扁桃腺がよく腫れるという場合、原因としてストレスが考えられます。
なお、扁桃腺が片方だけ腫れる場合は、咽頭がんなどの重大な疾患の可能性もあります。
それでは扁桃炎や咽頭がんの特徴・症状とは、一体どのようなものなのでしょうか。
本記事では、ストレスで扁桃腺が片方腫れる事柄について、以下の点を中心にご紹介します。
- 扁桃腺の症状とは
- なぜストレスが扁桃炎を引き起こすのか
- 扁桃腺が片方だけ腫れる原因
- 咽頭がんのその他の症状
ストレスで扁桃腺が片方腫れる事柄について理解するためにもご参考いただけますと幸いです。
スポンサーリンク
扁桃腺・扁桃炎とは?
扁桃腺は舌の付け根の両側にあるリンパ組織です。
こぶのような形状をしています。
扁桃腺の役割は免疫です。
具体的には、ウイルス・細菌の侵入を阻止することで身体を守っています。
なお、扁桃腺に付着したウイルス・細菌が増殖すると、炎症を引き起こすことがあります。
扁桃炎と呼ばれる症状で、発熱・のどの腫れや痛みなどを伴います。
扁桃炎の症状については、後ほど改めて解説いたします。
ストレスについて詳しく知りたい方は、こちらも合わせてお読みください。
社会で生活していく上で、ストレスを完全に避けることは困難です。従って、正しくストレスと向き合っていくことが、人が健康的に暮らしていくためには大切です。今回はストレスについて、以下の点を中心に解説していきます。 ストレス症状[…]
スポンサーリンク
扁桃腺の腫れで生じる症状
扁桃腺の腫れによって生じる症状について、代表的なものをご紹介します。
是非ご参考ください。
急な高熱
扁桃腺が腫れると、急激に高い熱が出ることがしばしばです。
具体的には、38~40℃程度の熱が出ます。
高熱は、扁桃炎の中でも特に急性扁桃炎に多い症状です。
症状は3~4日程度で収まることがほとんどですが、稀に1週間程度続く場合もあります。
なお、扁桃腺が腫れても熱が出ないこともあります。
たとえば慢性扁桃炎や咽頭炎は、発熱しないケースが多いです。
どのような症状か、また発症期間はどれくらいなのか、具体的な発症例はどのようなものなのかなど、症状について具体的に説明していきます。
のど・耳の下の痛み
扁桃腺が腫れると、周辺のリンパ節も腫れ上がります。
結果、のどや耳の付け根下に痛みが出ることがあります。
特に急性扁桃炎は強烈な痛みが出やすいです。
重症化すると、付け根だけでなく耳全体が痛むこともあります。
また、のど・耳の痛みから、食べ物・水分を飲み込めなくなるケースも少なくありません。
ひどい場合は、唾液を飲むのも辛くなります。
のど・耳の下に強烈な痛みがあらわれると、食事が摂れなくなります。
結果、体力的に弱ってしまうこともしばしばです。
一般的に症状は2~3日程度続きます。
ストレスによる体への症状について詳しく知りたい方は、こちらをお読みください。
ストレスの溜めすぎはよくないといわれています。しかし、ストレスがどんな問題を引き起こすのか、詳しく知らないという方も多いでしょう。自分のストレスがどの程度なのかチェックする方法があれば、健康維持に役立ちますよね。今回はストレ[…]
社会で生活していく上で、ストレスを完全に避けることは困難です。従って、正しくストレスと向き合っていくことが、人が健康的に暮らしていくためには大切です。今回はストレスについて、以下の点を中心に解説していきます。 ストレス症状[…]
扁桃炎で生じる他の症状
扁桃腺が腫れると、のど・喉の痛み以外の症状が出ることもあります。
たとえば以下のような症状が代表的です。
頭痛
高熱が出た場合は、しばしば頭痛を伴います。
片頭痛のように、こめかみから後頭部を中心に強烈な痛みが出やすいのが特徴です。
具体的には、ズキズキと脈を打つような痛みが出ます。
身体を動かすと痛みが一層強くなることもあります。
症状は発熱とともに落ち着くことが一般的です。
具体的には、3~4日で収まります。
ただし長引くと、1週間ほど続くこともあります。
