って、効果的なメンタルケアの方法も人によって違ってきます。
この項目では、以下に当てはまる方に向けたメンタルケアについてご紹介します。
- 学生の方
- 働き盛りの方
- 教員の方
学生の方
岡﨑由美子氏らの論文、「小学生の学校生活における心理社会的ストレスと心理教育的アプローチ」では、友人関係とストレスについて研究報告されています。
この論文では「友達関係」をテーマにワークを行った結果、抑うつなどの心理症状が改善し、生徒のストレスが軽減したとまとめています。
このような結果から、友人関係が学生のストレス源にもなり、ストレスの解決にもつながることが分かります。
もし、この記事を読んでいるあなたが、学校の友人関係で悩んでいるのであれば、まずは両親に相談するようにしましょう。
両親や顔見知りに相談しにくい場合は、電話やインターネットの相談窓口を頼ってみましょう。
大事なのは1人で抱え込まず、誰かに相談することです。
自分では大きな問題と思っていたことが、誰かに相談することで、解決の糸口が見つかるかもしれません。
出典:岡崎由美子氏ら【小学生の学校生活における心理社会的ストレスと心理教育的アプローチ】
働き盛りの方
働き盛りの年代になると、管理職など責任のある立場を任されることが多くなります。
必然的に仕事の量と質が増え、ストレスを感じるようになってしまいます。
後輩や部下の教育をする機会もあり、上司と部下の間に立たされ、人間関係について悩む場面も増えてきます。
このような職場でのストレス環境を改善していくには、どうすれば良いのでしょうか。
大塚泰正氏らは、職場でのストレス改善には、労働者のポジティブな気分や、幸福感を高めることが大切であると述べています。
労働者の幸福感向上のために、まずはストレス源を明確に評価しましょう。
評価項目には、仕事の量や質、職場環境(温度や湿度、作業スペース)、人間関係が挙げられます。
評価後は、部署内で問題をリストアップし、優先度を決め改善に取り組んでいきましょう。
出典:大塚泰正氏ら【職場のメンタルヘルスに関する最近の動向とストレス対処に注目した職場ストレス対策の実際】
教員の方
最近では教員に対する責任感の過剰な要求や、ブラックな職場環境が問題となっています。
厚生労働省「こころの耳」というサイトには、教員がどのようにストレスと向き合えばよいのか言及されています。
このサイトでは、生徒との関係性については教員1人で抱え込まず、心理・医療・地域福祉など様々な専門家の助力を得ることが、大切であるとしています。
また、ブラック職場問題については、タイムカードの配置や部活動担当の外注化など、少しずつ是正が始まっています。
教員にとっても、職場環境を整え幸福感を持って働くことは、ストレス改善の第一歩となるでしょう。
出典:厚生労働省【働く人のメンタルヘルス・ポータルサイト こころの耳】
ストレスのまとめ
ここまでストレスについてお伝えしてきました。
ストレスの要点をまとめると以下の通りです。
- ストレス症状が悪化すると、心疾患や糖尿病、うつ病など大きな病気につながる
- セルフチェックシートを活用することで、ストレス状況について自己診断が可能
- 1人でストレスを抱え込まず、まずは誰かに相談してみることが大切
これらの情報が少しでも皆さまのお役に立てば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。