幸せホルモンと呼ばれるセロトニンには、ストレス軽減や様々な健康効果を期待できます。
セロトニンを増やすには日光浴が効果的です。
それでは、具体的にどのようなポイントを押さえて日光浴をすればよいのでしょうか。
本記事では、セロトニンと日光について、以下の点を中心にご紹介します。
- 日光浴にはどのような効果があるのか
- 室内での日光浴に効果はあるか
- 日光浴以外にセロトニンを増やす方法はあるのか
セロトニンと日光について理解するためにもご参考いただけますと幸いです。
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セロトニンとは
セロトニンとは脳内の神経伝達物質の1種です。
神経伝達物質は、脳からの電気信号を神経細胞に届ける物質です。
セロトニンはトリプトファンという成分から作られます。
主な作用は、脳の興奮を鎮めて精神を安定させることです。
幸福感を高めるのに役立つことから、幸せホルモンと呼ばれることもあります。
出典:厚生労働省「セロトニン | e-ヘルスネット(厚生労働省)」
セロトニンの働き
セロトニンには様々な作用があります。
主な作用は以下の通りです。
- 脳を覚醒させる
- 身体の活動性を高める
- 痛みを抑制する
- 食欲をコントロールする
- 姿勢をまっすぐ保つのをサポートする
セロトニンにはストレスを軽減させる作用もあります。
理由は、脳の偏桃体という部位に働きかけるためです。
偏桃体は恐怖・不安をつかさどる器官です。
セロトニンは偏桃体の興奮を鎮めることで、恐怖・不安などを和らげます。
結果、脳はストレスを感じにくくなるというわけです。
ストレスが軽減されることで、うつ病や自律神経失調症の予防も期待できます。
セロトニンとメラトニンの関係性
セロトニンは、メラトニンという物質とも深いかかわりを持ちます。
メラトニンは眠気を催す脳内ホルモンです。
メラトニンとセロトニンは拮抗関係にあります。
たとえば、セロトニンの分泌が盛んになる昼間はメラトニンの量が減少します。
夕方以降はセロトニンの分泌が抑制されるため、反対にメラトニンの分泌が活性化します。
昼間のセロトニンの分泌量が多いほど、メラトニンの分泌量も多くなります。
理由は、メラトニンはセロトニンから作られるためです。
つまりセロトニンが少ない方は、メラトニンの量も少なくなります。
すると夜間になっても眠気を催しにくくなるため、不眠症状があらわれやすくなります。
反対にセロトニンの分泌量が多いほどメラトニンが分泌されやすくなるため、質の高い睡眠を得やすくなります。
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セロトニンと日光の関係性
セロトニンは日光を浴びることで合成されます。
具体的な内容をみていきましょう。
なぜ日光浴でセロトニンが分泌されるのか
日光浴がセロトニンの分泌を促すのは、セロトニン神経を活性化させるためです。
セロトニン神経とはセロトニン分泌に関わる器官です。
セロトニン神経は網膜が光を感じることで活性化します。
強烈な光ほど網膜への刺激も強くなるため、セロトニンが分泌されやすくなります。
強烈な光の代表格が太陽光です。
ちなみにセロトニン神経の活性化には、2500~3000ルクスほどの強さの光が必要とされています。
太陽の光は、曇りの日でも1万ルクス程度あります。
対して、一般的な家庭用の蛍光灯は500ルクス程度です。
つまり、蛍光灯の光ではセロトニン神経が活性化しにくいわけです。
セロトニンの分泌量を増やすには、屋外に出て日光を直接浴びることが大切です。
日光浴をする時間帯
日光浴をするのは午前中~正午までが適当です。
おすすめは起床直後の日光浴です。
理由は、頭と体がスッキリと覚醒しやすくなるためです。
セロトニンには脳と身体を活性化させる作用があります。
起床直後に頭がボンヤリしているのは、睡眠中のセロトニン量が減少するためです。
そこで、起床後に日光を浴びてセロトニンの分泌を促すことで、スッキリした目覚めが期待できるわけです。
なお、起床直後の日光浴が難しい場合は、正午前くらいに外に出ましょう。
正午ごろには太陽の光が強くなるため、短時間でも効率的に日光浴できます。
なお、午後の日光浴はあまりおすすめできません。
紫外線が強くなりすぎるため、熱中症・日焼けのリスクが高まります。
できれば日光浴は午前中の早い時間か、正午ごろに行いましょう。
どのくらい浴びれば良いの?
日光浴の時間は、30分前後が適当です。
ただし、紫外線の強くなる夏場は15分程度でもかまいません。
対して秋・冬は光量が少なくなります。
よって日光浴時間は、夏場よりやや長めに行うのが理想的です。
ただし日照時間や光量は地域によって差があります。
日光浴の時間は、季節・地域などに応じて調整しましょう。
なお、セロトニンの分泌量には限界があります。
日光浴をすればするほど無限にセロトニンが増えるわけではありません。
紫外線を長時間浴び続けると、かえって熱中症・日焼けのリスクが高まります。
健康被害を防ぐためにも、日光浴はほどほどの時間で切り上げましょう。
あわせて、紫外線が強い場合は木陰を選んだり、時間を短縮したりする工夫も必要です。
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窓越しでもセロトニンは分泌する?