倦怠感
倦怠感とは、身体を重い・だるいと感じることです。
たとえばベッドから起き上がれなかったり、些細な家事・動作も億劫に感じたりするケースが代表的です。
倦怠感は、発熱の有無にかかわらずあらわれやすい症状です。
あわせて、関節の痛みがあらわれることもあります。
多くの場合、症状は1週間程度で落ち着きます。
ストレスによる頭痛について知りたい方は、こちらをお読みください。
ストレスと頭痛についてストレスによる頭痛にはタイプがあり、それぞれ対処法が異なります。誤った対処をすると、頭痛が悪化することが少なくありません。では、ストレスによる頭痛にはどのようなタイプがあるのでしょうか。また、頭痛別の適[…]
扁桃炎の特徴について
扁桃腺が炎症を起こして腫れると、扁桃炎に至ります。
扁桃炎は急性扁桃炎と慢性的扁桃炎の2種類があります。
特に多いのが急性扁桃炎です。
急性扁桃炎の特徴は以下の通りです。
- 両方の扁桃腺が真っ赤に腫れ上がる
- 扁桃腺全体に白い膿が広がる
- 急激に38~40℃の熱が出る
- のど・耳の付け根下に痛みがあらわれる
- 頭痛・倦怠感・悪寒
急性扁桃炎は小児~青年によくみられる症状です。
なお、高齢者の急性扁桃炎は稀です。
理由は、扁桃腺は加齢とともに機能が低下するためです。
ストレスによる熱について詳しく知りたい方は、こちらをお読みください。
ストレスとは、外部から受ける刺激により体が緊張状態になることです。ストレスによる熱は心因性発熱といいます。ストレスによる熱とはどのようなものなのでしょうか。本記事ではストレスによる熱について以下の点を中心にご紹介します。 スト[…]
熱なしでも扁桃炎になる
扁桃腺が腫れても発熱しないケースもあります。
たとえば慢性扁桃炎が代表的です。
慢性的扁桃炎は、急性扁桃炎を繰り返した状態です。
具体的には、急性扁桃炎を年に4回以上繰り返すと、慢性的扁桃炎と診断されます。
慢性扁桃炎は、急性扁桃炎に比べると急激な症状があらわれることは少ないです。
なお、慢性扁桃炎では以下のような症状があらわれます。
- 微熱
- 倦怠感
- のどの違和感・異物感
急性扁桃炎に比べると症状が軽いため、放置するケースも少なくありません。
しかし慢性扁桃炎を放置すると、薬が効きにくくなります。
結果、回復が難しくなるケースがしばしばです。
あるいは、扁桃炎の原因菌が他の重大な疾患を引き起こすこともあります。
ストレスにおけるめまいについて詳しく知りたい方は、こちらをお読みください。
ストレスとめまいについて厚生労働省の調査によると、20~50代の過半数以上の方が強いストレスを感じています。ストレスが原因で体にあらわれる症状には、さまざまなものがあります。そのうちの1つにめまいがあげられます。めま[…]
扁桃腺がストレスで腫れてしまう可能性
ストレスが扁桃腺の腫れを引き起こすことがあります。
ストレスと扁桃腺の関係についてご紹介します。
扁桃腺の役割は免疫
扁桃腺の役割は、ウイルス・細菌などから身体を守ることです。
具体的には、口内から体内へウイルス・細菌が侵入するのを防ぎます。
多くの場合、ウイルスは、鼻・口から体内に侵入します。
いずれであっても、ウイルスは体内への侵入の過程でのどを通過します。
ウイルスがのどを通過するときに、キャッチするのが扁桃腺の役割です。
扁桃腺は、捕まえたウイルスを退治する役割もあります。
ウイルス退治で活躍するのは、扁桃腺の粘膜の表面にあるIgA抗体です。
IgA抗体とは、ウイルスと結合して毒素を無力化する成分です。
IgA抗体が十分に機能していれば、扁桃腺にウイルスが付着しても炎症を起こすことはほとんどありません。
しかし、ときにIgA抗体の働きが低下することがあります。
いわゆる免疫が低下した状態に該当します。
免疫を下げる原因として代表的なのがストレスです。
免疫が落ちる原因にストレスがある
なぜ、ストレスをうけると免疫が下がるのでしょうか。
