「ストレス」はうつ症状や集中力の低下など、身体に様々な影響をもたらします。
ストレスをため込むことで、「記憶が飛ぶ」症状も出現します。
ストレスが原因の記憶障害とはどのようなものでしょうか。
どのような治療法があるでしょうか。
本記事では、ストレスで記憶が飛ぶことついて、以下の点を中心にご紹介します。
- ストレスとはなにか
- ストレスが原因の記憶障害の特徴とは
- ストレスが原因で記憶が飛ぶときの治療法
ストレスで記憶が飛ぶことについて理解するためにもご参考いただけますと幸いです。
ぜひ最後までお読みください。
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記憶障害とは
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記憶障害とは、自分の体験にかかわる記憶が飛ぶことです。
過去の記憶が思い出せない、新しい出来事を覚えられないという症状がみられます。
覚えたとしても、すぐに忘れてしまうケースもあります。
記憶障害はもの忘れとは異なり、忘れている自覚がないのが特徴です。
認知症の方や脳を損傷している方、強いストレスがある方などに発症します。
ストレスによる記憶障害がある場合は、ストレスコーピングする必要があります。
ストレスコーピングとは、ストレスに対して上手く対処することをいいます。
ストレスへ様々な角度からアプローチすることで、記憶障害の改善を図ります。
出典:厚生労働省【ストレスコーピング】
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ストレスの原因と仕組み
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ストレスは、日常生活の中で起きる様々な変化によってもたらされます。
外部から刺激を受けることで、どのような反応を示すのか説明します。
ストレス要因となりうるもの
ストレスを感じる最初のステップは、外部から刺激を受けることです。
外部の刺激からの刺激を、「ストレッサー」と呼びます。
ストレッサーは、大きく分けて5つのタイプに分類できます。
物理的要因 | 工事現場の騒音・エアコンの効きすぎ・照明が明るすぎる |
化学的要因 | たばこ・アルコール・大気汚染・ほこり・食品添加物・ニスのにおい |
生物的要因 | 花粉・ウイルス・けが・カビ・睡眠不足・過労 |
心理的要因 | 不安・悩み・いらいら・焦り |
社会的要因 | 対人関係トラブル・仕事のプレッシャー・夫婦喧嘩・金銭的なトラブル |
複数の要因が絡み合い、強いストレスをもたらすこともあります。
たとえば、睡眠不足(生物的要因)が代表的な例です。
睡眠不足に仕事のプレッシャー(社会的要因)が重なると、より強いストレスを受けます。
ただ、ストレスの感じ方には個人差があり、人によってストレスの大きさは異なります。
出典:厚生労働省【ストレスって何?】
認知的評価
外部から刺激を受けたら、次に「認知的評価」の段階にうつります。
認知的評価とはストレッサーからの圧力を受け、どう感じるのかを評価することです。
認知的評価は、「一時的評価」と「二次的評価」に分けられています。
一次的評価を詳しく見ていきましょう。
刺激に対する感じ方は以下の3つに分類できます。
特徴 | 例 | |
無関係 | 自分にとって意味が無いもの | 隣りの会社の社長がハムスターを飼った |
無害―肯定的 | ポジティブな結果を得られる | 健康診断の結果が異常なしだった |
ストレスフル | 自分の価値・目標などが脅かされる | 自分に大病が発覚した |
ストレスフルは「脅威」「害・損失」「挑戦」の3タイプに分類できます。
脅威や害・損失は、刺激に対してマイナスの評価を下すことです。
大病が発覚して不安・悩み・うつ症状を抱える状態があてはまります。
一方、挑戦は刺激に対するポジティブな評価です。
「病気をしたからこそ自分の健康を見直すよい機会を得た」と考えます。
ストレスを感じる状態は、ストレスフルの脅威や害・損失に該当します。
ある事柄を有害だと判断すると、心身に様々な不調=ストレス反応があらわれます。
二次的評価は、自分の行動を検討する段階です。
具体的には、ストレスフルと判定した事柄に対し、どのように対応するのかを考えます。
目的はストレスの原因を乗り越えることです。
