疲れていたり、緊張していたりすると、夜間眠れないということがあります。
疲労感があるのに眠れない原因の1つに、「ストレス」があります。
なぜストレスがあると、眠れないのでしょうか。
ストレスで眠れない場合の対処法とはどのようなものでしょうか。
本記事では、ストレスで眠れないことについて、以下の点を中心にご紹介します。
- 睡眠障害のタイプ
- なぜストレスで眠れないのか
- ストレスで眠れないときの対処法
ストレスで眠れない事柄について理解するためにもご参考いただけますと幸いです。
最後までお読みください。
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ストレスによる睡眠障害
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ストレスで眠れない場合は、睡眠障害の可能性があります。
睡眠障害とは、睡眠に何らかの問題が出ている状態です。
睡眠障害として代表的なのは、「不眠症」です。
不眠症とは、寝つけない、何度も覚醒する、早く起きるなどの睡眠障害をいいます。
主に入眠困難・中途覚醒・早朝覚醒の3タイプがあります。
なお、睡眠障害には不眠症以外の症状もあります。
- 睡眠時無呼吸症候群
- 概日リズム睡眠・覚醒障害群
- 過眠症
- ムズムズ脚症候群
- 周期性四肢運動障害
眠れない症状の代表である入眠困難・中途覚醒・早朝覚醒について見ていきましょう。
出典:厚生労働省【睡眠障害 | e-ヘルスネット】
厚生労働省【不眠症 e-ヘルスネット】
入眠困難
寝つきが悪いタイプです。
ベッドに入っても30分以上眠れない場合は、入眠困難が疑われます。
眠ろうとするほど目が冴えるのが特徴です。
入眠障害と呼ばれることもあります。
中途覚醒
夜中に何度も目が覚めるタイプです。
1晩に2回以上目が覚める場合は、中途覚醒の可能性があります。
高齢者によくみられる不眠症です。
早朝覚醒
起床予定時刻よりかなり早い時間に目が覚めるタイプです。
起床時刻より2時間以上前に目が覚める場合は、早朝覚醒の可能性があります。
早朝覚醒は、目が覚めると再度眠れないのが特徴です。
加齢によって起こりやすくなる現象でもあります。
ストレスについて詳しく知りたい方は、こちらをお読みください。
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ストレスで眠れないのはなぜ?
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疲れているのに眠れないという場合、原因としてストレスが考えられます。
では、なぜストレスによって眠れなくなるのでしょうか。
原因は2つ考えられます
ストレスで自律神経のバランスが乱れる
1つ目は、ストレスが自律神経のバランスを乱すためです。
自律神経とは、全身の器官やホルモンを制御している神経系です。
交感神経と副交感神経によって成り立っています。
交感神経は、脈拍・血圧を上昇させ、身体を興奮・緊張させる神経です。
一方、副交感神経は、脈拍・血圧を下げ、身体を休める作用があります。
交感神経と副交感神経が交互に入れ替わることで、バランスを保っています。
ストレスがかかると、交感神経が優位な状態が続きます。
すると、夜間優位になるべき副交感神経が抑えられ、常に興奮した状態になります。
ゆえに、夜間になっても眠れなかったり、眠っても早く目覚めたりします。
自律神経のバランスが乱れた状態は自律神経失調症と呼ばれます。
不眠は、自律神経失調症を代表する症状です。
うつ病
ストレスで眠れない原因の2つ目は、うつ病です。
うつ病とは、精神的ストレスによって脳の機能が低下した状態です。
脳の指令を細胞や神経系に伝える、神経伝達物質の働きが悪くなっています。
神経伝達物質の働きが悪化すると、感情・気分のコントロールができなくなります。
すると、憂うつ・イライラ・不安などの精神症状が出現します。
不眠は、うつ病の代表的な症状の1つです。
不眠によってストレスがたまり、うつ病がさらに悪化する悪循環のリスクがあります。
出典:厚生労働省【自律神経失調症 | e-ヘルスネット】
厚生労働省【うつ病|こころの病気を知る|メンタルヘルス】