理由は、自律神経のバランスにあります。
自律神経とは全身の器官をコントロールする神経系です。
免疫機能も自律神経によって調節されています。
そのため、自律神経のバランスが崩れると免疫機能にも支障が出やすくなるのです。
また、自律神経が乱れるとIgA抗体の分泌が下がることも免疫低下の原因の1つです。
それでは、ストレスと自律神経はどのように関わっているのでしょうか。
まず前提として、自律神経とは交感神経と副交感神経から成り立ちます。
交感神経は血圧・脈拍を上昇させて身体を興奮させる神経系です。
対して副交感神経は、血圧・脈拍を下げて身体を休息させる神経系です。
交感神経と副交感神経は交互に優位になりながら、バランスを保っています。
たとえば、活発に活動する昼間には交感神経が優位になります。
一方、夜間には副交感神経が優位になるため、身体は自然とリラックスモードになります。
ところがストレスが増えると、副交感神経が抑制されやすくなります。
ストレスには交感神経を活性化させる作用があるためです。
結果、交感神経と副交感神経の切り替えがうまくいかなくなるため、自律神経全体のバランスが崩れやすくなります。
自律神経のバランスが崩れると免疫細胞が不活性化します。
すると扁桃腺に付着したウイルスを退治できなくなるため、扁桃炎などの感染症に至ります。
なお、免疫機能を低下させるストレスとはたとえば、対人関係の悩みといった精神的ストレスが代表的です。
あるいは、過労・不眠といった身体的ストレスも免疫低下の要因となります。
出典:厚生労働省「こころとからだ | e-ヘルスネット(厚生労働省)」
出典:厚生労働省「自律神経失調症 | e-ヘルスネット(厚生労働省)」
ストレスが免疫を低下させて病原菌が入り込む
ストレスなどによって免疫が下がると、身体のバリア機能が低下します。
簡単にいえば、ウイルスが体内に侵入・増殖しやすくなるのです。
扁桃炎の場合は、空気中のウイルスなどが扁桃腺に付着・増殖します。
通常であれば、ウイルスが扁桃腺に付着しても免疫細胞やIgA抗体が駆除にかかります。
しかしストレスによって免疫機能が低下している状態では、免疫細胞やIgA抗体の働きが弱まっています。
そのためウイルスを駆逐しきれず、結果、炎症が起きてしまうわけです。
では、なぜウイルスが扁桃腺で増殖すると炎症が起きるのでしょうか。
理由は、免疫細胞を素早く移動させるためです。
扁桃腺にウイルスが付着すると、白血球などの免疫細胞が血液に乗って集まってきます。
血流が早いほど免疫細胞の到着は早くなります。
免疫細胞の移動を早めるために起こるのが、炎症という作用です。
ウイルスが扁桃腺に付着すると、身体は扁桃腺周辺の血管を広げて血流を早めます。
血管が広がることで扁桃腺には血液が集中しやすくなるため、そのぶん免疫細胞の到着も早まるというわけです。
しかし炎症には弊害もあります。
血液が集中することで、扁桃腺周辺の血管が赤くなったり、熱を持ったりすることです。
また、無理に血管をおし広げることで血管が腫れてしまいます。
結果、扁桃腺に赤み・熱・腫れといった症状があらわれるわけです。
ストレスによる不整脈について知りたい方は、こちらをお読みください。
脈が乱れたり心臓がドキドキする場合、不整脈が起こっている可能性があります。不整脈は心臓病だけでなく、ストレスなどによっても引き起こされます。そもそも不整脈とはどのようなものでしょうか?なぜストレスが不整脈の原因となるのでしょ[…]
扁桃腺が片方だけ腫れる原因
扁桃腺が腫れる症状はめずらしくありません。
しかし中には、注意が必要なケースもみられます。
特に気をつけたいのが、片方の扁桃腺だけが腫れるケースです。
片方だけ扁桃腺が腫れる場合、扁桃炎以外の疾患が原因かもしれません。
代表的なのは咽頭がんです。
咽頭とは、鼻の奥から食道までの部位を指します。
咽頭は高さによって3段階に分けられます。
- 上咽頭:鼻の奥から口
- 中咽頭:口から喉ぼとけ