最善の結果を得るために「いつ」「どこで」「どのような」行動をするのかを検討します。
なお、二次的評価のあとに「三次的評価」を設ける場合もあります。
三次的評価は一連の認知的評価に対する再評価の段階です。
自分の選択・行動がどのような結果をもたらしたのかを再評価し、必要なら反省します。
ストレス反応
ストレス反応は、ストレスを感じる最後のステップです。
ストレッサーによる刺激をストレスフルと感じ、心身に不調が出る段階を指します。
ストレス反応は大きく分けて以下の3種類があります。
心理面 | 不安・焦燥・いらいら・気分の落ち込み・意欲の低下・記憶が飛ぶ |
身体面 | 頭痛・肩こり・めまい・動悸・息切れ・胃痛・食欲不振・不眠 |
行動面 | 過食・飲酒・喫煙・ミスの増加・引きこもり・攻撃的になる |
どのようなストレス反応が出るかは個人差があります。
複数のストレス反応が同時にあらわれることも、しばしばあります。
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ストレスが原因となる記憶障害の種類
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ストレスが原因の記憶障害には、「解離性健忘」と「一過性全健忘」があります。
それぞれの特徴・症状をご紹介します。
解離性健忘
「解離性健忘」とは、心理的なショックが原因で記憶が飛ぶことです。
心理的なショックとは、以下のような体験に起因します。
- レイプ
- 戦争・大量虐殺・犯罪
- 天災・事故
- 親しい人の死
- 幼児期の虐待・DV・パワハラ
多くの場合、抜け落ちる記憶は、自分が体験したショックな出来事にまつわるものです。
症状は一時的なもので、記憶は時間の経過とともに回復します。
ただし、症状のあらわれ方・期間は個人によって大きく異なります。
解離性健忘は、症状によって以下の5つのタイプに分けられます。
限局性 | 特定期間・特定の出来事に関する記憶が飛ぶ |
選択的 | 特定期間の一部の体験に関する記憶が飛ぶ |
全般性 | すべての記憶がなくなる |
系統的 | 特定のカテゴリーに関する記憶が飛ぶ |
持続性 | 発症後の記憶の構築ができない |
解離性健忘はしばしば「PTSD」を伴います。
PTSDとはいわゆるトラウマといわれる現象のことです。
過去のショックな体験が、今まさに繰り返されているような状態に陥ります。
症状は疲労や睡眠障害、悪化するとうつ病や自殺行動にいたる可能性があります。
また、激しいパニックの結果、自宅を飛び出す「解離性とん走」という症状もあります。
解離性とん走が起こると、自分の名前・経歴などすべてを思い出せなくなります。
自力で自宅に戻れなくなり、失踪に発展することもあるため、注意が必要です。
出典:厚生労働省【みんなのメンタルヘルス PTSD】
一過性全健忘
「一過性全健忘」は脳に障害がないにもかかわらず、一時的に記憶障害が起こることです。
50〜70歳代の方に多く見られます。
症状は「前向性」と「逆行性」の2種類があります。
前向性健忘は、新しい記憶の構築が難しくなる健忘症です。
発症後に起こった出来事を覚えられなくなります。
一方で、逆行性健忘は、直近の数分〜数時間前の記憶を失う健忘症です。
名前・家族などの情報は覚えていますが、直近の行動や場所が思い出せなくなります。
いずれのタイプであっても、発症者はしばしば強い不安に襲われます。
そのため、用心深くなり、同じ質問を何度も繰り返す傾向が見られます。
多くの場合、症状は24時間以内におさまりますが、まれに数日続くこともあります。
また、健忘を発症している間の記憶が失われる場合もあります。
一過性全健忘の原因は不明ですが、一定の行動で発症率が高まるといわれています。
一過性全健忘を引き起こしやすい行動は、以下のとおりです。
- アルコールの大量摂取
- 鎮痛薬などの服用
- 違法薬物の乱用
- ストレス
- 痛み
- 性交渉
ほとんどの場合、一過性全健忘は完全に回復し、再発もありません。
しかし、一過性全健忘の症状は、脳卒中やてんかんでも見られるため、注意が必要です。
前触れもなく直近の記憶が失われた場合は、念のため医療機関の受診をおすすめします。
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治療法は?