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ストレスで眠れないときの対処法
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ストレスで眠れない場合は、リラックスすることが大切です。
具体的な方法を6つ紹介します。
眠れないことに焦らない
眠れないときでも、「早く眠らなくてはいけない」と焦るのは禁物です。
焦ると心理的ストレスが増すためです。
ストレスを感じると、交感神経が活性化した状態が続きます。
すると脳が興奮するため、ますます眠れなくなります。
脳をリラックスさせるには、焦り・不安を感じないことが大切です。
「眠れなくても全く問題ない」と自分を安心させると、心理的な負担は軽くなります。
あるいは、深呼吸するのも良い方法です。
深い呼吸は副交感神経を刺激するため、早く焦りや不安が鎮まります。
リラックスする
深い眠りを得るには、副交感神経を優位にする必要があります。
副交感神経を活性化させるには、心身をリラックスさせることが大切です。
たとえば、好きな音楽を聴いたり、読書したりする方法が代表的です。
あるいは、リラックス効果のあるハーブティーを飲むのもおすすめです。
就寝前の照明も工夫しましょう。
おすすめなのは、暖色系で柔らかい光の照明です。
一方で、眠気を妨げるのは、白く強い光です。
たとえば蛍光灯が代表的です。
就寝前2〜3時間前から照明を落としておくと、自然に眠りを誘います。
あわせて、室温・湿度なども調節しましょう。
ツボをおす
ツボをおすと不眠が改善されることがあります。
不眠改善におすすめなツボは、以下があります。
- 百会:頭頂部にある
- 老宮:手を軽く握った状態で、人差し指・中指の先端があたる付近
- 丹田:おへその下3~5㎝
- 失眠:足の裏のかかと中央のややへこんだ部分
ツボをおすことで、精神を落ち着けたり、自律神経を整える作用があります。
結果、精神的にリラックスでき、不眠を改善できます。
なお、ツボをおすのに効果的な時間は、就寝の30分〜1時間前です。
気持ちいいと感じる部位を、強すぎない力でおしましょう。
力を込めすぎると、かえって脳が興奮してしまうので注意しましょう。
また、深呼吸をしながらツボをおすと、より効果を発揮します。
ツボをおすときは、まず息を吐き、吸うタイミングで力を緩めましょう。
なお、照明を落とした部屋で行うと、よりリラックス効果を感じられます。
スマホやパソコンの画面を見ない
就寝前は、スマホ・パソコンなどのデジタル機器の使用は控えることをおすすめします。
デジタル機器が発するブルーライトは、睡眠を誘うホルモンのメラトニンに影響します。
メラトニンは、光に当たると分泌量が減少する性質があります。
夜間ブルーライトに当たることで、メラトニンが減少し、脳が覚醒した状態になります。
脳は夜を朝だと錯覚するため、眠れなくなり、睡眠障害につながります。
したがって、少なくとも就寝の1時間前には、デジタル機器の使用をやめましょう。
悩みがある場合は紙に書き出してみる
眠れない原因の1つとして、考えすぎということもあります。
とくに不安・悩みに関する考えごとは、脳を興奮させます。
悩み・不安があるときは、紙に書き出してみましょう。
書き出すことで気持ちの整理がつき、不安を軽減できます。
また、書き出すことは自分の悩みを客観的に見ることにも役立ちます。
冷静に自分を見つめ直すことで、意外な解決法を思いつくこともあります。
不安を書き出すときは、なるべく短い文章にしましょう。
長い文章を書こうとすると、頭を使って、脳が覚醒する恐れがあります。
単語レベルまで短くして書くのがポイントです。
睡眠前に軽く運動する
睡眠前に軽く運動すると、筋肉の緊張がほぐれてリラックス効果を得られます。
副交感神経が優位になりやすいため、スムーズな眠りを期待できます。
おすすめの運動は、ヨガやストレッチです。
本格的な運動をしたい場合は、睡眠の2〜3時間前に終わらせましょう。
就寝の2〜3時間前に運動することで、就寝時間頃に体温が下がり始めます。
体温が下がると、自然に眠気を感じるようになります。
就寝前に効果的な運動は、ウォーキング・軽いジョギング・水泳などです。
したがって、運動する際は、就寝時間に合わせて運動の時間を調整しましょう。