- 下咽頭:喉ぼとけから食道
咽頭がんの中でも中咽頭がんには、しばしば扁桃腺の腫れがみられます。
特に片方だけ腫れるという場合は、中咽頭がんの可能性が高いです。
理由は、扁桃腺に腫瘍ができるためです。
腫瘍とは悪性のしこりです。
しこりは時間の経過とともに大きくなります。
結果、扁桃腺全体が徐々に巨大化するケースもしばしばです。
あるいは腫瘍によって首周辺のリンパ節に炎症が起こることで、扁桃腺が腫れるケースもあります。
なお、がんが両方の扁桃炎に同時にできることは稀です。
多くの場合、片方どちらかの扁桃腺にしか発生しません。
結果として、片方だけ扁桃腺が腫れるという事態が起こります。
ちなみに、扁桃腺の腫れは痛みを伴わないこともあります。
そのため、発症を見過ごすことも少なくありません。
咽頭がんを見逃さないためには、扁桃腺の腫れ以外の症状も知っておく必要があります。
咽頭がんのその他の症状
咽頭がんは扁桃腺に痛みが出ないこともしばしばです。
発症を見逃さないためにも、扁桃腺の腫れ以外の症状を理解しておきましょう。
以下の症状に心当たりがある場合は、医療機関の受診がおすすめです。
片方の耳が詰まった感覚がある
咽頭がんができると、片方の耳が詰まったように感じることがあります。
特に上咽頭がんに多い症状です。
耳が詰まる理由は、腫瘍が耳と鼻をつなぐ管を塞ぐためです。
あるいは、腫瘍によって気管が腫れるケースもみられます。
結果、腫瘍ができた側の耳にだけ閉塞感が出やすくなります。
片方の耳だけが聞こえづらくなることもしばしばです。
一定の場所に違和感
のどの同じ場所にいつも違和感を感じる場合は、中・下咽頭がんの可能性があります。
違和感が出るのは、しこりができるためです。
のどの奥にしこりができると、その部位が腫れたような感覚になります。
あるいは、しこりが気道を塞ぐこともあります。
結果、のどの同じ場所に違和感や異物感を感じやすくなります。
のどの違和感に加えて、首のリンパ節の腫れ・声のかすれがある場合は、咽頭がんの可能性が高いです。
食べにくい
食べ物や唾液を飲み込むときに、違和感や飲み込みづらさを感じる場合もあります。
ものを飲み込むときに、のどの同じ場所が痛んだり、しみたりすることもしばしばです。
特に中咽頭がんや下咽頭がんに多い症状です。
原因は、のどの腫瘍が気道を塞ぐことです。
中咽頭がんの場合は、口が大きく開けられなくなるケースもしばしばです。
腫瘍によって首周辺のリンパ節が腫れてしまい、痛みが出ることが原因です。
声が掠れている
咽頭がんでは、しばしば声が掠れる症状があらわれます。
雑音・ざらざら・固い声などと表現されることもあります。
原因は、発声に必要な筋肉に腫瘍ができるためです。
声門と呼ばれる部位で、咽頭がんの中でも腫瘍の発生率が高い場所です。
声の掠れは症状の進行とともに悪化します。
あるいは腫瘍が気道を塞ぐことで、息苦しさを感じたり、呼吸困難になったりするケースもしばしばです。
声の掠れが治らないという場合は、咽頭がんの可能性が高いです。
1ヶ月以上症状が続く場合は、医療機関で検査を受けましょう。
首のしこりの肥大化
首の片方にしこりがある場合、咽頭がんが疑われます。
多く場合、しこりは固く、痛みを伴いません。
しこりができる原因は、腫瘍が首のリンパ節に転移することです。
腫瘍は症状の進行とともに巨大化するため、伴って首のしこりも徐々に大きくなります。
しこりが月単位で巨大化している場合は、医療機関の受診がおすすめです。
がんの原因となること
咽頭がんの主な原因をご紹介します。
ぜひご参考ください。
喫煙
喫煙習慣は咽頭がんのリスクを高めます。
たばこの煙には、60以上の発がん物質が含まれます。
発がん物質は、たばこの煙が体内に入るときに一緒に侵入します。
つまり、たばこの煙が通る部位ほど腫瘍の発生率が高くなります。
具体的な部位は、口・のど・肺などです。