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ストレスが原因の記憶障害は、根本原因であるストレスを解決する必要があります。
具体的な治療法を見ていきましょう。
環境調整
ストレスから離れ、安心できる環境を整えることが大切です。
ストレスの原因を物理的に遠ざけることで、精神的な安らぎを得られます。
たとえば仕事がストレスの場合、休職して一時的に仕事から離れます。
また、仕事量を減らしたり、配置転換したりすることも、ストレス軽減につながります。
ストレスから離れてリラックスした状態になると、徐々に記憶が回復していきます。
記憶想起法
失われた記憶を意図的に回復させる方法です。
記憶が戻らない場合や、急いで取り戻す必要があるときなどに用いられます。
催眠や薬物を利用する方法が代表的です。
精神療法
精神療法は、簡単にいうとカウンセリングです。
多くの場合、記憶障害の回復後、再発防止のために用いられます。
カウンセリングではカウンセラーとの対話を重ね、原因であるストレスの解決を図ります。
薬物療法
不安などが大きい場合は、気持ちを穏やかにする医薬品が用いられます。
代表的な医薬品は以下のとおりです。
- 抗うつ薬
- 抗不安薬
- 抗精神病薬
- 睡眠薬
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ストレスがたまる人の特徴
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ストレスがたまりやすい方は、「せっかちタイプ」「いい人タイプ」に分けられます。
それぞれの特徴を以下にまとめました。
せっかちタイプ
せっかちタイプの方は、理想が高く、その理想に向かって全力投球します。
一方、自分の思い通りに進まないと、いらいらして他人に厳しく当たりがちです。
真面目なビジネスパーソンに多く見られますが、ストレスを抱えやすい傾向があります。
いい人タイプ
いい人タイプの方は、自分より他人を優先する自己犠牲の気持ちがあります。
そのため、感情を吐き出す機会がなく、ストレスをため込む傾向があります。
限界まで我慢を重ね、ある日突然心のバランスを崩すこともあるため、注意が必要です。
マイペースタイプ
ストレスを感じにくいのは、マイペースタイプの方です。
マイペースタイプの方は競争心を抱かず、周囲とうまく調和できます。
自分の気持ちもうまく表現できるため、ストレスを感じにくいタイプです。
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ストレスがたまりやすい仕事は?
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ストレスがたまりやすい仕事は、以下のとおりです。
- 工場・倉庫作業員
- 介護ヘルパー
- 飲食・小売店などでの販売業
- バス・タクシーの運転手
- 清掃員
身体的負担が大きいことが、理由として挙げられます。
男性の場合、直接的なかかわりが必要な職種は、ストレスを感じやすい傾向があります。
ストレス性胃腸炎とは、不安等のストレスが原因で起こる胃腸の炎症をいいます。ストレスが溜まっていて、お腹が痛いという方は、ストレス性胃腸炎の可能性があります。本記事では、ストレス性胃腸炎について以下の点を中心にご紹介します。 […]
仕事はどのような場面でストレスになる?
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ストレスの原因の多くは仕事にあります。
それでは、具体的に仕事でどのような点にストレスを感じるのでしょうか。
仕事上のストレスとなり得るのは、以下のような場合です。
- 長時間労働
- チームの1人として働くため、自分で完遂できる仕事が少ない
- 面白いと感じる仕事ではない
- 上司との関係が良くない
- 仕事のために家庭生活が充実できない
日本は組織の中で仕事することが多いため、些細なことでも他人の判断を仰ぎます。
自分主導で仕事ができないため、やりがいを感じにくい環境であるといえます。
また仕事の自律性が低いと、仕事への意欲が下がり、生産性も低下します。
ゆえに、仕事がはかどらず、労働時間ばかりが延びていきます。
上司・同僚との人間関係もストレスの大きな原因です。
日本では、とくに上司に従うことを求められます。
同僚に対しても、連帯責任の観点から、互いを監視し合う風潮があります。
つまり職場では、仕事だけでなく、対人関係にもプレッシャーを強いられます。
結果、精神的にも肉体的にもストレスを感じやすい場所といえます。
出典:NHK放送文化研究所【何が仕事のストレスをもたらすのか】
厚生労働省の調査によると、20~50代に至るまでの過半数以上の方が強いストレスを感じているようです。ストレスが原因で体にあらわれる症状には、さまざまなものがあります。そのうちの1つに吐き気があげられます。吐き気は、どのような[…]
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ストレスによる記憶障害についてまとめ
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ここまでストレスで記憶が飛ぶ事柄についてお伝えしてきました。
ストレスで記憶が飛ぶ事柄の要点を以下にまとめます。
- ストレスは、外部からの刺激により緊張した状態になること
- ストレスが原因の記憶障害には、「解離性健忘」と「一過性全健忘」がある
- ストレスが原因で記憶が飛ぶときは、環境調整・精神療法・薬物療法で治療する
これらの情報が少しでも皆さまのお役に立てば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。