ストレスの対処法について詳しく知りたい方は、こちらをお読みください。
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眠れないときにやってはいけない行動
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眠れないときは、以下の行動を控えましょう。
いずれも交感神経を活性化させるため、ますます眠気が遠ざかります。
- 激しい運動
- 熱いお風呂に入る
- 食事
- スマホを操作する
- 眠ろうと意識する
- 飲酒・喫煙
睡眠不足の健康への影響
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睡眠不足が続くと、以下のような疾患を引き起こすことがあります。
- 糖尿病
- 高血圧
- 肥満
- 脳卒中
- 心疾患
睡眠不足になると、交感神経が興奮している状態が続きます。
すると心拍が増加するため、心臓・血管には負担がかかります。
結果、動脈硬化・高血圧などの発症リスクが高まります。
とくに動脈硬化は糖尿病・心疾患・脳卒中などに発展しやすいため、注意が必要です。
出典:厚生労働省「睡眠と生活習慣病との深い関係 | e-ヘルスネット(厚生労働省)」
睡眠障害がひどい場合には病院へ
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睡眠障害がひどい場合は、医療機関を受診するのも1つの方法です。
受診の目安や診療科をご紹介します。
受診の目安
受診すべきタイミングは、眠れないことで心身に不調があらわれていると感じたときです。
不眠が1ヶ月以上続いている、対策しても解消されない場合も、受診する必要があります。
心身の不調や日常生活に支障が出ているということが、判断のポイントです。
ストレスによる睡眠障害は何科?
診療科は、最もつらい症状にあわせて選ぶのが適当です。
例を以下に挙げます。
症状 | 受診すべき診療科 |
眠れないことでイライラ・不安がある | 内科・精神科・心療内科 |
昼間に強い眠気がある | 脳神経内科・精神科・心療内科 |
異常ないびき・息苦しくて目が覚める | 耳鼻咽喉科・内科 |
診療科に迷うときは、最寄りの内科やかかりつけ医に相談しましょう。
私たちが当たり前のように行っている日々の睡眠。睡眠の目的は、疲労回復のためだけではありません。認知症を予防するうえでも非常に重要となります。では、睡眠不足と認知症がどのように関わっているのかご存知でしょうか?本記[…]
ストレスがある人は睡眠時間が短い?!
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ストレスと睡眠の満足度は、密接に関係しています。
ストレスを感じている方は、ストレスのない方より睡眠時間が短いことがわかっています。
また、ストレスを感じている方の睡眠時間は6時間未満とも指摘されています。
調査の結果より、ストレスが睡眠に何らかの悪影響を与えていることがわかります。
一方で、眠れないことも、心身に悪影響を及ぼし、ストレスになることもあります。
若年層はイライラしたり、中年層からは疲労があらわれます。
したがって、ストレスと眠れないことは強いつながりがあるといえます。
良質な睡眠を得るためには、日頃からストレスをためない工夫が必要です。
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「ストレスで眠れない」睡眠障害まとめ
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ここまでストレスで眠れない事柄についてお伝えしてきました。
ストレスで眠れないことの要点を以下にまとめます。
- 睡眠障害のタイプは、「入眠困難」「中途覚醒」「早朝覚醒」である。
- ストレスで眠れない理由は、自律神経の乱れやうつ病が原因
- ストレスで眠れないときの対処法は、リラックス・スマホを使わない・運動など
これらの情報が少しでも皆さまのお役に立てば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。