実際に国立がん研究センターは、喫煙者の男性は非喫煙者と比べると咽頭がんのリスクが2.4倍高いというデータを発表しています。
なお、喫煙によるがんはストレスとも関係があります。
喫煙は一時的にストレスを忘れさせる効果があるためです。
たばこの煙にはニコチンが含まれます。
ニコチンはドパミンを分泌させる物質です。
ドパミンは脳の神経伝達物質の1種で、不安を鎮めて気持ちを高揚させる作用があります。
簡単にいえば、頭をスッキリさせて気持ちを軽くさせるのです。
喫煙直後はドパミンが分泌されて気分がスッキリするため、ストレスが軽減されたような錯覚に陥ります。
つまり手軽に快感を得られるわけです。
そのため、ストレスを感じたらたばこを吸うというパターンに陥る方は少なくありません。
喫煙回数が増えれば、それだけがんリスクも高まります。
つまり、ストレスから逃れるために頻繁にたばこを吸っている方は、発がんの可能性が高いというわけです。
ちなみに、たばこはストレス解消にはなりません。
気分がスッキリするのは、あくまで一時的にドパミンが分泌されるためです。
ドパミンの分泌が止まると気分の高揚も落ち着きます。
精神状態が元に戻るときには、ひどい憂鬱やイライラを感じることがあります。
憂鬱・イライラはストレスの元です。
結果、ストレスから逃れるために再びたばこを吸う…という悪循環に陥ることもしばしばです。
出典:厚生労働省「喫煙とがん | e-ヘルスネット(厚生労働省)」
出典:厚生労働省「たばことストレス | e-ヘルスネット(厚生労働省)」
出典:国立がん研究センター「喫煙、飲酒と口腔・咽頭がん罹患リスクについて | 現在までの成果 | 多目的コホート研究」
飲酒
飲酒はがんのリスクを高めます。
国立がん研究センターは、週に1回以上の飲酒習慣がある男性は、飲酒しない方に比べると咽頭がんのリスクが1.8倍高いと発表しています。
なお、1日平均2合以上のお酒を飲む場合のリスクは3.2倍です。
がんのリスクが高まる理由は、アルコールに発がん物質が含まれるためです。
また、アセトアルデヒドにも発がん性があります。
アセトアルデヒドは、体内でアルコールを分解する際に合成される物質です。
特に発がんリスクが高いのは、お酒を飲むと顔がすぐに赤くなる方です。
顔がすぐ赤くなる方は、アルコール・アセトアルデヒドの分解能力が生まれつき弱い方です。
代謝能力が低いぶん、発がん物質が長く体内にとどまりやすくなります。
そのため、少量の飲酒でもがんを発症する可能性があります。
ちなみに、ストレス発散のためにお酒を飲むという方は少なくありません。
アルコールにはGABAという物質が含まれます。
GABAは脳の興奮を鎮める作用があります。
すると脳がリラックスするため、ストレスが消えたような気持ちになれるわけです。
お酒を飲むと嫌なことを忘れて楽しい気持ちになれるのも、GABAの働きによるものです。
一時的ではあるものの、飲酒にはたしかにストレスを忘れさせる効果があるのです。
そのため、ストレスから逃げるために飲酒するというパターンに陥りやすくなるわけです。
飲酒量・頻度が大きくなるほど、がんのリスクは高まります。
出典:厚生労働省「アルコールと癌(がん) | e-ヘルスネット(厚生労働省)」
出典:国立がん研究センター「喫煙、飲酒と口腔・咽頭がん罹患リスクについて | 現在までの成果 | 多目的コホート研究」
食生活
以下のような食品を摂りすぎると、がんのリスクが高まると指摘されています。
- アルコール
- 塩辛いもの
- 肉・加工肉
- ジャンクフード(インスタント食品・スナック菓子など)
熱い飲み物・食べ物を好む方は咽頭がんのリスクが高めです。
理由は、熱によってのどの粘膜がダメージを受けるためです。
同じくアルコールも咽頭がんのリスクを高めます。
アルコールには発がん物質が含まれるためです。
なお、塩辛いもの・肉・フライドポテトなどはお酒とも好相性です。
そのため、お酒をよく飲む方は、伴って塩辛いもの・肉などの摂取量も増えがちです。