日光浴はセロトニンを増やすのに役立ちますが、一方で気になるのが日焼けや熱中症です。日焼けなどを防ぐために、窓越しに日光浴をしてもよいのでしょうか。
窓越しよりも直射日光がおすすめ
窓越しの日光浴であっても、セロトニンは分泌されます。
しかし、できれば窓越しよりも直接日光を浴びるのがおすすめです。
理由は、窓ガラスを通すことで光量が多少なりとも減少するためです。
窓越しよりも直接日光を浴びる方が、より効率の良いセロトニン分泌を期待できます。
網戸越しの場合は?
網戸越しの日光浴でもかまいません。
網戸は窓ガラスと比べて、遮光機能がほとんどないためです。
網戸越しの日光浴であれば、直接日光を浴びるのと同等の効果を期待できます。
曇りや雨の場合は?
雨の日や曇りの日は、晴れの日と比べると光量が減少します。
そのため雨天・曇天時に十分な光を浴びるには、晴れの日より長めの日光浴を行う必要があります。
具体的には、屋外で1時間程度過ごすのがおすすめです。
屋内で過ごす場合も、できるだけ窓辺の滞在時間を長くしましょう
サングラス越しの場合は?
サングラスは日光の光を遮ってしまいます。
よって、セロトニンの分泌はあまり期待できません。
セロトニン神経を活性化させるには、網膜から光を取り入れることが大切です。
日光浴中はサングラスを外して、裸眼で過ごしましょう。
ただし紫外線が強い場合、裸眼で長時間過ごすと目を痛めることがあります。
サングラスは状況によって使い分けましょう。
冬季うつ病とセロトニンの関係性
うつ病の発症率は、夏より冬の方が高くなります。
冬場に発症するうつは、冬季うつとも呼ばれています。
冬場にうつが多くなる理由の1つは、日照時間が短くなるためです。
また、冬は夏に比べると光量そのものも少なくなります。
つまりセロトニン神経が活性化しにくくなるため、セロトニンの分泌量が減ってうつ病を発症しやすくなるわけです。
なお、冬季うつは季節性感情障害とも呼ばれています。
日差しが回復する春頃には、症状が改善することが多いです。
日光浴をする際の注意点
日光浴をする際にはいくつか注意点があります。
具体的なポイントを2つみていきましょう
日射病に注意
日射病とは、太陽の光が原因で起こる疾患です。
具体的には、日光によって大量の汗をかいて体内の水分が減った結果、全身の血液循環が悪化した状態を指します。
具体的な症状は、めまい・貧血・失神などです。
日射病は、特に夏場に発生率が高まります。
スポーツ時に起こるというイメージがありますが、日光浴中にも起こりえます。
夏場に日光浴する際は、直接太陽光を浴びるのは避けましょう。
涼しい木陰などで過ごすのがおすすめです。
日焼けに注意
紫外線の浴びすぎは日焼けにつながります。
日焼けはしみ・しわの肌トラブルだけでなく、皮膚癌などの重篤な疾患を招くこともあります。
できるだけ日焼けを予防するには、手のひら日光浴がおすすめです。
やり方は、手のひらだけを太陽光にあてるというものです。
手のひらは、しみの元であるメラニン色素が少ない部位です。
よって、手のひらだけの日光浴は、全身での日光浴に比べると日焼けのリスクが低めです。
日光浴以外の分泌方法
セロトニンを分泌するには日光浴以外の方法もあります。
代表的な方法をご紹介します。
適度な運動をする
適度な運動はセロトニン神経を活性化させます。
おすすめはリズム運動です。
リズム運動とは、単調なリズムを繰り返す運動です。
たとえばウォーキング・ジョギング・水泳などが代表的です。
リズム運動によって身体が一定のリズムを刻むことで、脳は心地よさを感じます。
つまり脳がリラックスするため、セロトニンが分泌されやすくなります。
喜怒哀楽を意識する
感情を大きく動かすことはセロトニン神経の活性化につながります。
無感動になりがちという方は、意識して感情をゆさぶってみましょう。
たとえば映画・読書は感情を波立たせるのに役立ちます。
ちなみに、感動の涙を流すことは、セロトニン神経を活性化させる効果が高いと指摘されています。
十分な睡眠をとる
睡眠には脳の疲労を解消する効果があります。
脳が活性化しやすくなるため、ひいてはセロトニン神経の活性化につながります。
なお、十分な睡眠を得るには、単純に睡眠時間を長くすればよいわけではありません。
睡眠の質を上げることも意識しましょう。
食生活の改善
セロトニンの分泌量を増やすには、栄養バランスのよい食事を心がけましょう。
特に意識したいのがトリプトファンの摂取です。
トリプトファンは必須アミノ酸の1種で、セロトニンの原料です。
つまり十分なセロトニンを作るには、原料のトリプトファンを補給することが大切です。
トリプトファンが豊富な食品には以下があります。
- 大豆製品(豆腐・納豆・みそ・しょうゆ など)
- 乳製品(牛乳・ヨーグルト・チーズ など)