結果、発がんのリスクがますます高くなります。
また、ストレス解消のために好物を好きなだけ食べるという方は少なくありません。
いわゆる過食の状態です。
過食になると、食事の栄養バランスが悪くなることがあります。
具体的には、野菜・果物などの摂取量が不足することがしばしばです。
栄養バランスの悪い食事は、がんの要因の1つです。
つまりストレス解消のために好きなものばかり食べていると、がんのリスクが高くなります。
出典:厚生労働省「次期国民健康づくり運動プラン策定専門委員会 における次期国民健康づくり運動に 関する委員提出資料 」
運動
運動不足はがんのリスクを高めます。
日本人は特に大腸がんのリスクが高くなると厚生労働省が発表しています。
原因の1つとして、便秘が挙げられます。
便秘になると、便が腸内にとどまる時間が長くなります。
便には発がん物質が含まれることがあります。
腸での便の滞在時間が長くなれば、発がん物質の滞在時間も長くなるため、がんのリスクが高まるわけです。
なお、最近では便秘と大腸がんの関連を否定する意見も増えています。
一方で、身体活動が多い方ほど大腸がんリスクが低いという結果も出ています。
がん予防の観点からいえば、適度な運動は重要といえます。
なお、運動はストレス解消にも効果的です。
ストレスは身体の免疫力を下げるため、がんの要因となり得ます。
つまり運動によってストレスを発散することは、間接的ながん予防につながります。
出典:厚生労働省「次期国民健康づくり運動プラン策定専門委員会 における次期国民健康づくり運動に 関する委員提出資料 」
出典:国立がん研究センター「身体活動量と大腸がん罹患との関連について | 現在までの成果 | 多目的コホート研究」
その他原因
肥満の方はがんのリスクが高めです。
あるいは、痩せすぎの方にもがんの危険性が指摘されています。
がんを予防するには、標準的な体型を維持することが大切です。
ちなみに、ストレスは体型の変動を招くことがあります。
たとえばストレスから過食に走ると、当然ながら肥満しやすくなります。
あるいは、ストレスから拒食症を発症するケースもしばしばみられます。
出典:厚生労働省「次期国民健康づくり運動プラン策定専門委員会 における次期国民健康づくり運動に 関する委員提出資料 」
出典:厚生労働省「摂食障害|こころの病気を知る|メンタルヘルス|厚生労働省」
ストレスによる癌についての記事を読みたい方は、こちらをお読みください。
ストレスで明らかに痩せている、ストレスが多くて体の不調を感じ始めた。 「これは、ストレス性の病気なの?」と疑問を持つことがあると思いますが、実はストレス性の癌である可能性があります。 今回は「ストレス性の癌」についての解[…]
スポンサーリンク
コロナによる腫れと扁桃炎の違い
扁桃腺の腫れは扁桃炎のほか、風邪・インフルエンザなどの感染症でも起こります。
また、最近多いのは新型コロナ感染症による扁桃腺の腫れです。
扁桃炎と新型コロナ感染症では、よく似た症状があらわれます。
共通の症状には以下があります。
- のどの腫れ・痛み
- せき・たん
- 発熱
- 頭痛
- 倦怠感
扁桃炎と新型コロナ感染症は症状がよく似ているため、見分けがつかないこともあります。
一方で、両者には異なる点もあります。
新型コロナ感染症に目立つ症状は以下の通りです。
- 匂い・味がしない
- 肺炎を併発する
- 発症から1週間ほどで重症化する
新型コロナ感染症に特有なのが、匂い・味の消失です。
扁桃炎は多くの場合、味覚やにおいに異常はでません。
新型コロナ感染症と扁桃炎では、発症期間も若干異なります。
扁桃炎は多くの場合、3日前後で激しい症状は治まります。
対して新型コロナ感染症は、1週間ほど症状が続く場合もしばしばです。
ただし、発症期間は個人差があります。
疾患の正確な診断は医師にしかできません。
気になる症状がある場合は、医療機関に問い合わせるのが望ましいです。
ストレスによる免疫力低下について知りたい方は、こちらをお読みください。
最近、体調がすぐれないと感じることはありませんか。原因のはっきりしない体調不良は、もしかするとストレスのせいかもしれません。ストレスは免疫力低下に直結し、さまざまな病気や体調不良を引き起こします。本記事ではストレスによる[…]
スポンサーリンク
扁桃腺の腫れの治療・改善方法
扁桃腺が腫れている場合の改善方法をご紹介します。
ぜひチェックしてください。
うがい手洗い
扁桃炎に限らず感染症とは、ウイルス・細菌によって引き起こされます。
感染症を防ぐには、ウイルスの体内への侵入を防ぐことが大切です。
ウイルス侵入を防ぐ代表的な方法が、うがい・手洗いです。
うがいは、口内にいるウイルスを洗い流す作用があります。
あるいは、のどを潤す作用も期待できます。
のどの粘膜が乾燥していると、菌が増殖しやすくなります。
よって定期的なうがいでのどを潤すことは、扁桃炎を予防するうえで大切です。
手洗いも肝心です。
くしゃみ・せきなどによって飛沫が手につくと、ウイルスも一緒に付着するためです。
ときには、手を介してウイルスが他の方に感染することもあります。
たとえばトイレのドアノブなど、複数の方が手で触れる部位から感染が広がることは少なくありません。
家族や周囲の方に感染を広げないためにも、こまめに手洗いしましょう。
ストレスが少ない生活を心がける
ストレスは扁桃炎の要因となります。
ストレスは身体の免疫機能を下げることで、ウイルス・細菌への耐性を弱めるためです。
免疫機能が正常であれば、ウイルスが扁桃腺に付着しても炎症は起こりにくくなります。
免疫機能を維持するためにも、ストレスが少ない生活を心がけることが大切です。
なお、ストレス予防・解消には以下のような方法がおすすめです。
考え方を変えてみる
ストレスを完全に避けることは難しいです。
しかし、ストレスを感じにくくすることは可能です。
ストレスを感じにくくするためには、物事の捉え方・考え方を変えてみましょう。
具体的には、ネガティブ思考をポジティブ思考に切り替えます。
ストレスを感じやすい方は、ネガティブ思考であることが多いです。
たとえば、上司に仕事を頼まれたとしましょう。
「仕事が増えていやだ」「失敗したらどうしよう」というのがネガティブ思考です。
自分で自分にプレッシャーを与えることになるため、精神的ストレスは増えがちです。
そこで、思考をポジティブに切り替える必要があるわけです。
たとえば、「新しい仕事に挑戦できる」「成功したら出世の道が開ける」のように受け止めましょう。
仕事量が減るわけではありませんが、プレッシャーが減るぶん気持ちは軽くなります。
ストレスを減らすためにも、意識して視点を切り替えることは大切です。
意識の切り替えがうまくいかないという方は、深呼吸してみましょう。
深呼吸すると脳がリラックスします。
頭の中がリセットされるため、スムーズな思考の切り替えが期待できます。
誰かに相談する
悩み・不安はストレスの元です。
なにかに困っているときは、信頼できる相手に相談しましょう。
話すだけでも意外に気分はすっきりします。
また、話すことで心の整理がつくため、新たな課題・解決法が見えてくることもしばしばです。
あるいは、第3者に相談することで、斬新なアドバイスをもらえるかもしれません。
気分転換やリラックスをする
気分転換・リラックスはよいストレス発散になります。
ストレス発散法として代表的な方法は以下の通りです。
- 買い物
- 旅行
- 休息・睡眠
- アロマテラピー
- 趣味
自分が楽しいと思えることであれば、どのようなことでもかまいません。
自分に合ったストレス発散方法を見つけましょう。
ストレス解消グッズを使う
最近はストレス解消グッズも数多く登場しています。
たとえば、防音マイクや殴りやすいクッションなどが代表的です。
セラピー効果のあるぬいぐるみなどもおすすめです。