- ごま
- ピーナッツ
- バナナ
- 卵
セロトニンを増やすには、よく噛んで食べることも意識しましょう。
咀嚼はリズム運動の1種です。
脳の活性化につながるため、ひいてはセロトニン神経が活性化しやすくなります。
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日光浴における効果
日光浴には、セロトニン分泌以外にも様々な健康効果を期待できます。
代表的な効果をご紹介します。
骨粗鬆症の予防
骨粗鬆症は、骨がスカスカになる状態です。
骨がもろくなるため、骨折などのリスクが高まります。
日光浴は骨粗鬆症の予防に効果的です。
理由は、ビタミンDの合成を促すためです。
ビタミンDにはカルシウムの吸収率を高め、骨を丈夫にする作用があります。
よってビタミンDが不足すると、骨がもろくなるため骨粗鬆症のリスクが高まります。
紫外線には、体内のビタミンD合成を活性化させる力があります。
つまり日光浴は、体内のビタミンD量を増やすのに役立つわけです。
なお、ビタミンDを作るには、皮膚に直接紫外線を浴びる必要があります。
そのため、窓越しの日光浴にはあまり意味がありません。
また、日焼け止め・長袖・帽子を使うのもNGです。
理由は、いずれの方法も紫外線を遮断するためです。
ビタミンD合成のためには、直接肌に紫外線を浴びることを意識しましょう。
日焼けしたくない場合は、手のひら日光浴がおすすめです。
認知症率の低下
日光浴は認知症予防にも効果があります。
理由は、ビタミンDが生成されるためです。
ビタミンDは脳機能を正常に保つ作用があります。
認知機能の低下を防ぐには、日光浴によって体内のビタミンD量を増やすことが大切です。
なお、ビタミンDの合成には、皮膚に直接紫外線を浴びる必要があります。
1日15~30分程度を目安に、直接日光を浴びることを意識しましょう。
体内時間の調整
日光浴は体内時計をリセットする作用があります。
実は体内時計は、放っておくと毎日1時間ズレていきます。
なぜなら体内時計は、25時間周期で設定されているためです。
体内時計のズレを正すには、毎日時計をリセットする必要があります。
そこで役に立つのが日光浴です。
特に朝1番の日光には、体内時計をリセットする効果が高いです。
体内時計を正常に保つためにも、起床後はなるべく窓辺で過ごすなどして、日光を浴びる工夫をしましょう。
糖尿病予防
糖尿病はインスリンの働きが低下する疾患です。
なぜインスリンの働きが低下するのかというと、分泌元である膵臓の働きが弱まるためです。
膵臓の働きをサポートする成分がビタミンDです。
日光浴はビタミンDを合成する効果があるため、ひいては糖尿病予防につながります。
免疫力の向上
日光浴によって合成されるビタミンDには、免疫機能を向上させる効果があります。
免疫機能がアップすると、全身の血流が改善されます。
血行促進は体温上昇につながります。
体温が上がるとさらに免疫機能が上がるため、ウイルス感染症などにかかりにくくなります。
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徒歩や自転車における外出頻度
効率のよいセロトニン・ビタミンD合成には、日光浴が大切です。
日光浴といっても、なにか特別なことをする必要はありません。
日中に屋外に出て活動するだけでも十分です。
屋外の活動とは、たとえば徒歩・自転車での移動が代表的です。
内閣府の調査では、1週間に3~4日以上、徒歩・自転車で外出するという方は、回答全体の6割を占めました。
ちなみに外出時間は、圧倒的に「日中」が多くなっています。
多くの方が普段から日光浴をしていることが分かります。
なお、セロトニンを合成するには1日30分程度の日光浴が望ましいです。
日光浴を兼ねて外出する場合は、外出の頻度だけでなく、屋外の滞在時間も意識するのがおすすめです。
出典:内閣府「12 外出の状況」
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セロトニンと日光まとめ
ここまでセロトニンと日光についてお伝えしてきました。
セロトニンと日光の要点を以下にまとめます。
- 日光浴によって網膜から光を取り入れることでセロトニン神経が活性化し、セロトニンが分泌されやすくなる
- ガラス越しでも日光浴の効果はあるが、効果が減少するため、できれば直接日光を浴びるのがおすすめ
- 日光浴以外にセロトニンを増やすには、適度な運動・喜怒哀楽の表現・十分な睡眠・トリプトファンの摂取がおすすめ
これらの情報が少しでも皆さまのお役に立てば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。