あるいは、ぎゅっと握りつぶすことでストレスを発散させてくれるボールなども人気の高いストレス解消グッズです。
自分の好みに応じて使い分けましょう。
趣味を持つ(音楽・運動など)
没頭できる趣味を持つのも、よいストレス解消となります。
代表的な趣味は以下があります。
【インドアな趣味】
音楽・絵画などの芸術鑑賞、料理、読書、ゲーム、手芸
【アウトドアな趣味】
スポーツ、登山、サイクリング、日光浴、旅行、ガーデニング
自分の好みにあう趣味を探しましょう。
環境を変える
ストレスの原因が環境にある場合、環境を変えるのも1つの方法です。
たとえば職場・仕事にストレスを感じている場合は、転職・配置換え・休職などがおすすめです。
ストレスの元から一時的に離れるだけでも、よいストレス解消になります。
なお、転居や自宅の断捨離もストレス解消に効果的です。
住環境が変化すると、気分がリセットされるためです。
また、きれいな部屋で暮らすことは、多少なりとも気分がスッキリします。
病院の診断を受けることが大事
扁桃腺の腫れは珍しいことではありません。
しかし、長期間続く場合は医療機関を受診しましょう。
扁桃炎の重症化や咽頭がんが疑われるためです。
ちなみに、扁桃炎の治療は薬物療法が一般的です。
たとえば、のどの痛みを鎮める鎮痛剤が処方されるケースが多いです。
細菌感染の場合は、抗生物質が処方されることもあります。
なお、扁桃炎を治療するには自身で生活習慣を見直すことも大切です。
具体的には、栄養バランスのよい食事・安静・十分な休息を心がけてください。
あわせて、水分補給も大切です。
水分不足になるとのどの粘膜が乾燥し、結果、免疫が機能しなくなるためです。
特に高熱が出ている場合は、脱水症状が起こりやすくなっています。
こまめな水分補給を心がけましょう。
ストレスの解消法について詳しく知りたい方は、こちらも合わせてお読みください。
ストレスは、人に緊張感や責任感を与え、人が成長するために必要不可欠な要素といわれています。しかし、強いストレスは心身に異常をきたしてしまうため、適切に対処していく必要があります。ストレスと上手に付き合っていくための対処法には、どのよ[…]
スポンサーリンク
扁桃炎罹患者数の推移
急性扁桃炎の罹患者数は減少傾向がみられます。
厚生労働省の3年ごとの調査を参照します。
昭和59年の扁桃炎の罹患者数は6万7600人でした。
平成5年には、罹患者数は約半数の3万9400人にまで減少しています。
直近の調査である平成17年の罹患者数は2万900人です。
つまり調査開始の昭和59年と比べると、扁桃炎の罹患者数は約1/3にまで減少していることが分かります。
なお、昭和59年の扁桃炎の外来患者数は6万6500人でした。
対して平成17年では、2万100人に推移しています。
出典:厚生労働省「厚生労働省:平成17年患者調査報告(傷病分類編):傷病別年次推移表」
ストレスコーピングについて知りたい方は、こちらをお読みください。
現代社会でわたし達は、日々様々なストレスに晒されています。心身の健康のためにも、ストレスとどのように付き合っていくかは大切な課題です。ストレスの対処法として「ストレスコーピング」をご存知でしょうか。本記事では、ストレスコーピ[…]
ストレスで扁桃腺が片方腫れることのまとめ
ここまでストレスで扁桃腺が片方腫れる事柄についてお伝えしてきました。
ストレスで扁桃腺が片方腫れる事柄の要点を以下にまとめます。
- 扁桃腺の主な症状は、のどの腫れ・のどの痛み・高熱など
- ストレスが扁桃炎を引き起こすのは、免疫機能を低下させてウイルス・細菌への耐性を弱めるため
- 扁桃腺が片方だけ腫れる場合は咽頭がんの可能性がある
- 咽頭がんのその他の症状としては、片方の耳が詰まる・のどの違和感・声がれ・首のしこりが代表的
これらの情報が少しでも皆さまのお役に立てば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。